久しぶりに投稿した瞬間に下がってんじゃねえか!何がとは言わない。
社会の厳しさに震えるどうもにが次郎です。
最近、自分の書いたものを読み直す機会があったのですが、まぁ酷い。
初期の頃なんてもう読んでるだけで身震いするほど酷い。こりゃ納得ですわ。
続きを書くよりもリメイクしたいなーなんて。嘘です。先に完結させます。
では、どーぞ。
煽ったグラスを置くと、パキッと氷が音を立てた。
玉縄は随分と強い酒を飲んでいるようだった。俺も飲めないわけではないが、ノッケからこれは少々キツイ。
「僕のお気に入りは口に合わなかったかな?」
「いや、大丈夫だ」
玉縄はグラスを片手に氷を回す。
「僕のところに来たということはもう全部知ってるのかな?」
「ああ」
短くそう答えると、玉縄はグラスを置いて、憂いた顔をした。
「災難だったね。僕もこれを知ったときは本当に驚いたよ」
「ああ、俺も驚いた」
もう驚き過ぎて禿げるかと思うレベルにな。
玉縄は顔こそそんな表情を浮かべてはいるが、どこか他人事のように尋ねてくる。
「知ったのはいつだい?」
「お前とやりあったすぐ後だ」
「ああ、そういえばそんなこともあったね」
そう、俺とこいつは殴り合い、取っ組み合いの大立ち回りをした仲だ。そんな奴と普通に酒を飲むことになるとは微塵にも思わなかった。
「拳で語り合った仲だ。遠慮せずに飲んでくれ」
そう言いながら自分のグラスを空にすると、こちらを向いて笑いかけてくる。何恥ずかしい事言ってんだ。やめろ、こっち見んな。
バーテンダーから新しい酒を受けると、さらにおつまみのピーナッツが出てきた。これは有難い。それを一粒掴んで口に放り込む。
口の中でピーナッツを砕きながらどう切り出すかと悩んでいると、玉縄が先に尋ねてきた。
「君が僕のところに来たということはどうするのかはもう決めたんだろう?」
俺は頷いて答える。
「だが、俺はお前のようなことがしたいわけじゃない。ただ、あの女を潰したい。それだけだ」
「実にシンプルだね。目指す場所は違えど、目的は同じ。だから僕に協力、もしくは情報を提供してもらうために来た。こういう理解で構わないかい?」
俺は再び頷いて答える。
理解が早くて助かる。今までの奴らは回りくどい説明ばかりだったからな。しかし、玉縄は酒を飲むと意外にも話しやすいな。もうずっと酔っ払ってた方がいいんじゃないの?変なカタカタ用語を使って自慢気に話すよりもずっと折本に好かれると思うぞ?
玉縄はグラスを煽ってからピーナッツを一粒掴んで口に放り込む。
それを飲み込んでから一瞬瞑目し、目を開くと少しばかりキリッとした顔つきになった。
「それじゃここからはビジネスの話をしよう」
「お、おう」
「協力をするからには僕と君との関係が対等でなければならない。わかるよね?」
カタカタ用語は使っていないものの、話し方が絶妙にムカつく。文章だけでは伝わらないのが非常に残念である。
「何が僕たちを対等にするか、なんだと思う?」
そう問いかけられた瞬間、思わず玉縄の頭を引っ叩きそうになる。なんでこいつこんなにドヤ顔うまいんだよ。こんなに腹立つドヤ顔初めて見たわ。
どう答えるのが正解かと思考を巡らせているうちにあることに気がつく。
先ほどからずっと会話の主導権を握られている。玉縄のペースに完全に飲まれている。このままだとまずい。
これまでは機嫌取りに励んでいたが、こいつの言う通り、対等に交渉していかなければならない。安易な否定や意見では意味がない。さて、どうするか。
「対等。お前の差す対等が俺の思うものとどう違うかわからないが、俺はお前の持ってないものを持ってる。お前も同じだ。お互いのメリット、デメリットを算出して、それを効率よく合理的に利用する。それが対等な関係だ」
玉縄の問いとは少し外れた回答になってしまった気がしたが、玉縄は笑みを浮かべて手を打った。
「いいね。その考え方。僕は好きだよ」
なんとか上手くいったようだ。
玉縄は打つ手をやめて、こちらを見る。
「僕と君とでは、持っているものはまるで違う。自分で言うのはなんだが、社会的に僕はそこそこ上位層の歯車に食い込んでいる。打って変わって君のいる層は、失礼な言い方だが底辺だ。しかしこれには大きな利点がある」
俺は黙って続きを待つ。
「僕にはできないことが君にはできる。逆も然り。例えば、汚れ仕事。警官である僕がそれに手を出すと、最悪、職を追われる。この間の機密文書の件もギリギリのところだったんだ」
確かにこの間の作戦もいろいろとやばかった。いろんな意味でな。
俺に皮肉めいた口調で返す。
「俺にはうってつけだな」
「気を悪くしないでくれ。あくまで例えだ。君が行った汚れ仕事を僕が隠蔽し、揉消す。あまり度が過ぎると対応しきれないが、今の僕はそれだけの伝を持っている」
まだ信用しきれないが、あの砦の件も相当やらかしたはずだ。だが、こいつがまだ警察の人間であるということがそれを証明している。
ここまでの流れで協力関係を築くのはそう難しくはなさそうだ。しかし、まだ決定打に欠ける。
こいつからの信用を得るには、やはり機密文書の所在を明らかにするべきか?
そう思いたって口に出そうとした時、玉縄の方から機密文書についての話題が出された。
「そういえば少し話がそれるが、僕の手に入れた機密文書は偽物だったよ」
「そうなのか」
「ああ、やられたよ。組織内での僕の評価は著しく落とされてしまった。そのおかげで最近はお酒に頼ることが多くなってね」
玉縄は悲しげな表情を浮かべながらグラスを手に取り、そう嘆く。
なるほど。こいつがここで1人酒を飲んでいるのはなにも女に振られたからではなかったのか。
玉縄は所属している組織内の評価や信用を取り戻すために策を模索している。
だが、こいつがこんなにも簡単に心情を吐露しているのは酒のせいだけではないだろう。おそらく玉縄の中では既に俺の利用価値を見出せているに違いない。
予想以上に上手いっている。こちらからわざわざ機密文書の所在を明らかにしなくとも、協力関係に持ち込めそうだ。少し探りを入れてみるか。
「その評価とやらを取り戻す算段は付いているのか?」
玉縄は手に持っているグラスを再びグイッと煽ってからやや投げやりに俺の質問に答える。
「いいや。まぁないわけじゃない。だけど、僕だけでは無理だね」
明らかに誘った言い方だ。
しかし、これに乗らない手はない。
「なら、それに俺が協力すると言ったら?」
俺の出した提案に玉縄は笑みを浮かべた。その笑みは俺にはとても邪悪に満ちているように見えた。
「それは本当かい?しかしだ。さっきも言ったように完全に汚れ仕事になる。それでもいいのかい?」
「ああ、構わない。だから……」
「情報が欲しい。そうだろ?」
玉縄はそう言いながら今度は不敵に笑って見せた。全部お見通しだよと言わんばかりに。
バカやろ。こっちだって全部計算済みだ。
少し悩んむような素振りを見せた後にこう切り出してきた。
「なら、こうしよう。これは契約だ。君には情報を渡す代わりに僕の計画に付き合ってもらう」
「それで構わない」
「だけどこの契約は君の欲しい情報によって決まる。何の情報が欲しいんだい?」
ここでコケるわけにはいかない。こいつにも渡したくない情報がある。それは俺も同じ。おそらく渡したくない情報は陽乃に関するものだ。俺が今欲しいのはそれじゃない。
俺はポケットから携帯を取り出してあの男の顔写真を見せる。
「この男を知っているか?」
「ああ、もちろん」
「なら話が早い。こいつが今どこにいるか知りたい」
玉縄は居住まいを正し、訝しむ視線を向けている。
「なぜ君がこの男を?」
「こいつには少し借りがあってな。それを返したい」
ふーんと言いながら腕を組み、玉縄は俺から視線を外す。そしてすぐ後に何か思い出したように手を打つ。
「春先にあったいろはちゃんの件かい?だが、あの件にこの男は直接関係なかったはずだ」
「ああ、あれとはまた別件だ」
「そうかい。なら、無用な詮索はやめにするよ」
警察の人間であるこいつが一色の件を知っているのは当たり前だ。それに陽乃との繋がりもある。
しばしの沈黙。その後に玉縄は言う。
「OK。いいよ。この男の情報を君に流そう」
「そうか。なら契約は成立だな」
俺は冷静に告げたが、心の中では高らかにガッツポーズを決めていた。ようやく糸口を見つけ出せた。あの女性の無念を晴らすまでもう少し。
「すまないが、今すぐとはいかない。詳しくはわからないが、この男は身を隠すのが得意だと聞いている。警察もあと一歩のところまでは行っているが、決定的な情報に欠けている」
だとは思っていた。だが、警察に先を越されるわけにはいかない。
必ず、俺自らの手で制裁を下さねばならないのだ。
「僕の持っている伝を総動員させるよ。わかればすぐに連絡する」
「わかった」
玉縄は俺の返事を聞いてまた笑みを作った。それから自分の携帯を取り戻す。
「連絡先を聞いていなかったね」
「ああ、そうだな」
俺たちは連絡先を交換する。もちろん俺が教えたのは新しく購入した携帯の連絡先だ。
「盗聴の心配は?」
「問題ない」
よし。これで今できる手はすべて打った。あとはこいつの伝とやらを信じるしかない。
もう話は済んだ。俺は自分のグラスを空にする。
すると、玉縄がまぁ待てというような感じで声を発する。
「僕の計画について話しておくよ」
そういやそうだったな。自分の用が済んだらすぐに帰ろうと思ってたのに。俺、協力する気ゼロだな。しかし、ここで怪しまれるわけにもいかない。
玉縄を裏切れば、俺がこの男について探っていたことはすぐに暴露されるだろう。そうなれば俺がどうなるかは考えなくてもわかる。
俺は静かに言葉の続きを待つ。
「ここ最近、老人を狙った詐欺が横行している」
「オレオレ詐欺的なやつか?」
「ああ、しかし、手口が多種多様でね。昔ながらの方法もあれば、新手のものまで。被害額は既にかなりの額に上っている」
ほう、確か、杏里さんがそんな話をしていたような気がしたが忘れた。
「なんでまたそんな話を?」
「調べたところによるとね、この詐欺を行っているグループは雪ノ下陽乃と繋がりのある暴力団が関係しているんだ」
「ほう」
「暴力団はその金を資金源に何かをしようとしている。僕はそれを阻止したい」
思った通り、こいつの中には確かに何らかの策略があるようだ。
「そんなことをして組織内の評価に繋がるのか?」
「もちろん。僕は一応警察だからね。それに雪ノ下に繋がる暴力団にダメージを与えることができれば、彼女を潰すことにも繋がる」
確かにこいつ1人では無理だな。だが、俺を使うよりももっと有能な人材がいるような気がするが。
「僕の元にいた人たちはもう離れていってしまってね。少し距離を置かれているよ。あの作戦の失敗はそれだけ大事だったんだ」
玉縄は俯いて、先程見せた表情を再び作る。こいつの中ではかなりの出来事だったらしいな。まぁ失敗させたのは俺たちなんだけどね。
「今は僕は一匹狼状態さ。でも君が協力してくれるなら何とかなる」
「随分と高く買われているな」
「僕は君を有能だと評価しているよ。君の周りの人間よりはずっとね」
一昔前の俺なら玉縄の言葉に反論していたかもしれない。だが、今は違う。玉縄の言う通り、あいつらは無能だ。
「計画が成功すれば僕たちはよりwin−winな関係も築けるだろう。推測だが、君のやろうとしていることは少なからず僕にもメリットがある。違うかい?」
「どうだろうな。ないとは言わない」
俺は適当に濁して答える。
もうそろそろいいだろう。これ以上の長居は無用だ。そう思い立って俺は席を立つ。
「もう行くのかい?」
「ああ」
そう言って俺は財布から万券を取り出してカウンターに置く。玉縄はそれを見て目を丸くした。
「まぁゆっくり飲めよ」
「さすがにそれは悪い」
「いや、ここでお前に奢ることに意味があるんだ」
玉縄は俺の言葉にフッと噴き出すように笑った。
「それは誰の受け売りだい?」
俺は”さぁな”とだけ告げてバーを後にする。
あー、恥ずかしかった。慣れないことはやるもんじゃねえな。強い酒飲んだから酔っ払ったのかな?
俺はぬるい風が吹く夜道を1人歩く。
今頃、玉縄はほくそ笑んでいることだろう。いいカモが出来たと。
だが、俺はお前の掌で踊るつもりはない。もう俺は誰の掌でも踊らない。
玉縄のことなど切り捨てることは確定事項だ。利用するだけ。
あの女を潰すことができれば、その後俺がどうなろうとどうでもいい。
そうだ。すべてを捨てなければ勝てない相手なのだ。だからここからも必要ないものは切り捨てていく。
その時になれば、自分を切り捨てることさえもきっと俺は厭わない。
×××
あれから2日が経過した。
いつも通りに仕事を終え、自室に入る。
真実を知ってから5日が経過したが、今のところ何の動きも見られない。
杏里さんも特に何か言ってくるわけでもなく、雪ノ下に至っては事務所にすら姿を見せていない。こいつら本当に協力する気はあるのかよ。
何にせよ、ハナから頼るつもりはないけどな。
仕事の方だが、面倒な案件も訪問での依頼もなし。自分の偽装工作がやや面倒になりつつあるが、もう一踏ん張りだ。
そして、その日の夜。玉縄から連絡が来た。しかし尺の都合上、玉縄との会話は申し訳ないが省くことにする。
いや、あいつの使うカタカナ用語を書き出すのが面倒なわけじゃないよ?ほら、あれだよ、あれ。
それで収穫だが、かなりやばい。もう本当にやばい。ちょっと玉縄のこと好きになりそうなくらいやばい。
玉縄は警察の捜査資料丸ごと横流してしてくれた。あいつすげえな。まじすげえ。
これだけの情報をくれたのだ。あいつとの描写について考え直してもしてもいいかなーなんてちょっとだけ思ったが、やっぱり面倒なのでやめておく。認めてんじゃねえかよ。
それでだ。その情報について。
あの男の潜伏先まできっちりと記載されていた。
なぜそこまでわかっていて警察がその男にたどり着けていないかというと男は全く表に出てこないらしい。
あの男が表に出てくるのはターゲットである女性を確実に射止められるときだけ。
何より、この男がまだ逮捕に至っていない理由。それは証拠が何もないこと。警察も二の足を踏んでいるようだ。
しかしだ。俺にはそんなことは関係ない。俺は逮捕したいわけじゃない。寧ろ、逮捕されてしまっては困るのだ。
この男には前科があるようで、おそらく逮捕されれば実刑が降る。それにしたって何年かすれば釈放される。その程度の制裁ではぬるい。
もっと重みのある罰が必要なのだ。
罪を償わせる程度では足りない。それこそ命を持って………。
おっと、いけない。
俺は殺人犯になるつもりはない。
この男に復讐することはまだまだ序の口。俺の最終目的は雪ノ下陽乃だ。それを忘れてはいけない。
俺は捜査資料を元に作戦を練る。
この男の潜伏先は大体、わかった。あとはどうやって引っ張り出すかだ。
警察ですら辿り着けていないのだ。俺が1人で見つけ出すのは至難の技。
どうしたものかと悩んでいると、携帯が鳴った。画面には”茂原”と表示されている。俺の予想が当たれば、素晴らしいタイミングだ。もう誰かに仕組まれているのではないかと疑うくらいに。俺は自室を出て、事務所の外まで行く。そして、一呼吸置いて電話に出る。
やはり俺の予想は当たった。
茂原によると、あの男がターゲットにする女性を見繕う手段を特定したとのことだった。あれからまだそんなに日が経っていないというのに素晴らしい調査力だ。この茂原という男もなかなかに侮れない。しかし、情報の元は極秘とのことだった。
なぜ茂原がここまでしてくれるのか。この男にも玉縄同様、何か思惑があるに違いない。まだ信用しきるのは危険だ。
すべてが上手く行き過ぎている。もう怖いくらいにだ。これが何を意味しているかはわからない。だが、疑うことを忘れてはいけない。もっと見極める目を養う必要がある。
×××
気がつくと、夕飯を食べるのも忘れて作戦を練ることに没頭していた。既に時刻は深夜0時。
かなりの時間を要したが考えをようやく形にすることができた。
あの男がターゲットを見繕う手段は3つ。
1つ目はスカウト。まぁこれに関しては男である俺にはどうすることもできない。
2つ目はwebサイトを使った応募性のもの。芸能人になりませんか?みたいな奴だ。このサイトを確認したが、いかにも怪しい。こんなものに引っかかる奴がいるのだろうかと心配になるレベル。
3つ目はメールだ。いわゆるスパムメール。これに関しても実際に見て確認したが本当に大丈夫?と心配になるほどの出来。
この程度のもので本当に女性を捕まえることができるとは到底思えないのだが、茂原によるとスカウトによるものが7割。これに引っかかった奴が3割もいるのことに驚きだ。
頭の弱い女性が引っかかってしまっているのだろう。もう少し常識を持ってもらいたいところだが、どちらにせよ、騙す方が悪い。
結局悩んだ末に俺が取った手段はスパムメール。
このスパムメールには、下手くそな謳い文句が記載されており、その下にURLが載っている。一見クリック詐欺に似たような印象を受けるが、その先で表示されたwebサイトは上記にある2つ目のものとは別のもの。作りもしっかりしていて書いてある内容をよく読んでみればまぁわからなくもない。しかし、一般的な知識や常識があればすぐに怪しいものだとわかる。
なぜ俺がこの手段を選んだか、それは方法が一番簡略化されているからだ。
2つ目のwebサイトでは、いろいろ面倒な過程を踏まなければならない。
3つ目のスパムメールでは、webサイトから直でサイト運営者とコンタクトが取れる。登録のメールを送ればすぐに返事が返ってきて、やりとりを行うことができる。それにアドレスを複数用意すれば、同時進行で行える。
最初から一発で上手くいくとは思っていない。方法も簡単で失敗してもこちらにダメージはほとんどない上に何度でもやり直せる。これがスパムメールを選んだ理由である。
俺は既に登録メールを送っている。
時間が時間だけに返信は帰ってきていない。アドレスを3つ用意したが、このスパムメールによる登録がどのぐらいの頻度で来るものなのかわからない以上、一気に3つとも登録するのはいい手段ではない。1日ずつ日を空けて登録した方がいい。
慎重になり過ぎているような気がするが、この情報が信用しきれていない今はこれが最善の手段。
かけていた椅子から腰を上げ、ぐっと背伸びをする。そのままフラフラとした足取りでベッドに倒れ込む。いや、疲れた。仕事より疲れた。
しかし、ほとんどタダ同然で手に入れた情報がどこまで通用するものか。今のところ下手は踏んでいない。
だが、安心はできない。してはいけないのだ。玉縄にしろ茂原にしろ、奴らは俺を利用したがっている。そのためにこんなにも気前よく情報を提供してくれた。奴らは俺に一体何をさせたいのだ。2人とも陽乃を潰すために動いている。奴らは俺と違って最終目的はおそらくあの女を潰した後にある。
玉縄は自分があの女の位置を奪い、成り代わること。
茂原の目的はなんだ。自分の位置を取り戻すことか?奴の本当の目的がわからない以上、信用しすぎるのは危険だ。大きなしっぺ返しを食らいかねない。
なんにせよ、奴らのおかげで復讐への手立てが揃った。これについては感謝しておこう。
さぁ、これからだ。
これから始まるのだ。俺の復讐劇が。
自然と笑みが零れる。
ようやくだ。この数日、動き回った甲斐があった。
俺はその喜びを噛み締めながら眠りについた。