真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

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久しぶりの更新です。今回は一部以前書いたものと内容が変わっています。


第6話 もう一人の金髪の少女

「おい!なんか言えよ、黙ってちゃわかんねぇだろ!!」

 

(ん?今の声は…?)

 

 

学校からの帰り道、歩道を海沿いに歩いていた悟飯は急に立ち止まった。目に見えるほど近くの広大な海の方から潮風がこちらへやってくる。それとほぼ同時に、風の音と共に聞こえてくる男の声。

あまりにも挑発的で誰かを威嚇しているような怒鳴り声だ。人によっては聞いているだけで不快な気分にさせられる。聞こえてきた方面へと目を向けると其処は下方面で、此処と同じように道路が設置されており、男達の姿が視界に入る。

 

 

「………。」

 

「さっきからシカトしてんじゃねぇぞ!とっとと車代弁償しやがれっ!!」

 

 

その声の矛先にいるのは、悟飯と同年代かと思われる少女。長い金色の髪をツインテールにさせ、黒い服を着たその少女はただ相手の目を見つめるだけ。

更によく観察してみれば男達の近くには車があった。だが不自然な事に車は目の前のガードレールを突き破ってしまっている。そのまま前進すれば海の方面へ落下してしまう距離だ。

 

 

「このガキッ!痛い目をみねぇとわかんねぇようだな。」

 

「……っ。」

 

 

遂に苛立ちを抑えきれなくなった巨漢の男は少女の肩を掴む。それは誰もが暴力行為を予想できる行動だった。

 

 

「———やめてください!!」

 

 

だが抑えきれなくなったのは悟飯も同じであり、その動機は男達とは異なるものの黙って見ていることができず道路から下に位置する道路へと一気に飛び降りる。

 

 

「な、なんだっ!?」

 

 

そのまま地面に着地し、悟飯は巨漢の男に目を真っ直ぐ向ける。向けられている本人は突然にの乱入者に驚きを隠せずにいた。

 

 

「え…?」

 

 

この展開には金色の髪を伸ばした少女も表情を変化させていた、先程のような無表情ではなく、ぼんやりと少年を見つめている。

 

 

(こいつ、何処から現れたんだ…?)

 

 

身長差のある少年を見下ろしながら男は思う。男からすれば気がついたらその場に少年がいたのだ、しかしそれよりも邪魔をされた事が気に食わない巨漢の男は悟飯を激しく睨み付け口を開こうとするが。

 

 

「坊主、これはお前みたいな子供が首を突っ込むものじゃない。さっさとお家に帰りな。」

 

「兄貴!」

 

 

今まで会話に挟まず、ただ傍観していたもう一人の男が口を出してくる。その男は何処か巨漢の男とは違い、やけに冷静な態度だった。兄貴と呼ばれたことから察するに上下関係で言えばこの男の方が立場が上なのだろう。

そんな事をしている間にも少女の肩を掴んでいる男の手にはどんどん力が込められていく、確実に握力が強くなっているのを少女は実感しながら男を睨むが男が肩から手を離す事はない。肩から痛みが走り、徐々に表情が歪みに満ちていく。

 

 

「その子を解放してください!痛がってるじゃないですか。」

 

「なにぃ〜?おい、兄貴の言う事が聞けねぇのか!」

 

 

すぐに悟飯は声を上げて少女を離すよう呼びかけるが、男は怒りにも満ちた声を荒げるだけで聞く耳を持たず。金髪の少女は未だに痛みを耐えて男を睨みつけているも抵抗する様子はない。

 

 

「まぁ、待て。坊主…お前は来たばかりで知らないが、こうなったのはお嬢ちゃんが原因なんだ。車を走行している途中にお嬢ちゃんが反対方面から歩いてきて、ぶつかりそうになり咄嗟に避けたところ衝突事故を起こしてしまったんだ。」

 

 

ガードレールを壊してしまっている車をもう一度確認する。確かに衝突した事自体は事実のように見える。だが本当にこの少女が原因なのだろうか?少女からも車が見えてる筈で、車が見えれば予め避けるだろう。ぼーっと歩いていたらそんな自体になった可能性も否めないが……。

 

 

「そうなの?」

 

「…………。」

 

 

悟飯は半信半疑で何も言い返そうともしない金髪の少女へと問いかけるが、やはり何も返ってはこなかった。せめて首を振る、頷くなどの動作を悟飯は期待したがそれさえも叶わないらしい。

ただ何かこの少女が行動を起こした事といえば、俯いたという事ぐらい。前髪が表情を隠している為、下から顔を覗き込まない限り顔を把握するのは困難だった。

 

 

「ま、坊主が代わりに払ってくれるならお嬢ちゃんを解放してやってもいいがな。」

 

「本当ですか?」

 

「兄貴ぃ~冗談が過ぎますぜ。こんなガキが大金を持ってるわけないじゃないですか。」

 

「大金っていくらくらい払えば……。」

 

 

悟飯は鞄から財布を取り出すと中身を確認する、後で必要な物を買うようにとデビットからお小遣いを貰っていたのだ。財布の中身は1万円札が10枚…全部で10万入っていた。

 

 

「こいつは外国で買った限定モンなんでな。最低でも1000万は払ってもらわねぇと。」

 

「いっせんまん!?」

 

 

要求してきた金額は最低でも“一千万”、悟飯の所持金では到底払えない金額である。

男はそれを分かっていて告げたのだ。車自体は中古車で日本製のナンバープレートが貼ってあるのだが、その知識を持っていない悟飯は黙り込み男は視線を少女に戻す。

 

 

「もちろんお嬢ちゃんが払えない事もわかってる、そこで提案だ。弁償する金額に達するまでお嬢ちゃんには働いてもらう、働く場所はこっちで決めとくから安心しな。なーに仕事自体は簡単だ。ただ店に来る客を楽しませればいい、それだけで弁償代がチャラになるしお金も貰えるんだ。悪くない話だろ?」

 

「おおっ!さすが兄貴!つまりそのガキを売り込ませてかせ「お前は黙ってろ!」すんません。」

 

 

男達は勝手に話を進めていく。確かに働くだけでお金を返せるならそれに越した事はないだろう、彼等の話を聞く限り仕事は簡単な物でただ店に来たお客を楽しませればいいだけなのだから。

 

 

「たくさん稼げばお嬢ちゃんの家族も喜んでくれるさ。」

 

「家族……母さん……。」

 

 

家族という言葉を耳にした少女は顔を上げる、その様子を見逃さなかった男はニヤリと口元を緩ませ説得を始める、主に“母親”という単語を使って。

 

 

「ああ、きっとお母さんが褒めてくれるよ。いい子だってな。」

 

「母さんが私を褒めて……。」

 

 

少女の瞳は揺れ動いていた。幾度か「母さんが喜ぶ」と呟いた後、こくんと頷き男が少女を引き寄せようとする間際―――

 

 

「ちょっと待ってください!それってどんなお仕事なんですか?」

 

 

ずっと黙り込んでいた悟飯が口を開く。男達の話を聞いていたがどうも腑に落ちない点が有り、その疑問に応じてもらう為に問いかけたのだ。

 

 

「なにいってんだ!客を楽しませる簡単な仕事だって兄貴が言っただろ。」

 

「だから、その内容を具体的に教えてください。」

 

 

悟飯が疑問を感じていたもの―――それは彼等が仕事の内容を伝えなかった事だ。

男達は“簡単な仕事”や“客を楽しませるだけ”としか言ってなく、具体的な内容の説明をしなかった。なにより巨漢の男が言いかけてた「ガキを売り込ませて」という単語が少年の脳裏に焼き付いていたのである。

 

数秒の沈黙が場を支配する中、落ち着いた雰囲気を持つ男は懐から煙草を取り出し。

 

 

「ちっ!感付きやがったか。これだから頭のいいガキは嫌いだぜ。」

 

「兄貴、このガキも連れて行きましょうぜ。今なら誰も見てないですし。」

 

「そうだな。坊主を放置するのは危険だ、二人とも連れて行くぞ。」

 

「へへっ、馬鹿な親達はガキ共の帰りを待っているでしょうがね。一生帰ってこれねぇのに。」

 

 

悪どい表情を見せる男達に悟飯は警戒を高める、やはり何か裏があったようだ。

巨漢の男は空いた手で少年の腕に手を伸ばし、悟飯は対処する行動に移ろうとするが…。

 

 

「――母さんを馬鹿にしないで!!」

 

「うおっ!?」

 

 

突然、横から怒りが含まれた叫び声が響く。悟飯は驚いて金髪の少女を見てみれば彼女の真っ赤な瞳が視認できる。

その瞳の先には巨漢の男がいた、少女は真っ直ぐに睨みつけている。先程の大人しく物静かな彼女とは違っていたのだ。今は強気ではっきりとした怒りに満ち溢れ、人によっては急な態度の豹変に驚いて恐怖でさえ覚える。それほど彼女の反応はあまりにも過剰過ぎる。

 

掴まれていた腕を振り解くように弾く、少女が大人しかった故に油断していた男はすぐに弾かれてしまうが――

 

 

「このっ、クソガキッ!!」

 

「きゃ……。」

 

「あ……!」

 

 

彼女の態度に激怒し勢いよく少女を突き飛ばす。その衝動はあまりにも力が強すぎたのか、足元のバランスを崩し体をよろめかせてポケットから金色の三角形型の宝石が零れ落ちる。

加えて当の本人である彼女自身はたまたま突き飛ばした方向が悪かったせいで突き破られていたガードレールの方角、つまり海の方角へと落下していく。

 

 

「げええっ!?」

 

「おい、なにやってるんだ!」

 

 

男達は驚愕する、突き飛ばされる方角が海になるとは予想していなかったのだ。予想外の出来事に戸惑いを隠せない様子で重力に引っ張られていく少女を見て顔を青ざめていた。

 

 

「――くっ…!」

 

「なにぃ!?」

 

「あのガキ、死ぬつもりか!」

 

 

彼等は更に目を丸くする。一陣の風が横切ったかと思えば少年が海の方角に飛び込んだのだ――落下した少女を追いかけて。

 

 

「ど、どどどどうしましょう兄貴〜〜!」

 

「慌てるな!幸い此処には俺達しかいない…今のうちにズラかるぞ。」

 

 

他の誰かに自分達の姿が目撃される前に車を置き去りにした状態でその場から走りながら逃げ出していく。彼等は犯罪に該当する人殺しという行為をやってしまったのだ。

そのせいで巨漢の男は慌てていた。確かに怒りで半分、我を失った状態ではあったが何も殺意があったわけでもない。兄貴と称される男の声でやっと落ち着きを取り戻しながら去っていく。

 

 

 

一方、落下していく悟飯は自分より先に落ちた少女を追っていた。

 

 

(まずい!このままじゃ間に合わない……。)

 

 

だが一向にその差は縮まらない、悟飯は焦りと不安を抱くと二つの拳に力を入れて。

 

 

「はあっ!」

 

 

空中にいる間の刹那、体内に秘められた気を解放し“舞空術”という空中を自在に浮遊する技を使用する。それにより悟飯は宙に浮いた状態となり、白い炎のようなオーラを身に纏う。そして体制を立て直すと同時に急降下する、少女が海へ叩きつけられる前に――

 

 

それは誰でもわかる死への前触れだった。この距離から海へ叩きつけられれば全身の痛みは半端な物ではない。コンクリートに叩きつけられるのと同じ激痛が襲い掛かるのだ。

海の中へ入ればもう生きて帰れない。死はもう直前だ。命の綱となるような物は周りには存在していない、例えあってもそれを掴む事ができるかどうかも定かではない。

 

 

(……母さん、アルフ、ごめんなさい…。)

 

 

最後に少女が思ったことは謝罪だった。もう彼女は悟っている、この状況ではどうしようもない事を。金色の髪が風に揺れながら静かにその時を待つ……筈だった。

 

 

「ふうっ、間に合ったぁ。」

 

「え……?」

 

 

小さく漏らす声。目を開けてみればようやく気がつく、自分と歳が同じぐらいの少年が自身を抱えている事に。

このまま海へ叩きつけられると直感的な判断で理解していた故に今の状況が理解できず、ただぼんやりと悟飯を見つめていると悟飯は穏やかに微笑みかけ。

 

 

「危ないからしっかり捕まっててね?」

 

「う、うん……。」

 

 

少女は頷いて悟飯の肩に手を回す。そのまま悟飯は少女を抱えた状態で浮上していくと道路まで戻ってくる。其処にはもう男達の姿はなかった。

 

悟飯が地面に足を着けて少女を道路へと下ろすと少女はゆっくりと顔を上げて。

 

 

「……ありがとう。後、さっきのは…?」

 

 

改めて悟飯と目が合い、そして呆然と彼を見つめながら問いかける。舞空術で飛んだ事に対する説明を求めているのだ。

 

 

「あ、あれはその……。」

 

 

だがその求められる説明が悟飯にとって説明しづらい物である。見つめてくる少女の視線に向き合う事さえも困惑気味だった。

少女といえば、悟飯の困り果てた様子に首をかしげているだけで上手く悟飯の状況が飲み込めていないようにも見える。

 

 

「魔法じゃないの?」

 

「…へ?魔法?」

 

 

唐突に少女の口から出た“魔法”という言葉に悟飯は目を点にするが、すぐに少女は「なんでもない」と告げる。そんな会話のやり取りをしていると、反対方面から複数の足音が悟飯と少女の耳に入ってくる。何事かと思い二人はそちらへ目を向けると…。

 

 

「おっ!あったあった。ふぅ〜危なく財布を置いていくとこ………。」

 

 

少女を恐喝していた巨漢の男が視界に映ったのだ。発言から見て恐らく財布を忘れて取りに戻ってきていた所なのだろう。

 

 

「おい、財布はみつかっ―――な、なんでお前達が…っ!?」

 

 

続いてもう一人の男が戻ってくるが、男達は少年と少女の姿を見るなり体を一瞬フリーズさせてしまう。まるで化け物でも見るかのような目で。

 

 

「兄貴ぃ~俺は夢でも見てるんですかね……。」

 

「くっ、ガキ共が生きている理由は知らねぇが、俺達の事を警察に通報される前に逃げるぞ!」

 

「へいっ!」

 

(こんな事をしておいて謝りもしないなんて……。)

 

 

男達は二人に背を向けると慌てて道路を逃走していく。警察に通報される可能性を恐れての疾走であり疚しい事である。

だがそんな態度を取ってしまう男達に対して、悟飯の彼等への印象は最悪最低な物となり、風に流れて聞こえてくる会話が男達への悪印象を余計に増幅させる。

 

 

「くそっ!あのガキ共なんで生きてるんだ!!」

 

「知るかっ!そもそもお前が酒飲んで運転なんかしなきゃこんな事にならなかったんだよ!」

 

「でも、兄貴だって近くにいた金髪のガキを利用しようって言ったじゃないですか。」

 

「ああ……本当なら計画通りにいってた。あのガキさえいなければ。」

 

 

今回の件は全て男達に原因があり、飲酒運転を行っていた所為で交通事故を引き起こした。

だが、それを偶然歩いていた金髪の少女に目を付けた男は彼女に罪を擦り付けようと考えたのだ。それだけで終わらず、少女を利用して金儲けまで企んでいたのである。

 

途中までは全て男の筋下記通りだった―――悟飯に邪魔されるまでは。

 

 

(全部、嘘だったんだ……。)

 

 

金色の髪を風に揺らす少女はただ唖然とした様子でその場に留まっている。男達の言葉を真に受けた彼女は自分の所為だと思っていた故に抵抗を行わなかった。

母親が喜ぶならと働く決意までしていた。だが実際は男達にまんまと騙されたのだと理解すると小さく唇を噛みしめる、既に男達の姿は見えずどうしようもないと諦めかけていた時――

 

 

「逃がさないっ!」

 

 

隣から聞こえる凛とした声。その声は悟飯が発したもので彼の目付きが鋭くなっており、すぐ近くのガードレールを壊している車に目を向けていた。悟飯は車まで近づくと片手でその車体を持ち上げて浮遊していき……。

 

 

「だああっ!!」

 

 

スライドさせるように男達が駆け出した方面へと投げつける。

 

 

(すごい……。)

 

 

少女は悟飯の馬鹿力に思わず目を丸くする。そして彼女は次々と引き起こす少年の超常現象を思い出すと疑問が浮かび上がる、この少年は一体何者なのだと。

 

一方、車は現実離れした凄まじい速度を持って空中を飛行し男達の真上に被さって真っ黒な巨大な影が出来上がる。その影に疑問を抱いた巨漢の男が見上げると……。

 

 

「あ、あああ兄貴……。」

 

「ん?どうし―――」

 

 

もう一人の男も頭上に顔を向ければその物体に思考を忘れ頭が真っ白になってしまう。それは彼等が乗ってきた車であり、今まさにその車が男達を追い越し―――

 

 

「「ほんぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーっ!!!」」

 

 

衝撃破のように轟音が響き渡ると同時に車は前方の地面へと叩きつけられる形で落下する。

あまりにも目の前の恐ろしい現象に男達は青ざめた顔で絶叫と共に気絶してしまった。

だがそんな反応をしても無理はないだろう。空から車が降ってくるなど、普通なら絶対にありえない出来事なのだから――

 

 

衝撃は少女が今いる場所にまで響き渡り、あまりにも不可解な現象から暫く少年に目線を向けていると少年は振り返って少女の元へと戻ってくる。そして前方に手を広げる謎の動作に少女は首を傾げて少年の手をしぶしぶ見つめれば。

 

 

「はい。これってキミのでしょ?」

 

「――バルディッシュ……!」

 

 

目を見開き小さな声で少女は口にする。彼が手に持っていたのは美しい金色に輝く三角形型の宝石だった。太陽の光に照らされ、黄金に輝いているようにも見えた。

今時、このような形をした宝石は目にしない。悟飯は三角形型の宝石を物珍しく思いながらも少女のポケットから落とされる宝石を見逃していなかったのだ。

 

 

「うん…私のだよ、ありがとう……。」

 

 

少女の口から出てきたのはお礼の言葉だった。男達に絡まれていた時はほとんど無口無表情な態度を崩さなかったが、今は少しだけ喋るようになってきており、先程よりも会話のしやすさを悟飯は感じる。

少女は大切な宝物のように宝石を両手で包み込むと小さく「ごめんね」と呟いていた。

 

 

 

 

「後は警察に任せれば大丈夫かな?」

 

「……大丈夫だと思う。」

 

 

車のトランクの中にあったロープで気絶した男達を縛り上げると後は警察に任せる事にする。その際に証拠となる大量の酒も見つかった為、もはや言い逃れはできないであろう。

 

 

「私はそろそろ帰らなきゃいけないから……。」

 

「じゃあ、ボクが家まで送っていくよ。」

 

 

さっきの事件を通したからこそ悟飯はその言葉をかけた。またこの少女はあのような男達に絡まれる可能性があるかもしれない、既に太陽は沈みきり夜になろうとしている時間帯でますます危険だと判断したのだ。

 

 

「私の家は近いから、心配いらないよ。本当にありがとう……えっと。」

 

「ボクは孫悟飯だよ。キミは?」

 

「私はフェイト…フェイト・テスタロッサ。」

 

 

お互いに名前を名乗る、少女の声は小さかったが“フェイト・テスタロッサ”と聞きとれた。

それから少年と少女は大通りに繋がる道を並んで歩いて行く、自分の帰る方角が同じだから途中まで帰ろうと悟飯が提案したのだ。実際はフェイトの向かう方角とアリサの家は反対方向なのだが。

 

そのまま特に会話をする事もなく街灯に照らされた大通りまで出ると二人は足を止めて向き合い。

 

 

「じゃあ、気を付けて帰ってねフェイトちゃん。」

 

「うん……バイバイ、悟飯。」

 

 

表情には暗い影が残りながらも別れの挨拶を告げたフェイトは踵を返してその場から立ち去っていく、風に靡いて揺れる金色の髪を見つめながら悟飯は彼女を見送る。

 

 

(そういえば、フェイトちゃんからもなのはちゃんと同じ力を感じたな……っと、ボクも急いで帰らなきゃ!!)

 

 

フェイトからもなのはと同じ気とは違う不思議な力を感じ取っていた…が、それについて考える余裕もなく今は一刻も早く家に帰る事を優先しなければならない―――アリサが塾から戻ってくる前に。

周囲が自分の姿を見てない事を確認すると舞空術を使用し、暗闇に紛れながら急いで家に帰るのだった。




(オマケ)

悟飯「た、ただいま……。(間に合ったかな?)」

アリサ「ご~は~ん~~。」

悟飯「いいっ!? あ、アリサちゃん…帰ってたんだね……。」

アリサ「今日は早く終わったのよ。で、何処で寄り道してたのかしら?」

悟飯「え、えーっと…それは……ごめん!」

アリサ「あ、こら!待ちなさーいっ!」


(オマケ2)

フェイト「ただいま……。」

???「お帰りフェイト!今日は遅かったじゃないか。」

フェイト「色々あったから。」

???「いろいろ?」

フェイト「うん……色々。」
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