仮面ライダー555vsGE ~神喰らう者と紅の閃光~   作:ジュンチェ

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第弐話 後編

 

「おいおい、マジかよ。」

 

巧が口から溢してしまうのは無理もなかった。支部長からの緊急ミッションということで慌てて引き返して、極東支部から輸送ヘリ…そして、現在・極東支部北方空域付近上空。眼下は真っ白な雲が荒々しい雪原のようである。別に巧は高所恐怖症なわけではないのだが……悪態を突きたくなる理由とは…

 

「全く、洒落にならないわね……この数。」

 

歴戦の勇士のサクヤすら呆れるほどのアラガミ…………アラガミ…アラガミアラガミアラガミアラガミアラガミ。例えるなら、地面に落ちた飴に群がるアリの大群か腐肉に集る蝿の数百倍といったところか……

種は黒い卵型のボディに禍々しい単眼と女神像がついた『ザイゴート』。肉体がパックマンのようにバックリと口が開くから気持ち悪い。しかも、これが数えるのもうんざりするような群が輸送ヘリより遥かに大きい輸送機を覆い尽くさんばかりにいるのだから吐きそうになる…。

 

「なあ、これ全部か?相手にするの……?」

 

「ええ。今回の任務は救出だから、免れないわね。」

 

サクヤからの確定通告。それにしても、この数をどうやって相手取るというのだろう……このヘリからでは無理があるのでは…

 

「まず、乾くんとイッシンくんには機体に直接、飛び移ってアラガミの駆逐を。私は後方から援護するわ。良いわね?」

 

……本当、無茶を言ってくれる。テメェもやってみろよソレと言いたいところだが、口に出すより早くヘリが上昇していき言い損ねてしまった。畜生め…

 

やがて、輸送機の頭上へとやってきた彼等はあるものを目撃する。

 

「サクヤさん、巧さん、あれ!!」

 

イッシンの叫びに目を凝らせば既に機体の表面に張り付き、戦っている少女が。赤の帽子にミニスカ…だが、深紅の神機を振り回し…迫りくるザイゴートたちをバッサ、バッサ、と切り捨てている。

 

「彼女が今回の最重要対象ね。良い?なんとしても、あの娘は連れ帰るのよ。」

「うっす!」

 

「…」

 

とにかく、援護をしなくては……

後方支援はサクヤに任せて、輸送ヘリから飛び移る巧とイッシン。手短なザイゴートをぶち抜いてクッション代わりにすると、アリサは彼等に気がついた。

 

「極東支部からの増援ですか…?」

 

「そうっす!只今から援護にうつりま……」

 

イッシンはすぐに彼女へ駆け寄ろうとしたが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「必要ありません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

……はい?

 

 

 

「うろちょろされるとかえって邪魔です。役立たずは引っ込んでいて下さい。」

 

「いやっ……あの…その……」

 

何故?いきなり初対面から役立たず言われたんですが……

戸惑うイッシンを尻目に神機の深紅のブレード刀身を収納し、ガトリング銃身を展開するアリサ。そのまま、盛大に弾を轟音をたて雨霰と撃ちまくりザイゴートの一団を叩き落としていく…。

 

「……次ッ!!!」

 

そして、身体を反転させると腰についている命綱のベルトを伸ばして機体の側面へとダイブ。張りつくザイゴートをえげつない銃撃で蹴散らす………更に、またブレード形態に神機を戻すと駆け上がりながら、異形をなぎはらってまた機体の背に着地した。

 

(すごい……)

 

イッシンは息を呑む。同じ神機使いでありながら、彼女は遥かに先を行く…例えるなら、刃の先端のように鋭利に感じられた。これに自分が続かねばならぬのだと……

 

「…何、ジロジロ見てるんです?」

 

 

 

「……あっ、いや…」

 

そんな視線に気がついたのか、アリサは苛立ってしまったようで慌てるイッシン。その時……

 

 

『シャアアッ!!』

 

「!?…ちいッ!!!」

 

不意をつき彼女の背後からザイゴートが襲いかかる!咄嗟に銃身を反転させようとしたアリサ……

 

 

 

 

 

 

ズビュッ!!!!

 

 

『ギィ!?』

 

「!」

 

だったが、寸前で槍が異形の肉を後ろから串刺しにして投げ棄てた…。そこには、チャージスピアを構える巧が睨みつけるように立っている。

 

「おい、クソガキ。役立たずかどうかはちゃんと見てから判断しろ。」

 

アリサも佇まいからして判った……この男、ただ者ではない。イッシンとは違い、存在感に重みがある…そう経験によって積み重ねられた風格の重みだ。

されど、アリサはそう易々と臆したりなどしない。

 

「へえ?貴方が、3人目ですか…?随分と偉そうですが…極東は先輩を敬うのがしきたりではないんですか?」

 

「あ?」

 

「神機使いになったのは私が先ですよ?なら、私を敬うっていうのが筋じゃないです?」

イッシンは二度めの絶句。信じられない発言の二発目はよりにもよって巧に……これは怒るだろう。胸ぐら掴んだりワンパンしてもおかしくない……

 

 

しかし、巧は……

 

 

「ハッ……笑わせんな。」

 

「…?」

 

少女の煽りを鼻で笑いとばす。何故なら……

 

 

「俺のほうが、歳も…そして、人間を守ってきた数もお前みたいなひよっこより遥かに上だ。大口叩くなら、世界の危機の2つや3つ…乗り越えてみせろ!」

 

 

ゴッドイーターとしては後輩でも、彼は彼女より長く生き…その分、救ってきたのだ……『仮面ライダーファイズ』として…幾度となく世界の危機を…多くの人を………

それが、たかが十代のピーピー言っている高飛車な小娘の戯れ言など真に受けるものか。

「ふんっ!」

 

勿論、口だけではない。巧は勢いよくザイゴートたちへと立ち向かっていき、アリサの倒した数に迫らんと次々と斬り裂いていく…。対して、アリサは不快そうにしながらも銃身を構えて目の前の異形の軍勢を見据える。

 

「…何ですか、それ。まあ、良いでしょう…お手並み拝見といきますか!!」

 

 

 

 

 

 

 

(俺……完全に蚊帳の外ッス……リンドウさん。)

 

 

 

因みに、誰も孤独感に苛まれるイッシンに気を留めてなかった。

 

 

 

Φ Φ Φ Φ Φ

 

 

 

 

 

 

 

……その頃、ヘリではサクヤが狙撃を必死に行い…巧やアリサの手の届き辛いところへのフォローへとまわっていたが、あまりのザイゴートの多さに焦りを感じていた。全く迎撃が追いつかないどころか、時が経つにつれ増えるばかり……これではキリが無い。

 

(この数、いくらなんでもおかしい…。何処かにこの群れを率いるボスがいる?)

 

なら、可能性としてあげられるのはボスに相当する個体。アラガミは神なんて呼ばれているが、無機質な物体でもなくエネルギー体でもなく『生物』であるのは確か。殺せば、そのアラガミは死ぬ……

故かは知らないが、時たまにライオンや狼のように群れを率いる強い個体がいたりする。取り敢えず、アラガミに性別の概念や機能は無いようだが強い個体ほど自らに並ぶアラガミや数多の下級クラスのアラガミを引き連れていることがたまにあるのだ。それは、単体でいることよりも狩りの成功率をあげ…最低限の犠牲で被害を抑えることもできる。……ならば、この大群の中にボスに相当する個体がいてもおかしくはない。スコープのレンズをあちこちに向けてザイゴートの影を掻い潜るように捜し………ついに……

 

「見つけた!………あれは、サリエル!?」

 

ザイゴートよりも巨大で…雲に紛れるように飛翔しつつも、圧倒的に違う存在感を放つ青のドレスを纏う令嬢のような異形。一見、華やかなで見とれてしまいそうになるが…冠の単眼はザイゴートと同様は間違いなく人に仇なすアラガミ。その名は『サリエル』……ザイゴートの進化したと言われるヴァジュラに並ぶ大型種。

(あれが、この群れを………でも、ここからじゃ!!)

 

しかし、見つけたとてサクヤの射程圏からはあまりにも離れ過ぎている。これでは弾丸も有効なダメージを与えられない。

 

「ねえっ!もうちょっとヘリを寄せられない!?」

 

「無茶言わないで下さいよぉ!!こっちも袋叩きにされちまいますよ!!!!」

 

ダメ元でパイロットにヘリを近づけるように頼んでみたが、危険すぎるとやはり無理。さあ、どうする?サリエルを倒すなり撤退させれば群れは散々になるだろう……されど、今はこの手を打つ手段が無い。こうなれば…と、サクヤは通信を繋ぐ。

 

「イッシンくん、きこえる?」

 

【こちら、イッシン…どうしたっスか?】

 

「北東の方角に群れを率いているボスがいるわ!そっちから、狙撃できない?」

 

【はぃ!?無理ッすよ!!今、どんな状況かわかってます!?】

 

「こっちからじゃ、有効射程外なの!どうにかならない!?」

【俺の銃身は、ショットガンだから無理ッす!アリサちゃんはアサルト………あっ、たっくんは確かスナイパーだったはずッス。】

 

よりにもよって、面倒な奴に…。仕方ない、任務が何よりも優先と巧に通信を繋ぐことにした………

 

 

 

 

 

Φ Φ Φ Φ Φ

 

 

 

 

「………全く、新人だからって人使い荒すぎやしねぇか?」

 

飛び交うザイゴートたちを斬り刻み、愚痴る巧。おまけに、狙撃までしろとかこんな人食い風船軍団の真っ只中で正気とは思えない。

というより…

 

 

「………銃ってどうすんだ?」

 

 

隣にいたアリサは呆れたと溜息をつき、見かねたイッシンが駆け寄って銃形態の展開について教える。

 

「あの、ガンフォームはですね…ここをクイッと………」

 

「これか?」

 

すると、ガチャン!と音を立てて巧の槍は刃先を鍔へと収納し…入れ替わりに細く長い銃身が刃があった所へ展開された。成る程、これが銃形態というやつか。…って、感心している場合じゃない。スコープを覗きこみ…ザイゴートの群の先にいるサリエルを狙う………

 

が………

 

 

『シャアアァァァ!!!!』

 

「うおっと!?」

 

不意にザイゴートが頭上をかすめ、その拍子にトリガーを引いてしまい弾丸はサリエルをかすめていってしまった。無論、そうなればどんなに馬鹿な相手でも狙われていることに気がつく…。

 

『ォオオオ…!!!』

 

すぐさま、自らの軍団に指示を出すサリエル。敵は自分に照準を向けた愚か者たち………ボスの一声で黒の異形たちは大挙として津波のように巧たちに押し寄せてくる!

 

「うおっ!?」

 

「くっ!」

 

咄嗟にイッシンとアリサは神機の盾を展開し、死の波を耐える…しかし………

 

「ぐっ!?ううう…!?」

 

銃形態のままガードをしていた巧はザイゴートの群に押されていってしまう。彼は知らなかったのだ………銃形態では盾が展開できないことに…

やがて、輸送機の隅まで追いやられ…足がズルッと空へと滑り落ちて………

 

 

「何やってるんですか!?」

 

いく直前、少女の手が巧の腕を掴む。間一髪、アリサに助けられ…彼は引き上げられた。これを見かねたイッシンが叫ぶ!

 

「一旦、退きましょう!体勢を立て直さないと………!」

 

リンドウと同型のチェンソー刀身を振り回し、迫りくるザイゴートをバッサバッサと斬り捨てていくか…いかんせん、数が多過ぎてキリがない。巧やアリサも銃形態で応戦するも、すぐに弾が尽きてザイゴートたちに囲まれる。

 

「あらあら、逃がしてくれそうもないですね。」

 

「くそっ………」

 

 

 

巧は思う………こんな時、『アレ』があれば………

 

『アレ』さえあれば、こんな数の不利など容易に突破が可能なのだが………それは、故郷たる異界へ置いてきてしまったのだ。無いものねだりしても仕方ない…

 

 

 

 

だが………

 

 

 

 

 

【Battle mode】

 

『Bi』

 

 

輸送機の倉庫でムックリと起き上がる重厚でメカメカしい影。人形のボディを動かし、閉じかけているハッチに向かうとバイザーアイをチカチカと光らせる………今、この先には自分の『主』がいると………

 

「…?」

 

同時に、巧も気がついた。何処かで聞き覚えのある音声が異形の合間から確かに響いてきた…。されど、ありえない…アイツは居ないはず…

 

なのに………

 

 

 

『Bi』

 

 

…顔をあげれば平然と自分の目前を飛んでいるのは何故だろう?あと、車輪の盾がこちらに向いている………まさか…

 

「おい、お前ら!!伏せろ!」

 

 

…巧の一声に何事かとイッシンとアリサ………されど、アイツは待たず………

 

 

 

ババババババババババババババババババババババババババババ…!!!!

 

 

「「ちょっ!?」」

 

 

盾から容赦なくマシンガンを放つ。イッシンはあわててシールドを展開し、アリサは身を伏せた…

おかげで、ザイゴートはろくに傷は与えることは出来なかったものの…集中した陣形を崩し、離散していく…。そして、巧の前にかつて共に戦い抜いた『相棒』がジェット噴射しながら舞い降りる。

 

「…やっぱり、お前か。」

 

『Bi』

 

銀のボディが心なしか誇らしげに見えるのは気のせいだろうか…バイザーアイを輝かせる人間よりにも一回り大きいくらいのロボット。背中と左腕のバイクの車輪らしきパーツがなんとも印象的でイッシンは胸の『Φ』のマークとかカッコいいな…とか戸惑いながら思っていると………

 

「当たったら、どうすんだよ!」

 

 

ガンッ!

 

「「!?」」

 

 

巧はこのロボットを蹴っ飛ばした………うん、何の躊いもなく蹴飛ばしたのである。一応、助けたのにあんまりな扱い………流石に、アリサすら唖然としていたが…ロボットは立ち直ると平然と立っていた。

「…というか、なんだってここに………」

 

それはそうと、巧はコイツが何故ここにいるかが分からなかった。この世界に来る前、まだ生きていた仲間に諸々と一緒に託したはず…でも、目の前のコレは間違いなく本物の『オートバシン』である。

 

 

 

 

「よう………」

 

 

 

すると、不意に新たな人物の声に巧は振り向いた…。そこに立つのはベルトからオレンジに輝く2本のフォトンストリームが巡る…すでに変身する者がいないはずのライダー………

しかし、顔を『Χ』のラインが走る紫の複眼を輝かせるはこちらも間違いなく『仮面ライダーカイザ』であった。彼は銀のアタッシュケースを投げ渡すと短く要件を伝える。

 

「忘れ物だ。」

 

「!」

 

何ということだろう…確かにそれは自分が置いてきてしまった『忘れ物』。留め金を外して開ければ確かに見慣れた銀のメカメカしいベルトに時代遅れな折り畳み式な上に大きめな携帯電話……その他にカメラや望遠鏡など……

 

知っている。自分と一番最初の世界の危機から何度も運命と死線を潜り抜けてきた相棒だ。

 

「…感謝しろよ?なっ、巧?」

 

…これを持ってきたカイザは何者なのか?本来の所持者はとっくに死んでいる。ましてや、本来の主ならこんな軽い調子なわけが無い…むしろ、もっと追い込まれるのを待つか見殺しにしていただろう。また、別の変身者ならば…『自分と同じ(=人であらざる者)』ということ。誰なのだ…?

 

「お前…」

 

「あ?もしかして、わからない?俺だよ、俺?なぁ?おい…!?」

 

…いや、誰だよお前?

あ、そういえば何となくこんな奴いたような…

 

「ちょっと!?3人目!!!何してるんです!?」

 

とっ…………ぼやぼやしていたらアリサの怒号が飛んできた。まあ、ここは戦場なのだから仕方あるまい…むしろ、変に場馴れしてしまい余裕がある巧がある種おかしいのか……

 

やれやれ、と溜息をつきながら愛槍で寄ってきたザイゴートを飛行機の装甲に縫いつけてアタッシュケースの中身…『ファイズギア』をとって腹に巻く……

 

「待ちくたびれたぞ。」

 

別にコレに意思があるわけではない。でも、何気なく話かけてしまうのは愛着があるからだろう……

滅多に見せぬ仏頂面から垣間見える微笑を覗かせ、携帯電話『ファイズフォン』に【5……5……5……】と入力し、最後にEnterをプッシュ…

 

 

【Standing by…】

 

キレのある電子音声にサイレンのような駆動音は準備完了の証。ファイズフォンを再び折り畳み、頭上に掲げて彼は叫ぶ!

 

……幾度となく、世界を救ってきた仮面の英雄たちが口にする言葉!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…変身!!」

 

 

 

 

 

【Complete】

 

 

 

 

To be continued……

 

 




お久しぶりです。

更新停止したと思った?残念、まだ生きてたよ!!


今回の話を纏めると。


たっくんのゴッドイーター人生は短かった………←


もう嫁と相棒もきたから槍なんていらない子。きっと、自害にしか使わないんだから!たっくんにランサーの適正なんていらない!

ギル「解せぬ。」

レンゲル「解せぬ。」


さてさて、今後なんですか…秋から冬にかけて私の職場が繁忙期になりますので更新は全体的に更にペースが落ちます。(なんか毎度、あとがきがこんなかんじ………?ふむ、知らんな(キリッ))
もう会社の休み時間も事実上の電話番で全く執筆できないっす………くっ!!

最近、精神状態も安定しないのもありましてね。でも、これを執筆の発想のバネにしていけたらと思います。


なんかゴッドイーターそのものに触れたのが随分な昔な気がするけどファイズGEは更新しますよ!だから、感想よろしくぅぅ!!!!




………あ、FVAにもたっくん出す予定。(このたっくんじゃないけど)
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