やはり俺の人生はまちがっている。   作:にが次郎

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やはり俺の人生は間違っている。

嫌な季節がやってきた。

 

 

六月某日。時季は梅雨真っ盛り。朝から晩までじめじめしていてずっと雨が降っている。

 

 

 

これから段々暑くなり夏がやってくる。俺が一年春夏秋冬の中で一番嫌いな季節だ。

まあ学生ならば好きな季節なのかも知れないが、俺は大嫌いだ。なぜかって?俺はもう学生じゃないからだ。

 

 

 

そう、俺は現在24歳。

残念ながら社会人になってしまったのだ。

あれだけ働きたくないとのたまわっておきながら、社会に出てからもう7年も経ってる。スーパー社畜ライフを満喫しております。本当もう働きたくない。

 

 

 

ん?社畜歴7年て?

気付いた人も居るかも知れないが、それでは社畜歴と年齢が合わない。高校出て、すぐ働き出しても24歳ではまだ6年目だ。別に一年誤魔化してる訳じゃない。俺は18になる歳から働いている。まぁこれには深い訳があるんだが、これからこの物語を語るにあたって、知っておいてもらわなきゃならない事だから、ここに記す。

 

 

 

 

 

私こと、比企谷八幡は、高校2年の終わりに痴漢(冤罪)で逮捕されました。ちーん。

 

 

 

 

 

冤罪だからね!ここ、本当重要。

マジで冤罪。大事なことなので二回言いました。本当、それでも八幡やってない。

俺を取り押さえた意識高い系大学生とサラリーマン。絶対許すまじ。

 

 

 

しかし、この時代、一度痴漢で捕まってしまえば、後の祭り。

どれだけ言い訳しても、どれだけ否定しても、意味はない。

相手の女性に「この人痴漢です!」と言われてしまえば、そこで試合終了。安西先生もお手上げ。

稀に痴漢冤罪で無罪を勝ち取ったなんて話もあるが、それはほんの一部。俺も例外ではない。

当時、高校生だった俺には何の知識もなく、何の力もなかった。まぁ今もないけど。

 

 

 

それから高校を退学になり、鑑別所を経て、親に勘当されて、茨城に島流しされました。

 

 

何がキツかったかって、小町に「あんたなんかもうお兄ちゃんでもなんでもない!もう顔も見たくない!」

と泣きながら言われたことだ。

 

 

 

本当、あの日ほど枕を濡らした日はない。もう悲しみと絶望で涙も出なかった。いや矛盾してるなこれ。

 

 

 

その後、父方の遠い親戚が経営する茨城にある会社に左遷されました。

 

 

 

そして今に至る。

さらに衝撃の真実。

現在、俺は茨城にある某巨大製鉄所で働いている。

 

 

 

鍛冶工として、、、。刀作る人じゃないよ!

簡単に言えば溶接とかする人である。詳しくはwikiで。

毎日、作業服を着て、エアコンもねぇクソ暑い現場で汗水垂らして働いている。いわゆるブルーカラーってやつ。

高校中退の中卒野郎が働けるところなんてたかが知れてる。

しかも前科持ち。これだけ揃えば役満。

 

 

 

まさか自分が職人職に就くとこれっぽっちも思ってなかった。なんなら自分が働くと思っていなかったまである。(大嘘)

 

というか大学生編のSSとかは結構あるけど、職人編のSSて、、作者は何考えてんだよ。さすがに需要ねぇだろ!ないよね?

 

 

 

といわけで某巨大製鉄所、まぁ言っちゃえば日◯住◯です。

そこの下請けとして絶賛社畜ライフを送っているであります。

 

 

 

それと奉仕部のこと。

雪ノ下や由比ヶ浜がどうなったかは知らない。

雪ノ下の依頼。俺たち3人の勝負の行方もわからない。

 

でもまぁ、俺のクソみたいな人生の中であの一年にも満たない時間は俺史上もっとも輝いていた時だったと思う。別に俺が輝いてわけじゃないけど。

 

 

今となっては、どう足掻いても、戻らない。大切な思い出である。

 

 

×××

 

 

 

さて、時刻は午前6時半。

そろそろ家を出る時間だ。奴を起こしに行かなければならない。

俺の同期で、隣人で、愛すべきアホで馬鹿で超DQNのあいつを。

 

 

 

俺の家は、会社が寮として扱っているアパートだ。

家賃はなんと2万。激安である。

そして、その隣に住んでいるのが奴。

 

 

 

身仕度を終え、玄関を出て回れ右。間違えた。回れ右したら、家に帰っちゃうよ。玄関を出てすぐ帰りたくなるとか本当働くの向いてない。もう働きたくない。

 

 

 

頭に浮かぶ働きたくない思考を梅雨のじめじめとした空気が加速させる前に、右隣り玄関の扉を叩く。

 

返答はなく、ドアノブに手をかけると当たり前のように玄関は空いている。マジで鍵ぐらい閉めろよ。

 

 

玄関を開けると、しっちゃかめっちゃかに散らかった部屋が俺を出迎える。

 

 

 

相変わらずきったねぇ部屋だ。俺が掃除してやらなければずっとこのまま。それどころか俺が毎日起こしてやらなきゃまともに仕事に行くこともできない。なにそれなんて幼馴染み?

 

 

 

奴が女の子なら、小さくて栗色の長い髪の虎と目つきの悪い龍の物語が始まるかもしれないが、残念ながら奴は男だし、俺の目つきは”腐ってる”だし。

よってそんな甘い青春ラブコメは実現しない。そういうふうにできている。

 

 

そうそう、そんな甘い青春ラブコメは存在しない。してもすぐ終わる。だって俺の青春ラブコメも一年も満たずに終わったし。こういう言い方すると編集者に無理やり打ち切られたみたい。まぁ実際に強制的に打ち切られた訳だけども。

 

 

 

そろそろマジで起こさないと遅刻するので、パンイチでソファの上に転がる奴に声を掛ける。

 

 

「おい、起きろ。三科、遅刻するぞ」

 

 

 

もはや、朝のテンプレゼリフである。

だか返事がない。ただの屍のようだ。

仕方なく体を揺さぶる。するとようやく目を覚ます。

 

 

 

「あーなんだよ。いい夢みてたのにー。あーずっとこのまま夢見てたいー」

 

 

 

寝ぼけてんのか、そんなに夢見てたいなら無限月読でもくらってろ!とか思ってるとやっと体を起こしてダルそうに頭を掻く三科。

そうこいつが例の奴。三科慶次(みしなけいじ)。

超DQNにして、3回の逮捕暦を持つ。超DQN人3。

つーか、めっちゃ酒くせぇなこいつ。

三科は毎日のように二日酔いである。ある意味すごい。無限月読ならぬ無限二日酔いだ。いやないな、語呂が悪い。

 

 

 

「早く着替えろよ。遅刻する。じゃあ先行くから」

 

 

 

そう言い残し立ち去ろうとすると、音速で身仕度を済ませた三科が”後ろ乗せてってー”とふらふらしながら近づいてくる。

おいおい、ふらふらしながら音速動くって酔拳ですか?

つか、ちょっと怖ぇよ。

 

 

後ろと言うのは、自転車のことである。ようは2ケツだ。

なんでこんな奴と朝から自転車で2人乗りで出勤しなければならないのか。ていうか雨降ってるし。

 

 

 

「いや、今雨ならやんだべー?」

 

 

なんだと、、、。

もう仕方ないとため息をついて自転車跨り、三科は荷台に乗る。

 

 

 

レッツゴー!という三科の元気のいいかけ声ともにペダルを踏み込む。

会社までは自転車で3分程度。超近い。

逆に言えばバックれ不可能でもある。出勤時間までに会社に来なければ必ず迎えにくる。本当詰んでる。

 

 

アパートを出てすぐにちょっとした坂がある。

残念ながら坂の下には興信所はなく、ただの坂である。たぶん名前もない。

 

 

 

三科を後ろに乗せ、程よいスピードで坂を下る。

あー、白いベレー帽飛んでこねぇかな、、、。

 

 

 

 

 

 

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