文月学園。京都市叡山の出街通りにある大きな学園だよ。
革新的な学力低下対策として「試験召喚システム」を導入しているんだ。進学校であるため、クラス発表は個人個人に渡されて、同時に最新技術の「実験場」としても扱われて、しかも多くのスポンサーが付いているため生徒の学費は極めて安く抑えられているビックリ。
何も知らずにここを訪れた人は、どこかの研究所に迷い込んだのかと思ってしまうというのも無理からぬ話だよね。
この今にもなにかのよからぬ実験をしそうな学園に在籍する僕は、高校2年生の春までの1年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておかなきゃ。
僕だって高校入学当初からこんな有様だったわけではない。中学時代は特にクラブ活動もせず、同じような非活動的な男達とくすぶっているばかりだったんだ。でも晴れてピカピカの高校1年生、友達百人できるのも悪くないと思っていた僕は数々の部活が個人の情報処理能力(まあそんな能力僕にはほとほとないんだけど)を遥かに凌駕する無数のチラシを差し出す文月学園の時計台へと足を向けた。
そこには光り輝く純金製の未来が扉を開いているように思った。そのどれを選んでも「薔薇色の高校生活が、清楚な乙女が、そして全世界が約束される」と思っていた僕は、手の施しようのない・・・
“バカ”だった・・・。
もしあの時違う部活を選んでいたならば、黒髪の乙女と薔薇色の高校生活を送っていたに違いない!
雄二「んなわけねえじゃん」
明久「いいんだ。ていうか雄二のせいで楽しい高校生活が台無しになっちゃった」
雄二「それはお互い様だろ。どうせお前はどんな道を選んだって今みたいな有様になっちまうんだ」
明久「そんな!?」
雄二「いずれにせよ俺はお前に出会って全力でおまえをダメにするぜ」
明久「どうして僕にそんな付きまとうんだ」
雄二「俺なりの愛だ。俺たちは運命の黒い糸で結ばれてるんだよ」