僕はただの高校生だ。高校三年。皆が受験の為に右往左往する時期だ。僕はそんな時期にダラダラと過ごしてきた。余裕があったわけではない。将来とか、夢とか、そういうのが解らなかったんだ。むしろ中学生の頃の方が頑張っていたなぁと思う。いじめられっ子だったせいか知らないが、いつか見返してやる的な根性は強かったのだろう。まぁようするに、その日その日をフラフラと過ごしてきたのだ。だからあんまり生きているって実感は無いんだよな。・・・・はぁ、もう少し気楽な性格に生まれたかったなぁ・・・・。そうしたら、もっと気楽に生きていただろうに。
そんなことを考えながら、一歩踏み出す。一昔前、「右足を出して左足を出すと歩ける」と言った人間がいるけど、暗い気持ちだと足を出しても前には進まないよ。こういうの、思春期特有の鬱って言うんだろうな。まぁ、そんな感じて生きている。
さあ、さっさと帰るか。
信号を確認し、道路にまた一歩踏み出す。
その瞬間、強い光に照らされた。
――――車のヘッドライトだ
暗がりを歩いてきたので光に対応しきれないでかわすことも出来ない。
こうして、「生きている」だった僕は、「生きていた」に成った。
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で、今である。
今の状態は意識はあるが、体が無いと言った感じだ。周囲を見ても何も物は無い。だが、者は居た。
「あんまり上手いこと言えて無いですよ」
――――女の子が一人居た。見た目で年齢を測るのは苦手なので自信はないが高校生ぐらいだろうか?あぁ、どっかでこういうの読んだことあるな。たしか、『神様転生』のノリだな。
「察しが良いですね。あと、私は神でなく天使です」
――――なら、天使転生?
「まぁ、厳密にいうとそうなるのかな?」
――――ところでよ、幾つか質問があるんだけどいいか?
「すぐなら良いですよ」
――――ならまず、死因。
「えっ、車に跳ねられてデスヨ・・・・私のミスです。すいません。許してください。ごめんなさい。お願いします」
笑顔で話を聞いてたら、何か自白してくれた。
――――別に怒っているわけではない。そういう風に演じただけ
「あっ、演技なんですか?良かった」
――――良かない
「・・・だから、早く転生してほしいんですよ。上にバレたらどうなることか。だから、早く転生して」
――――お前の責任だろ
「ひどい、困ってる人がお願いしてるのに」
――――どう考えても自己責任だろ!まあいい。次で最後にするよ
「何ですか?」
――――僕ってもう少し暗い性格だったと思うんだが?
「あぁ、それですか。じつをいうと少し『意識』に干渉しました」
――――は?
「え〜と。よく二次創作読んでた人なら分かると思うのですが、死んだ後神様転生する場合ってだいたい前向きに考えてるじゃないですか?」
――――う〜ん、一概に言い切れないけど。そんな気もする。
「だいたい転生する人って若者だから
――――まぁ、最近の若者は特にそうだろうな。完全なプラス思考なんて今時見ないよな。
「だから、いくら『転生なんて憧れます』ってでも実際こういう場面に成ると泣き付いたり、怒ったりして時間がかかるわけですよ。此方だって通常業務あるのに」
――――知らんがな
「だから、主人公的な性格に一部を置き換えるわけですよ。まぁ、デメリットとして妙に恋愛がらみの事に鈍感に成ったりするわけですけど」
――――あぁ、あれってそういうことなんだ
「まぁ、人によって変わりますよ。ひねくれものに成ったり、ジョジョネタぶちこみたい衝動にかられたり。たまに、かえってマイナスに成る人も居るし」
――――で、僕も性格いじられたと?
「まぁ、そういうこと。さて、そろそろ転生しますか。『世界選べるコース』、『知ってる世界の中でランダムコース』、『完全ランダムコース』どれがいいですか?」
――――なら、知ってる世界の中でランダムで
「決めないんですね」
――――優柔不断だから。こういうのは生前と変わらないんだね
「さあ、性格いじられたときの反応には個人差があるので・・・・あっ、出ました。『BLEACH』ですね。」
『BLEACH』か、読み始めた時期的にアニメは見てないんだよね。二次創作で出てくるから、海燕さんの嫁さんの名前はわかるけどそのぐらいだな。知識は深くもなく、浅くもなく。
「次、詳細設定ですけど、どうします」
――――転生先は
「細かいんだか、大雑把なんだか」
――――成ってみてのお楽しみが一番面白いんだよ。心にゆとりでも出来たのかな?
「たぶんそうなんじゃあ無いですか?」
――――アバウトだな
「上にバレないようにこそこそマニュアル読んできたから、はっきり分かんないんですよ。」
――――あぁ、了解
「なら、第二の人生、楽しんできてくださいね。って何を身構えてるんですか?」
――――テンプレだとこの後落下するから
「いえ、あっちの扉くぐって下さい」
なんだ、落ちないんかと思いながら扉をくぐる。
「そこなら、ご希望どうり落下します」
――――へ?
「第二の人生楽しんで下さいね。
天使が指を鳴らすとその音が反響するように景色が揺らぎ、落下感が身体を支配した。
「ふざけるな〜〜〜〜〜」
あっ、名前は変えないで良いかな?妙に冷静だな。そういえば、意識干渉されてるのだっけ?
何も景色が変わらないながら落ちている不思議な感覚を味わいながら、現代人の速水龍斗としての魂はついえた。
BLEACHなら、『僕』より『俺』の方が良いかな?