真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

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今回は次回予告の代わりにオマケをつける事にしました


第2話 これからの予定

『悟飯! おめえの真の力を見せてみろ!!』

 

 

頭の中に響いてくる、暖かくも厳しい憧れの人物からの声。もう聞く事は許されない筈の声が脳内で響き、記憶に残る懐かしい顔が見えてくる。

真っ直ぐに自分に目を向けている。何があっても彼はあの優しさを忘れた事はなかった、何時も影にはその人物の存在が秘されていて―――。

 

 

『甘ったれてんじゃねえぞ!地球はおめえが守るんだっ!!』

 

 

地球は自分自身の手で守る。厳しく手強い言葉だが、それが自身の使命。憧れの存在である父親から届くはずのない声が届いたときから……。

 

 

 

 

 

 

「お父さん―――!」

 

 

不意に目が覚めると悟飯は自分の置かれた立場を理解する。まずベッドの中にいる事がわかり暖かな感触が全身を包み込むように伝わってくる。近くには窓があり、そこから日差しが入りこみ思わず目が眩む。

 

 

「あれ?包帯が巻かれてる。」

 

 

自分の体に目を向けると腹部に包帯が巻かれていた。今でも痛みは僅かに響いてくるが激痛を感じるほどじゃない、痛みは確実に和らいでいた。

改めて見てわかる事は一つ。自分は今、助けられている。丁寧に包帯を巻かれベッドにこうやって寝かしてくれるという事は少なからず安全を連想させられるのだ。

 

 

「やっぱり夢だったのかな……。」

 

 

————先程見た光景を思い返す、まるで夢のようだけどハッキリと聞こえた声。尊敬している人物からの形となって現れた夢。

仲間達がやられ自分は死へと向かうと直感した瞬間、死んだ筈の父親が現れ自分を抱えていた。そして心に刻まれるメッセージを残して、気がつけば父の姿はなくなっていた。

 

その後の事はあまりよく覚えていない、うっすらと記憶はあるがはっきり覚えてはなく、ただ今まで受けた痛みを感じなくなり地球を脅かす敵から守る為に無我夢中で……。

 

 

「あ、気がついたみたいね!」

 

「わあっ!?」

 

 

突然、近くから聞こえる少女の声、驚いてその方向へ目を向けると見覚えのある顔がそこにある。長い金色の髪に翠色の瞳、白い服装——―。

すぐに悟飯は思い出す、目の前の彼女は黒服の男達に捕まっていた少女である事に。どうして今この場にいるのかわからないがあの少女でまず間違いない。

 

 

「此処はあたしの家よ。とりあえず、あんたには色々聞きたい事があるんだけど…その前に今の状況を説明しといた方がよさそうね。」

 

 

こちらが突然の登場に驚いている暇もなく少女は喋る。寧ろ自分が驚いているからこそ状況を説明しようとしているのかもしれない、と悟飯は内心そう思っていた。

「状況?」と少し首をかしげて少女に問いかけてみれば軽く目の前の少女は頷いてくれた、恐らくあの男達を気絶させた後の話をしようとしているのだろう。

 

 

「あんたはあの後、意識を失って倒れたの。それで、あたしが電話して警察が来て犯人達を捕まえた後に鮫島に頼んであんたの治療をしてもらったわ。それにしても、よくあれだけの怪我を負った状態であんな事できたわね。」

 

「あ、ありがとうございます……。あはは、つい無我夢中になって…。」

 

 

話を聞き終わった後に悟飯は思わず反応に困って苦笑いを浮かべる。

一般人からすれば無理もない、骨が折れていたり血を口から吐いていたりだ。そんな状態で銃やナイフを持った男達を圧倒、そう言われるのも仕方のない事だと思っている。

 

 

「別にいいわよ、あたしもあんたに助けられたんだし。それよりも、なんで人が入ってこないようなオンボロビルの中にいたの? 好奇心ってわけじゃなさそうだけど。」

 

 

真面目な表情で見つめる小女、悟飯から見れば大人びたように感じる。危険に晒された後なのに冷静に警察を呼ぶなどの行動力、普通の子供ではここまでの行動力を発揮しないだろう。とはいえ、悟飯はすぐに事情を説明する事にした。

 

何処まで事情を説明すればいいかわからないので適当な具合で事情を説明しようとしたが、その途中で入ってくる少女の質問にも答えなければならず、また説明する為に一から話をする。また少女の質問が、また説明……と暫くその作業をループ。そんな事をしている間にも時間は過ぎていく。

 

 

「つまり、あんたが強いのは武術を習っている事とサイヤジンだからで。あの場所にいた理由はボージャックって宇宙人を倒した後に倒れたからわからないと……正直信じられない話ね…。」

 

「はい…ボクにもなにがなんだか……。」

 

 

もはや話は一般人が理解できない域まで達していた、質問に答える結果がそうさせたのだ。

此処に至るまでの経緯や自分の事を説明するが、悟飯自身でも経緯を話していると信じられないと思っている。

 

こんな非現実的な話を目の前の少女が理解して信じてくれるかどうか、それは悟飯自身、あまり期待していなかった。

 

 

「でも、あそこで見せたあんたの力はとても普通の子供のものとは思えないし、実際にあたしが見てるんだからそれについては信じるわ。ただ、天下一大武道会とセルゲーム…だっけ?さっき鮫島に確認してもらったんだけど、此処最近そんな出来事なかったわよ。」

 

「え!?そんなはずは……。」

 

 

彼女の予想外の発言に悟飯は驚きの表情を浮かべる、天下一大武道会を知らない事に関してはまだわからない事でもないが、“セルゲーム”を知らないと言うのは耳を疑う。

 

セルゲームは今世紀最大の大事件であり、全世界にTV中継された程。更に言えば軍隊まで出撃する規模で、「セルゲームで闘う者が全員負ければ全ての人間を抹殺する」と開催した本人、人造生命体“セル”の発言は全世界の人間を恐怖に怯えさせた。

結果的には悟飯と彼の父親の活躍によってセルは倒され地球は救われるが、世間では格闘技の世界チャンピオン、“ミスターサタン”が地球を救った英雄と称されているのである。

 

 

「あ、そうそう。あんたの名前を教えてもらえないかしら?」

 

 

話題は一瞬で変わった。確かに此処まで会話をしていながら名前のやり取り自体をしていなかった事に彼は気がつく。予想していない質問にきょとんとした顔で少女を見つめながら彼女の疑問に応じようと悟飯は口を開き。

 

 

「名前…ですか? ボクは孫悟飯です。」

 

「孫悟飯?変わった名前ね。あたしはアリサ・バニングスよ。」

 

 

何処か逞しそうに少女は名乗った。アリサ・バニングス。それが少女の名前である事がわかると悟飯はしっかりと記憶にとどめる事にする。

 

 

「よろしくお願いします、アリサさ…「ストーーーップ!」…え?」

 

 

礼儀正しく挨拶をしようとした途端に、静止させる声が部屋に響き渡り悟飯は少し気の抜けた声を出してしまう。

 

 

「さっきから、なーんか違和感を感じていたけど、それよそれ!見たところ悟飯とあたしって同年代じゃない?だからあたしに敬語とか使わなくていいわ、気軽に話しなさい。」

 

「気軽に…ですか?」

 

 

悟飯は幼い頃から修行ばかり重ねてきたせいで同年代の子供と話す機会がまったくといっていいほどなかったのだ。それどころか母親の教育により礼儀指導を学ばされ、家族や仲間に対してもその敬語は滅多にはずした事が無かった。

 

だからこそ突然、出会って間もない相手に気軽に話せと言われても悟飯は戸惑いを覚えてしまう、だが早く言いなさいと言わんばかりに眼光を向けるアリサの気迫に押されて。

 

 

「わかりま……わかったよ、アリサさ…ちゃん…。」

 

 

慣れていないせいか、ぎこちなく話す。相手が初対面であるのと雰囲気が大人びているという理由も重なってすぐに敬語に戻りそうな雰囲気を漂わせながら。

 

アリサとしては単純に悟飯と仲良く話したいだけでもあり、同年代に対して堅苦しい話し方は彼女本人も慣れてない為に出た発言なのだが、悟飯の返事に思わず不満そうな表情を浮かべると腕を組み小さく少し納得がいかなさそうに唸る、この反応に更に悟飯は途方にくれていた。

 

 

「ん~~少しぎこちないけど…まぁいいわ。これから慣れていけばいいわけだし。」

 

「…———これから?」

 

「そうよ。まだ悟飯の怪我は治ってないし、完全に治るまでは此処にいてもらうわ。その間に住所とかはこっちで調べておくから。」

 

 

「いいわね?」と有無を言わさずに決められてしまう。お世話になるという罪悪感が残るがまともに動けない現状、他に方法が無い故甘んじて受け入れておく。

 

しかし、住所が見つかる可能性は限りなく低いだろう。自分の身寄りであるならその人が発する“気”というものがある、気は体内に眠る人間の根源的なエネルギーで悟飯はそれを感知する事が出来るのだ。

だが目が覚めてからというもの大きな気はまったく感じ取れない。誰にでも少なからず気は発している為、自分の知っている気なら直ぐに見つけられる筈なのだが―――

 

 

(ダメだ…何度探ってもみんなの気が感じられない…。やっぱり此処はボクのいた地球じゃないんだ……。)

 

 

―――疑惑は確信へと変わる。この世界は自分が住んでいた世界とは違う世界だと。

アリサとの会話で既に違和感はあったが、窓から見える空の色や緑の景色は自分の住む地球と変わらず確信まで踏み切れずにいた。しかし目の前の少女の気は感じられるのに家族や仲間達の気が探れないのは異常でいよいよ認めずにはいられない。

 

 

(とにかく、怪我が治ったらこの世界について調べなきゃ…。)

 

 

いまごろ家族や仲間達は行方不明になった自分を心配してるだろう、一刻も早く戻りたい気持ちが高ぶるが動けなくてはどうしようもない。故にまずは怪我を治す事に専念し、完治したらすぐにこの世界について調べようと決意する。

 

そんな事を考えているとアリサは悟飯の方へと手を伸ばす。突然の動作に困惑した表情を浮かべてアリサを見上げると…。

 

 

「じゃあ、これからよろしくね。悟飯。」

 

「え?あ、うん…よろしくアリサちゃん。」

 

 

差し出された少女の手を取り笑みを浮かべて握手を交わす。こうして合意の元、悟飯はアリサの家で生活をすることになるのであった。




(オマケ)

悟飯「ところでボクが着てた道着は?」

アリサ「ああ、アレならボロボロだったから捨てちゃったわよ「ええっ!?」大丈夫よ、あんたが自由に動けるようになるまでには服も用意しておくから。とりあえず暫くはあたしのを特別に貸してあげるからそれで我慢しなさい。」

悟飯「ピンクのパジャマ……。」
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