仮面ライダー555vsGE ~神喰らう者と紅の閃光~ 作:ジュンチェ
ロシアより愛を込めて……ハラショー(違)
あ、ちょっとアニメ寄りの展開になります。
……巧のゴッドイーター生活が始まるちょうどその頃…
遥か北の地であるロシアは猛吹雪にみまわれていた。視界は真っ白な吹き荒れる粉のおかげで、3割くらいしか辺りを確認できず…おまけに血管まで凍てつくような鋭い寒さに忌々しいと誰もが悪態をつく。
そんな絶対零度の土地を今、まさに飛び立とうとする鋼の巨大な機影……白の暴風の中でも存在感を示す正体はフェンリルの輸送機。これは物資と『ある1人の少女』を送り届けるため…そのエンジンに火を灯していた。
その少女は、お気に入りの赤い帽子を脱いで手元に抱くと……自分の銀の髪を手櫛ですきながら客席に座る。ここは外と隔絶されて明るくて暖かい。外ではコートを着こんだ男たちが騒がしく動いているのが分厚い窓越しに見えた……全く、自分のためにご苦労なことである。
「…やぁ、アリサすまない。吹雪がもう少し弱まったら発つ予定だ。すまないね、待たせてしまって。」
…そんな彼等を鼻で笑っていると、眼鏡をかけた中年の男が話しかけてきた。外の者と同じく、コートを羽織り…黄色いバンダナが目印の彼はよく知る仲だ。窓から顔を返すと反対に男には愛想の良い笑みを向けた。
「…平気ですよ、オオグルマ先生。それより、私の神機が凍っていたりしませんよね?」
「ああ、勿論だ。そうだ、アリサ……極東で君に続く新たな『新型』の神機使いが現れたそうだ。君と同じ第一部隊の配属になるそうだが……」
男は自分の専属の医者だ……そして、色々と世話をやいてくれる良い先生。だが、たまにお節介なのが鬱陶しくなるが……
「…名前は乾巧……槍使いという話だ。剱崎イッシンに続き、極東は新型を3人も揃うことになる。流石、最前線といったところだな……」
「オオグルマ先生?」
「…?なんだね…?」
少女は屈託なく…自分より歳上の男に向かって笑った。自信に満ちた口は……
「そんなこと、どうだって良いじゃないですか?」
………礼儀など構わず告げる。
「なんにせよ…私より優れたゴッドイーターなんていませんから。」
【第2話】
「…ふッ!!ふッ!!」
雪に染まる古い寺……そこに、巧の姿はあった。ファイズに代わる新たな武器の槍…チャージスピアというらしいが、巧はこれを素振りしていた。手に馴染ませるため、ブンブンと振ってはみるもの…性格上の故か今まで長い獲物を扱ったことが無い故か、動きは粗っぽい。巧は巧なりに工夫はしているつもりなのだが、『オラァ!』と突きを繰り出した辺りは隣で見ていたリンドウは苦笑していた。
「いやぁ、まあそのうち慣れるだろ?筋は悪くないと思うぞ、うん。」
気休めを言われると内心、恥ずかしいが自分のせいだ。まあ、良い……突きだした槍を肩に担ぐと、巧は後続してやってきた仲間たちに目線を向けた。
「紹介するぞ。こっちの美人が橘サクヤ…形式上、俺には次ぐお前の上官にあたる。」
「もう彼女とは自己紹介は済ませてある。」
「あ、そうだっけ?んじゃ、あとは新人2人…ほら、はやく自己紹介しろ。」
狙撃手の彼女…サクヤとは面識がある。あとは後ろの2人の少年…彼等が新人だろう。アサルトの銃身を持つ神機の人懐こそうな赤毛のような茶葉の少年に至って平凡そうな顔をした銀(それとも灰?)の髪をした少年。後者の彼はリンドウと同型の神機を手にしていた。
「藤木コウタっす!一瞬だけ俺らが先輩だけど、まあ新人同期ってことでよろしくぅ!」
「け、剱崎イッシンっす。よろしくッス…」
何だろう…後者の彼、イッシンはどうにも畏縮しているようだ。まあ、巧も自分はあんまり人相が好まれやすいタイプではないと自覚している。なら無理にコミュニケーションを拡げるよりかはと『よろしく…』と短く済ませておこうとしたが…活発なコウタと呼ばれる少年がくいついてきてしまった。
「巧さん、コイツさシャイなんで……ああ、でもさその仏頂面はやめといたほうが良いよ。」
「うるさい。コイツは元々、生まれつきだ。」
「ううん…でもさ、俺達の同期だし。仲良くしたいんだけどなぁ……そうだ、ニックネームで呼ぼうぜ!あんた、巧だから…『たっくん』なんてどうだ!?」
「たっ…!?」
おまけに、まさか異世界でこんな呼び方をされるなんて夢にも思わなかった。戸惑いは隠せないが…そこをイッシンがフォローに……
「…た、『たっくん』さんに、失礼ですよ。仮にも、歳上に。」
「おいお前…」
まわることは無かった。まぁまぁ、予想外の展開だがこの程度に突っ掛かっていても仕方ないと『好きにしろ…』と巧はたっくんに折れた。その様子にリンドウはゲラゲラと笑い、サクヤは拍子抜けをした顔をする。
さて、楽しい時間はいつまでもとはいかない。
「おーい、新人ども。自己紹介は済んだか?そろそろ、楽しい楽しい任務の時間だ。」
リンドウの言葉に一気に全員の顔が冷水をかけられたように引き締まる。残念ながら、今は楽しいピクニックではなく死と隣り合わせの任務なのである。
「今回の相手はコンゴウ……中型のアラガミだな。本来なら群れを為す知能の高い奴だが今度の任務では単体で確認された。そこで、新人諸君は実践も兼ねてこれを討伐してもらう。今回はサクヤがバックアップにつくが、オウガテイルといったザコとはわけが違う。くれぐれも油断はするなよ?」
「おい、リンドウ。お前は何を…」
「ん?ああ、俺はこのあとちょいとお忍びのデートに誘われててね。」
全く、この男は…。呆れていた巧だが、ふと目線をずらすとサクヤが心配そうな表情でリンドウを見ていたことに気がつく。『デート』…なんて言っているが何となく違う意味合いがあるのではと少し察したがこれだけでは流石に全ては解り得ない。
そして、リンドウは去り際に部下たちに告げる…
「んじゃ、命令はいつもの3つ。『死ぬな…』『死にそうになったら、逃げろ…』んで『隠れろ…』運が良かったら『不意をついてぶっ殺せ!』…良いな?」
「リンドウ、それ毎度ツッコミを入れるのも面倒だけど4つじゃない。」
「ん~…じゃ、細かいことは気にしないってことで。全員、生きて帰れ!勿論、巧…お前もな!」
すると、彼はそそくさに去っていった。ただ、巧は自分に念をおされるなんて思っておらず、…返事を返すことが出来なかった。
さあ、いよいよ任務の開始だ。真っ白な雪の絨毯の上に降りた一行は寂れた廃寺をゆっくりと辺りを警戒しながら進んでいく……
「コンゴウは聴覚がとても鋭いの。知能も高いし、死角から私達の様子を窺ってるかもしれないわ。注意して!」
背後からサクヤの警告が届くが、聴覚云々と言う割には彼女の声はよく通るので如何なものかと思う巧…。ただ、デカイ相手が奇襲をしかけてくると一気に一網打尽にされる可能性もある。彼はオルフェノクの力に加えてゴッドイーターになったことで更に鋭敏になった感覚を目を閉じて研ぎ澄ます……
近くにいるなら、何処かに隠れているはず……
「…たっくんさん?」
イッシンが心配してくる…。その先…古い寺院跡の上……
『ハァ…ハァ……!!』
確かに、異形の荒い息遣いが聞こえた…!
『グルァァ…!!!』
「「「!」」」
サクヤと新人たちはすぐに飛び退き、そこへ巨体が獲物を粉砕しようと着地する。赤い面をつけたようなゴリラらしきボディ……
「気をつけて!コンゴウよ!!」
…コイツが討伐目標のアラガミ『コンゴウ』。ヴァジュラより一回りくらい小さい中型種…背中の4本のパイプに裂けたような口に牙がズラリと並ぶ様はまさに異形。だが、この程度で巧はビビらない。
「…このくらいのデカさなら、大したことないな。」
シャンッと軽く槍を振ると彼は躊躇いなく、突撃していた。サクヤが止める間もなく、懐にブスリと撃ち込み間髪いれず頭をシールドパーツで殴りあげる!
「ちょっと!?神機をそんな乱暴に使ったら…!?」
これには、コンゴウは愚かサクヤすら悲鳴をあげざらえない。まあ、巧にとって何処ふく風だったが……
そして、ゴロゴロと転がったコンゴウへ片手を軽く降って追撃を迫ろうと刹那…
『オオォ……!』
まだ終わらんと異形の背のパイプから風が漏れだした…。はて?と歩を止めた巧…そこへ、サクヤの悲鳴が響く!!
「よけて!風のブレスよ!」
「!」
瞬間、勢いよく飛び退くと弾丸のような竜巻が巧をかすめた。あと少し遅かったら直撃をもらっていただろう。
こうなれば、流石に見ていられないとサクヤが援護射撃のスナイプ。雷の閃光がコンゴウの頭蓋を貫き、心臓部のコアを粉砕した。
『…グゥ……!!!』
崩れ落ちる異形の肉体。最初こそ驚いたが、最期はあっけないものだった…。
「…なんだ、意外と拍子抜けだな?」
「ふざけないで!?私の援護が無ければ……!」
サクヤはカンカンだった。初めて組むメンバーかつ、新人を含めた任務であったのにいきなり指揮を待たず独断専行をされては仕方ないことだろう……おまけに、貴重な武装である神機を乱暴に扱われては……
『ググルァ!!!!』
「!」
その時、サクヤの頭上からもう1体のコンゴウが…!不意を突かれたサクヤは逃げられず、すかさず巧が彼女を突き飛ばしてチャージスピアの装甲を展開。間一髪で異形の剛腕を防ぎきる…!
「…戦いに集中しろ!」
間一髪…でこそあれど、今の状況は芳しくは無かった。やはり、相手はアラガミでゴリラのような姿だけあってパワーも馬鹿に出来たものではなく…ゴッドイーターになった巧ですら圧されていく…!
まずい!と思った巧はすぐさまウルフオルフェノクへと変身。逆に力任せにコンゴウを押し返してみせた。
『さあ、来いよ。』
調子が良い。ゴッドイーターになって更に……
自分は戦闘狂なんて微塵も思っていないが、高揚感が彼の闘争本能を煽る。もっと、存分に力を振り回し…昂り…引きちぎり………!!!喰らえ!!!!と……
『ッ!!!』
それに、反応するように展開するチャージスピアの刃。刹那、つむじ風と彼は消え…同時にコンゴウの背中のパイプが吹き飛ぶ!直後、異形の背後にヒラリと着地するウルフオルフェノク。
『ちっ……浅かったか。』
『オォオオ!?』
浅かった…あくまでもウルフオルフェノク感覚ではだが、喰らった側からすれば別。コンゴウはすぐさま、悲鳴をあげて寺を飛び越えて逃走していった。
「逃がすか…!」
PPPPPP……
「誰?こんな時に…!」
いざ、追撃せんとしたサクヤ…しかし、よりによってタイミングを謀ったように鳴る端末。おまけに相手は支部長からのようだ……無視するわけにもいくまい。
「はい、こちらサクヤです。……緊急事態?…なんですって!?」
『?』
何やら雲行きが良くないようだ……ウルフオルフェノクは槍をおさめて、巧の姿へと戻ると眉を潜める…。すると、任務開始より険しい顔をしていたサクヤが更に厳しい顔をして口を開く…。
「乾くん、このミッションは中止。支部長から直接、緊急ミッションの依頼が来たわ…。そして、とりわけ急ぎの……」
Φ Φ Φ Φ Φ
極東支部付近北方上空……
フェンリル輸送機内、格納庫にて溜息がひとつ。荷物がひしめき、薄暗い空間にて少女は呆れと面倒臭さを口から吐き出しながら相棒の入っている身の丈ほどあるアタッシュケースを持ちあげる。
(まさか、対策で組み込んでいた輸送機の偏食因子に逆に反応して大群が寄ってくるなんて……)
パチンッ!と留め金を外せば深紅のボディに黒く輝くガトリング銃身の相棒。これを取り出すやアタッシュケースは適当にぶん投げ、ゆっくりと雲の上へと開いていくゲートへ向かう。すると、荒れ狂うような突風が身を撫でていくが怯むことなく見据えるは夜明け前の遥か雲の彼方……
…これに紛れて蠢く無数の黒い影。
「ふぅ……あらまあ、大量ですこと。」
なびく銀の髪を抑えながら、彼女は呟く。数が多い……?それがどうした?
…別に、全て倒してしまえば問題無い。
【アリサ、極東支部にも支援は依頼してある!くれぐれも、無茶はするなよ!?】
「平気ですよ、オオグルマ先生。私の実践での実力を極東の方々示す良い機会ですしね。とっとと、片付けますよ!!」
イヤホンタイプの通信機からの恩師の心配する声…まあ、無用なものだが笑顔で応えておく。
そして、腰に命綱がわりのワイヤーをフックで繋げ、相棒の銃身を明るくなっていく空へとガチャリ!と向ける。負ける道理など無い……数は多くとも相手は雑魚の寄せ集めだ。この『新型』で最も優れているゴッドイーターたる自分に勝とうなど笑わせてくれるというもの。
「ハラショー………………アリサ・イリーニチナ・アミエーラ、敵を殲滅します。」
さあ、任務〈ショー〉の始まりだ……。
極東より遥か北の地、ロシアより……新たなる新型神機使い、『アリサ・イリーニチナ・アミエーラ』は高らかに叫んだ。
「…」
……そんな様子を彼女に気がつかれず、無言で見つめる人影。
その手には『SMART BRAIN』と刻まれた銀に鈍く輝くアタッシュケースが握られていた。
Φ Φ Φ Φ Φ
……To be continued
ま た せ た な (謝)
今回は前編だぞ!フラグだぞ?
そういえば、ラケル先生の中の人って確か子供の頃……
記憶違いだったら申し訳ない。
感想おまちしてます。
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