―――時間はほんの少し遡る。
「ユーノくん、おいで!」
外のテーブルにて四つの椅子にそれぞれ悟飯達が座りテーブルを囲う中、なのはは肩に乗ったユーノと呼ばれるフェレットをテーブルにおろす。
人に囲まれていながらもそのフェレットは取り乱す様子は無く、落ち着いた態度でその場の全員の目線を浴びていた。
(あれ? この動物からもなのはちゃんやフェイトちゃんと同じ力が感じられる……。)
目の前のフェレットは確かに猫や犬と変わりない、動物であり生き物だ。それは見た目からしてそう判断する事は容易なことである。
だが悟飯にはどうしても腑に落ちない気持ちになっていた。前になのはを治療した時、そして海沿いの道路で出会った金髪の少女から感じられた異質な力をこのフェレットからも感じ取れるのだ。
「これがなのはの飼ってるフェレット、ユーノって言うのよ、悟飯。あんたは見るのが初めてだったわね。」
「うん、リスなら見たことあるけど。」
悟飯はユーノから目を離すことは無く観察するように目線を向け続ける。此処まで悟飯が夢中になって動物を見ている事にアリサは少し違和感を感じてしまう。
ユーノといえば、真っ直ぐに見つめてくる悟飯と同じように視線を向けており、まるで睨めっこでもしているような風景になのはとすずかは苦笑いを浮かべて見守る。
「にゃはは、悟飯くん。ユーノくん少し困ってるよ…?」
「え? あ、ごめん。ちょっと珍しかったから…。」
よく見てみるとユーノは冷や汗を流していた、表面はとても落ち着いて凛々しい態度ではあるが焦りをこの生き物は感じているような、奇妙な雰囲気を発している。
悟飯はもう一度ユーノに目線を向けようとするが……。
((———―!!))
唐突に発せられる力。違和感を覚えさせてくれる不思議な力を悟飯となのはは同時に感じ取ってしまう。それは、この世では通常ありえない現象だった。
更にその力を調べ上げていけば、自分達の近くに力の正体は隠れ潜んでいる。ユーノは悟飯から目線を逸らしてなのはの方へと目を向け、彼女と目が合う。
「それにしてもこの猫、可愛いわねぇ。」
「うん…里親が決まった猫もいるから、ちょっと寂しいけど…。」
悟飯となのはが焦っている事にアリサとすずかは猫と戯れているせいで気がついていない。
悟飯となのははこの場をどう切り抜けるか考え出す。頭を精一杯に思考させていた、その間にも力の正体は動き続けている事を二人は確認しながらも。
「――ユーノくん!?」
突然、ユーノはテーブルから飛び降りて地面へと綺麗に着地する。そして休む暇も無く何処かへと走り去っていく、飼い主であるなのはも急な行動に驚きながら見届けてしまう。
悟飯はユーノの行動に疑問を抱くと同時に気を再び探り出す。気がついた事は、ユーノが走った先の方角には奇妙な力を感じた場所であるという事だった。
「あらら…ユーノどうかしたの?」
「うん、何か見つけたのかも。ちょっと探してくるね。」
「一緒に行こうか?」
「大丈夫。すぐ戻ってくるから待ってて!」
さすがにユーノの起こした行動にはアリサとすずかも気がつき、なのはに目を向ければなのはは少し慌てながらも二人に怪しまれないように冷静な態度を装いながら椅子から立ち上がってユーノを追いかけていく。アリサとすずかは何処かおかしくも感じながら呆然と見届けていたのだが。
(大変だ! なのはちゃんの向かった方向は……。)
悟飯は落ち着けない状態でありとてつもない焦りを感じていた。なのは達が向かった先は危険な力を持った存在が潜んでいる場所なのだ。
しかもその場所を目的として向かっているかのように動いている事が気を探っていてわかっており別の方角へ向かう事は無く的確にその場所へと進んでいく。
「ごめん!ボクちょっとトイレに行ってくる!!」
「はぁ!? いきなり何言ってんのよ!」
「ま、まって悟飯くん!トイレはそっちじゃないよ…!」
故に悟飯はすぐに椅子から立ち上がってなのは達を追いかけていく。後のすずかとアリサの声など彼の耳には届いてはいない、呆然と取り残された二人の少女は小首を傾げて見送るしか術はなかった。
「クアァーーーーーーーーッ!?」
———なのは達が走り続けた先に見えてきたのは紫色に覆われた愛らしい小型のドラゴンだった。「え…?」となのはは驚きのあまり声を漏らしながら立ち止まってしまう。
この世に存在していない筈の生物が目の前にいるという事実に困惑しており、中々頭でその事態を飲み込む事ができない。
しかしそのドラゴンの体は発光しており、ただ事ではないと理解したユーノは構えを取る。
「此処だと人目が…結界を作らなきゃ!」
「結界…ってどういうことなの?」
「最初に会ったときと同じ空間!魔法効果で生じている空間と通常空間の時間進行をズラすの!」
フェレットであるユーノは人間のように言葉を話すと同時に彼を中心とした真っ白な魔方陣が浮かび上がる。強力な白い光を発しながらなのはは少し目が眩んでしまう。
そして暫くするとユーノが展開した魔法が発動する。風景が一瞬で暗転していき、白と黒の二色で彩られる世界へ塗り替えられていく。魔法効果により空間を切り取り、時間進行にズレを生じさせたのだ——。
普段見慣れた風景とはまた違う、二色で全てが表現された世界になのはは目を奪われて周辺を見渡す。
先程のいた世界とはまた何かが違う、それは見た目から出ているがこの場所は魔法という強力なエネルギーで操作された空間。それは360度から魔法を全身で感じ取れる。
「グオオオオオオオオオオオオオオーーーーーッッ!!!」
「な…!? ゆ、ユーノくん!あれ…!」
耳を塞ぎたくなる程の巨大な雄叫びが空間全体を揺るがす勢いで響き渡ってくる———、なのはが目に見えた先には先程とは似ても似つかない紫色に全身を覆われた巨大なドラゴンが視界に飛び込んできたのだ。
「な、なんであんなに大きくなってるの〜!?」
「多分…ジュエルシードの影響だと思う。それよりなんでこの世界にドラゴンが…確かこっちでは存在していなかったはずじゃ…!」
何処からどう見ても伝説上に存在していたドラゴンであり、今は現実の生き物として彼女達の前に立ち塞がっている。その事実を飲み込めないなのはとユーノは動揺していた。
更に言うなら、このドラゴンは強い。それを直感的に二人は見抜いていた。何か凄まじく巨大なパワーを秘めており、動物的本能として危機感を二人は感じ取る事ができるのだ。
「どうしているのかわからないけど…このままだと危険だ、はやく元に戻さないと!」
「そうだね。レイジングハート、お願い!」
なのはは紐で首にかけている赤い宝石を片手に取って呼びかけるように声を上げた。
『————Stanby ready.Set up.』
赤い宝石から流れる機械的な音声をしっかりと二人は聞き取り、宝石に浮かび上がってきた桜のようなピンク色の文字がなのはの目に入ってくる。
眩しい桜色の光が宝石から溢れ出し、やがてその桜のように輝く光はなのはを包み込んでいく。数秒後、桜色の光が消滅すると先程の私服から一変していた。
真っ白な服を着込み、胸には大きな赤いリボン。手には赤い宝石が埋め込まれた白い杖を装備している。なのは自身は真っ直ぐにドラゴンへと目を向けて前へと出る。
「グオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーッ!!!」
再び絶叫が空間を支配する、ユーノはドラゴンの叫び声だけで怯んでしまいそうなほどの絶叫を耐える。当の本人であるドラゴンは自身の巨大な腕を周りの木へと振り下ろしていた。
樹木は木っ端微塵に破壊され跡形も無く塵のように壊されていく。次々と休む暇も無く破壊行為は連続して繰り返される中、なのはは杖を握り締める。
「このままじゃすずかちゃんの庭が壊されちゃう…!」
ドラゴンの持つ凶悪な力は周辺に多大な影響を与えるほどだった。桜色の魔方陣が彼女の足元に浮かび上がる。なのはは魔方陣による桜色の光を浴びながらも杖をドラゴンに向ける。
それは攻撃準備であり、威嚇行動とも取れる。だが今のドラゴンはとても凶暴な性格へと成り代わってしまっていた、額に埋め込まれたオレンジ色の球体が怪しく煌く。
「———まって、なのは!防御張って!!」
「え…!?」
目に写る物を全て破壊しようとするのが今のドラゴンの状態であり、視界に入り込む威嚇的な行為をとっているなのはは制御不能な凶暴性を露にしているドラゴンにとっては絶好のターゲットである。
ドラゴンは全身を動かし、尻尾でなのはに攻撃を仕掛けてくる。それはなのはが攻撃行動を取るよりも早く、土に埋められた木を粉々に砕き地面を削り取りながら重圧な一撃が彼女に襲い掛かる。
『 P r o t e c t i o n 』
彼女の唱えた魔法は接触する物体に対して強固な防御性能を誇る優秀な魔法である。更にダメージを防ぐだけではなく物体を吹き飛ばすという厄介な性質も秘めている。
桜色のバリアを展開させ尻尾による物理攻撃を完全に防御しようと試みるなのはだが、ドラゴンの力は彼女の予想を遥か斜めに上回るほど絶大な破壊力が込められていた。
尻尾がバリアに激突すると対象である尻尾を吹き飛ばそうとするがその性質は叶う事はできず、桜色のバリアは大きく音を立てながら亀裂が入り込むと同時に粉砕されてしまう。
「きゃあああああぁぁぁぁーーーーーっっ!!!」
「なのは…っ!!」
結果、防御魔法を発動させたにも関わらず虚しく攻撃を直接なのは自身が受け止めて吹き飛ばされる事となった、そのまま悲鳴を上げながら樹木へと背中を激突し。
「うっ、ッ……。」
それと同時に激痛が全身へ襲い掛かってくるとなのはは気を失いかけていた、目の前に浮かんでいる光景が揺らぐ中、なんとか意識を保とうとしっかりと意思を固めている。
ユーノはドラゴンとなのはとの圧倒的なレベルの違いに今までに感じたことの無い焦りを覚えながら守るように彼女の前方へと立つ。ドラゴンに対して鋭く睨みつけながら敵意を浴びせて。
(やっぱり、今のなのはじゃ無理だ。僕がサポートするとしても、あのドラゴンに勝てるかどうか……。)
———勝つ事が前提条件である彼女達にとって今までにない最大のピンチでもあった。そして彼女が発動した防御魔法“プロテクション”は完璧に意味を成さなかったわけではないとユーノは傍から見て気づいていた。
恐らく少しだがダメージを防ぐ事はできた。にも関わらず彼女は気絶寸前まで追い込まれている。もし防御を発動させずに直接攻撃を受けていれば一発で戦闘は終わっていたかもしれないとユーノは感じていた。
「グオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!!!」
「くる…!!」
ドラゴンは暴走していた。それは戦っている本人達には強く感じ取れるもその原因を追求する余裕を二人は持ち合わせてはいない。
追撃が来るであろう動作を見るとユーノの足元に銀白の魔方陣が再び展開する。ドラゴンはこちらに目を向けて殺気にも似た威圧感を放っており、なのは達にとってはこれまでにないプレッシャーであったが。
「――え?」
ユーノが防御魔法を発動させる寸前、遮るように撃ち出される高速の金色の魔法弾。目で追いかける事すらできない一撃がドラゴンの方角へと向かって命中させ直撃となる。
「あの魔法は一体…!?」
「……やっぱり効かないみたいだね。」
なのはは今起きた現象を気を失いそうになりながらもしっかりと目で確認しようと体を起こす。ユーノが驚く声も耳で聞き取れる、未だに痛みがなのはに襲い掛かってはいるが先程の状態よりは良くなっていた。
自分の目の前に守るようにユーノが立っており、そしてユーノが顔を向けている所は金色の髪をした黒衣の衣装を身に纏う少女。まるでなのはと対蹠的な少女は黒い長斧を片手にドラゴンへ向けていた。
「もう一人の…魔法使い…?」
直撃したドラゴンは傷を負うことも無く新たなターゲットである金色の髪を持つ少女へと殺意を浴びせていた、まるで伝説上の生き物としての威厳がプレッシャーとなって、この世界にいるという現実感を喪失させてくれる。
それ程、場を目に見えない物から制圧する事が出来る生き物に対してもこの少女は無表情であった。何も心に響く事はないのか一切表情を変化させる事はなくただ敵であるドラゴンに目を向けているだけだ。
「あの、女の子……。」
「なのは!大丈夫…?」
「うん、大丈夫…ちょっと痛いけど、平気だよ……。」
なんとかなのはは苦しそうな表情を浮かべながらも自分の持つ武器を地面に突き刺して杖代わりにして立ち上がる。未だに彼女のダメージは残るがそれでも戦わなければならなかった。
しかしユーノはもはや勝負を諦めかけていた。ドラゴンとなのはの間には圧倒的なレベルの差があり、今のなのはではそのレベルを埋める事は不可能といっていいほど至難の業なのだ。
仮に自分が入っても勝利を掴む事はできないかもしれない、だがあの金髪の少女もこの戦闘に入ってくれるのなら、もしかしたら勝てるかもしれないとユーノは思考していた。
「……なのは、今回の敵はいくらなんでも強すぎる。僕もちゃんとしたサポートをしていくから、あの子が攻撃した隙を狙ってジュエルシードを封印しよう。」
「あの子が攻撃した隙を狙って…?」
目を丸くさせながらあの子に該当するであろう金の髪を持った少女へと視線を向ける。赤い目がとても美しく綺麗に感じながらもなのはは軽くユーノに頷く。
なのは達にとっては金色の髪を持った自分達と同じ魔法使いは未知の存在である、何を目的としてどんな魔法を使うのか、何故こんな事をするのか、まったく理由がわからない。
「……シーリングフォーム。」
『Sealing form.Set up.』
金髪の少女の掛け声と共に機械的な武器は反応するように形状を変化させていく。先端が槍のような形になると金色の翼が生え、そして足元には金色に輝く魔方陣が浮かび上がる。
「なのは、攻撃の準備をして!」
「わかった、ユーノくん! シューティングモード!」
『———Shooting Mode.』
なのはも先程の金色の髪を持つ少女と同じように機械を変形させて槍のような形になり、それを両手で握り締め狙いをドラゴンへと向ければ桜色の魔方陣が彼女の足元に出現する。
二人の攻撃を放つという事は、近くにいたら巻き添えを食らう可能性があり、ユーノはすぐになのはから距離を取って遠くから援護しようと考えていた。
どちらも攻撃を唱える直前、二人は意識を集中させていく。その間、ドラゴンはこちらに気づいたのか再び絶叫を上げながら重厚な翼を激しく羽ばたかせていき。
「グオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!」
巨大な翼を何度も羽ばたかせると突風が発生する、まるで台風のような強風が吹き荒れる中ユーノはドラゴンに目を向けて始めて気がつく、強風がまるで衝撃破のようにこちらに向かっている事に。
意識を集中させている二人には敵がこちらに目を向けている事や台風———別名、衝撃破が接近している事に気がついたとしても防御魔法は間に合わない。それはユーノが今唱えても結果は同じである。
「嘘……きゃあああああああぁぁぁぁっ!!」
「え…? う…っ、ぐ…!!」
ユーノの予想通りの展開となり、衝撃破に対して二人は正面衝突してしまう、勢いよく吹き飛ばされ空中を浮上すれば二人は激しい目眩を感じながら視界が目まぐるしく回転する——。
「グオオオオオオオオオオオオオーーーッ!!!」
「まずい、このままじゃ二人が…!!」
更にドラゴンは休む暇も無く重厚な翼を羽ばたかせた上での飛行を始める、巨大な図体とは裏腹の猛烈な速度を持って二人に体当たりを仕掛けようとしていた。
ユーノの地面に白い魔方陣が浮かんでいく。その動作をかける間だけでもドラゴンはもうなのはの目の前にまで来ていた。想像以上の速度がなのはと金髪の少女に襲い掛かっていたのだ。
(あの体当たりにあたったら、なのはは…なのはは…!!)
———命が奪われるかもしれない、とユーノは最悪な展開を思考してしまう。なのはの視界一杯にドラゴンが飛び込んでくる状況下で彼女はゆっくりと目を閉じてしまう。
ユーノの防御魔法は届くかどうかもわからず、その刹那の間に緊迫感や焦りや困惑などのあらゆる感情がユーノを満たしていく。金髪の少女も今の光景に焦りを感じていた。
「もう駄目かも……ごめんね、みんな……。」
小さく誰にも聞こえない言葉を口にする。今までに感じたことの無い強烈な痛みが自分を襲うのかと思えば恐怖で体が震えるが空中を浮上している今の状態では奇妙な感覚が残る。
宙に吹き飛ばされている状況、いずれくる痛みに耐えようと待つ。
「あ、あれ…?」
———が、暫く待ち続けても来ない。未だに空中を浮上している感覚が体に残るが痛みも衝撃も来ない。
「悟飯……。」
金色の髪を持つ少女――フェイトは目を見開いてその風景を確認すれば小さな声で呟いた。黒いマントを翻して地面へと着地するとフェイトは今の状況は夢ではないかと一瞬疑ってしまう。
「悟飯くん…? なんで、悟飯くんが……。」
「よかった、間に合って…。」
なのはは目を開ける、其処には彼女達にとって信じられない光景が出来上がっている事に気がつく。
それはユーノも同じ事を考えていた。誰もが驚く状況に彼は一瞬だけ目を奪われてしまうがすぐになのはに視線を向けて魔法を唱える。
彼が唱えた魔法はなのはが地面に叩きつけられるのを防ぐ為の魔法だった。空中に浮かぶ白い魔方陣がクッション代わりとなって地面に下ろされる。
「なのは、大丈夫…!?」
「わたしは平気…けど、どうして悟飯くんが……う…!」
眼前では悟飯がドラゴンの体当たりを片手で受け止めているという状況だった。これには三人とも目を疑う、あのドラゴンは計り知れない強大なパワーを持った破壊力があるのだ。
にも関わらずあの少年は軽々と片手で受け止めていた。
この事実にユーノは悟飯は自分達やドラゴンとは比べ物にならないほどの桁違いな実力があるのではないかと推測する。
「動かない方がいい、僕が治療するからその間なのははじっとしてて。」
「ありがとう、ユーノくん。」
なのはは再び立ち上がろうとするが酷い激痛が全身から響く、衝撃破により想像以上のダメージをなのはは背負っているのだ。立ち上がることすら儘ならない。
「グオオオオオオオオオオォォォォ……ッ!!!」
ドラゴンは更に力を込めて悟飯を強行突破しようとするが、悟飯はびくとも動かず。それどころかまだ力を残しているような、傍から見れば余裕さえ感じ取れる。
そんなドラゴンの姿に悟飯の表情が曇ると……。
「ごめんね、ハイヤードラゴン。」
「グオオオオオオオオォォォォッッ!?」
悟飯はドラゴンの頭を掴んだ状態で静かに気を溜めて、一気に解放させる事で衝撃破を放つ。その威力は今まで見てきた中で一番に恐ろしい力が込められた攻撃であり、簡単にドラゴンを吹き飛ばしてしまう。
ドラゴンはそのまま大きく地面を削り取りながら転がって巨大な樹木に全身を強打させてしまい、樹木はその衝撃に耐えられず折れて地面に倒れる。
「凄いパワーだ。見た時から変な感じはしてたけど、まさかあれほどの力を持ってるなんて……。」
「……サイヤ人ってすごいんだね。」
アリサの話で悟飯が別の世界の住人で普通の子供とは違うと知っており、何度か彼の常識はずれの身体能力は見てきた筈なのだが、今回の行動は改めて彼女達を驚かせていた。
「ハイヤードラゴン……あのドラゴン、知ってるの?」
地面にいたフェイトは空に浮かぶ悟飯の元まで近づいて問いかける、彼の言葉を聞いているとまるで知り合いのように感じられたのだ。
「うん。姿や雰囲気は違うけど、わかるんだ。目の前にいるドラゴンはボクの大切な“友達”だってね。」
「……友達?」
二人の会話はなのは達には届いていなかった。ただフェイトは友達という言葉が上手く理解できていないのか首を傾げ、真っ直ぐに倒れこんだドラゴンに視線を向ける。
直ぐに起き上がったドラゴンは強く睨めつけており、悟飯は何処か悲しそうな表情を浮かべていた。
(オマケ)
アリサ「二人とも遅いわねぇ」
すずか「なのはちゃんはともかく悟飯くんは道に迷ってるのかも。あ、でも悟飯くんは私達の事を探れるんだっけ。」
アリサ「……なんか怪しい。」
猫達「「「にゃあ~」」」」