すみません。遅筆で本当にすみません。
もっと、精進します……。
生徒会役員を示す黒い制服に身を包み、左腕には、当然の如く特別執行役員のことを表しているのであろう『特役』の文字。そんなどんな役職なのかよくわからない一見至って普通な生徒会役員の女子生徒が、不機嫌オーラをまき散らしながら、廊下を歩いていた。
つまりは、結局押し切られた
何が「ここ数年使われていなかった少々特殊な役職なのだが……。貴様が適任だ!」だ。使われてない役職引っ張り出してまで、
一先ず、生徒会室に辿り着いてしまった
「服を着て下さい。――阿久根先輩」
というより、言った。
何が悲しくて、嫌々来た生徒会室の扉を開けた途端ほぼ全裸の男を見なくてはならんのか。黒神会長もそうだが、羞恥心がないのか。
ん? 何故阿久根先輩は固まっているのか。……何気にこうやって面と向かうのは初じゃないだろうか……。
何とも言えない沈黙が満ちた時、ドタッという何かが引っ繰り返る音と「キャーキャー」という半袖ちゃんの声が、背後から聞こえた。振り返ると、やはりというか人吉君の頭と足の位置が上下逆転していた。よくもまあ、ここまで綺麗にギャグ的リアクションが取れるものだ。だが、丁度良い時に来てくれた。
「丁度良いとこ「なんでアンタが居るんだ!」
おい、
阿久根先輩も阿久根先輩で、
「――というわけで、本日付で生徒会執行部書記職に任命された二年十一組阿久根高貴だ。よろしくお願いします、
うわ、この人
人吉君はというと、顔は青いし冷や汗の量も半端でなく、何か怖い状態になっている。半袖ちゃんは人吉君とは反対に現状を楽しんでいるように見える。半袖ちゃんも
「ふっ、ふっ……、ふざけんなぁああっ!」
人吉君が爆発した。
「そっ、れっ、はっ!
「……え? 篠栗……?」
此奴……
「人吉君、君、本気で気付いてなかったみたいな反応するな! 悲しくなるだろうが!
「わりぃ……」
「素で気が付いてなかった……だと」
普通に謝られてしまい、愕然とする。
「あっひゃっひゃっひゃっ!」
半袖ちゃんは腹を抱えて笑っているわ、阿久根先輩は苦笑いしているわで、
「で、何で篠栗はここに居るんだ……?」
止め刺しやがった……。
「……帰りたい」
◇
さて、数分程
恐ろしくキャラぶれしていた気がするが、きっと悪い夢だったのであろう。そうに違いない。
「改めて、本日付で生徒会執行部特別執行役員を無理矢理やらされることになった、一年三組篠栗朱那だ。
「特別執行役員? 聞いたことないな」
服を着た阿久根先輩が疑問の声をあげる。
「
「覚えてるんだろうな、めだかちゃんなら」
「当たり前だ。私は、生徒会長だからな」
人吉君の言葉に答えるように、黒神会長が人吉君の背後からぬっと顔を出した。
「めだかさん!? いつの間にいらっしゃったんで!?」
阿久根先輩が驚きの声を上げた。人吉君も冷や汗を顔に浮かべている。半袖ちゃんは分かっていたようであひゃひゃと笑っている。よく笑う子である。
「うむ、始めからだ。――と言いたいところだが、今さっき来たばかりだよ」
「そうですか……」
どこかほっとしたように息を吐く阿久根先輩。何か見られたらまずいものでもあったのだろうか。さっきまでの裸体だろうか。いや、黒神会長がその程度で動じる訳が無いだろう。あ、
「して、何の話をしていたのだ?」
「
「ふむ、特別執行役員。略して特役はな、分かりやすく言うならば第三者委員会だ」
第三者委員会ねえ。それってあれだろう、何か問題が起こった時に、当事者等とは関係ない第三者が調査すという。
「でもでもー、結局篠栗さんは生徒会の役員な訳でしょ? それじゃ、第三者にならないと思いますけど?」
半袖ちゃんが揚げ足をとるような発言をする。
しかし、確かに
「問題ない。篠栗特役は、客観的に且つ平等に物事を見れる人物だ。だからこそ、私は篠栗特役にこの役職を頼んだのだ」
平等、ねえ。
そんなどこぞの
「随分と
そう、
余談だが、自己暗示のように普通と唱えていたら、「至って普通」が口癖になってしまった。
閑話休題。
「そう卑下するでないぞ、篠栗特役。私が貴様を見込んだのだからな」
黒神会長は、どこかからか取り出した扇子片手に不敵に笑ってそう言った。
「……ありがとうございます」
それだけ言う。きっと、今の
「さて、新メンバーの顔合わせもしたことだ。今日はもう下校時刻であるし、明日から張り切って生徒会を執行していこうではないか!」
「そうだな!」「はい! めだかさん!」
「嗚呼……」「あっひゃっひゃっひゃ♪」
「本日はこれにて解散!」
黒神会長の声が放課後の箱庭学園に響き渡った。