英雄伝説 斬の軌跡(凍結)   作:玄武Σ

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もうサブタイがネタバレになりますが、スピアの扱いと三獣士たちの末路について判明します。


第12話 動き出す蛇・鋼の聖女

「どうやら、彼らの狙いはナイトレイドの評判を落とすことらしいな」

 

先日の三獣士との戦闘後、その跡地から発見された犯行声明をロイドが発見して推測した。そして同様に隠居していたベテラン、期待の若手といった良識文官達が立て続けに殺される事件があった。ナイトレイドの暗殺は、革命軍直々の依頼か一般市民による復讐代行の二通りである。ナイトレイドの正体を知らずとも、復讐代行人という立場から民草の中にはナイトレイドを信奉する者もいるという。しかし急に人の恨みを買わないような人間が立て続けに殺されるとなると、不信感を買うことになる。

しかし、すぐにガイウスがあることに気づいてそれについて進言する。

 

「しかし、ナイトレイドは犯行声明を出さないから周りから疑われるのではないか?」

「それがどうやら、相手はあの映像に映っていたエスデス将軍の部下達みたいなんだ。つまり、帝具使いで圧倒的な強さだから自然と疑われるという物らしい。後、これは推測なんだが」

 

しかしロイドは捜査官という職業上、敵の行動がどういう結果をたたき出すかという分析を冷静にやってのけた。しかもそれだけでなく、彼らの他の狙いもあるという推論をしたのだ。

 

「おそらく、この悪評を基にナイトレイドをおびき寄せるのが真の狙いだろう」

「!……なるほど。革命軍にとっても、国を憂いている文官は守りたいし今後の活動への支障を出したくないから、早期に連中を叩こうということか」

 

帝国側が本格的なナイトレイド対策をしているために、大臣の知略やそれを実行させるためのエスデス配下の力を再認識する。しかし、そんな中でガイウスはあることが気になった。

 

「しかし、リィンがあそこまでやられるとは思いもしなかったな。八葉一刀流を皆伝したなら、リィンも剣聖になっているはず。あの力も合わせれば、例の将軍クラスでもなければ勝つのは容易なはずだが……」

 

実際、八葉一刀流を皆伝したエステルの父カシウスや、クロスベルの元A級遊撃士アリオスも、武術の境地と言われる『理』に至った驚異的な戦闘力を有している。リィンも本来ならこの境地に至っているため、三獣士も一人くらいは倒せる筈だった。しかし、ロイドはそれについて何か思うところがあり、それをガイウスに語った。

 

「おそらく、今のリィンは精神的に斑があるんだろう」

「斑、とな?」

「内乱終結の英雄に仕立て上げられ、利用された。しかも親友がその内乱の末に亡くなってしまって、すべてが解決した今でも引き摺っているんだろう」

「だろうね。それに、わたし達も含めてこの国で嫌な物を見すぎたし」

 

その会話に、いつの間にかフィー割って入ってくる。

 

「今までわたし達が直面した問題とは、方向性も質も違いすぎる。だから、それでメンタルをすっごい削られたんだと思うよ」

「……やっぱり、なのか?」

「うん。わたしも、ザンクの一件でしばらく塞ぎ込んでたし」

 

ここ最近、フィーだけが他のメンバー達と顔を合わせる様子があまりなかったが、やはりザンクの一件が堪えていたらしい。

 

「心を乱してはまともに戦えない。正直、リィンがこうだと厳しいな」

「ああ。俺達がフォローしないとだめだ」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その更に数日後

ロクに舗装もされていない道を、何十人という護衛を引き連れて移動する馬車があった。馬車に乗っていたのは頭のてっぺんが見事に光り輝く初老の男性と、長い金髪が目立つ美少女だった。

男性はオネストの前に大臣を務めていたチョウリという内政官で、隣の少女はその娘でスピアという。チョウリはオネストによって増長した腐敗を止めるべく、隠居生活を終えて再び政治の舞台に立とうとしていた。現在、そのために帝都へと向かう途中である。

しかし、ここに来るまでに何度も野盗の襲撃を受けたため、護衛がいなかったら今頃死んでいたかもしれない。

 

「お前にも苦労を掛けるな、スピア。こうして護衛まで買って出てもらって」

「そんなことはありませんよ。私が皇拳寺槍術を学んだのは、今この時こうして父上を護るためだったのですから。寧ろ、ようやく本懐を遂げたとも言えます」

 

スピアは本人も語るように、かつて皇拳寺で槍の鍛錬を積んでおり、それにより見事皆伝を取得したという。

そんなスピア自ら、この精鋭部隊を率いて父チョウリの護衛を務めているという。親孝行な上に腕の立つ少女である。

そんな中、親子に魔の手が忍び寄る。馬車の進行先に、三つの人影があった。そう、三獣士だ。

 

「また賊か……治安の乱れにも程があるぞ!!」

 

しかし、遠目で三人の様相もわからず、チョウリはここまでに襲ってきた賊達と同じだと勘違いしてしまったのだ。そしてそれを聞いたスピアは馬車から降り、槍を構えながら兵達に指示を送る。

 

「陣形を組め! 今までと同じように蹴散らす!!」

 

スピアの指示を受けて、兵達は一斉に三獣士達を囲む。そして、一気に制圧にかかろうと飛び掛かった。

しかし、相手が悪かった。

 

 

「な!?」

 

ダイダラはベルヴァークを分割し、投げずに直接斬りつけた。しかしその威力は、一瞬で十数人の兵達の胴を両断したのだ。

更にダイダラの攻撃は続き、スピアにも放たれたが咄嗟に槍を構えて防御に入った。

 

「うわぁあ!?」

 

しかし、防御し切れずに槍は束が折れてしまい、スピアは腹部に大きな切り傷を作ってしまった。圧倒的重量のベルヴァークと、それを使いこなすダイダラの膂力が合わさった一撃は、武術の達人たるスピアでも太刀打ちできなかった。

 

「さて。それじゃ標的でもやらせてもらうか」

 

ダイダラは大した経験値も得られないと判断したのか、まだ息のあるスピアを無視して馬車に斧を投げつけた。咄嗟にチョウリが馬車から飛び降りたものの、馬車は一撃で粉砕された。そしてそのまま、ベルヴァークはダイダラの手元に戻ってきた。

ベルヴァークの効果は標的としたものを自動追尾する、という物だったが、標的をチョウリではなく馬車にしたためこれで攻撃が終了したのだった。

 

「やるね~お姉さん。ダイダラの攻撃から生き残るなんて」

 

そんな中、ニャウが膝をついているスピアに近寄りながらナイフを取り出す。アリサの時に未遂に終わった、己が性癖を満たそうと動き出した。

その一方、どうにか脱出したチョウリはその場を離れようとしたが、その先には既にリヴァが待ち構えていた。

 

「お、お前は帝国の士官か!?」

「はい。あなたの政治手腕は尊敬しておりました」

 

チョウリに対してリヴァは礼を取る。標的であるとはいえ、恨みはないので最低限の礼儀は尽くすようだ。

 

「ならばなぜ、私の命を狙う!?」

「主の命令は絶対ですので」

 

そしてチョウリの問いかけに答えた直後、リヴァはその首を斬り飛ばしたのだった。それも手刀で。

斬り飛ばされたチョウリの首が宙を舞う中、リヴァは冷静に任務の達成を確認する。

 

「さて。ダイダラ、帰還するぞ。ニャウもその娘の始末は……!?」

 

そしてリヴァがニャウに帰還の呼びかけをした直後、いきなり自分を目掛けてすさまじい勢いで何かが飛んできた。咄嗟にダイダラと共に回避をするが、それは飛んでいった先の崖を一瞬で粉砕してしまった。

 

「な、なんだ今の威力は? ベルヴァークでもあんなこと出来ねぇってのに……」

「リヴァ! ダイダラ! あのお姉さんがいきなり消えちゃったよ!」

 

ダイダラが威力に戦慄し、リヴァも開いた口が塞がらない。そんな中、ニャウが駆けつけて非常事態を告げた。

 

「消えた、だと? どういうことだ?」

「いきなり甲冑姿の変なお姉さんが斬りかかってきたと思ったら、爺さんの娘だっていうあのお姉さんを抱きかかえて消えたんだよ! なんか残像みたいなのが見えたから、たぶん走ったみたい!」

 

ニャウが言っていることを一瞬理解できなかったが、帝具の中にそれを可能とする物があるかもしれなかった。

 

「……間に合いませんでしたか。貴殿の父をはじめとした大勢の命、守れなかったことを深くおわびします」

 

そんな中、凛とした女性の声が聞こえた。現れたのは甲冑を纏い、兜に収まり切らない腰まである金髪と、地面まで届く長いマントと嫌でも目立つ格好だった。そう、エスデスと三獣士が去った後に城塞都市に現れた、あの女騎士だった。そしてその隣には、スピアを抱きかかえた茶髪に甲冑を纏った少女騎士の姿があった。こちらは兜から顔が見えるようになっていたため、人相で少女だと判断された。そしてその少女に抱きかかえられ、スピアが父の死を悲しんで泣いている。女騎士はどうやら、チョウリを救えなかったことをスピアに謝罪しているようだ。

 

「へぇ……お姉さんが僕のお楽しみを邪魔してくれたんだね」

「はっ! 顔の皮を剥ぐなんて、悪趣味にもほどがありやがります。邪魔して当然ですわ!」

 

スピアを抱きかかえた少女が、どこか間違えているお嬢様口調でニャウを罵倒する。そんな中、リヴァは女騎士の言葉に引っ掛かりを覚えて問い尋ねた。

 

「ほう……先程の貴様の言葉、どうやらチョウリ元大臣を救うつもりだったようだな」

「ええ。戦は非情なのは承知ですが、貴殿達は戦えぬ者の命も弄ぶので許容しかねませんので」

 

そして今度は女騎士が、三獣士達に問いかけた。

 

「貴殿たちの不可思議な力、帝具と見受けましたが間違いないでしょうか?」

「まあ、そうだな。どうせ答えても減るもんじゃねえし、打ち明けさせてもらうぜ」

「そうですか……」

 

女騎士の質問にダイダラが律儀に答える。すると、女騎士の口からその目的が語られる。

 

「私は我が盟主の命により、全ての帝具を破壊すべくこの大陸を訪れました。虐殺の意志は無いので、帝具を置いて去るなら貴殿たちの愚行に目を瞑りましょう」

 

そして少しの沈黙の後……

 

 

 

「あっははははははははははははは!! あんた何言ってんだ、ちゃんちゃら可笑しいな!」

「そうだね! 確かに今の攻撃には驚いたけど、お姉さんの今の言葉、一人で帝具使い三人を相手に勝てるってことじゃない! エスデス様ならともかく、そんなこと……」

「ダイダラもニャウも五月蠅いぞ。しかし、今の我らが相手にならないという発言は捨て置けんな」

 

爆笑するダイダラとニャウを叱りつつ、リヴァは手袋を取って指輪を見せる。この指輪こそがリヴァの帝具ブラックマリンだった。

正式名称”水龍憑依”ブラックマリン。水棲危険種の中には水を操作して攻撃に用いる物が存在し、そのための器官を指輪に加工した帝具だ。故に、装着者に触れた液体を操作する力を与えるのだ。

 

「仮にも私は元将軍、そこの二人も実力を現最強であるエスデス様に見初められて帝具を与えられた。お前のような傲慢な物言い、すぐに黙らせてやる!」

 

そしてリヴァは近くの水たまりから無数の水塊を作り出し、それを女騎士に目掛けて撃ち出した。

 

 

「……抵抗しますか。ならば致し方ありません」

 

直後に女騎士は虚空から馬上槍(ランス)を取り出し、右手に持って構える。そして……

 

 

 

 

 

 

 

「はああああああああああああ!」

「何!?」

 

残像が見えるほどの超スピードで、連続突きを放った。それによりリヴァの攻撃は全て相殺され、三獣士全員が驚愕した。

 

「武力行使による帝具の破壊を遂行させてもらいます。貴殿たちが選んだゆえ、それによって命を落とそうとそれは貴殿たちの責任とさせてもらいます」

「なめやがって! 数とスピードでダメなら、パワーで押し勝ってやる!」

「ついでに、僕の演奏も喰らいな!」

 

女騎士の言葉を聞き、今度はダイダラがベルヴァークを左右に分割し、片方を投げつけてきた。

 

「デュバリィ、彼女を連れて安全な場所へと撤退を」

「はい。マスターの仰せのままに」

 

女騎士に呼ばれて、デュバリィと呼ばれたその少女騎士が命令を承諾、スピアを抱きかかえて撤退していった。少女は何かしらの転移手段を持っていたらしく、足元に現れた魔法陣の中にスピアと供に消えたのだ。

そして、完全に気配が消えると同時に女騎士は次の動きに入る。

 

「せやぁあ!!」

 

またも無数の刺突を放ち、飛んできたベルヴァークにぶつけ続ける。

そして……

 

 

 

 

 

 

 

「脆い、脆すぎる!!」

「「「な!?」」」

 

そのままベルヴァークの片割れは粉砕され、ダイダラだけでなく残りの二人も驚愕する。しかも、スクリームの演奏による精神干渉も全く効いていない様子だった。

 

「さて。それでは、改めて名乗らせてもらいましょう」

 

そして女騎士は、声高々に自らの名と異名を告げた。

 

 

 

 

「蛇の使徒が七柱”鋼”のアリアンロード! 全ての帝具の破壊という使命と、弱者の命を弄ぶ貴殿達に下す裁き、供に遂行せん!!」

 

そして凄まじい闘気を体から発し、アリアンロードは三獣士に突撃していく。

 

「二人とも、奥の手を使うから時間を稼いで!」

「わかった! それまでにこの女を弱らせておく!」

「一人で勝てたらエスデス様に並べるだろうが、流石に厳しそうだぜ!」

 

ニャウがそのまま奥の手だという演奏に入ったと同時に、リヴァとダイダラが攻撃に入った。ダイダラがアリアンロードに飛び掛かると同時に、そのまま打ち合いに入る。異常な重さのベルヴァークを振るうダイダラと、身の丈以上に巨大な馬上槍を操るアリアンロードは、揃って人外級の腕力を持っていると言っても過言ではない。しかしダイダラは先程ベルヴァークの片割れを失い、手数を減らされてしまったので苦戦を強いられる。

そしてついに

 

「ぎゃああああああああああああ!?」

「……片腕をいただきましたが、それも自ら戦いに赴いた貴殿の責任です」

 

一瞬の隙をついて、アリアンロードは自らの振るう馬上槍をダイダラの左腕付根に突き刺し、そのまま振り上げて腕をちぎり飛ばした。そして痛みでダイダラが怯んだ隙に、もう片方の腕を奪おうとする。

 

「喰らえ、血刀殺!」

 

直後、リヴァが技名を叫ぶ声が響いたと同時に、赤い液体が刃状になって無数にアリアンロードの背後から飛んできた。

血も液体の一種であるため、ブラックマリンの力で操作可能だった。本来、この血刀殺はリヴァ自身の血に毒薬を仕込んで相打ちに使うのだが、先程殺したチョウリや兵達の血で奇襲に用いたのだった。

 

「背後からの奇襲は見事ですが、まだまだ甘いですね」

 

しかしアリアンロードは攻撃を中止し、振り返って血刀殺を全て叩き落す。やはり残像が見えるほどの無数の刺突だったが、これをこうも何度も放てるためスタミナも尋常ではない。

そしてダメ出しと言わんばかりに、馬上槍をリヴァに向けて投擲した。

 

「それじゃ、今度は僕が相手するね!」

 

直後にニャウの声が聞こえたかと思うと、いきなり見覚えのない大男が殴り掛かってきたので回避に入る。その大男はダイダラと同じくらいの身長とガタイだったが、服装や髪形にニャウの面影が見えた。

 

「スクリームの奥の手”鬼神招来”。使用者限定の強化をする演奏さ」

「肉体の構造まで変えるとは、なんと面妖な……」

 

その異様な強化に、兜越しでアリアンロードは顔を歪める。そして直後、右手を掲げたかと思うと先程投げた馬上槍が虚空から現れ、その手に握られた。

 

「さて。それじゃあ僕も強化したし、一斉攻撃で行くよ!」

「言わずもがなだ!」

「もう経験値云々はどうでもいい! お前は絶対にぶっ殺す!」

 

そしてニャウは切断されたスピアの槍の穂先を手に取り、アリアンロードに飛び掛かる。加えて、リヴァも左腕を欠損し、そこから流れる血を織り交ぜての血刀殺を使用する。そしてダイダラもベルヴァークを投擲して、三獣士による四方八方からの一斉攻撃に入った。

 

「無駄です。アルティウムセイバー!」

 

今度はアリアンロードが技名を叫んだかと思うと、その場で一回転して勢いに任せて馬上槍で薙ぎ払う。その時に凄まじい衝撃が切っ先から生じ、全ての攻撃と飛び掛かったニャウが弾き飛ばされた。

 

「さあ、耐えてみなさい」

 

そしてアリアンロードはその言葉と同時に、体中から凄まじい闘気を発した。しかもそれが徐々に竜巻と化したのだ。

 

「我は鋼、全てを断ち切る者!」

 

そしてその竜巻は三獣士たちを飲み込み、体中を切り刻んでいく。

 

「これで、終わりです!」

 

そして最後にアリアンロードは馬上槍を構え、一気に突撃していく。そして……

 

 

 

 

 

 

 

「聖 技 グ ラ ン ド ク ロ ス !!」

 

三獣士たちの体を貫き、直後に大爆発を起こしたのだった。

そして爆風が収まった後、辺りを見回す。

 

 

「一人に逃がしましたか。ですが、どのみち長くはない筈ですね。しかし……」

 

ニャウとダイダラは体に風穴を開けて絶命し、その手元には帝具が落ちている。だがリヴァだけはおらず、帝具もそのまま持ち去ってしまったようだ。

 

「主に与えられた帝具、と言っていましたがそれだけは守ろうと……貴殿の忠誠心、それには敬意を表しましょう」

 

そしてアリアンロードは馬上槍でベルヴァークとスクリームを砕き、その場を去っていく。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そしてその日の夕刻

 

「リヴァ、どうしたのだ?」

 

エスデスは宮殿内に設けられた自室に戻ってきたリヴァを見て、目を丸くする。リヴァは片腕を落とされ、体中から血を流し、満身創痍に陥っていた。元将軍で、三獣士のリーダーである彼の戦闘力から、ここまで叩きのめされるのは予想外の事態だったのだ。

 

「え、エスデス様、報告申し、上げます……」

 

いつ死んでもおかしくない中、リヴァは途切れ途切れに報告を続ける。

 

「ち、チョウリ元大臣の暗殺に成功しましたが、報復を懸念し一人娘の始末をニャウに任せた矢先、謎の女騎士が妨害に入りました」

「女騎士?」

 

流石に騎士という単語は帝国でもあまり聞かないため、エスデスも聞き返してしまう。

 

「はい。アリアンロードと名乗ったその騎士は、帝具全てを破壊するのが目的らしいです。そしてその配下によって、娘を取り逃がしてしまいました。揚句、ニャウとダイダラが死亡し、二人の帝具も破壊されました。私は、この報告とブラックマリンを守るため、決死の覚悟で撤退を図った次第です」

 

そして事の次第を語り終えたリヴァだったが、段々血色が悪くなっていく。もう彼の命も限界が近いようだ。

 

「エスデス様、中途半端な任務の結果……申し、訳………」

 

報告の最後に、エスデスへの謝罪の言葉を送り、リヴァはこと切れた。そして死の間際、リヴァがつき出した手の平には彼の帝具である指輪、ブラックマリンがあった。そしてエスデスはそれを手に取ると、リヴァの亡骸に声をかける。

 

「お前達が死んだのはお前達自身が弱かったから、それは重々承知だろう。だが、新たな強敵の存在を知ることが出来たから、そのことだけは褒めておいてやるし、それに免じて仇も取ってやる」

 

エスデスの中で悲しみの色は薄かったが、それでも優秀且つ忠実なしもべを失ったことに、思うところがあったようだ。そして、敵討ちを決意する。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「……貴方達が帝具を壊そうとする理由はわかりました。ですが、それが私や父上とどう関係が?」

 

スピアはアリアンロード達に連れられて、ある場所にやって来ていた。そこでアリアンロードに広間へと案内された先で、複数人の人物から話を聞いていた。

白衣におかっぱの金髪をした初老の男性。扇情的な黒い衣装を纏った女性。赤いコートを着た浅黄色の髪の男。白い貴族風衣装とマントを身に着けた、胡散臭い仮面男。黒いスーツにサングラスをかけた褐色肌の男。赤い髪に屈託のない表情を浮かべているが、人食い虎のような好戦的な雰囲気の少女。白い騎士風の服に剣を携えた少年。デュバリィを筆頭に、騎士姿をした三人の少女。緑の髪と赤いタキシード姿の少年。性別、様相、年齢、その全てに共通点は無いが、全員が得体のしれないオーラを纏っている。

 

「我々の目的は、盟主が全ての魂を導く手助けをすること。故に、貴方のいる帝国はその生涯となりえるので、武力の象徴たる帝具を破壊することになります」

「すべての魂を……」

 

あまりにも壮大すぎる話をしたアリアンロードに、スピアは驚嘆する。すると、騎士風の少年が声をかけてきた。

 

「俺はかつて帝国の暗殺部隊にいたが、この剣の前の持ち主に命を救われてから離反した。それで、俺は帝国を壊してそこに住む民だけを救うために、この結社に尽くすことにした」

「まあ、汚れ仕事が多いから闇を抱えていないと、執行者にはなれないっぽいけどね」

 

騎士風の少年に続き、赤髪の少女が補足説明をした。

 

「故に、貴女が結社入りするなら私たち鉄機隊に属することになりますわね」

 

最後にデュバリィが告げると、スピアは少し考えてから結論を出した。

 

「……まだ世界云々についてはわかりませんが、父の望んだ帝国の安寧になるなら、誘いを受けさせてもらいます」

「わかりました。まずは傷を癒すことに専念し、それが済んだら稽古をつけて差し上げます」

「それじゃあ話もまとまったし、改めて定番に入らせてもらうね」

 

スピアの一件が済んだ直後、緑髪の少年が前に出て、演劇の進行役のような仕草と共に宣言をした。

 

 

 

 

 

 

「執行者No.0”道化師”カンパネルラ。これより盟主の命代として、『オルフェウス最終計画番外幕”破帝計画”』の見届けを開始する」




先日、久しぶりに閃の軌跡Ⅰをプレイしてたら、アントンとリックスを出そうかと思ってしまいました。まあ、扱いに困るんで未遂に終わる可能性が大きいですが。
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