あの狂る崩廻録が完結し、以前からずっと先伸ばしにされていた『赤ずきん』の投稿となります。
では、どうぞ!!
皆様、突然ではあるが『赤ずきん』と言う童話をご存知だろうか?
読んだことは無いにしろタイトルだけは知っている。なんて人も多いのではないだろうか?
『赤ずきん』子供向けの絵本ならば、狼に食べられた所を猟師が助けてくれる。
絵本になる前の作品では、狼に食べられて終わりのBAD ENDだ。
他にも『赤ずきん』には数多くのストーリーがある。服を脱がされ暖炉に放り込まれたり、騙されておばあさんの血肉をワインと干し肉として食べる。なんて話もあった。
さて、何で私がこのような事を話していたか……それは今から話すのだが
『マリー・マルタン』
フランスではそう珍しくもない名前。
これは一人の少女名前なのだが…………そう、『赤ずきん』の主人公である彼女の本名だ。
何で、どのストーリーにも出てくる事のなかった赤ずきんの名前を知っているのか。だって?
だって部屋の中の、しかも目の前にいるんだもの。分からないほうが可笑しいと言うものだ。
…………別に監禁しているわけじゃないからね?確かに手足は鎖に繋いでるけどさ。彼女は『罪人』なんだ。しょうがないだろ?
まあ、本当だったらこうして君達に話をするような事も許された事ではないんだけどね。
でも、君達ではこの世界には干渉出来ないし……何より、このままじゃ彼女の最後の善行が報われないからね。
とまあ話が脱線してしまったけど……要は君達に知ってほしいんだ。
数ある『赤ずきん』と言う童話の中で、唯一語られることなかった一人の少女の物語を……
・
「ふぅ……こんな感じでいいかな」
筆を置き、目頭を解す。机の上には一冊の書きかけの本が置いてありさっきまで文章を綴っていた事が伺えた。
部屋のなかは西洋風の家具が和室の中にちらほらと置いてある。だがそんな中でも異様な存在感を醸し出す物があった。
扉だ。
それもとてつもないほどに分厚い。まるで魔王の部屋に続く最後の扉。
だが、今その扉は開かれておりその先には真っ白な空間が広がっていた。
「羅闍(らじゃ)。いますか?」
「どうぞ」
「失礼します」
突如として入ってきたのは一人の女性。
女性にしては背も高くスタイルも良い。眼鏡を首にぶら下げているせいか豊満な胸がより一層大きく見えた。
「何のようかな?映姫」
「閻魔どうし、愚痴の言い合いでもと思いまして」
「僕は閻魔でも相当役職が違いますよ?」
「そうですね。でも大きく括ってしまえば閻魔です」
「そりゃそうだ」
そんな面白味の無い話で笑い会う。これでこの二人、閻魔の仕事が何れだけ忙しいかが伺えた。
「おや……今日は開けているのですか?」
「ああ、うん。出来るだけ別の景色を見せてあげたくてね。まあ、こんな部屋を見せらてもだけど」
「そんなことないと思いますよ」
「そう言ってくれると嬉しいかな。……何時か……この子はしっかり裁かれる時が来るのかな」
羅闍は扉の先に入り、そこに繋がれた少女の髪を撫でて呟く。
少女は羅闍の顔を見てその顔に狂気を浮かばせながら
『あそボ?』
と、狂気ながらも無邪気な笑顔を向けた。
「ごめんね。まだ、君を出してはあげられないんだ」
その声が聞こえていないのか少女は『あそボあそボ』と同じことしか口には出さない。
「羅闍……」
「ああ、ゴメンね?客人の君を待たせてしまって。お茶でも入れよう」
羅闍は暗い表情を見せる映姫に明るい声を出す。
しかし、映姫の暗い表情は消えることはなかった。
「また……そうやって情を掛けて……苦しむつもりですか?今まで一人もその『無』から出てきた者はいません。適応したとしても化け物になるだけ……」
「確かにそうなのかも知れない。でも、本当に苦しくて辛いのは彼女たちなんだ……」
羅闍は白い空間から出て、もう一度彼女の姿を見る。
白く痩せ細った体。だが、そんな状況でもその美しさは輝きを放っている。
「今度こそ……」
決して諦めようとしない、諦められない。そんな想いがひしひしと伝わってくる羅闍に羨望と哀れみのを覚える映姫。
だが、彼女は羅闍を止めることはない。今も、これからも……
『アソぼ……サミしいヨ……』
『……フラン……ちゃん』
今から語る物語。
それは、一人の罪深き罪人の物語。
そして―――
「何時か……彼女が……フランドール・スカーレットが」
「マリー・マルタンを思い出すように……」
―――未来の希望に繋げる物語である
お読みいただき有難うございます!!
と言うわけで、今回は導入会です。
次回から過去のお話となります。
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
この物語はフィクションです。
ちょっとやってみたかった。
では、また次回~