頑張れ、少年
『
曰く、世界最古の王が所有する全ての英雄の宝具、即ち武器や防具の原典が収められているという宝物庫。世界最古の王、英雄王はその宝物庫から無数の財を暴風雨のように放ち、自然災害さながらの戦いをしていたと自称神様は言っていた。
一つ一つが英雄達の勝利に貢献し、伝説を築き上げ、そして破滅へと導いていった。その全てが例外なく奇跡の結晶体であり、人々の祈りと願いの体現だった。
宝具は英雄王であるから所有出来るのであり、英雄だからこそ扱うことが出切るのだ。
そんなものを唯の子供に与えたとしたらどうなるだろうか?
「きゅう……」
必然、こうなる。神様とやらの手違いで死んでしまった少年は『王の財宝』という常人では及びもつかないようなものを与えられ、赤子として転生させられた。生まれたばかりの赤子ということもあり、出切ることが無いので宝物庫の中身を見ようとしてみたら何時の間にか気絶していた。
それも当然だろう。何せその少年は別に最古の王と肩を並べられるような大英雄だった訳ではない。ただの一般人としか表現のしようの無い子供だった。そんな子供が英雄達が扱っていた宝具から放たれるオーラに耐えることが出来るだろうか。いや、出来る訳が無い。
少年は神様からの贈り物の扱いに困った。自分にはとても使えるもので無いし、仮に使えたとしても使うべき場面があるとは思えない。何せ、少年が転生した先は少年の前世同様の現代日本。『王の財宝』を使うような血生臭い争いごとが起こるとはとても思えなかった。
最初、少年は『王の財宝』を生涯使わないつもりでいた。だが、それでは余りにも失礼だという考えも抱いていた。贈り物をくれた神様にではない。宝物庫内に収められた宝具に対してだ。
本来であれば英雄達の未来を切り開き、ピンチをチャンスへと変える切っ掛けとなったであろう存在。それが何が悲しくて触れることはおろか、直視する事すら出来ないガキの倉庫に入ってなければならないのだ。
ー例え一つだけでもいい。扱えるようになろうー
伝説として語り継がれるはずだった
赤ん坊期。どうにか宝具を見れるようになる。
幼年期。宝具を取り出せるようになった。
小学校。宝具に触れるようになった。
そして中学校。宝具を手に取り、扱うための練習が出切るようになった。少年の物語はここから始まる。