クロエの過去はいずれ出します。
今回は後半にレズ表現あります。
R15、GLタグをつけているので無理な方はいないと思いますが、もしいたら後書きまで飛ばしてください。
3行でまとめます。
千冬の話が始まってしばらくするとお腹が痛くなってきた。今すぐウォータークローゼットへと駆け込みたいのだがそんな事が言える雰囲気ではない。だが日本のお侍さんはこんなことを言っていたと聞いたことがある。
――――推して参る!
推して参った結果、無事その場を脱出出来た。私あんまりお腹強くないんです。オリゴ糖がどうとか言ってないでヨーグルト食べようかな。凄いよね、自ら菌を送り込んで抗体作ろうなんて。
射撃場に戻るとオルコットが可哀想なものを見るような潤んだ目で見つめてきた。そんなにトイレに行くのは許されないことなのだろうか。
「クロエか。大体の話は終わった」
どうやら私がウォーターなクローゼットにこもっている間に話は終わってしまったようだ。
「それでこれからは?」
「私とクロエの馴れ初めはある程度話した。私からは言いたいことを言ったがお前は何かないか?」
そうだな。私から彼女へ何か言うのならばどんな言葉がいいのだろうか。オルコットの事は既に知っている。両親が既にこの世にいないことも、父親を憎んでいることも。それが原因で女尊男卑の考えになり、強くあろうとすることも。ならば彼女にはこの言葉を贈ろう。イギリス出身の彼女なら意味を理解してくれるだろう。
―――There is nothing either good or bad, but thinking makes it so.
◆ ◆ ◆
それから織斑弟との模擬戦までの間、オルコットはなんと言うかこう、凄まじかった。何があったのか男だからといって相手を侮ることをやめ、放課後は毎日射撃場とアリーナへと通っていた。もちろん一人ではない。何故か私もだ。特訓に付き合ってくれとのことだったが自由な時間は殆ど彼女に費やしていた。呼ばれ方もクロエにいつの間にか変わっていた。イギリス人はティータイムを大事にすると聞いたことがある。他人のティータイムはどうでもいいのだろうか。
…はっきり言おう。私にもティータイムとやらを下さい。
そして現在、お茶なう。いただきましたティータイム。
「There is nothing either good or bad, but thinking makes it so」
お相手はオルコット嬢。正直言うとマスコットちゃんとほんわかした空気を味わいたかったです。それに現在の時刻は放課後ではない。午後ですらなくまだ午前中だ。
「〝物事に良いも悪いもない。考え方によって良くも悪くもなる〟でしたっけ?」
「大事なのは
「そう、ですわね。帰国した時に一度お墓参りに行ってみますわ」
それが良い。オルコットは私と違い優しい人間だ。憎しみなんて感情を抱えて生きているといつか潰れてしまうだろう。
「それであの、そのときは一緒に来ていただけませんか?」
え?なんで?
「その、一人だと心細いのでクロエさんに側に居ていただけたら、と思いまして」
モジモジしながら言うんじゃない!可愛いじゃないか!つい承諾してしまいそうになってしまう!
だが彼女には何故IS学園へ来たのかは伝えていない。織斑弟がいる限りは
「申し訳ないけれどそれは出来ない」
「…そうですわよね」
シュンっとなったぞ。なんと言うか護ってあげたくなる。これが母性というやつなのか。
「でも、色々と調整してみる」
口が滑った。口は災いの元なんて言うらしいし仕方ないよね。そう、仕方がないことだ。一日ぐらいあけても大丈夫だろう。
ほら、オルコット嬢も嬉しそうにしているしノープロブレム。当分先の話になるだろうし、またその時にでも考えればいい。
「オルコット、そろそろ時間」
「わかっていますわ。でもその前に私のことは“セシリア”と読んでくれないでしょうか?」
「…行ってらっしゃい“セシリア”」
負けはしないと思うがヘマはするんじゃないぞオリゴ糖ちゃん。
「オルコットですわ!」
しっかり返しつつもセシリアはアリーナ中央へと向かった。その目には
◆
結果は言わずもがなセシリアの勝利で終わった。まあ当然の結果だろう。軍人と一般人に銃を持たせて闘わせたようなものである。ただ、時々
クラス代表については結局、織斑弟へ譲ったようだ。何でも弱いから経験を積ませた方が良いとかなんとか。なりたくもないものに強制的になる事になった織斑弟には一応同情しておく。
そしてここからが重要な点だ。織斑一夏クラス代表就任記念パーティーなるものをおこなうらしい。パーティーだよパーティー。これがセシリアだったら失礼だがパーティーまでに発展はしなかっただろう。グッジョブセシリア。パーティーには美味しいものが必ずついてくる。これは行くしかないようだ。食べ物の恨みは凄いって言うでしょ?執着も凄いからね。
「はいはいみんな飲み物は行き渡った?」
進行役の人の掛け声にあちこちから聞こえる肯定の声。特に織斑弟の辺りからが多い。八割ぐらいは多分。残りの二割は私とオルコット、マスコットちゃんとそのお友達二人。と、何故か千冬。彼女いわく監督役だそうで派手なことをしない限りは干渉しないとのこと。パーティー自体が派手なものな気がしなくもないが中止になってはたまらないので言わない。
でも、本当は弟を祝いたいんだと思う。ツンデレさんめ。
「それじゃあ、織斑一夏くんクラス代表就任を祝って!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
ジャパニーズスタイルでパーティーが始まると同時にその場は賑やかになり始めた。場所は寮にある食堂のため、この場にいない寮生には少し迷惑かもしれない。因みに現在の時刻は夕食の時間外で千冬が食堂使用の許可をとった。
「千冬は、まあまだ分かるけど皆はあっちに行かなくてもいいの?」
「私はこちらでかまいませんわ」
「おりむーよりクロちゃんの方がいい〜」
マスコットちゃんやそれはどういうこってい。だが嬉しいぞ私は。
マスコットちゃんフレンズは、
「人が密集してる所はあんまり好きじゃないから」
「写真は中にいるより外にいた方が撮りやすい」
とのことだった。
そしてお目当てのご飯の味は十分なものだ。あ、こっちの唐揚げもいい。
「おいしい」
「本当か?それはよかった」
突然の乱入者は織斑弟である。あれ?こいつさっきまであっちでハーレム築いてたのにいつの間に来たんだろう。
「うん。これは貴方が作ったの?」
「ああ、何種類かはな。喜んでくれてるなら嬉しいよ」
主役が作るってのはいかなるものなのだろう。それだけお人好しなのかな。私としては美味しいなら誰が作ろうが文句はない。
「一夏か。あっちはいいのか?」
顎でクイッと女子たちが群れている方を指す千冬。
確かに彼女らは織斑弟目当てで集まったのにいいのだろうか。
「あはは、ちょっと疲れてね」
なるほど。ハーレムの主にも苦労する点があるのか。でもいい思いしてるならそれでいいんじゃないのかな。漫画でしか見たことのないからリアルでは初めて見たけど羨ましいね。あんなに可愛い子達に囲まれてるのに何が不満なんだろう。
「でも、こっちに来ても彼女らがこっちに来たら変わらない」
むしろ迷惑なまでである。羨ましいが今は食が最優先事項だ。
「いや、こっちは千冬姉がいるからさ」
んん?千冬は嫌われ者なのか?だからぼっちなのか?
「違うよ〜クロちゃん。せんせえは皆の憧れの人だからね〜。なかなか近づけないんだよ〜」
よくわからんが嫌われてはいないようだ。良かったな千冬。
それよりも遂にマスコットちゃんにまで心をよまれた。が、気にすることは何も無い。マスコットちゃんならどんどんよんでくれて構わないぞ。可愛いから許す。
「クロエ、後で私の部屋に来い」
…この場にはもう二人ほど同じような芸当ができる人物がいたのを忘れていた。千冬さんゴメンナサイ。
セシリアの方をチラ見するとそっぽを向いていた。私は関与しませんと言っているようだ。
「クロエ?千冬姉とクロエって仲良かったのか?」
「まあ、随分と古い付き合いだからな。それに一夏、お前だってこいつの事をクロエって呼んでいるではないか」
「そうですわ!私だって先日やっと呼べるようになりましたのに!」
ええ?そこなの?そこ問題なの?
「いやだって自己紹介の時に言ってたろ。クロエでいいって」
確かに言ったような言ってないような。あまり覚えていない。
だがセシリアの反応を見る限り言っていたのだろう。膝から崩れて床に四つん這いになっている。何やら失念がどうとか言っているけれどよく聞こえない。
「そっか、千冬姉の知り合いなのか。これからよろしくな」
「ん」
すっと出された彼の手を、私はフライドポテトを口いっぱいに含みながら握った。
「おっと、口にケチャップついてるぞ」
その際に気づいたのか織斑弟が私の口についていたケチャップを指でとってくれた。イイヤツだ。なんか周りがキャーキャーうるさくなってきた。
「なななな、何してますの!?」
「何って、クロエの口についてたケチャップとっただけだけど」
その通りだ。セシリアは何をあんなに焦っているのだろうか。私も首を縦に振り頷く。
なんか千冬の方からも凄い怒気が伝わってくる。マスコットちゃんはずっとこちらを見つめているようだ。
「そういうことではありませんわ!そんなに軽く女性の、それもクロエさんの唇に触れるなんて!」
私だと何か特別なのかな。まあ言われてみれば確かに男の人が気軽に女の人の口に触れるのはどうかと思わなくもない。デリケートな部分だしね。私は別にいいけど。
「ああ、そっか。ごめんなクロエ」
「別に気にしなくていい。拭いてくれてありがとう」
何やらセシリアがぷりぷり怒っているようだが大丈夫だろう。礼を言うのは悪いことではないはず。
「いいな〜おりむー。私もクロちゃんの唇さわりた〜い」
お?そうかいマスコットちゃん。いつでもウェルカムだよ。
「本音なら別に好きにしてくれていい」
「ほんと〜?じゃあ〜」
そう言ってだぼだぼのパジャマ姿でのそのそと私の前まで近づいてきた。本当にマスコットだ。
「よいしょっと」
そのまま私の膝の上にのぼり、向き合うかたちとなった。どうするんだろうか。
「えへへ〜」
顔をふにゃっと歪ませ、笑った。これはヤバイ。いろんな意味でヤバイ。
いつの間にか周りも静かになっており、皆本音の行動に注目しているようだった。
「それじゃあ〜」
そう言いつつ彼女は私の胸にその胸部にあるシリコンを押し当ててきた。
絵面的には、そうだな。俎に蒲鉾を逆さにして軽く圧力をかけた感じだろうか。
「いただきま〜す」
後頭部に手を回され、そのまま彼女は自分の唇を私の唇に重ねた。
「「「「「なっ!?」」」」」
「ごちそうさま〜」
流石にこれには驚いた。キスされるとは思ってもみなかったから。
でも許す。私の目の前の彼女は顔を赤らめながら舌をだし、テヘッと笑っていたからだ。可愛いは正義。日本の言葉にあったよね?
「布仏さん!何やってますの!」
「流石にここまでくれば私も見逃せんな」
だがセシリアと千冬はお怒りのようで。間近で見ていたマスコットちゃんフレンズと織斑弟は驚いたまま固まっていた。因みにその他の女子達は何やら盛り上がっていた。
今夜は夜どうしで説教かな。でも美味しい料理も食べれたし、マスコットちゃんに癒されたし、別にいいか。
それから暫くはその時間の幸せを感じながら、周りの声に耳を傾けつつヨーグルトを食べて過ごした。
クロエ
セシリアと
仲良くなる
の巻!