篠栗は至って普通な多重人格者さ   作:黒鷺

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生徒会執行編
第一話「私は誰からの相談でも受け付ける!!」


「……はぁはぁ……、何だ、夢か……」

 

 凄まじく寝覚めが悪い。

 今更、幼い頃の夢を見るとはな……。見た感じ、同居人(爆弾)は眠ったままだが……、酷く嫌な予感がする。早いとこ一度、先生(・・)に診てもらうべきかもしれない。

 本当は今すぐにでも、行きたいが、残念ながら至って普通に学校がある。優等生で通す予定だから休む訳にはいかない。

 それにしても、あの人に会ってから、16年弱経ったのか。月日が流れるのは中々早い物だ。特に、あの人に爆弾抱え込まされたせいで、前世よりも早く感じた。あのあの人はよっぽど原作キャラと絡ませたいようだが、上手く危険回避しなければ此処から死ぬリスクを背負うんだが……。間違いなく回避不可なんだろうけどな。同居人(あいつら)とあの人が居る限り……。

 

 まあ、篠栗()だけなら、至って普通な普通(ノーマル)だから何事も無いかもしれないが。

 

 

 

 

 

「世界は平凡か?」

 

「未来は退屈か?」

 

「現実は適当か?」

 

「安心しろ、それでも生きることは劇的だ!」

 

 と言うわけで、完璧超人黒神めだか生徒会長による就任挨拶である。

 と、同時に原作スタートな訳である。……が、実は結構原作の記憶があやふやで、この就任挨拶でさえ存在自体を忘れていた。基本的にジャンプ派で、一度読んだら読み返したりしなかった上に転生してから16年弱経っているわけである。初期の方なんて殆ど覚えていなかったりする。結構、原作知識を持って転生なんて意味がない訳である。流石にまだ幼い頃はしっかり覚えていたから、普通にあれは回避したんだが……、あ、いや、これは今は関係ないことだったな。

 

「悩み事があれば迷わず目安箱に投書するがよい」

 

 あ、そっか。作品名でもあるめだかボックスが設置されるのか。何やってたかは完全に忘れたけど。まあ、どうにか巻き込まれないように頑張ろう。

 

「24時間365日」

 

「私は誰からの相談でも受け付ける!!」

 

 至って普通に突っ込ませて貰うが、幾ら化け物会長でも不眠不休は無理なんじゃないだろうか……。

 

 

 

 

 

 

篠栗()は一年三組所属である。至って普通な普通科所属である。当たり前である。主要原作キャラとも上手くクラスが離れられて、全く以て嬉しいものである。一年一組だったら絶対巻き込まれる気しかしないからであるが。

しかしだな、やはりこれは転生者なのに原作介入しないというのは、こうも問屋が卸さない物なのか。何故か、バリバリ主要キャラの人吉善吉君が、滅茶苦茶性格破綻してそうな眼鏡に木刀で殴られたのを、目撃してしまったんだが。それはもう、バッチリと見てしまったんだが。これは篠栗()が、人吉君を保健室に連れて行った方が良い感じなのだろうか。スルーして帰って良い感じなのだろうか。……いやまあ、見捨てたら気分悪いから、一応は声掛けてみたりするんだけれども。

 

「……君、大丈夫か? 生きてるか? 死んでいるか? 生きてるなら、返事をくれ。死んでいるなら、そのまま成仏してくれ。くれぐれも篠栗()の背後には立つなよ」

 

「生きてるわっ! 死んでたまるかってんだ!」

 

何だ、生きてるのか。もし死んでくれてたら、色んな意味で楽だったのに。

 

「チッ」

 

「初対面なのに、舌打ちされた!?」

 

「あ、すまん。君の存在自体をスルーしていた。まあ、取り敢えずもう一回死んどけ」

 

「いや、何でだよ!」

 

「理由などない!」

 

キリッ

いやあ、決まったな。今のは。

 

「キリッじゃねーよ!?」

 

ナイス突っ込みだ人吉君。

 

「……何なんだよ、まったく」

 

「まあ、茶番はこれくらいにしといてだ。今、君には選択肢が2つある。保健室に行くか否かだ。見たところ、君は明らかにぼろぼろなのだが」

 

「保健室の前に行かなきゃ行けねーとこがあんだよ。だから答えは、否だ」

 

「そうか、ならさっさと行け。篠栗()も早く帰りたいんだ」

 

「嗚呼、そうさせてもらうぜ」

 

「では失礼する」

 

「じゃあな、……ってそうだ! アンタ名前は!」

 

「……篠栗朱那」

 

少しだけ迷ったが名前を伝え、篠栗(私)は、右手をぷらぷらと振ってその場を離れた。後ろから「結局何だったんだ彼奴」という声が聞こえたが、気にしない。気にしないと言ったら気にしない。

危ないところだった。もし、ついて行くことなっていたら、明らかに巻き込まれる所だった。危ない。危ない。

さて、帰るか。

 

帰る途中、何回か悲鳴が聞こえてきたが、人吉君との邂逅とは全く関係のないことである。

 

 

 

 

 

あの剣道場の騒ぎから、1週間程経っただろうか。篠栗()は、偶々生徒会室の前を通り掛かった。丁度、活動中だったのか人吉君の声が聞こえた。

 

「デッ……デビルかっけえ!!」

 

…………。

デビルなんて修飾語、存在しただろうか……。少なくとも、篠栗()は知らん。

おや、運の良いのか悪いのか、微妙に扉が開いているな。覗いてみるか? いや、いかんいかん、篠栗()は巻き込まれたくないんだ。此処は早く教室に戻り、至って普通に過ごすのが賢明だ。だから、覗きなんて……ちょ、ちょっとだけ……

 

何故か人吉君は、生徒会執行役員専用の黒い制服の下にジャージを着ていた。

 

そして、篠栗()は、そっと扉を閉めた。

取り敢えず、篠栗()の人吉君に対する認識がファッションセンス0になったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

更に数日経った。何でも近頃、生徒会の目安箱は「めだかボックス」なんて呼ばれるようにもなり、なかなか好評らしい。らしいというのは、篠栗()自身は一度も利用したことがなく、尚且つ原作キャラを避けていたら、ぼっち予備軍になっていた為、情報が流れてこないのである。まだ、ぼっち予備軍であって、リアルぼっちではない! これから、作るのである。出遅れた感はこの前から薄々と感じてはいたがな!

 

ところで、唐突で申し訳ないのだが、一つ質問良いだろうか? 画面の向こうの君達が良くなくとも、質問するがな。

 

君達は、動物が好きだろうか?

 

篠栗()の答えは、YESだ。特に厨二心が擽られるような動物が大好きである。例えば、黒猫や鴉だな。

そして、今此処に如何にもな風貌のでかい犬がいる。所々に見える傷痕に、額にひし形の模様。好みどストライクである。何でも、ボルゾイという犬種で、別名はロシアンウルフハウンドといい、ロシアの狩猟犬らしい。それなら、この厳つい見た目にも納得である。

 

が、それがどうして篠栗()の後ろで、震えているんだろうか……

 

「あ、おーい。その犬逃がさないでくれー」

 

少し離れた所から、声が聞こえた。

逃がすなっていったって、この犬(こいつ)、よっぽど怖いことがあったのかぶるぶる震えてるんだが……。

 

暫くすると、あちらがだいぶ近づいてきた。先程の声の主は、人吉君であったようだ。

相変わらずぼろぼろの人吉君に、やけに楽しそうな不知火半袖ちゃん、それに妙に元気のない黒神会長。成る程、目安箱の依頼をこなしていた所か。依頼内容はこの犬を捕まて欲しいといった所かな。それにしても、会長の格好は随分と斬新な犬のぬいぐるみなようで。

 

「あーっ、アンタこの前の……!」

 

「何だ覚えていたのか。至って普通に忘れてくれて一向に構わなかったんだが。それと、人には指差すものではないぞ、人吉君」

 

「カッ! 忘れるかよ、アンタみてェな訳分かんねえ奴の事!」

 

訳が分からない……。それは酷くないか、人吉君。篠栗()は至って普通な一般生徒だぞ。

 

「む、善吉。知り合いか?」

 

「あ、嗚呼。剣道場の騒動の時に、ちょっとな」

 

「ふむ……、そうか。私は、黒神めだかだ」凜っ!!

 

本当に凜って、文字が会長の周りに出たような気がしたんだが……、格好が犬の着ぐるみもどきじゃどうにも締まらない。

 

篠栗()は、一年三組所属、篠栗朱那だ」

 

「あひゃひゃ♪ あたしは不知火ちゃんでーっす! よろしくねー☆」

 

「嗚呼、宜しく」

 

ふむ、至って普通に自己紹介したが、拙いかもしれないなこれは。至って普通に巻き込まれるフラグが立ったかもしれん。危機感を覚えたから、直ぐに主要組とは別れたが。

 

後に聞いた話だが、あの犬はあの後、無事飼い主の元に送り届けられたらしい。何かに怯えるかのように大人しい性格に変わっていたらしいが。

 

それと全く関係ない話なのだが、会長と口調が素で被っている気がするんだが、良いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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