黒鴉と親殺しの神 (更新停止中)   作:ウィキッド

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プロローグ三話目です。



プロローグ 3

 ――暗闇の中をただ落ちていく。黒野の視界は一面黒に染まっている。唯一見えるのは自分の体のみ。

 ああ、スキューバ―ダイビングをしている人ってこんな感じなのだろうか?

 不快な気持ちはないが、同じ光景が続く状況に対する飽きと、少しの寒さが気になった。

 

 そんな黒色の中、一つの光輝く球体が見えた。意識的か無意識的な行動かはわからないが温かそうなその光に手を伸ばす。――瞬間

 

 ノイズが走る、ノイズが走るノイズが走るノイズがノイズがノイズがはし、はし、走る走るハシルルルルルるるる。

 痛い、痛い、痛い。頭が痛い腹が痛い手足が痛い全身が痛い早く痛みをなくさないと狂う狂う狂う! はやく!

 

――どうやって?

 目覚めろ

――何から?

 目覚めろ

――何のために?

 目覚めろ

 

 訳も分からないまま深い闇の中を落ちていく。永遠に続くような痛みの中ただただ落ちていく。

――それでも手の中の光を離さないよう強く、愛おしく握りしめながら。

 

 コツン、と頭に軽い衝撃が響き、目を覚ます。辺りを見回すと暗闇はなく、そこは食堂だった。そして目の前にはこちらの意識を覚醒させた張本人、柳胴一成が教科書片手に立っていた。

 

「珍しいな、お前がこんなところで寝ているなんて」

「あ……れ? 一成?」

 

 声が枯れている気がする。一成もそう感じ取ったのか心配そうな視線をこちらに注ぐ。

 

「大丈夫か?」

「んーなんとか。あー、あー」

 

 

声の調子を整え、いつもの声に戻す。

 

「そうか、無理はするなよ。俺は用事がある。次は起こせんぞ」

「わーってるよどうも」

 その後、一成と軽く世間話をし、首を回して鳴らす。ほんとに調子が悪い、早退も考えるか?

 

「おお! 小生の親友、岸波! どうしたのだいったい!」

 

 食堂の辺りをどでかい声が響く。その声の主を想像し俺の頭痛を悪化させた。

 

「うるせえよガトー……」

「それはすまない! ついつい場所を考えずに叫んでしまった。しかしそれはしょうがないことなのだ! このモンジの友が不調に陥っているのだからな!」

 

 無駄に暑苦しく、そして無駄に声が大きく身体も無駄に大きい。そんな3つの無駄をもつ男臥藤門司(がとうもんじ)。通称ガトー。

 

 こいつとの出会いは確か……そう中学が同じだった。それである事件から仲良く、正確には一方的に近寄ってくるようになったんだな。

 そんなことより頭が痛い、こいつのデカい声も合わさって割れそうだ。頭が。

 

「その友の願いだ、少し静かにするか立ち去れ周りに迷惑だ。後俺にも迷惑だ」

「む、そうだな。だが小生は腹を満たしに来たわけではないのだ。用事を終わらせたらすぐに立ち去るゆえ気にするな!」

 

 仕方なく話を聞いてみる。これ以上周りの冷たい視線に耐えられる自信がない。

 

「用事って?」

「おまえの弟君が先ほどこれを落としてしまっていてな! 渡そうと思ったのだが既に見失ってしまった!」

「あん? 俺に弟なんていない」

 

 

 

――本当に?

 

 

「……いないはず」

「あと、これは独り言だが、”真実にたどり着くには痛みを、苦しみを伴う必要があるのだ”。では今度こそ後免!」

 

 俺に黒色の財布を渡しガハハハと豪快に笑いながら食堂から姿を消した。

 

「何だったんだあいつ? というより制服姿じゃなかったな」

 

背中に唐笠を身に付け、数珠をいくつも首にかけていた。まるで僧だ。

 

 いつも変な奴だったが今日は格段に変だ。

 

「それにしても」

 

 やかましい奴と会ったからか頭痛が余計ひどくなった気がする。ノイズもやまない。

 

「仕方ない、保健室で薬もらわないと……」

 

 

 財布をポケットに押し込み、鉛のように重い体に活を入れ食堂を出た。

 

 階段をこけそうになりながらも登り切り、廊下をふらふらと歩く。熱でもあるのだろうか? 体が火照っている気がする。

 カラカラカラと扉を開ける。そこには桜ではなく、カレンがいた。

 

「あら、どうしました黒野先輩」

 

「ちょっと頭痛がしてな」

 

 普段だったら軽口をたたくが悪いがこちらにはそんな余裕はない。素直に病状だけ伝える。

彼女もこちらの様子を察してかすぐに対応をしてくれた。

 

「では頭痛薬を」

 

 素早く戸棚から錠剤の入った薬を取り出し、渡される。さすが年下でも保健委員、こういうことは手慣れている気がする。

 

「水なしでも大丈夫です」

 そういわれゴクリと四錠ほど飲む。苦い。

 

「……先生には私から伝えますから休んでいってはどうですか?」

「ああ、お言葉に甘えさせてもらう」

 

 偶にはいいだろう。このままではどうせ授業など集中できない。フラフラと整えられたベッドに向かう。心地よかった。

 頭痛薬の副作用に睡眠作用もあったせいだろうがすんなりと眠りの世界に落ちていった。

 

 

「黒野! 起きなさい」

 

 肩を揺さぶられる感覚にゆっくりと目を開く。そこには同級生の幽香と、生徒でもないのに何故かいるガトーの姿があった。

 

「あれ? 幽香。それにガトーも」

 

「バゼットさんから聞いてまだ教室にいるだろうと言われたから見に来たらまさか寝ているとはね」

 

「その気持ちはわからなくもないぞ岸波よ。睡魔とは仏陀を惑わすマーラのよう! しかし! それに打ち勝ってこそ!」

 

 叫びをあげるガトーに幽香の蹴りが炸裂し無理やり黙らせる。おいおいそれでも一応年上なんだぞ? そいつ

 

「あつっくるしいわね! ほんとに」

 

 確かに暑苦しかったが男の象徴を蹴り上げるのはどうかと思うぞ? しかもたしかお前のその靴、鉄板入りの安全靴だったよな? 不能になるんじゃないか? ガトーの奴。 

 

「ほら、帰りましょ」

 

……まぁどうでもいいか。

それより早く帰って夕飯の準備しなくちゃな。

姉さんが作ると石のように硬いものになったり、味がなかったりするからな。

 

「それにしてもうなされてたわよ? 貴方。嫌な夢でも見たの?」

「ん? ああ。たぶんそんな感じ」

 

 

「なによそれ」

 

変なの、と笑う彼女を見ながらのんびりと歩いていく。

 

 

 

 

 

――――――――夢を見ていた。

 心地の良い夢だ。同級生と学校でくだらない話をしながら帰る。普通の日常だがそれはとても楽しかった。

 

――何かが欠けている。俺の中の決定的な何かが。

 

そう思った瞬間場面は変わる。

 先ほどまでの景色は完全に消え去り、周りは死体と燃え盛る建物の残骸のみ。死体は3歳ぐらいの子供から体の細い老人までその種類は様々だ。どれも苦悶の表情を浮かべている。

 

――その中心で唯一、俺は笑っていた(泣いていた)

 

 ノイズがひどくなる。早くこの光景が終わって欲しい。ここに俺が必要としているものはない。ここにいてはいけない、無駄な行動だ。

 なら目を閉じて、ぬるま湯の日常に戻ろう。傷跡は決して消えず、感覚も鈍くなるがその分味わう痛みは少なくなる。

 さぁ目をそらせ、目をそらせ、目をそらそう、目をそらせよ、目をそらせってば、目をそらすんだ。

 脳内で俺の声が鐘のように反響する。

 

 しかし俺はこの光景に釘付けだった。自分でもなぜこんなところにとどまるのか、そもそもこれが夢なのか現実なのかもわからない。

 

――だが、ここで俺は大切なものを見つけた。その事は覚えている。

 

 

 目の前の男は爪が剥げようが気にせず瓦礫をどける。見ていてこちらが痛みを覚えてしまいそうなほどに痛々しい。でも、止まらない。剥がれた爪から血が垂れ、赤く染める。だがあの男()は止まらない。それはおれ自身が一番わかっている。

 ならば自分が止めさせようかと思い、近づこうとしたが足が動かない。足元を見てみるが別段何も変わったところはない。

 不思議に思っていると場面は動き出していた。

 

「あ……」

 目の前の男が微かに漏らした声は驚きに満ちていた。

 

「……生きてる。生きてるっ!!」

 

 彼は泣きながらその子を抱きしめる。先程までの狂った様子はなく、ただ、ただただ愛おしく抱きしめていた。

 母親が我が子を抱くようなその姿を見て思い出す。

 

 

 そうだ、そこで俺は弱く小さい、けれども確かな希望を見つけたのだ。

 

 

 

理解した瞬間、ふと何かが自分の体から落ちた気がする。体が軽く、憑き物が落ちたというのはこういうことなのだろうかと思った。

 

 

『おい、待てよ』

 

 近づこうとすると後ろから声がきこえ、振り返る。そこには黒い靄が立っていた。輪郭もおぼろげなそいつは器用にも口元だけをはっきりと露わにし、歪に笑う。

 

『いまさら、現実を見たって辛いことしかないぜ?』

 ケラケラと靄は笑う。それを見て納得がいった。

 

ああ、なるほど。こいつは俺だ、直感的にだが理解した。現実から目をそらして逃げていた俺自身だ。

 

『ほら、今ならまだ戻れる』

 

 手をこちらに差し伸べる()の後ろには先ほどまでの幸せな風景が広がっている。差し伸べられた黒い手を見つめる。

 

――この手を取ればあの日々を過ごせるのだ。

 

『悩む必要なんてないだろう? ほら』

 

ああ、そうだな。悩む必要なんてない。

 

 俺は黒い手をつかみ、力強く引っ張る。当然靄はこちら側に体勢を崩す。そして顔に当たる部分に向かって俺は拳を振り抜く。

 

「テメェの出番はしばらくねぇよ」

『―――――――』

 つまらなそうな顔をした靄は俺の拳を受けてかき消える。

 

 もう、歩みを止める者はいない。

 後ろではありえない日常が消えていくのが見えた。

 

「……後悔はない」

 

 その光景を見届け、振り返り死体を乗り越え小さな男の子を抱きしめている俺に触れた瞬間、全身が光に包まれた。

 

 パチリと音が聞こえた。まるで今までついていなかったスイッチが切り替わったような音だ。ゆったりとした動作で体を起こす。今までになくすっきりとした感覚だ。

 

「カレン」

 

 机の前で仕事をしている彼女に声をかける。

 

「あら、先輩。どうしました?まだ数分しか経っていませんよ」

「行ってくる」

 

 一言。その一言でカレンは全てを察したようだった。表情は変わらないが、どこか悲しそうにみえる。

 

「そうですか」

 

 暗い雰囲気で別れるのも嫌なのでいつものように、そういつものように軽口を言うことにした。

 

「気の利いた言葉でもかけてくれると思ったのに、薄情だな。先輩は悲しいよ」

 

 からかい気味に言うとしおらしさ満点の表情から一転、ギロリとこちらを睨みつける。

 

「貴方が、勝手に出ていくのでしょう? 私から伝える言葉なんてないわ」

 

 手厳しいな、だがやっと俺の知っているカレンになった。

 

「そうだな。でも寂しいから俺からは一言」

 

 近づき、ぽんぽんと頭をなでる。

 

「サンキューな。お前は仮初だったかもしれないが最高の後輩だ」

 

 嘘偽りなく、本心を彼女に伝える。少なくともこの予選の中で彼女と過ごした時間は心が安らいでいたのだ。本音で気楽に話せる相手だったからだろうか。

「――」

「じゃ! 本選でな」

 

 珍しく呆けているカレンを尻目に、保健室の入り口に向かう。

「 Va cagare 」

 

 最後に何かつぶやかれたが、生憎と外国語はわからないのでなんと言っているのかはわからなかった。

 

「次にあったらもう一度意味も含めて教えてもらうからな」

 

 廊下には人影はなく、そのつぶやきは誰にも聞かれなかった。

 

 ノイズももう、聞こえない。

 

「ここ、だな」

 

 廊下の突当り、そこには何もない、いや何もないように見える。だが、俺の勘が伝えている。

 

 ――目を凝らせと。

 

 再び瞬きをすると何もなかったそこには扉が現れていた。ゆっくりと開くとそこには体育倉庫の中だった。

様々な運動用具が置かれている中、異質なものが一つ、それは人形だった。マネキンのような表情がない人形がたたずんでいた。

 

 

『ようこそ、新たなマスター候補よ』

 

 虚空から機械のような音声が聞こえてきた。

 

『君が真実を知りたいのならまずは先に進むといい。ゴールまでたどり着くことができたのならその願いはかなうだろう』

 

 

「……よろしく? 相棒?」

 

 人形は動かないままこちらを見つめている。妙に威圧感を感じさせるそれは少なくとも俺の呼びかけに反応する様子はみじんもない。

 

「なんか、顔ないとかわいそうだな。よし」

 

 たまたま持っていたマジックで顔を描いてみる。うん、意外とマッチしてる。

 

「……」

 

 「あいたぁ!」

 

 ドールの鋭い蹴りが頭を直撃し、視界が点滅する。こいつ……動くぞ!

 

『ふざけるのはかまわないが、早く進まないと予選が終了してしまうぞ?』

「それはごめんだ!ドール!いそげ!」

 呆れを含ませた声に促され急ぎ足で予選会場である扉を開ける。

 

 

 声の指示に従い四体のエネミーを倒した先にたどり着いたのは異質な場所だった。

 

 

「なんだこれは」

 

 今までのような一本道ではなく広い場所に出た。奥にはガラスでできた巨大な扉が三つ存在している。床にはまるで万華鏡を覗いた時のような煌びやかな模様が広がっている、だがそれよりも目に入るものがあった。

 

「死体、か」

 

 辺り一面骸だらけだ。年齢、男女問わず皆倒れている。特徴といえば全員同じ服を着ているというところか。

 

「そういえば俺の服も同じだな」

 

 現在の俺の衣服は茶色の学生服、ブレザーとでもいうのだろうか。それと同じく茶色のズボン。胸についている校章から学校指定のものだろうと予想できる。

「……まぁ、学校に通う年じゃないが、っと」

 

 今はそんなことを忘れ状況を確認することにした。

 生きているものは……

 

 ――カチャリ、そんな物音がかすかだが俺の耳に入った。

 

「ドール! 防げ!」

 振り返り、そう指示できたのは偶然だと思う、本能的反応といってもいいだろう。

 しかしドールの防御を砕くように強めの蹴りを浴びせられ俺はドールごと吹き飛ぶ。

 

「ちっ!」

 受け身をとって、即座に体勢を立てなおす。こちらの味方であるドールも同じく体を起こす。

 目の前のドールは体をきしませながらもこちらに歩み寄る。戦闘を続行する気は満々のようだ。

 

『予期せぬエラーが発生しました。至急、戦闘行為を終了してください』

 

 突然視界が赤く染まり、騒々しく警報が鳴り響く。どうやらシステムの介入のようだ。

 予期せぬ、ということはこれは運営側も予想外の事態なのだろう。ならすぐに修正されるだろう。安堵のため息をこぼし、緊張を少しほどく。なんとか助かったらしい。

 ――そう思っていたが雲行きが怪しくなってきた。

 

『予期せぬエらーガハッセイしました? しきゅう。シキュウせんtouこおおいをssuiryousitekudasssss』

 だんだんと音声が乱れ始め、ノイズが混じり一拍。

『エラーは除去されました。オールグリーン、依然問題はありません。至急戦闘を続行してください』

「……これで問題ないとか、頭湧いてんじゃないですかねぇ?」

 

 無機質なこの声はどうやら異常を止めることはできなかったようだ。視界からは赤が消え、警報もなくなったが依然、ドールは止まっていない。対抗するにもコードキャストはまだ使えない、理由がわからないが用意していた礼装がすべてないのだ。つまり絶体絶命。

 どうする、と逃げずにそう悠長に考えてしまったのが仇となった。

 

「――しまっ!?」

 

 俺はいつの間にか近づいていたドールに胸を貫かれていた。無機物の腕が俺の体の中に入る感覚を感じる。 

 その不快さと激痛に耐えられずに俺はゆっくりと体を倒した。

『どうやらこれまでのようだな』

 

 冷たい床の感触を頬で感じる。どうやら俺は負けたらしい。体から熱が抜けていく感覚、俺はこのまま消えていくのだろう。

 だが消滅までにはまだ時間があるらしく、俺の頭の中で声が響き始めた。

 

『あきらめよう。俺には無理だ』

 

 ――そうだな、俺には無理かもしれない。

 

『このまま体を起こさなければ楽になる』

 

 ――ああ、確かにそうかも。

 

『こんなことなら真実に気づかなければよかった』

 

――待て、それは違う。

 同調していた声に反論する。

 

『違わない。現にいま君は苦しむはめにあっている』

 

声は偉そうに語り続ける。

 ああ、そうだ。俺は絶賛苦しんでいる。諦めて全て終わりにしたい。だが、この結果には後悔などしていない。最善、とは言えなかったかもしれないがそこに一片の心残りはない。

 

 

 そう考えたら沸々と苛立ちと共に力が湧いてきた。痛みは変わらず続いて、身体の節々は錘がついているかのように重い。

 だが、起き上がれる。いや、起きあがるんだ。

 

 ――立て。無様でも、醜くても、カッコ悪くても、強がりでもいい。

 

「っ――」

 

 ――あきらめるな、歯を食いしばれ。この体はまだ動く、だったら死など乗り越えろ、決められた運命(fate)など笑いながらぶち壊せ。

 

 

「―――――ぁぁぁぁぁあああああああっっっ!!」

 

 視界が点滅する、目がくらむ。だが、立ち上がることができた。

 目の前には倒れた自分のドールとその犯人であるドールがいる。おまけにこちとら満身創痍の状態だ。さて、手詰まりだが、あきらめはしない。

 だってまだ、俺は報いていない。ならば生き抜かなければならない

 だってまだ、俺は戦ってすらいない。ならば足掻かなければ駄目だろう。

 

――そう、俺はあの地獄でそう誓ったのだからっ!!!

 

 

 

「人間にとって死とは越えられない絶対的なもの。ですがその死すら乗り越える傲慢さ! 気に入りました!」

 

 朦朧としている意識の中、凛とした声が響き、次いでガラスの割れる音ともにバサリと羽ばたくような音が聞こえた。

ゆっくりと顔をあげてみるとそこには明らかに”異常”な存在がこちらを見降ろしていた。

 

  ワインレッドの髪に、同じく血のように赤い目。喪服のような漆黒のドレスは胸元が大きく開けられ豊満な胸の谷間が強調されている。

 だがそれよりも目を引くのはその美貌でも、淫卑な体つきでもない。背中から生えている大きな黒い翼(・・・・・・・・・・・・・・・)だ。明らかに人間の物ではないそれは彼女の呼吸に合わさりピクピクと微かに動いている。

 そんな女性がトン、と軽やかな音ともに地面に舞い降りた。その際に黒い羽根が舞い落ちる。

 

「本来私は貴方のようなイケ魂に関わるのは魔道に堕とす時のみですが、まぁたまには良いでしょう。気まぐれです。神ですら助けないというなら私がこの魂……」

 

 背は自分よりも少し低めだが威圧感が桁違いだ。見ているだけで炎の塊を目の前にしているかのような熱さを感じている。そんな彼女はこちらを見たまま喋らない。

 どうしたのか、と思っていると彼女が口を開いた。

 

「チェンジで♪」

「なんでさ!」

 

これが彼女との、最高の相棒(パートナー)との出会いだった。

 

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