輝く月になれ!橘みずきのhigh school life!   作:みずき 橘

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第4話 〜1年vs2.3年 先輩、覚悟してくださいね?〜

 

 

4月、高校球児にとってはまだ物足りない気温の中、1年生は気合いを入れていた。今日は憧れの2.3年生との勝負。ここで活躍をすれば夏の大会にもベンチ入りできるのは確実だった。

 

「みんな集まったようだね、じゃあさっそく試合を始めようか。両オーダーは僕が考えといた。確認しておいてくれ。ちなみに1年生は少し足りないから2年から入れておいたよ、ちなみに今日の試合は5回までだ」

 

1年生はそうスバルに言われてメンバー表を見ると、昨日の能力テストで残当と思われるオーダーになっていた。先輩達のオーダーもどうやら大会のときと同じ。全力でくるようだ。

 

1年チーム

1二 西岡

2中 玉風

3捕 六道

4遊 友沢

5三 月島

6一 鈴本

7左 佐々木(2年)

8右 浜岸 (2年)

9投 橘

 

みずきは3回まで、残りの2回を鈴本、と言った感じのようだ

 

2.3年チーム

1遊 小田切

2二 七誌

3三 内山

4一 カブレラ

5左 宇渡

6捕 三田村

7中 桑原

8右 児玉

9投 早川

 

あおいは5回まで、状況次第でスバルが投げるようだ

 

「審判は監督にやってもらう。僕は1塁審、五反田は2塁審を頼むよ、塁審が1人足りないね」

とスバルが言うと、みずきが周りを見渡して1人の男に声をかけた

 

「あ、あんたちょっとこっち来なさいよ!」

 

え?オレ?と言った表情で入学式にみずきに声をかけたチャラ男が寄ってくる

 

「ちょっと人数が足りないんだけど、野球わかる?塁審やってほしいんだけど?」

 

とみずきに言われ、チャラ男は自信満々に

 

「オレ、実は大の千葉ロッテマリーンズのファンでよく野球見てるんだぜ!塁審なら任せてよ」

 

と言って審判の人数はどうにかなった

 

「京野さんは明星にスコアの書き方教えてもらってくれ」

とスバルに言われ、京野は頷き、せっちゃんは任せてよ!っといった具合で試合が始まる

 

 

 

1回表

先攻は1年生チーム

西岡が左バッターボックスに立つ

 

プレイボールと同時にあおいが初球を投げる

 

シュッ! 「アアアァァァァイ!」

外角低めのストレート

監督がまるで獣のようなストライクコールをする

 

続いて第2球、今度は内角にスライダーが入ってくる

なるほど、これは厄介だな、と西岡は思う

アンダースローから放たれるボールは出所が見えにくい上、緩急までついている。キャッチャーのリード次第では凄くやりにくい球になる。

 

そして3球目、内角にきたボール球を仰け反ると、ボールは曲がってストライクゾーンに入った。3球3振

 

「見えにくいぞ」

 

と西岡は次のバッターの玉風に伝える

玉風もわかったと頷き左打席に入る

 

結果は3球目に追い込まれたあとの内角低めのストレートに空振り三振

 

続く聖が右打席に

紅白戦とはいえ勝ちたい、それに5回までしかないため、先制点は重要になると考えた。しかし結果はレフトフライで初回が終わる。

 

 

投球練習が終わったみずきに聖が声をかける

 

「いつも通りだな、初球、大事だぞ」

 

と声をかけられたみずきは分かってるわよ、と言って聖を追い返した。

 

1回裏

小田切が右打席に入る

 

彼はどちらかといえば守備型のショート。しかし塁に出せば走られる可能性が高い。慎重に入れにいった外角のストレートを見逃す

 

「アアアァァァァイ」

審判の声がこだまする

 

続く2球目、また慎重に入れにいったストレートをセンター返しで抜けていく、と思ったがショート、友沢が取ってファーストへ送球。見事にアウト

 

「やるじゃないの、あんた!」

 

とみずきが友沢に声をかける

 

「お前の球が簡単に弾き返されるのは想定内だ」

 

と友沢が返すとみずきは

 

「ふん!まだ1番じゃないの!こっから三振奪うんだから見てなさいよ!」

と友沢に言い返した

その後続く2番七誌から宣言通り三振を奪ったが

その後3番内山にレフト前ヒットを浴び、4番カブレラにセンターオーバーのツーベースを打たれ、5番宇渡には甘く入ったスライダーを簡単に持っていかれた。

 

あっという間の3点だった。

聖がタイムをかけてみずきの元に行く

 

「すまない、今のは私のミスリードだ。球は走ってるぞ」

と声をかけ、みずきは頷く。

これは出会い頭の一発だと思った。

しかしそうは行かなかった。

 

続く6番三田村にツーベースを打たれ、7番桑原のヒットで三田村が帰ってくる。

これ以上点はやられまいと8番児玉には力んでしまい、2球目のすっぽ抜けたボールが背中に当たってしまった。

「痛っ!」

っという児玉の叫び声にみずきがしまったという表情で帽子を取って謝る

 

「すいません、大丈夫ですか?」

 

すると児玉は平気な顔で

 

「大丈夫、大丈夫。でもあおいちゃんには当てないでくれよ」

といって1塁に走っていった。

 

気を取り直し、続くあおいを三振に取って1年はベンチに戻る

 

「長かったなぁ」

 

と1年の誰かが声を発する

スコアボードには0-4と書かれている。

先輩との差を見せつけられ、現実を受け入れることしかできなかったか、バッテリーは違う。

ベンチに戻ってさっそく配球の話し合いをする。

 

「打たれたのは聖のせいじゃないわ、私の球が甘く入っただけよ。それを先輩が上手く打っただけ」

 

とみずきに言われ、そうかと聖が言うと

 

「みずきは今日はコントロールが定まっていないが、球は走ってる。次からはストレート主体で行くぞ」

 

というとみずきは分かった、と言った。

そうしてるうちにキィィィンという完璧に捕らえた打球音がする。

4番友沢のホームランだ。

 

「やっぱお前はすげえな」

とみんなに言われながらベンチでハイタッチを交わす。

続く5番月島は捉えるも、センター桑原のファインプレーによって阻止される。

そして6番鈴本がヒットを放つも7番佐々木が併殺に倒れ、チェンジになる。

 

2回裏

「よーし、またまだ3点差!試合はこれからよ!」

と気合いを入れるみずきだったが友沢に一言声をかけられる。

 

「誰のせいで4点取られたと思ってるんだ、しっかりしろ」

 

そう言われ、うっ…となるみずきだったが、友沢にしっかりしろと言われ、気を入れ直した

 

その回は聖と話した通り、ストレート主体でいき、先頭バッターを塁に出すも、後続3人をしっかり抑える

 

3回表

8番の浜岸がヒットを打つ。彼はスタメン外の2年と言っても、ただのベンチウォーマーではない。大会では代打としての成績がよく、打撃力には優れていた。

そして続く9番みずき

 

「よーし、繋ぐわよ!」

 

そう言って初球をしっかりバントし、ランナーを進める

 

そして1番西岡が粘ってフォアボールを選ぶ

いいぞーといった声がベンチから聞こえる

 

2番玉風が併殺崩れに倒れ、2アウト1.3塁となる。

 

続いて三番聖

 

「聖ー!1点返してー!」

 

とみずきがベンチから声を出すも、内野ゴロに倒れる

 

「すまない、みんな…」

 

と聖が言うが、浜岸が声をかける

 

「大丈夫大丈夫、みんな当たってきてるよ!」

そういって浜岸は自分のポジションに行った。

 

3回裏

 

5番宇渡からの攻撃。追い込んだ2-2からの6球目、クロスファイヤーのストレートが内角に行く。抑えたとバッテリーは思ったが、宇渡はそれを持っていった。2打席連続のホームラン。

なっ…と聖が動揺を見せる。

 

そして6番三田村が打席に入る際、聖に一言かける

 

「六道さん…だっけ?1回と2回で配球を変えたみたいだね。それは褒めてあげれることだよ。でもそれだけじゃダメなんだ。まだリードが単調になってる。高校生の男子と一緒にやるのは厳しいとこもあるかもしれないけど、キャッチャーをやる以上ピッチャーを生かすも殺すもキャッチャー次第なんだ。だからいろいろな試合でもっと勉強していくといいよ。あおいちゃんも、すごく研究してたからね」

 

聖は先輩に言われた言葉をしっかりと聞き受けた

 

 

 

 

--1-10

スコアボードに書かれた数字を1年生はただ見つめるしかなかった。

 

「まだ続けるか?終わらしてもいいよ」

 

とスバルに言われ、全員が黙った。

しかしまだやる気のある者が2人いた。

 

「続けたいです」

「まだ…投げてない」

 

友沢と鈴本だった。

すると周りもそうだな、といった感じで

 

「分かった。じゃあ予定通り5回まで行おう」

 

そう言ってスバルは戻っていった。

すると先輩の浜岸がみんなを集め、円陣を行った

 

「一つだけあるんだ、あおいちゃんの弱点--」

 

4回表

4番の友沢からだ。

さっそくヒットで出塁する。

続く5番月島は、浜岸に言われたことを初球から試す

それは…

「--あおいちゃんの弱点、いや、アンダースローの弱点。それは、揺さぶることだ」

月島はバントの構えを見せる。当然あおいはダッシュをしてくる。

 

「やるのかやんないのどっちなのよ」

と、あおいが小声で文句を言う。

 

そして、5球目にセカンドの深いところに打ち、内野安打にする。

 

次の6番鈴本も同じように揺さぶりをかけ…

 

フォアボール!

 

これでノーアウト満塁だ。するとキャッチャーの三田村が、そうきたかと言わんばかりに立ち上がり、守備にサインを送る。前進守備だ。どうやら1点もやるつもりはないようだ。

 

7番佐々木を三振に打ちとるが、8番浜岸は左中間の浅いとこにヒットを放つ。これで三塁ランナーは帰ってくる。そして2塁ランナー月島もホームに帰ってくるが…

 

ドカッ

 

クロスプレーになった。

判定は…

 

アウト!

 

そして9番みずきが内野フライに倒れる

 

惜しくも1点だけ返すも、試合を諦めていた1年生には大きな1点だった。

 

4回裏

ついに鈴本がマウンドに立つ。恐らく最後の守備になるであろう、聖がマウンドに寄る

 

「鈴本、サインは…」

 

と聖が言いかけたところで鈴本が話すのをやめさせる

 

「サインはいらない、構えるだけでいい。俺はそこに投げ込むだけだ」

 

と言われ、聖はなんだと…?といった表情で

「それじゃあ意味がないだろう!」

 

と言ったが鈴本は何も返さなかった。

その回、鈴本は聖の構えたところにしっかり投げ込み、3者連続三振を奪った。

ベンチに戻り、ぼーっとしている聖にみずきが声をかける。

 

「聖…?どうしたの??」

 

いきなり声をかけられた聖は

 

「い、いや、別になんともないぞ?」

 

と返したがみずきは小声で

 

「久々に鈴本の球取れて嬉しいんでしょ?」

 

と言った。

確かに、鈴本とバッテリーを組んだのは中1以来。当時中学の部活でバッテリーを組んでいたが、鈴本はシニアチームに行ってしまった。

だから鈴本の球を受けたのは嬉しかった。しかし、サインはいらないと言われてしまった。

(私はただの壁なのか…?)

とさっき鈴本とのやりとりを思い出し、カッとなった聖は

 

「そんなんじゃない!」

 

と怒鳴った。

みずきはびっくりし

 

「な、なによ…そんな怒ることないじゃない」

 

そう言われ、聖も我にかえって

 

「す、すまない。つい…」

 

とみずきに謝った。

 

そして5回表は3人で抑えられ、試合は2-10で終わった。

 

 

「みんなお疲れ様。今日で1年生の実力ははっきりしたし、まだまだ夏に向かって伸ばすところがみんなあると思うんだ、明日からも頑張っていこう。じゃあしっかり各自ストレッチしてね」

 

とスバルの挨拶で1日は終わった。

 

 

--女子更衣室

 

「みんなお疲れ!差し入れ作ってきたよ!アツアツの冷やし中華だから早く食べてね!」

 

せっちゃんが差し入れを渡す。アツアツなのに冷やし中華…?という突っ込みはみんな疲れてできなかった。

そしてあおいが後輩2人に試合のことを話す

 

「2人とも頑張ってたね!楽しい試合だったよ!またやりたいね!そうだ、後でパワ堂行く?何か奢ってあげるよ!」

 

あおいにそう言われみずきはやったー!と喜んだが、聖はずっと黙っていた。そのことに疑問を持ったみずきが聖に声をかけると、聖は不意をつかれた感じで

「あ、ああ、すまない。あおい先輩…気持ちは嬉しいが今日は先に失礼させてもらうぞ」

 

そういって聖は荷物を持って帰ってった。

 

「聖ちゃん…どうかしたの?」

とあおいがみずきに聞いた

 

「うーん…なんか試合途中からおかしいんですよね…また明日聞いてみます」

とみずきは返した。

みずきも聖の異変には気づいていた。というより聖がパワ堂に行きたくないなんてことは滅多になかったと思った。

 

そしてせっちゃんは3人の会話を聞き、聖の異変の原因が分かったような気がした。

 

「(もしかしてこれは…恋のヤカン(予感)!?)」

 

 

--いつもの帰り道

聖は試合の反省を1人で振り返り、何度も鈴本のことを考えた。

もしこのまま3年間、私が壁としか扱われなかったらどうしよう。

更に試合中三田村に言われたキャッチャーとしての話しを思い出し、珍しく不安が募っていた…

しかしずっとモヤモヤしていてはダメだ。早く解決することに越したことはない…

そう思った聖は携帯電話を取り出し、男に電話した。

 

「もしもし、鈴本か…今から話しがあるから来てくれないか」

 

試合中に言われたことの真相をつきとめるため、聖は鈴本に直接話しをしようとする--。

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