輝く月になれ!橘みずきのhigh school life! 作:みずき 橘
--サインはいらない。自分をただの壁だと思われた聖は鈴本に話しをつけるため、部活後に近くの公園へ呼びつけた。
「待たせたね聖。それでどうしたんだい?話しがあるって」
少し遅くなった鈴本が詫びを入れる。聖は気にしてないと言い、紅白戦の件について話し始める。
「鈴本…今日の紅白戦についてだ。お前は今日、私にサインは出さなくていい。構えてるだけでいいと言ったな?」
鈴本はああ、と頷く
「そのことだ。お前はこれから3年間ずっと私をただの壁として扱うのか?お前がそれでいいと言っても、私はダメなんだ…!私はキャッチャーとしてサインを出してピッチャーが頷いて投げて、そして抑える。それがチームとしても、バッテリーとしても、私としても理想系なんだ…!」
「いやちょっと…」
聖の発言にわけが分からず鈴本が止めようとするが聖が話しを続ける。
「私は試合中のお前の言葉を受けてからずっと不安なんだ…!私のことを信用してくれないのか…自分勝手でやりたいのか…また中学の時みたいに部活を辞めてどこか違うチームに行ってしまうのか…!私はただ、お前とバッテリーが組みたかったんだ…!」
聖の肩が震えているのがわかった。
話すのを辞めない聖に鈴本が無理矢理、手で聖の口を塞いで話すのをやめさせる。
「なっ何を…!」
いきなりの鈴本の行動に聖は体が固まった。
そして鈴本が話す。
「聖、キミはさっきから何を言っているんだい?僕はキミの事を壁扱いしたつもりはないよ」
え?と聖は首をかしげる
「まあ、聞いてくれよ。確かに今日の試合、投げる前にキミにサインはいらないと言った。でもキミを壁扱いしたわけじゃないんだ。投げる球は言わなくても分かると思っていた。実際に聖はボクの球をこぼさなかっただろう」
そういわれれば…確かに、と聖は首を縦に振る
「ただ誤解を生んだのは悪かった。謝るよ。それに僕はキミを信用していないわけじゃない、むしろ信頼しているつもりさ。こんな良いキャッチャー、なかなかいないさ」
鈴本に褒められ聖は少し顔が赤くなった
「それと、サインは決めてもよかったけど…決めるならもっと早く声をかけて欲しかかったね。あんな短時間じゃお互い忘れてしまう可能性があるからね」
と鈴本が苦笑し、聖もそれもそうだと納得する
「そして中学の話だ。確かに僕は中学の野球部を辞めてシニアに行った。それは聖と橘以外のチームメイトのやる気の無さを感じたからだ。2人には勝手にやめて申し訳ないと思っている」
聖はそうだったのかと黙って話しを聞き続ける
「キミ達2人のやる気は女性ながら凄いと思っているよ。僕もまだまだ見直すところがあるだろう、でも僕はこのメンバーなら甲子園も夢じゃないと思ってるんだ。これからも頑張って行こう」
そう言って鈴本は聖の肩をポンと叩く
「話しは終わったようだね、じゃあ僕は帰るよ。聖も明るいうちに帰りなよ」
そういって振り向き、帰っていく鈴本に思わず聖が声をかける
「す、鈴本!」
鈴本が振り向き、どうしたんだいと聞くと聖が後一歩のとこをとどまり
「い、いや、なんでもないぞ…また明日な…」
そう言うと鈴本は後ろを向きながら右手を振って帰って行く
「わ、私は今何を…早く帰ろう」
聖は自らの行動に疑問を持って早々と帰っていった。
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「面白いもの見ちゃいましたね!」
パワ堂の帰りに公園に寄ったみずきとあおいは笑いながら顔を見合わせる
「聖ちゃんってこんな可愛い一面あったんだね!分かってる?みずきちゃん、これは私達だけの秘密だよ?」
とあおいが声をかける
そして何故か2人に連れてこさせられたにも関わらず、聖の件で完全に自分の事を忘れられている友沢は思った
--「(こいつらには絶対に秘密を知られてはいけないな…)」と。