真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

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第3話 初めての学校

――悟飯がこの世界に来てアリサの家で暮し始めてから既に数週間の時が経過していた。

初対面であるにも関わらず日が経つにつれて家族のような錯覚を覚えていく中、すっかり悟飯もアリサも互いに気軽に話せる仲になっていたのだ。悟飯の怪我は彼がサイヤ人の血を引いているおかげで思った以上に長引く事はなく、あの大怪我の事など嘘のように完治していた。

 

 

「こら、制服が汚れちゃうでしょ!」

 

「「「ワンワン!」」」

 

 

結局、数週間という時間を費やして悟飯の住所を突き止めようと全力を尽くしたアリサだったがその努力は報われず、悟飯の話が真実であるかのように見つからなかった。

だがこの事をきっかけとしてアリサは悟飯の話が少しでも信憑性のある話である事を理解する、途方もなく嘘のような夢のような話の連続ではあるものの。

 

 

「えーっと、これが教科書でノートに筆箱と……よし、バッチシだ!」

 

 

又、悟飯もこの世界が自分のいた世界でないと再認識する、アリサに見せてもらった地図は自分の知る場所が一つもなく地形も違っていた。“日本”という国も“海鳴”という地名も聞いた事がない。

 

後日、怪我が完治した悟飯は早速バニングス邸を出ていこうとするが、アリサに引きとめられてしまう。期間は怪我が治るまでだったが、連絡先が見つからないなら話は別だと告げられて。

更に彼女の父親“デビット・バニングス”には娘の命の恩人というだけでなく本当の家族のように思っていると言われ、仕事の関係で滅多に家にいられない自分の代わりにアリサの側にいてくれと頭まで下げられては無下に断る事もできず、元の世界に戻る手段が見つかるまでの間ならという条件で引き続きバニングス邸で生活する事となった。

 

 

「ごーはーんー! 早く来ないとおいてくわよ〜〜!!」

 

「ま、待ってよアリサちゃん!」

 

 

そして現在、悟飯は白い制服を身に纏った姿で階段を駆け下りていく。アリサも悟飯とお揃いの白い制服を着ては犬達に囲まれながら玄関に位置する場所にて彼を待っていた。

 

悟飯がこのような服装をしている理由は一週間前に遡る。アリサは一つの悩みをもっていた、その悩みとはごく普通のように悟飯が家で過ごしている事。勿論怪我が治ってからは家の手伝いをしてくれるし、色々と助かっている。

ただ今の悟飯は外見的にも年齢的にも学校に行かなければならない立場、にも関わらず家で何時までも過ごしていては友達を自分の家に連れてきた時、どう説明したらいいか困る。何より周囲の人間が黙ってなどいない。只でさえ悟飯は今の状態でも地域の人達からは噂の元であり、現に一度平日の昼間に出歩いた彼は補導されかかった。その時は鮫島の機転のお陰で事なきを得たのだが……。

 

 

「もう~だから昨日早く寝るように言ったのに……。」

 

「ごめん、ちょっと調べものしてたから。」

 

 

そういう理由も重なり悟飯を自分の通う学校の編入試験を受けさせる事に決めた。といってもアリサの通う学校はレベルが高い。編入試験に見事合格する事ができるかどうか、彼女にとっては不安の種であったのだが意外にも悟飯はあっさりと合格してしまう。

それは悟飯は母親からの教育の一環という事もあって幼い頃から通信教育で勉強を繰り返していた故に出せた結果でもある。

 

 

「じゃあ、鮫島。後は頼んだわよ。」

 

「鮫島さん、いってきます!」

 

 

門の外に位置する場所にてアリサと悟飯が振り返ると執事服を着用した老人が待機していた。二人からの挨拶に執事服の老人“鮫島”はゆっくりと微笑を向けて軽く頭を下げてお辞儀をする。

 

「いってらっしゃいませ。アリサお嬢様、悟飯坊ちゃま。」

 

「「「ワンワンワン!」」」

 

 

鮫島と犬達に見送られながら二人は近くのバス亭まで歩き出す、バス亭が見えてくるとちょうどバスが到着した所で、二人はすぐにバスへ乗り込み一番後ろの座席に座った。

これから悟飯はこの世界で初めての学校に通うことになる。学校についての情報は元の世界である程度知っていたが、直接アリサから友達の話、先生の話、クラスの話、勉強の話等を聞くと学校に行くのが楽しみで期待に胸を膨らませていた。

 

 

「悟飯、家でも言ったけど、あんたの力は強すぎるんだから気を付けなさいよね。特に体育。」

 

「うん、わかってるよ。大騒ぎになっちゃうからね。」

 

「それならよし!」

 

 

念入りにアリサは言う。体育等で悟飯が超人的な能力を発揮してしまえば間違いなく騒ぎとなり学校にいられなくなるかもしれないのだから。

 

暫く時間が経つとバスは停止。そして乗り込んできたのは頭に白いカチューシャを着けた紫色の髪の少女であり、悟飯やアリサと同じ制服を纏っていた。

悟飯はバスに乗った少女が一直線に後部座席へと向かっている事に気がつく、それと同時に少女は笑顔を向けてくる。

 

 

「おはようアリサちゃん。」

 

「おはようすずか!」

 

「お、おはようございます。」

 

 

大人しそうな、物静かな雰囲気を放つ少女が挨拶をするとアリサも同じように挨拶を返し、悟飯も慌てて挨拶をする。このやり取りで悟飯はすぐにわかった、二人は仲のいい友達同士なのだと。

 

 

「アリサちゃん、そっちの子が前に言ってた孫くんでいいのかな…?」

 

「ええ、そうよ。悟飯、この子があたしの友達の月村すずか。」

 

「はじめまして、孫悟飯です。」

 

 

悟飯は礼儀正しく自己紹介をする。それに対してすずかも「はじめまして」と笑顔で名乗る。互いに自己紹介をする二人はアリサや周りから見れば微笑ましい光景でもあった。

バスがまた動き出す前にすずかはアリサの隣に座る。こうして三人並んで座ってみると仲の良い同じ学校の生徒といった雰囲気が出ていた。

 

そのまま暫く会話を続けていると互いに下の名前で呼ぶ関係にまで発展し、興味本位ですずかは悟飯に幾つか質問をするのだが……。

 

 

「悟飯くんは好きな食べ物とかある?」

 

「好きな食べ物? 中華まんとお母さんが作る料理かな。」

 

「そうなんだ。悟飯くんのお母さん料理が上手なんだね。」

 

「うん、特にお母さんが作るパオズザウルスの尻尾焼きは凄く美味しいよ。」

 

「「………え?」」

 

 

一瞬、その場が凍りつく。悟飯がパオズ山出身だと聞いていたアリサも恐竜が住んでいる事までは聞いておらず彼の口から出た言葉に呆然とし、すずかも戸惑いの表情を顔に出していた。

 

 

「え、えっと…パオズザウルスの尻尾焼き……?」

 

「うん、パオズ山に住む恐竜のしっ――むぐむぐ!?」

 

「ちょっと悟飯、こっちの世界の常識考えなさいよっ。」

 

 

咄嗟にアリサは悟飯の口を手で塞ぎ小声で悟飯に注意する、よく見てみるとすずかが反応に困った様子で二人に目を配らせていた。

 

 

「二人とも、何話してるの?」

 

「あ、ううん。なんでもないわよ。こっちの話!」

 

「ははは…それよりすずかちゃんの好きな食べ物はなに?」

 

「え? わたしの好きな食べ物は……。」

 

 

蚊帳の外となっていたすずかはアリサの返答に思わず首を傾げるも、悟飯からの質問に答える形となりなんとかこの場をやり過した。

その後も悟飯はすずかから何度か答え難い質問を投げ掛けられたが、アリサが上手くフォローして会話を弾ませていく。特に本の話題では読書が趣味なもの同士、意気投合しておりこれなら上手く打ち解け合えそうだとアリサは安心する。

 

 

そうしている間にバスは再び停止。次に入ってきたのは茶髪をリボンで二つに結った蒼い瞳の少女、アリサとすずかが言うには“高町なのは”という名前らしい。

アリサのような気の強さ、すずかのような大人しさ、まるで表と裏のような性格をした人物とは裏腹に、なのはという少女はどちらもその印象を受けなかった。

 

 

「おはよう!アリサちゃん、すずかちゃん。」

 

「おはようなのは!」

 

「おはようなのはちゃん。」 

 

 

なのはは手を振るアリサとすずかいる座席まで近づくとアリサの隣に座っている悟飯に目を向けて。

 

 

「あと…えっと、もしかして孫くん?」

 

「はい、そうですけど…。」

 

「そういえば、なのはにも悟飯のこと話してたわね。」

 

「うんっ。あ、いきなりで驚いたならごめんね。わたしの名前は高町なのは。なのはって呼んで?」

 

「大丈夫だよ、よろしくなのはちゃん。ボクも悟飯でいいよ。」

 

 

すぐに少年の感情を察知するとなのはは悟飯に人懐っこい笑みを浮かべながら挨拶し、悟もなのはに返事を返す。すずかの一件で理解はしていたものの、アリサが自分の事を学校で話しているようだ。

こうして四人の子供は主に悟飯についての話題で盛り上がりながら彼女達の通う学校――私立聖祥大学付属小学校に到着し、悟飯は三人の少女についていくようにバスから降りる。

 

悟飯達は校内へ入ると職員室を目指す。悟飯は未だに学校側から知らされていないが故に自分が何処のクラスなのかわからず校舎内は未知の領域なのだ。だからこそ友人であるアリサ達が職員室に案内する事となった。

 

 

「はい、此処が職員室よ。あとでもっと詳しく学校内を案内してあげるわ。」

 

「わたし達は先に教室に行ってるね。あまり時間がないから…。」

 

「クラス、一緒になれたらいいね。」

 

「ありがとう。もし、同じクラスになった時はよろしく。」

 

 

彼女達の言葉に嬉しそうに悟飯は返答すると三人の少女はそれぞれ背を向けて職員室を後にするが、途中アリサが足を止めて振り返り悟飯の様子を確認する。その時には悟飯はもう職員室の中へと入っていた。それを確認するとすずかとなのはと共に自分達の教室へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「今日はみなさんに新しいお友達を紹介します。」

 

 

そして朝のホームルームの時間、アリサ達の願いが叶った瞬間だった。

担任教師は白いチョークを手に持ち黒板に名前を書いていく。暫くすると扉が開かれる音と共に黒髪の少年が入ってくる、そして少し緊張気味に担任の隣に並ぶと全員の視線を浴びられながらゆっくりと顔を上げ——―

 

 

「は、はじめまして。孫です…孫悟飯。よろしくお願いします。」

 

 

ペコッと軽く頭を下げると同時に自分の名前を名乗る悟飯。すぐにアリサが拍手を送るとなのはとすずかも同じ動作を起こし、他の生徒達も続く形で歓迎の拍手が教室内を響かせるのであった。




(オマケ)


なのは「悟飯くん、緊張してるのかな?」

すずか「みんなから注目を浴びちゃってるからね。わたしだって緊張するよ。」

アリサ「こらーっ!もっとシャキっとしなさい!!」

悟飯(は、恥ずかしい……。)
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