彩色集いて太刀をなす。   作:tora@812

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 思ったより朽木家養子編が長くなってきたなぁ。

 当初プランでは白哉と恋次のファーストコンタクトは全カットして、廊下を走っていたルキアとぶつかったのは桃でなく練習場帰りの龍斗。白哉と龍斗のファーストコンタクトは職員室ですれ違うだけ。って感じだったんですよね。桃の出番があまりにも無くて、ルキアの方がヒロインする事態に成りそうだったので大幅変更したんですよね。まあ、当初プランだとご都合主義度合いが今考えてるルートよりも酷かったから結果オーライかな?

 しかし主人公の一人称パートを長いこと書いてないなぁ。僕的にオリ主って『意図的に原作との分岐点を作り出す道具』なので基本扱いが悪いんでしょうね。一応次話は龍斗パートの予定だけどどうなることか。


第十二話 戌より出でて光を求めて。

 ルキアの事があった次の日、俺はある人の部屋の前に来ていた。

 

 「珍しいな。恋次が俺を訪ねるなんて、ある程度察しは付くけど何のようだ?」

 

 ちょうどどこかに行こうとしていたのか、その部屋の主が出て来たところだった。

 

 「ルキアの事で相談に来ました」

 

 この人は後輩の事をよく見ている。だからこそ、俺は聞きたかった。

 

 「速水さん。俺はルキアに貴族に成るのを勧めました。やっとルキアに家族が出来るんだから引き留めたら駄目だと思って。でも、ルキアは本当はどうして欲しかったんでしょう?」

 

 自分の行動をどうすべきか分からなかった。ルキアが朽木家の養子に成れば貴族としての教育を受けて立派な死神に成れるかもしてない。だからこそ背中を押した。

 

 でも、ルキアは一組と二組を行き来しつつも今を楽しんでいる様にも見えた。本当は此処に居たかったのかもしれない。勿論貴族からの、それも四大貴族からの誘いだ。断ろうにも断れないかもしてない。

 

 でも、それも俺がルキアに側に居て欲しいから思う唯の願望かもしれない。結局俺は自分の願望の為にルキアを縛るのが怖くてルキアから距離をとろうとしただけなのかもしれない。

 

 どうすべきか、俺には分からなかった。

 

 

 

 

 

 「俺はどうしたら良いんですか?」

 

 

 

 

 

 俺は速水さんの言葉を待った。少し考えるようにした後に帰ってきた言葉は───

 

 

 

 

 

 「それ、自分で決定することから逃げてないか?」

 

 

 

 

 

 「!!?」

 

 

 

 

 

 ───俺の質問そのものに対する疑問だった

 

 

 

 

 

 「例えば俺が『ルキアを引き留めろ』と言えばそうするのか?

 

 例えば俺が『ルキアが貴族に成れるならめでたいじゃないか、祝えよ』と言えばそうするのか?

 

 例えば俺が『ルキアが未練残さないように嫌われるように行動しろと』言えばそうするのか?」

 

 「そんな事は!!!」

 

 「恋次、それはお前が決めるべき事だ。その決定俺の仕事じゃない。俺はこれから俺が思うように行動する。恋次も自分で悩んで自分で決めろ。若者に自由にする時間があるのは悩むためだ。基本的に全ての物が持って生まれ、等しく失う『若さ』という才能を今生かせ。決めることから逃げるな」

 

 

 

 

 

 「俺は………」

 

 

 

 

 

 逃げていたのか?

 

 

 「判断材料だけあげるよ。ルキアに家族は居るよ。ずっと前から」

 

 「え?」

 

 「あの魂葬演習の一週間前、ルキアと恋次は演習の予行演習だかで話してたよな。その後ルキアと少し話してたんだ。その時さ───」

 

 

 

 

 

 『あやつは、私の幼なじみだ。身寄りのなかった私は、あやつ等と家族を求め、身を寄せ合って過ごしてきた。今、家族だと呼べるものを上げろと言われたら、確実にあやつの名を出す』

 

 

 

 

 

 「───って言ってたよ」

 

 

 

 

 

 「ルキアが………俺を………」

 

 

 

 

 

 速水さんは言葉を続けた。少し明るく、元気づけるよな声だった。

 

 「お前らって本当に似てるよな。不器用な所とか。じゃあ後は自分で考えな。自分進む道を」

 

 その後すぐに真面目な感じな表情と声に成る。

 

 「行ってくる」

 

 そういって速水さんは瞬歩で目の前から消えた。

 

 

 

 

 

 「俺がどうしたいか………」

 

 

 

 答えはまだ出ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「寒い」

 

 

 

 

 

 夏だというのに凍えるような寒さを感じて目が覚めた。

 

 「私は何故こんなところで……。あぁ、あのまま眠ってしまったのか」

 

 悲しみで濡れた制服を見て、全てを思い出した。

 

 ひとまず着替えよう。重い体を引き摺って動きだし、取り出した白い服に袖を通そうとして止めた。たたみ直して黒っぽい服を新たに取り出す。光の色の服など、今の私には似合わない。

 

 顔を洗おうと洗面所に行くため、扉に手をかけた。いつもより重いその扉が急に軽くなった。

 

 「えっ!」

 

 驚いて顔を上げるといつも一緒に練習している人が居て、私は慌てて扉を閉めた。そしてそのまま扉を背にして寄りかかった。

 

 「ちょっと!ルキアさん!!」

 

 扉を叩く音と衝撃が背を通して伝わってくる。

 

 「………帰ってくれないか」

 

 音が少しの間止んだ後で、声が帰ってくる。

 

 「嫌、色々考えて来たんだから帰らない。それに話すだけなら顔を見なくても出来るよ」

 

 「話すことなど何もない」

 

 「ならここにいる。私は悩んだときは側に誰か居て欲しいから。流魂街に居たときはシロちゃんとよくこうやって側に居あったから」

 

 「勝手にしろ」

 

 

 

 しばらく経っても扉の向こうの気配は動かなかったので、私は根負けして口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分の間を空け、扉越しにルキアはの声がした。

 

 「雛森さんは……悲しさは無かったのか?」

 

 「へ?何が?」

 

 「霊術院は流魂街住民に関しては全寮制だ。入ってしまえば休日ぐらいしかかつて共に居た者とは会えなく成る。悲しくは無かったのか?」

 

 何を言い出すのかと考え出して気がついた。ルキアさんは()()()()()()誰かと会えなくなる経験が少なすぎるんだ。()()()()()()()()()()()()状態に慣れてないんだ。

 

 「さみしかったよ。………でも、それを耐えてでもやりたい事があったから」

 

 少し天井を見上げる。

 

 「私って昔からおせっかいなんだ。すぐに何かに手を出して………何もできないまま終わる。本当に困ったらシロちゃんが助けてくれたけど、私は結局いつもいつもシロちゃんに迷惑をかけてただけ。そんな自分が………嫌いだった」

 

 「強くなりかったのか?」

 

 「違うよ、弱さを捨てたかったの。ただ、今の立場から逃げたかっただけ。霊術院に来てないから本当の事は解らないけど、多分素質ならシロちゃんの方が高い……今のままならきっと私の届かない所に行ってしまう。だから私は将来離れない為に、今の別れを選んだ。もしもシロちゃんが強くなっても足手まといに成らないように。もしもシロちゃんが暴走したら止めれるように。親友なのに側に居られなくなるなんて嫌だから」

 

 もっとも、暴走する可能性はたぶんもう無いと思う。年が明けた朝にシロちゃんに会ったら何故か霊圧が押さえ込まれていた。シロちゃんが急に押さえ方を覚えたとは思えないからたぶんあの時同じ部屋で寝ていた速水さんか阿散井くんが何かしたのだと思う。まぁ速水さんだろうけど。でも『改変』に永続的に利く技は無かったと思うんだけどなぁ。『改変』は瞬発的な力業だから。

 

 「次に会うとき、相手はどこまで変わっているか。次に会うとき、私はどこまで変われるか。得られる答えが希望か絶望かは解らない。だけど、ただ生きるだけに力が要らない場所に来れたら、成りたいように成るために動いてみるのもいいと思うよ」

 

 ここまで喋って慌てて口を塞いだ。しまった、言い過ぎた。これじゃルキアさんがどうするか思いっきり踏み込んで話してる。

 

 「ごめん、少し勝手に喋り過ぎちゃった」

 

 慌てて謝罪する。今は気持ちを整えてもらう方が先なのに。

 

 

 

 

 

 お互い何も喋らない空白の時間がまたやってくる。

 

 あぁ、せっかく向こうから話しかけてくれたのに。そんな後悔が頭を支配する。

 

 

 

 

 

 「雛森さん」

 

 

 

 

 

 突然話しかけられて少し驚く。

 

 「私がここを捨てて貴族に成ると言ったら私を軽蔑するか?」

 

 

 

 

 

 そんな質問返す答えは決まっている。

 

 

 

 

 

 「しないよ。ルキアさんがルキアさんである限り」

 

 

 

 

 

 「そうか」

 

 それに、っと話を切り出す。

 

 「今速水さんが何かしてるみたいだよ。ルキアさんがどっちの道を選んでもさみしい思いをさせないように」

 

 「またあの人か………。思えば私はあの人に助けられてばかりだな」

 

 「えっ!………うん、そうだね」

 

 「安心してくれ、別に盗る気は無い」

 

 「そう、よかっ………いや!別にそんなんじゃ!!」

 

 その時、壁の向こうからふふっと笑い声が聞こえた気がした。

 

 「笑わないでよ」

 

 紅くなって顔を伏せる。

 

 「いや、そういう意味で笑った訳ではない。ただ………

 

 

 

 

 私はまだ光の中に居られるのだなと思っただけだ」

 

 

 

 

 

 その声はいつものルキアさんのものだった。

 




 タイトルの『光』は恋次パートからしたら『ルキア』、ルキアパートからしたら『仲間』の暗示ですけどなんか微妙。『戌』は戌吊からです。

 当初プランだと、今回の恋次パートは白哉が来た直後なんですよね。あの頃の恋次がそんなすぐに精神立て治せると思わないから1日開けました。

 感想、批評、評価、誤字報告等々、お待ちしています。
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