私立ファラエル学園。
長きにわたる名門私立ながら、学費は安く、幼稚舎から大学院まで、文武両道を謳い、各界に著名人を数多く輩出してきた。
才能と努力を重視するこの学園には、ここならではの不文律がある。
『金に物を言わせるものは排除せよ』
その不文律によりこれまで格差による問題ごとなんて何事もなく、平穏な学園生活を営んできた。
しかしその不文律が今年、破られようとしている。
高校1年生に、エスカレーター式に進級できた大杉澪は、中等部の頃の生徒会長の経験を買われ、高等部の教職員の推薦でこの春からいきなり生徒会長に就任することになった。
異例のことだと思われるかもしれないが、ファラエル学園のモットーは実力が何をも勝る、というもので、前年度までの生徒会長は、澪が入学すると聞いて任期半年だと勝手に決め込み、教職員の薦めにもすんなり了承し、引き継ぎの準備を完璧に済ませ、澪の入学を待っていたほどだ。
時を同じくして、他の生徒会役員の臨時改選も行われた。
異例の全員1年生の生徒会役員人事となったが、誰1人この状況に異論を唱えるものはいなかった。それどころが、これこそが最適だと言わんばかりの評価を受けている。
人望に恵まれた、文武両道の学園の顔とも言える1年会長、大杉澪。
その双子の弟で、頭脳明晰、大杉澪の右腕と称される1年副会長、大杉湊。
寡黙が過ぎるが、何事をやり通すことをも厭わない1年書記、雨宮織。
微笑の奥に秘められた闇には誰も触れられない、皆に恐れられる1年会計、香宮若菜。
この学園自体、癖者の集まりでできているようなもので、それをまとめるには常人では可哀想な程であった。前生徒会は、この選挙結果を見るや、一目散に逃げ出した。自分たちよりもうんと学園を守り進めていくことの出来る顔ぶれだったからでもあろうが、この任の重さを物語っているようでもある。
その新生徒会(仮)に、まず持ち上がった議題が、先刻申した不文律に関する、「坂下透子問題」である。
現在の日本におけるコンピュータシェア1位の座を独占している、株式会社エンドウズの生みの親、坂下歩。その人の愛する養い子が坂下透子である。その子が先日、目覚しい成績で入試を突破し、晴れてファラエル学園高等部Sクラスに入学することが決定した。
だが、Sクラスというのは、この学園内においても一目置かれるクラスであり、その学年でも選ばれしエリートしか入学を許可されない。しかも、希望するしないに関係無しにクラスは割り振られるため、入りたくても入れないクラスと称されている。坂下透子の能力は、まさしくSクラスのそれである。しかし、彼女がエンドウズの社長令嬢の座を利用し、不文律を犯しているのではないかと勘ぐる輩の妬み嫉みが伴うことは容易に想像できた。その間に置かれ、苦悶した関係者各位が問題を丸投げした先が新生徒会(仮)である。
字ばかりですみません。
もう少し話が進んだら、いろいろ言い訳めいた説明をさせていただきます、きっと・・・・・・(^^;