二十分で仕上げたんで可笑しなところがあるかも……
では、どうぞ!!
最初は一方的だった。
マリーの腹をフランドールの拳が捉える。
圧倒的な種族の差。
マリーの拳が受け止められ、投げ飛ばされる。
だが、今そんなことどうでもいい。
マリーは壁にぶつかり、落ちてきた自身と同じ大きさの瓦礫をフランドールへ投げた。
今はただ……
そして、瓦礫の後ろに隠れるようにフランドールへと接近していたマリーの拳がフランドールの顔面を捉えた。
目の前のオモチャを壊シタい
「壊れチゃえ壊レチゃえ壊れチャエ!!!!」
「ウガァアア!!」
風を切り迫ってくるフランドールの手、その手首を掴み握りつぶす。
方や、戦いを楽しむ狂人。方や、ただ暴れるだけの獣。
種族の差が引っくり返された今、どちらが勝つかなど火を見るより明らかだった。
フランドールは手首が握り潰されたのをものともせず、逆に驚異的な体の柔らかさでマリーの胴体に足を絡め、その万力で圧迫し始めた。
だが、それすらも涼しい顔、狂った顔で笑い続ける。
腕を引っ張り、体を引き寄せ、顔を掴み、叩き付ける。何度も、何度も。
そして、足から力が抜けたところで強引にフランドールの体を持ち上げ壁に叩き付けた。
フランドールは何の抵抗もなく壁に叩き付けられ、壁はその衝撃で少し遅れた後、粉々に崩れ去った。
そして、フランドールの腕がマリーの胸を貫く。
一瞬の出来事。
唐突に訪れた限界。
掠れ行く生。
能力に限界が訪れ、フランドールが壁にぶつかった瞬間体全身から力が抜けた。
そして、そこを既に起き上がっていたフランドールの腕がマリーを襲ったまでのこと。
最期に勝敗を決めたのは『地力』の差。
『種族の差』であった。
もはや声も出ない。
しかし、マリーは血が吹き出て、見るも無惨な量腕をフランドールに伸ばす。
それは無意識のことだった。
マリーの腕がフランドールの頬に触れた瞬間……どす黒い何かがフランドールから抜け、マリーの体へと取り込まれる。
そして、マリーの体から力が抜け、まるでマリーの存在そのものが夢だったかのように塵となっていく。
最期に残ったのはマリーの赤いずきん。
血に汚れた真っ赤ずきん。
フランドールは無意識にずきんを掴む。
そして、ずきんを強く握り締める。しかし、そのずきんすらも塵となり、消え去った。
フランドールは分かりもしないのに、声が出ないのに、その目からは涙が溢れ、止まることを知らない。
そして、フランドールが正気に戻る頃には彼女は……否、彼女たちは気を失っていた。
そして、皆こう口にする。
『何をしていた?』
と。
マリーの名前など一切出てこない。
まるで、出会ったことがないかのように。
その存在を知らないかのように……
こうして、『マリー・マルタン』のお話は語られることなく、誰にも覚えられず忘れ去られたのであった……
お読みいただき有難うございます!!
語られることのない物語。
これにて『赤ずきん』は完結。
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
次回 羅闍
では、また次回。