「おい!どうなっているんだ!」
某国の某機関、その研究所では今突如としてあらゆる機材が爆発し警報が鳴り響いていた。
「わ、わかりません!システムが次々とダウンしていっています!」
この研究所ではいつものように、いつものメンバーでとある研究を行っていた。そんな時に起こった突然の現象。日常の
「くそ!まだ外と連絡は付かんのか!」
「無理です!何度やっても繋がりません!」
無論中には有能と呼ばれる人たち、つまりはこんな事態でも冷静に対処できる人材も存在する。だが存在すると言うだけだ必ずしもその場にいるわけではない。
「一体どうなってんだ!」
こうしている間にも爆発したものから発生した火の手は進んでおり、周りは火の海に覆われていた。
『
火の海に覆われているその場に似つかない透き通った、それでいてどこまでも冷たいと感じてしまうほどに感情がこもっていない声。
「な!?だ、誰だ!」
『答える義理も、必要もない。貴方の
次の瞬間にはその場も炎の渦に巻き込まれ、研究所は余すところなく火に埋め尽くされた。
◆ ◆ ◆
「お帰り、クロエ」
私をそう呼んだ彼女、金髪のおねーさんはスコール。フルネームは知らないが周りからはそう呼ばれていたため別に気にはならない。
「ん」
軽く返事をして彼女の方へ持っていた扇子を向けた。
「相変わらず凄いわねそれ。どこに売ってるのかしら」
スコールに向けられた扇子にはただいまの四文字。
「売っていない。欲しいなら自分で作るべき」
「貴女も作ったんじゃなくて貰ったんでしょう?それ」
今度は扇子を裏返した。そこにも勿論文字があって、覚えてないの五文字。
「恩知らずねぇ」
「そんなことは無い。貴女には感謝している」
「全くもう、急に真面目な感じ出さないでよ」
事実、私は彼女に救われた。こうして居場所の一つとしていてくれているだけで自分にとってはこれ以上ない大切な存在である。
「むっ。失礼」
私の携帯のベルが鳴り響いた。私の携帯のベルがなるということはほとんどの場合が
「何?」
『私だ。お前に頼みたいことがある』
「えっ?誰?」
こういった場合はちゃんと名乗らないと。
『…千冬だ』
電話の相手は千冬、フルネームは織斑千冬。モンドグロッソ?とかなんとかの初代王者だとか。よく知らないけど凄い人らしい。
チラッとスコールの方を見てから電話口へと意識を移す。
「ああ、久しぶり」
『毎度毎度なぜ名前を言わなければならないんだ。お前ならそれぐらいわかるだろう』
「名前を言うのは礼儀。例え名乗らない相手が誰だかわかったとしても名前を聞くまではそちらの話は聞かない」
嘘である。彼女の場合はいつまでたっても自分の名前を言うのを恥ずかしがるため聞いているだけで、基本は聞いたりしない。
『…よくわからんな。まあそれはいいとして頼みたいことがあるのだが3年と長いものになる。時間はあるか?』
3年、か。
そこそこに長い。
スコールの方へもう終わり?と書かれた扇子を向け、彼女からの肯定の返事をもらうとまた電話口へと意識を移した。
「大丈夫。ただそれに見合う報酬を用意できるかが問題」
『それはこちらについてからお前に決めてもらう。何でも出すぞ』
ふむ。
彼女はなんとかの初代王者だ。金を要求しても十分な額が期待出来る。
「わかった。それでいい。でも住む場所は?」
『心配するな、それもこちらで用意してある』
なんと嬉しいことか。お家大好き。
「ありがたい。それで内容は?」
『私の弟、一夏のお守りだ』
◆
あれから日取り等を決めて電話を切るとスコールがどこかむくれていた。
「どうしたの?」
「随分と楽しそうに話してたわね」
そりゃそうだ。何か言えば反応してくれるのだ。私の数少ない楽しみ。
「彼女は面白い。話していて飽きない」
「…私は?」
「貴女も彼女も変わらない。私が信頼出来る数少ない友人」
当たり障りのない答えに満足したのか呆れたのか、彼女はむくれて顔をいつもの様な笑顔へと変えた。
「それで向こうは何だって?」
「ある人物のお守り」
「ふふっ、お守りってそりゃまた楽しそうね」
返事の代わりに差し出す扇子。
やったねの四文字。
「今度はどこへお出掛け?」
「念願かなって日本」
「やったじゃない。クロエは日本大好きだものね」
そうである。私は日本が好きだ。まだロシアにいた頃に出会った日本人が影響している。言わずもがな扇子はその人からもらったものだ。
「でも今から日本ねぇ。とするとお守りの対象は織斑一夏かしら」
「それは言えない。秘匿義務がある」
とかいいつつも手元にはご名答と書かれた物が。
「あらあら、それならもう彼には手出しができないわね。貴女と敵対してまで彼を手に入れる理由がないもの」
クスクスと笑った彼女は少し残念そうだった。
「何かいるなら言って欲しい。問題がなければ代わりぐらいにはなる」
情が湧いた、とでもいえばいいのだろうか。彼女とは短くない付き合いでそれなりに気にかけることもある。無論、それは彼女が私にとって気に入るに値する人間なのだからなのだが。
「あら、じゃあまたお相手をお願いしようかしら。最近はご無沙汰になっちゃってね」
嬉しそうにする彼女は可愛らしい。コロコロと表情が変わるから本当に見ていて飽きない。
「貴女の相手なら喜んで」
普段は表情を一切変えない私もついつい笑がこぼれてしまった。
◆ ◆ ◆
「遂に来た。とうとう来てしまった」
あれから数ヶ月、すぐに日本に行けるのかと思いきやまだ少し時間はあるとの事で様々な国を転々としていた。行きたくていったわけじゃないけど。おかげで指定の日より少し遅れてしまい千冬に電話先で怒られてしまった。仕様がないことなのに。私は悪くないぞ。
それまあ置いておいて遂にやってきた日本。これからが楽しみ過ぎて身体が疼いて仕方が無い。
さて、早く次の
世間というものに興味が無かったし、学校というものにも通った事が無いのだから見逃して欲しい。
でもおかげで学校というものには興味が湧いてきた。スコールも楽しんで来なさいって笑顔で言っていたけどそれと並行して日本語を教えてくれていたので勉強はしたくないと思った。間違えてはいない。もう一度言う、勉強はしたくないと思った。綺麗な笑顔であんなスパルタ教育されてしまっては誰でも思うことだと断言できる。いくらそのおかげで日本語が上手くなったとしてもあれはいただけない。隣にいた千冬そっくりの子の方が優しかった。普段イジメていたのだけれどあの優しさは心に染みた。これからは彼女に優しくしよう、そう心に誓った。結婚しても不倫する人が結婚式で誓う安い誓いじゃないぞ。人が水分を必要とするレベルで確かな誓いだ。
閑話休題。
そうこうしている間にIS学園が見えてきた。何でも世界最先端の学校らしいが基準がわからないため凄さがわからない。でも、あえて学園に何かを言うとするならば…。
「綺麗だな…」
私が今まで生きてきたのと同じ世界とは到底思えない程に和だ。綺麗な水があり、緑が生い茂る自然。これはまた良いところに来たものだ。
それからはお客さん着きましたよ、と運転手の人が声を掛けてくるまではこの和な地に身も心もを預けていた。身は車にだけど。お駄賃を払い車を降りると目の前には学園の門。と、その前に立っている鬼。
「遅かったな」
これは確実に怒っている。私は悪くないというのに。
主人公の容姿を未だに決めかねている今日この頃。
悩むなぁ。
ロリか、スレンダーお姉さんか。
ボンッキュッボンッなのは初めから除外されてますけど。