真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

5 / 26
第4話 悟飯の学校生活

悟飯の席はアリサの積極的な指名で彼女の隣となった。たまたまアリサの隣は空いていたのでちょうどいいと担任も思ったのだろう。悟飯が指名された席に座ると余った時間は担任が生徒全体への連絡を説明、そしてホームルームが終わり、早くも休憩時間となっていた。

 

 

「悟飯くん、同じクラスになれてよかったね。」

 

「クラスのみんな優しいからすぐに馴染めると思うよ。」

 

「とりあえず、昼休みになったら校舎内を案内するわ。悟飯もそれでいい?」

 

「うん、ボクは大丈夫だよ。」

 

 

休憩時間になるとなのはとすずかはアリサは悟飯の席付近に移動して四人で固まるように話をしていた。そして一通り話が纏まると三人の少女はお手洗いへと教室を出ていく。

 

それから数分後に戻ってくると――予想外な光景が広がっていた。

 

 

「前の学校はどんな所だったの?」

 

「孫くんの誕生日はいつ?」

 

「前の学校じゃどんな友達がいたんだ?」

 

「どこに住んでるの?」

 

「バニングスさん達とは知り合い?」

 

「え、あ…その……。」

 

 

クラスメート達が悟飯を取り囲んでいたのだ。確かに転入生である悟飯に興味を持つのはわかるが、まさかこれ程までの大人数で囲まれているとは思わず、ほとんど悟飯の姿が見えなかった。これにはアリサ達も驚いてしまう。

よく聞いていると悟飯には答えづらいような質問まで飛び交ってしまっている。住所や前の学校などがそれに該当し、彼の事情を知るアリサにとってはまずいと眉を顰めていた。

 

 

「にゃはは…悟飯くん人気者だね。」

 

「でも、困っているようにも見えるよ。」

 

「はぁ…ったくもう、しょーがないんだから……。」

 

 

ついに痺れを切らしたアリサが大勢の生徒達に近づくように前へ出る。突然、手を叩くような音が教室内に響くと一気に生徒全員がアリサに注目し。

 

 

「はいはーい、ちゅーもーく! そんなに一気に詰め寄ったら悟飯が困るじゃないの。」

 

 

これはアリサなりの悟飯のフォローでもあった。ここまで大勢の生徒に詰め寄られては悟飯は対応しきれない。しかも彼にとっては答えづらい質問まで出ている。

とにかくなんとか静止しようと大声を上げて生徒達に伝えてみるが、質問を止める生徒もいればまだ質問を続ける生徒がいてとバラバラの反応を見せ付けられる。

 

 

「ってちょっと!あたしの話を聞いてるわけ!質問は一人につき一回まで!」

 

 

まだ質問責めをやめようとしないクラスメート達にアリサは先程のような怒りが混ざった大声を出す、この行動には悟飯も苦笑いを浮かべてしまう。

だがアリサのリーダーシップ的な行動のおかげで大勢の生徒による質問責めは止んだ。なのはとすずかは「さすがアリサちゃん」と内心で共通に思っていた。

 

しかしその生徒達を一番に静止効果が出たのはアリサの大声ではなくチャイムの音、それは授業が始まる知らせであり結局悟飯は質問に答える事なく休憩時間が終わってしまった。

 

 

「さっきはありがとうアリサちゃん。」

 

「べ、べつに…あんたとあたしが一緒に住んでる事とかバレたら変な噂流されそうじゃない。それだけよ!」

 

 

生徒達が自分の席へ着席していく中、悟飯はアリサに小さな声で伝える。だがアリサは冷たい言葉を言い放つと同時に悟飯からの目線を逸らして席に着こうとする。助ける行動とは裏腹に突き放すような言葉を投げかけられた当の本人は何がなんだか理解が出来ず、ただこくんと首を傾げていた。

やがて全員が席に座った頃には教師が教室に入ってくる。一時間目であるその授業は悟飯にとって生涯始めての授業なのだ。

 

 

 

「はいっ!答えは3です。」

 

「正解!難しい問題なのによくできましたね。」

 

 

そして授業を通してクラス全員が悟飯の事でわかった事が一つあった。それは彼がとても優秀であるという事、つまり頭が良いのだ。難しい問題であると言われる難問を彼はあっさりと簡単に答える。それは一つの授業に絞られた物ではなく幾つもの授業で数々の問題でそれは繰り返されていく。

何時しか悟飯はクラス全員から“成績優秀の転入生”という好印象にも近いイメージを記憶として強く残していくのだった。

 

 

 

 

「悟飯くんってすごいよね。あんなに勉強ができるなんて…。」

 

「あたしだってビックリよ。編入試験だって満点合格だったし、これは負けてられないわ!」

 

「アリサちゃん嬉しそうだね。」

 

 

体育の時間に備えるため、着替え中にすずかが口にした言葉は授業中の悟飯について。

アリサもこんな身近に強力なライバルがいた事に驚きが隠せず対抗心を燃やすが、なのはにはアリサが嬉しそうに見えていた。

 

 

「ところで次の体育ってなにするのかなぁ…。」

 

「多分、ドッジボールだと思うよ。そうだったよね、アリサちゃん…?」

 

「まあ、多分そうなんじゃないの。前に先生が言ってたと思うし。」

 

 

会話をしている間にも時間は流れていき、着替えを終えた生徒達は普段の制服と違った体操服の姿で運動場へと集まっていく。その中にはもちろん、体操服姿の悟飯もいる。

アリサ達が悟飯と合流すると同時にチャイムの音が響いてくる。悟飯にとって学校のチャイムの音はとても新鮮であったがもうこの頃には慣れていたので特に驚きはしない。

体育の時間になると一定の場所に全員が集合するも、教師が来るまでの間なのはとすずかとアリサは悟飯を交えて軽い雑談をしていた。

 

 

「そういえば悟飯、ドッジボールは知ってるの?」

 

「うん、やったことないけどルールだけなら。」

 

「ふーん…なら別にいいけど、あの時みたいに馬鹿力だけは出さないように!」

 

 

バスの中でも言ったがアリサは更に念入りに釘を刺しておく。暫くすると教師がやってきて四時間目が始まり。

 

 

「じゃあチームごとに分かれてー。先攻はジャンケンで決めましょう。」

 

 

遂にドッジボールが始まる。教師はクラス全員に呼びかけをすると予め指定されたチームへと場所を移動していく、白い線で描かれた範囲内へと。

範囲の中心部分となる線が入る事で二つの陣地が描かれている。その一つの陣地にはアリサと悟飯と他生徒、そして敵チームにはすずかと他生徒が配置されている。

二つの陣地に入っていないなのはは陣地の外…つまり外野であり、なのはは悟飯とアリサと同じチームで味方的な位置にあたる。

 

 

『ピーーーーーッ!!』

 

 

準備が整うと教師が首に下げている紐を通した笛で音を鳴らす、それが試合開始の合図となってボールを使っての攻防合戦を繰り広げられる。投げられたボールを避ける者もいれば受け止める者がいる、そうして試合は時間が経つと同時に陣地にいる生徒の数は互いに減り続けてきた。

 

 

(悟飯くん、ボール避けるの上手…。)

 

 

陣地の生徒が少ないせいで今まで狙われなかった生徒も標的にされる可能性が高くなりつつある。そんな中で悟飯は自分に投げられたボールを素早い動作で次々と避けていく、あまりの速さになのはは思わずぼんやりとそれを眺めていた。当てる側も必死でボールを投げているが悟飯に当たる事はない。

途中で他の生徒にボールが衝突する事もあれば敵側の生徒がボールに当たる事もある、だが時間が経つとボールの標的は悟飯からアリサへと変わっていた。

 

 

「きゃっ!?」

 

「アリサちゃん!」

 

 

投げたのは月村すずか。彼女は運動神経が良く、その高い能力のおかげで最後まで生き残っていた。

一方、アリサは悟飯が力を出さないか心配でボールには目がいっていなく、ボールはよそ見をしていたアリサの顔面を直撃する寸前にまで迫りかかり……。

 

 

「———危ないっ!!」

 

「えっ!? あの位置から、取った…?」

 

 

悟飯の起こした刹那の動作はなのはにとって驚きを隠せなかった。だがその予想外に対する動揺はなのはだけではなく他生徒も同じ心情であろう。

アリサと悟飯は離れていた、距離は確かにあったのだ。それは常人の体力、少なからず小学生の体力を駆使しても決して届かない場所にいるのは誰でもわかる明白な事実。

その避けられない事実をわかってて踏んだすずかでもある。しかし当たる箇所が顔面になってしまった事には彼女にとっても計算外だが、今はそれ以上の出来事が起きている。

 

 

「怪我はない?アリサちゃん。」

 

「え…? う、うん…大丈夫だけど……。」

 

 

それは助けてもらったアリサ自身も感じている。そして改めて彼女の中で再認識する、目の前の少年は半端なく身体能力が強すぎる事に。遠く離れた場所から一瞬で移動してボールを受け止めた悟飯は全員の視線を浴びてしまう結果となり、直ぐに本人も気づく。彼等の目線に気まずそうにしながら。

 

 

(しまった!つい反射的にカラダが動いて……と、とりあえずボールを投げ返さなきゃ。今度は目立たないようにそーっと、そーっと……。)

 

 

「そーっと」彼からすれば本当に僅かであり、ほんの少しの腕力を込めてボールを相手陣地に投げる——―が、先程のありえない自体に呆然としていた生徒の一人に当たってしまう。更にボールが跳ね返って別の生徒に当たり、また跳ね返って別の生徒……と連続で数を増やしていく。合計で五人、その中にはすずもは含められていた。

彼女も他の生徒と同じように動揺を表に出していたのだ、油断が生まれ結果的に当たってしまっていた。ボールはそのまま外野の真横へと向かっていく。

 

その真横から位置が近いのはなのはだった、彼女はすぐにボールを取ろうと手を伸ばして受け止めようとするが……。

 

 

「———っ!! きゃあっ!!」

 

 

ボールを取る事に夢中で足場が崩れていた土に足のバランスを崩してそのまま地面に向かって転んでしまう。

 

 

「「「———なのは (ちゃん)!!!」」」

 

 

三人の声が揃った瞬間、なのはは表情を歪めながらゆっくりと立ち上がるが足の肌を擦り剥いたようで血が出ている状態だった。

痛みを我慢するなのはだが全員からの心配そうな視線が向けられている事に気がつくと無理に作り笑いを浮かべて近づき。

 

 

「っ、う…。…にゃはは、大丈夫だよ。ちょっと擦りむいただけだから。」

 

「大丈夫なわけないでしょ!あんなにハデに転んだのに……。」

 

「大変…!血が出てる……早く保健室に連れて行かないと。」

 

「先生!高町さんが……。」

 

「先生ならいないよ。さっき呼び出しがあったから少し離れるって。」

 

 

なのはの怪我について女子生徒は担任に伝えようとしたが紐で通した笛を首に下げた男子生徒の話によると少し前に職員室に呼ばれて今はいないらしい、代わりにその男子生徒が審判役をしていたのである。

 

 

「本当にだいじょう…きゃ!」

 

「おっと…。」

 

 

尚も大丈夫だと言い張るなのはだが時間が経つに連れてじわじわと痛みに襲われバランスを崩し倒れ掛かる―――が悟飯はなのはが倒れる前に支えるように受け止めて。

 

 

「悟飯くん?」

 

「アリサちゃん、すずかちゃん。ボクがなのはちゃんを保健室に連れて行くから先生が戻ってきたらその事を伝えてくれないかな。」

 

「え、ええ…わかったわ。」

 

「保健室は昇降口に入って右に曲がった突き当りの部屋だよ?」

 

 

すずかから保健室の場所を聞くと悟飯は頷きなのはの前まで移動する、その間も怪我の痛みと全身を叩き付けた痛みがなのはに襲いかかっていた。

 

 

「なのはちゃん、ボクの背中に掴まって。」

 

「…うん、ありがとう悟飯くん…。」

 

 

そういって悟飯は背を向ける、痛みに耐えながらなのはは少年の肩に掴まって背負われる形になるとすぐに彼は走行するのだが―――

 

 

「「「「「えええええっ!?!?」」」」」

 

 

土煙が舞い上がりクラスメート達は驚愕の声を上げる、その速さは小学生の走行ではなく車以上の速度で運動場を駆け抜けていくのだ。生徒達はその様子を見てもはや理解に苦しみながらも見送る事しかできなかった。この場に教師がいなかったのがせめてもの救いだろう。

 

 

「にゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜っ!?!?」

 

 

ただ一人、思わぬ速度に悲鳴にも近い叫び声を上げるなのはは一瞬だけ響く。室内に入る事ですぐに止んだが、アリサだけはこの後の展開を予想して頭を抱えているのだった。




(オマケ)

女子生徒「もう見えなくなっちゃった…。」

男子生徒「孫のやつスッゲー!」

すずか「悟飯くんって本当にすごいね……。」

アリサ「(悟飯のバカーーーーーッ!!!)」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。