にこはアイドル捜査官 ラブライブ✕相棒   作:くーたん局長

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……4

〜道〜

 

にこ(今日はちょっと早すぎるわね……横溝警部は「現場百遍っ!」って言ってたし……今日も行く前に事件現場あたりを聞き込みしようかしら!)

 

にこ「すいませーん」

 

老人「ううふん? な、なんじゃ……」

 

にこ「警察の者なんですが、先日の白瀬さんの溺死事故のことご存知ですか?」

 

老人「ううううふふふん? ふ、ふん? な、なんだって?」

 

にこ(聞こえてないのかしら……)

 

にこ、大声で。

 

にこ「こーのー前の、じーこーのこーとご存知ですかー!」

 

老人「うううううううううふふふふふんふんふんふん、うふうふふんふんふん……ふ、ふん? な、何じゃと?」

 

にこ(……ダメだわ。このままでは『ううううふんふん……』ばかりが増殖して、取り返しのつかないことに……お互いの精神のためにもここはあきらめましょう……)

 

にこ「いえ、なんでもありません。失礼しました」

 

老人「あの事故の日、白瀬さんのことを見たぞ。ワシ」

 

にこ「えっ!? 本当に? どこですか?」(……って、このクソジジイ聞こえてたんじゃない……まんまともて遊ばれてたわけね……)

 

老人「午前十時ごろだったかなぁ……なんだか辛気臭い顔して、公園のベンチに座っておった……」

 

にこ「ありがとうございます!」(貴重な証言ゲット!)

 

老人「いいや、どういたしまして」

 

にこ、老人と別れて歩く。老人、手を振り送る。にこ、振り返す。

 

にこ「よし、もう行かなくちゃ」

 

少年?「ねえねえ、おネィさん」

 

にこ「うん? 私?」

 

少年?「今ひまー? オラとお茶しない?」

 

にこ「お茶?」(オラって……聞こえた気が……?……気のせいよね……)

 

少年?「ピーマン好き? にんじん食べれる? 納豆にはネギ入れるほ-う? 」

 

にこ「えっと……」

 

にこ(……なんだかめんどくさい子供に絡まれちゃったわね……)

 

にこ「お姉さんはね、今からお仕事に行くところなの。だから、お茶してる暇はないかなー、お父さん、お母さんは?」

 

少年?「みさえ? あー、どこだろ? まあまあ、そんなことおいておいて……オラと愛について語りあわない?」

 

にこ「うーん……」(……めんどくせーな、こいつ。幼稚園児が平日から何やってんだよ……)

 

少年?「きれいなおネイさんには、やきいもごちそうしてあげるゾ!」

 

にこ「やきいも?」

 

にこ「朝からやきいもは……ちょっと……」(……幼稚園児ね、所詮……)

 

少年?「最近、ここらへんにやきいも屋さんがくるんだゾ」

 

にこ「へえ……どこらへん?」

 

少年?「あそこ。あれぇ?」

 

にこ「今日は来てないみたいね?」

 

少年?「ま、待ってぇ……先週はいたんだゾぉ……」

 

にこ「先週って、いつよ?」

 

少年?「愛の流刑地が放送してた日ダゾ。CMのときにやきいも屋さんが通りかかったから買おうとしたんだけど、逃げられちゃった」

 

にこ「君、愛の流刑地なんて見るの?」

 

少年?「まあ、名作ですから……それほどでもぉ……」

 

にこ「別に褒めてないけどね」(うん?……愛の流刑地の放送時間って、白瀬さんの死亡時刻と重なるわね……)

 

少年?「ねえおネイさんも愛の流刑地好き? ならオラんちで見る? その後……あつーい愛をかわしちゃ……」

 

にこ(関係ないわね……まあ一応聞いとこうかしら)

 

にこ「そのやきいも屋さんについてもう少し詳しく教えてほしいんだけど?」

 

少年?「オラのことじゃなくて?」

 

にこ「ええ」

 

少年?「いいけど、どうしておネイさん、そんなこと気になるの?」

 

にこ「それはね……」

 

にこ、警察手帳を見せる。

 

にこ「お・ネ・イさん、こういう仕事をしてるの」

 

少年?「いやぁ!ぁ! お、オラ、な、なんにもしてないゾぉ!」

 

にこ「お、落ち着いて……」(コイツの証言に証拠能力あるかしら?)

 

少年?「ひーひーふー、ひーひーふー、お、落ち着いたゾ……」

 

にこ(……妊婦か!?……って、ダメよ、ダメよ、にこにー、

コイツのペースにのせられちゃ……)

 

にこ「えっと……君お名前は?」

 

少年?「名を聞く前にまず自分から名乗るのが礼儀ダゾ」

 

にこ「そ、そうね……」(……幼稚園児よね?)

 

にこ「私は警視庁特命係の矢澤にこ、あなたは?」

 

少年?「オラ? オラ、野原しんのすけ、五歳!」

 

にこ「へえ……じゃあしんのすけ君、そのやきいも屋さんのことで気づいたことってある?」

 

しんのすけ「気づいたこと?」

 

にこ「どんな些細……小さなことでもいいんだけど?」

 

しんのすけ「答えたら、おネイさん喜ぶ?」

 

にこ「ええ」

 

しんのすけ「えっとね……」

 

にこ「じゃ、じゃあ他のやきいも屋さんと違うところは?」

 

しんのすけ「えっと……おネイさんみたいなきれいなおネイさんたちのストッカーがはってあったゾ?」

 

にこ「……もしかしてステッカーって言いたい?」

 

しんのすけ「そうともゆー!」

 

にこ(そうとしか言わないわよ!)

 

しんのすけ「も、もちろん、おネイさんのほうがずっとかわいいゾ」アセアセ

 

にこ(……なぜか弁解してるし……)

 

にこ「ふうん……お姉さんたちのステッカー……どこかのアイドルグループのステッカーかしら……他には?」

 

しんのすけ「うーん……」

 

にこ「窓から見て気づいたって言ったわよね? いーしやーきいもー、おいも♪っていう曲で気づいたんでしょ?」

 

しんのすけ「音程外れてるゾ」

 

にこ「うるさい!」

 

しんのすけ「ひえっ!」

 

にこ「……で、そうなんでしょ?」

 

しんのすけ「う、うたはき、聞こえなかったゾ……」

 

にこ「えっ? じゃあ、なんでやきいも屋さんってわかったのよ?」

 

しんのすけ「だって……車にやきいもの絵がかいてあったから……」

 

にこ「ふうん……」(無音……帰るところだったのかしら?)

 

にこ「それでどちらの方角に?」

 

しんのすけ「あっ……あっちダゾ……」

 

にこ(方角は白瀬家のほうとは違うけど……)

 

にこ「ありがとう! 坊や!」

 

しんのすけ「へへへ……どういたましまして!」

 

にこ「どういたしましてでしょ? じゃあね!」

 

しんのすけ「バイバーイ!」

 

〜特命係〜

 

にこ「ルンルンルン♪ ルンルンルン♪ ずるいよずるいよ♪ 本音を隠してる♪ ほらまた目が合うくせに♪」

 

特命係の部屋に入るにこ

 

にこ「おはようございまーす、にこぉ!」

 

角田「おっ、おじゃましてるぞ。矢澤、やたら今日はテンションが高い!」

 

にこ「角田課長! いや角田警視! おはようございます!」

 

深々と敬礼する、にこ

 

角田「おおわかってるねぇ……俺が課長より警視って呼ばれるほうが嬉しいことをさ!」

 

杉下「何かよいことがあったようですねぇ……」

 

にこ「はい! 昨日、幸運の神様に会ったんです!」

 

杉下「おやおや……そうですか」

 

角田「ハハハ……そうか、そうか。ところで頭大丈夫か?」

 

にこ「はい! 大丈夫です! ありがとうございます!」

 

角田「……本当に大丈夫かよ……」ズルズル……「ここのコーヒーはやっぱりうまいな……」

 

にこ「そうだ、杉下警部! 今朝、聞き込みしてたら有力な証言が一つとれました!」

 

角田「それは本当か!」

 

にこ「はい! 事件の日の午前、近くに住むおじいさんが被害者が公園のベンチに座っていたのを目撃してるんです!」

 

角田「そりゃデカイぞ! なあ、杉下?」

 

杉下「そうでしょうかねぇ……」

 

角田「えっ?」

 

にこ「どういうことですか? 警部?」

 

杉下「いえいえ……気になさらず」

 

にこ(……なんなの、この反応の薄さ……もしかして、知ってた?)

 

にこ「え、えっと……も、もう一つあるんですけど、現場の近くで被害者の死亡時刻にやきいも屋が目撃されてるんですよ!」

 

角田「……それは別にたいしたことないな」

 

杉下「それでは僕は行きます」

 

にこ「はい!」

 

杉下「いえ、君はそこの捜査資料を整理しておいてください」

 

にこ「はい……」

 

〜二時間後〜

 

杉下「ただいま、戻りました」

 

にこ、爆睡。杉下、揺さぶる。

 

杉下「矢澤さん、矢澤さん……」

 

にこ「う、うん……」

 

杉下「寝ていたようですね?」

 

にこ「あっ……すいません!」

 

杉下「まあ、いいでしょう。それでは行きましょう」

 

〜車中〜

 

にこ「うふふふ……警部ったら捜査とか言って、にことデートしたいだけだったんですね〜 素直に言えばいいのに〜」

 

杉下、微笑しながら無言で車を走らせる。

 

にこ「お、怒ってます? じょ、冗談ですよ?」

 

杉下「あっ、降りましょう」

 

〜サービスエリア〜

 

にこ「けいぶぅー! アイスおごってくださいよー」

 

杉下「そうですねぇ……」

 

下園「奇遇ですね、刑事さん」

 

にこ「あっ、下園さん!」

 

杉下「ええ、奇遇ですねぇ」

 

下園「尾けてきたんですね? 私のこと?」

 

杉下「いえいえ……尾行していたわけではありませんが」

 

にこ(はハン! そーゆーことね!……って、いつから尾けてたの!? 全然気づかなかった……)

 

下園「嘘ね。別に私は何もやましいことなんてしてませんよ。京介君を迎えに来ただけだから」

 

にこ「京介君……っていうことは京介さんとはずいぶん仲がいいんですね?」

 

下園「小雪と京介と私は中学のときの同級生なの。京介と私たちは高校は違うんだけど」

 

杉下「ほう……」

 

にこ「そりゃそうですよねぇ、白瀬社長亡きあとの社長代行である下園さんが、前社長の旦那さんかつ友達である京介さんを迎えに行くのは普通のことですよね?」

 

下園「そうよ、あなた何が言いたいの?」

 

にこ「別になんでも」

 

杉下「ここで偶然お会いしたのも何かの縁でしょうから、いくつかお聞きしたいことがあるのですがねぇ?」

 

下園「ふうん……あくまでしらをきると……いいわよ、どうぞ?」

 

杉下「このようなご家庭の事情をお聞きするのは非常に心苦しいのですが、白瀬夫婦の夫婦仲はどのようだったのでしょうか?」

 

下園「立派よ、京介さんは。小雪の生活が乱れても、小雪が家に男を連れこんでも、小雪を見捨てないで寄り添って、小雪がもとに戻れるように支えてたんだから」

 

にこ「遺産は? 遺産はやっぱり旦那さんが相続するんでしょう? 下園さんには? 少しは入るんじゃないんですか?」

 

下園「あなたね! 失礼じゃない! それじゃ私が小雪の遺産を狙ってるみたいじゃない! いい加減にしないと名誉毀損で訴えるわよ!」

 

にこ「あはは……す、すいませーん」

 

杉下「失礼なことを言ってはいけませんよ、矢澤さん」

 

にこ「はい……」

 

杉下「ところでこの前、白瀬さんはお亡くなりになる前日にパーティーを開いているとお伝えしたと思いますが」

 

下園「ええ、聞きましたよ」

 

杉下「その際に男性がいたそうでしてご存知でしょうか?」

 

下園「いいえ。パーティー自体知らなかったのに、そこに参加している人なんて知るわけないでしょう?」

 

杉下「それもそうですねぇ……それともう一つ、事件現場の近所に住む子供がやきいも屋を見たそうです。それが午後二時二十分ぐらいだそうでしてねぇ……」

 

にこ「死亡時間とほぼ同じです!」(それ、にこの功績なのに! ちゃっかり自分のものにしてる!)

 

下園「やきいも屋さんが、小雪のことと何の関係があるっていうの? 殺人とか言ってたわね、そういえば……」

 

杉下「ええ、下園さんもご存知だろうとは思いますが、最近シラセプロダクションの劇場内でやきいもを販売しているそうですねぇ?」

 

下園「ええ、私の秘書の小泉さんの提案で……」

 

杉下「また劇場外でも、宣伝のためにシラセブランドで販売しているとか?」

 

下園「ええ、それも小泉さんのアイデアで……」

 

杉下「どうやら目撃されたやきいも屋は、ステッカーやロゴから見て、シラセプロダクションと提携しているやきいも屋だと思われます」

 

にこ(……もしかしてにこ、とんでもない証言を取ってきたんじゃ……)

 

下園「ふうん……で? 別に普通じゃない?」

 

杉下「いえ、その業者のほうに問い合わせたところ、白瀬小雪さんのお宅の近くは販売地域の圏外で、ふだんから販売することはなく、従業員も誰もあの時刻、白瀬さんのお宅の近くを通りかかった人はいないんですよ!」

 

下園「……妙ね、それは」

 

にこ「なるほど! じゃあ、その人が第一の容疑者ですね! 警部!」

 

杉下「ええ、矢澤さん。そうなんですよ! 白瀬さんの死亡時刻、新日本ポテトの車はシラセプロの劇場の駐車場に停まっていたのです。また普段から鍵もかけられていなかった。つまり劇場にいた方なら、誰でも車に乗れるのです」

 

下園「ふ、ふん……もういいかしら? 早く空港行かないといけなくて……」

 

杉下「最後にもう一つ、もう一つだけよろしいでしょうか? 下園さんが事件当時、ずっと事務所にいらっしゃったという話の裏をとりたいんですが……よろしいでしょうかねぇ……」

 

下園「どうぞ。事件の関係者はすべて疑うのが捜査の鉄則らしいですし……」

 

杉下「ええ、そうなんですよ。よくご存知ですねぇ……。まあ、あなたがいたことは小泉さん、高海さんからお伺いすればすぐにはっきりすると思われます。ところで、高海さんに伺ったのですが、ライブ前はひどく不機嫌で、小泉さんにもライブ中は一度も連絡がなく……」

 

下園「ライブ中に電話するなんてデリカシーのないこと、私はしませんよ。杉下さん?」

 

にこ「それもそうですよ。警部」

 

下園「私、京介を迎えにいかないといけないので失礼します」

 

杉下「あっ……」

 

下園、走り去る。

 

にこ「追いかけます? 警部?」

 

杉下「いいえ、結構。次へ行きましょう」

〜シラセプロ・衣装室〜

 

花陽「ほ、ほんとに下園プロデューサーの許可を取ってるんですよね……」

 

にこ「ええ、もちろんよ」

 

花陽「ちょっと……電話してみても……」

 

にこ、花陽の手をつかむ。

 

にこ「今、下園プロデューサー、忙しいみたいだし、無理に連絡とる必要はないと思うんだけど!」

 

花陽「ひいっ!」

 

にこ「いい? 花陽、もーしー、忙しい下園プロデューサーを邪魔するよーうなー、電話をかけたらー、花陽でもー、公務執行妨害で……逮捕しちゃうかも……」

 

花陽「そ、そんな……」

 

にこ「大丈夫よ、ちょっと見るだけ。いじらないから」

 

花陽「やっぱり無許可なんだ! しかも捜査と無関係!」

 

にこ「うっさいわね……これだって捜査の一環よ……」

 

花陽「ど、どこがですか……?」

 

にこ「えっと……それは捜査情報を一般人にもらすわけにはいかないから……」

 

花陽「はぁ……じゃあ、にこちゃんが変なふうにいじらないように、花陽見てます」

 

にこ「人を泥棒扱いするんじゃないわよ、刑事なんだから……これかわいいわね……」

 

花陽「あっ! わかります?」

 

にこ「これ、最高じゃない!? なんか和風なかんじが斬新で!?」

 

花陽「ですよね!? ……よかったら着てみます?」

 

にこ「いや……さすがに、にこ20代だから……」

 

花陽「にこちゃんは小さいから、大丈夫です! 着てみてください!」

 

にこ「いいの?」

 

花陽「いいんです、いいんです、さあ……」

 

着てみる、にこ。

 

にこ「……どう?」

 

花陽「……うん」

 

にこ「……やっぱりダメかしら?」

 

花陽「……さ……」

 

にこ「ぬ、脱ぐわね」

 

花陽「にこちゃん!」 

 

にこ「な、何よ……」

 

花陽「最高! 最高です!」

 

にこ「えええ!」

 

花陽「ああ、もう! こんな似合っちゃうなんて反則です!」

 

にこ「そ、そんな……照れるからやめなさいよ……」

 

花陽「カメラ、持ってきます! そのまま待っててください!」

 

にこ「ちょっと!」(……行っちゃった……)

 

にこ(……そ、そんな似合うかしら……)

 

鏡の前でポーズを取るにこ。

 

にこ(……こんなふうにかわいい衣装着てポーズとるなんて……何年ぶりかしら……)

 

にこ(……うらやましいわ……ステージの上に立てる子が……なんでにこ、刑事なんてやってるのかしら……)

 

にこ、うつむきため息。

 

にこ「うん?」

 

にこ、床に落ちているものに気づく。

 

にこ(……何かしら、これ? アップリケ?)

 

にこ、拾う。花陽が戻ってくる。

 

花陽「さあ! にこちゃん、撮影会をやりましょう!」

 

にこ「ねえ、花陽」

 

花陽「は、はい?」

 

にこ「これ……何かしら?」

 

花陽「これ?」

 

にこ「ええ、この変なアップリケ」

 

花陽、にこからアップリケを受け取り眺める。

 

花陽「なんでしょう……胃袋みたいですね……」

 

にこ「胃袋ってことはないでしょう。メンバーの衣装のどれかから取れたのかしら?」

 

花陽「うーん、私が担当しているグループの衣装には使われてないと思いますけど……」

 

にこ「じゃあ、何?」

 

花陽「さあ……?」

 

にこ「ちょっと、これ押収していい?」

 

花陽「どうぞ、それがどうかしたの?」

 

にこ「いえね……なんだか見覚えがあるのよ……うん……」

 

花陽「じゃあ、撮影会……」

 

にこ「あっ! そうだ! 本当の用事忘れてた!……帳簿見せてくれない?」

 

花陽「本当の用事……って、やっぱり衣装見せろっていうのは捜査と関係なかったんですね!」

 

にこ「実は、そうなの。ごめーん。てへぺろ!」

 

花陽「はぁ……全く……にこちゃんの嘘つき……って帳簿ですか?」

 

にこ「うん」

 

花陽「帳簿なら下園さんが持ってますけど……」

 

にこ「見せて」

 

花陽「えっと……何に使うの?」

 

にこ「こんどは本当にいるの!」

 

花陽「あやしいです……」

 

にこ「ちょっと!」

 

〜特命係〜

 

にこ「警部、帳簿コピーしてきたんですけど……これでいいですか?」

 

杉下「ええ、どうもありがとう」

 

にこ「どういたしまして。それと警部、見ていただきたいものがあるんですけど……」

 

杉下「なんでしょう」

 

にこ「これ……なんですけど……」

 

杉下「アップリケのようですね?」

 

にこ「ああ、はい……シラセの衣装室にあったんですけど……」

 

杉下「ほう……」

 

にこ(や、やっぱりやめておけばよかったわ……警部が困ってるもの……どうせ誰かが落としたのよね)

 

にこ「や、やっぱりいいです、すいません!」

 

杉下「そうですか。では行きましょう」

 

にこ「あっ……はい……」

 

〜古いビル〜

 

にこ「……警部、ここどこですか?」(……ボロすぎるでしょ……ほぼ廃墟じゃない、ここ……)

 

杉下「矢澤さん。そのアップリケのついた服を作った人がここで働いています」

 

にこ「このアップリケを使った服?」

 

杉下「ええ、そのアップリケはですね、シラセの劇場で使われているものと似ています。ご存知ですか?」

 

にこ「いえ……ちょっと、にこにはさっぱり……」

 

杉下「やきいも屋があるでしょう、劇場のところに」

 

にこ「ああ、はい……」

 

杉下「その制服についているものと似ていませんか?」

 

にこ「た、確かに……似てますけど……じゃあ、これやきいもですか?」

 

杉下「ええ」

 

にこ「なんだ、じゃあ、たいしたことないですね。やきいも屋さんのユニホームから取れたんですから」

 

杉下「いいえ」

 

にこ「はい?」

 

杉下「ユニホームから取れたものではありませんよ」

 

にこ(……どういうこと? あっ!)

 

にこ「もしかして犯人がやきいも屋のユニホーム着てたのっていうのと関係あります?」

 

杉下「矢澤さんの割には鋭いですねぇ」

 

にこ「そんな照れます……って! どういうことですか!」

 

杉下「ここですね」

 

にこ「鳳麗香ファッション事務所……」(……ファッション事務所のくせに……こんなボロビルにあるなんて……自分たちが一番ファッショナブルじゃないじゃない……)

 

にこ「ホーレイカ……」

 

杉下「オオトリレイカさんです」

 

にこ「オオトリ? む、難しいですね……日本語って……」

 

杉下「失礼します」

 

鳳「ご依頼かしら? 見ない顔だけど」

 

杉下「いえ、警視庁の杉下右京と申します」

 

にこ「同じく矢澤にこです」

 

鳳「警察の方? あいにくですけど、警察の方々のお世話になるような汚いことはしてなくってよ」

 

にこ(……ボロ事務所にいるくせに態度はデカイわね……それと服が全部真っ赤なの……ダサくない?)

 

杉下「いえいえ……コチラの事務所ではシラセと提携している新日本ポテトのユニホームを制作されましたね?」

 

鳳「ああ、あれね。あんなみっともない仕事、私がやったんじゃないわ」

 

杉下「というと?」

 

にこ(……仕事選べる身分なの……?……それと……靴下まで真っ赤ね……)

 

鳳「あれは南がやったのよ。あの子にはプライドがないから」

 

杉下「社員のかたでしょうか? ぜひお会いしたいのですがねぇ……」

 

鳳「南ならすぐ帰ると思うわよ……ほら」

 

南「ただいま戻りました!」

 

鳳「遅い!」

 

南「すいません……穂むら混んでて……って!」

 

にこ「薄々わかってたけど……ことりね?」

 

ことり「ああ……にこちゃん……どうしてここにいるんですか……」

 

にこ「捜査……」

 

ことり「ああ、例の花陽ちゃんの会社の人が死んじゃったていう……」

 

にこ「ええ」

 

ことり「この人は……」

 

杉下「警視庁の杉下右京です」

 

ことり「ああ! にこちゃんが言ってた警視庁の疫びょ……」

 

にこ、ことりの口を慌ててふさぐ。

 

杉下「どうしましたか?」

 

にこ「い、いえ……なんでもないです……ハハハ……」

 

にこ「何言おうとしてんのよ!」(小声)

 

ことり「何って……にこちゃんが言ってたんだよ、警視庁の疫びょ……」(小声)

 

にこ「シー! 言わなくていいのよ! 余計なことを! 本人の前よ!」(小声)

 

ことり「そ、そっか! ことり、がってんです!」(小声)

 

にこ「もういいかげんにしてよね……」(……オオトリさんのところで働いてるコトリ……まずい、しょうもないこと思いついたわ……)

 

杉下「南さんにお聞きしたいことが」

 

ことり「はい! なんでも聞いてください!」

 

杉下「このアップリケなのですが……」

 

ことり「は、はい! それは私のデザインしたユニホームのものです!」

 

杉下「そうでしょうねぇ……しかし、これは現場のものとは微妙に違います……試作品ではないでしょうか?」

 

ことり「えっ……ちょっと見せてもらっても?」

 

杉下「どうぞ」

 

ことり「うーん、確かに材質が違います。試作品用のもろいのでできてるみたいです」

 

杉下「試作品はどこにあるのでしょう?」

 

ことり「えっと、私の家にたくさんありますけど……」

 

杉下「見せていただいても?」

 

にこ「け、警部!」

 

杉下「はぁい?」

 

にこ「これ、捜査と関係あるんですか?」(小声)

 

杉下「ええ」

 

にこ「どうしてやきいも屋のユニホームの試作品が事件とつながるんですか?」(小声)

 

杉下「それは……まだ言えませんねぇ……」

 

にこ「なぜですか?」

 

杉下「あやふやな推理を披露したくないんですよ」(小声)

 

にこ(……これ絶対、ことりの家を覗きたいだけだわ……)

 

〜南家〜

 

ことり「お母さん、ただいま!」

 

ことりママ(理事長)「早いのね……って誰かお客さん?」

 

にこ「こんばんは」

 

理事長「ああ、矢澤さんじゃない! 久しぶりね?」

 

にこ「あっ、はい」

 

理事長「……ことり!」

 

ことり「な、何?」

 

理事長「彼氏作りなさいとはいったけど……年上すぎない?」

 

ことり「ち、違うよ!」

 

杉下「警視庁の杉下右京と申します」

 

理事長「……警視庁?! ことり! あなた、何を!」

 

杉下「いえいえ……捜査協力していただいているだけですので、お気遣いなく」

 

理事長「そ、そうなんですか……ことりが何か事件に巻きこまれたとか……」

 

にこ「そんなことは決してありません!」

 

理事長「そ、そう。矢澤さんがそう言ってくれるなら安心ね」

 

〜ことりの部屋〜

 

理事長「こんなに散らかってるなんて……」

 

ことり「な、なんで、お母さんも入ってくるの!」

 

理事長「だって心配なんだもの……いいわよね、別に」

 

杉下「ええ、構いません」

 

ことり「ああ、もう最悪ぅ!」

 

にこ「片付けはいいから、さっさと試作品をよこしなさいよ」

 

ことり「えっと……待ってね……あれ、おかしいな……」

 

杉下「どうなさいましたか?」

 

ことり「おかしいなぁ……ここらへんに置いておいたはずなのに……」

 

にこ「ないの?」

 

ことり「うん……」

 

杉下「いつまであったのでしょう?」

 

ことり「えっと……完成したのが二ヶ月前だから……そのときまでには……」

 

杉下「ほう……この部屋にはあなた以外誰が暮らしているのですか?」

 

理事長「えっ!」

 

ことり「な、なんのことですか……? この部屋はことりだけの部屋ですよ……」

 

杉下「ご兄弟は?」

 

理事長「ことり一人です」

 

杉下「そうですか、では失礼します。あっ!」

 

にこ(……来た)

 

杉下「最後に一つだけ……先週の水曜日の午後二時ごろ南さんはどこにいらっしゃいましたか?」

 

ことり「えっ? 先週の水曜がどうしたんですか?」

 

杉下「いいえ、特になんでもないのですが」

 

にこ(……アリバイを聞いておくのね)

 

ことり「えっと……平日だから事務所で仕事を……鳳先生に聞いてもらえればわかりますけど」

 

杉下「いえ、ありがとうございました」

 

〜車中〜

 

にこ「警部、最後のなんなんですか?」

 

杉下「最後のとはなんでしょう?」

 

にこ「ほら、誰と住んでるっていうやつですよ……あれじゃことりの他にもう一人住んでるみたい……」

 

杉下「ええ、住んでいますよ」

 

にこ「はい!?」

 

杉下「君、化粧をしますか?」

 

にこ「もちろんしますよ」(……誰に言ってんのよ。警視庁のアイドルにこにーよ、私……)

 

杉下「化粧ポーチが二つあったんですよ」

 

にこ(……あれ?)

 

にこ「警部?」

 

杉下「はぁい?」

 

にこ「それは家用と外用で分けてるんですよ、だから二つあるんです」

 

杉下「そうでしょうかねぇ……」

 

にこ「ええ!」(……負け惜しみ!)

 

杉下「君もそうですか?」

 

にこ「はい! だけどしょうがないですよー、警部、メイクとかに疎いですし……まだまだ勉強ですね?」

 

杉下「外用と家用、どちらが高価ですか? 君のは」

 

にこ「そんなの……どっちも同じだと思いますけど、普通……」

 

杉下「そうですか、南さんが自分で持っていたポーチのなかにあったマスカラと、ベッドの上にあったポーチのなかにあったマスカラは違うもので、その上値段もブランドほとんど違うものでした。他の化粧品も同様です」

 

にこ「勝手に化粧ポーチ覗いたんですか!」(……ていうか、いつの間に……)

 

杉下「ええ。これほど化粧品が全て違うと、家と外ではメイクの趣味まで変えているのかとも思えますが、それは不自然でしょう?」

 

にこ「まあ……」

 

杉下「またサイズの全く異なる服がありましたし、目覚まし時計も二つ、またベッドの下に投げ込まれていましたが高さの異なる枕ももう一つありました。カレンダーに赤色と青色で計画が記されていましたが、色ごとに筆跡が違いました、さらに……」

 

にこ「ああ、もうわかりました!」(……どんだけ根に持ってんのよ……)

 

にこ「じゃあ、誰なんですか?」

 

杉下「さあ?」

 

にこ「えっ?」

 

杉下「誰でしょうねぇ……」

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