今回は映季様SIDEです。
では、どうぞ!!
カランッ
乾いた音が部屋に鳴り響く。
その部屋のなかには一人の男が机に突っ伏していた。男の胸の下には書きかけの本と一本の万年筆が転がっている。
幸いんことに近くにあった湯呑みは倒れることはなく、勿論中に入っている緑茶も零れるような事にはなっていない。
部屋の中の時計がチクタクと時間を刻むなか男が起きる気配は一切しない。それこそ死んでいるのではないか?と疑ってしまうほどに。
そんな中、一番短い針が二回ほど動き八の数字を指した頃。一人の女性が部屋を訪れた。羅闍の友人である四季映姫である。
「羅闍?いますか?」
部屋の主である男、羅闍に声を掛けるも羅闍は机に突っ伏したまま動かなかった。
次第に映姫の声は大きく、焦り始め遂に部屋の中に入ってくる。
「羅闍!?入りますよ!」
バンッ!!と大きな音を立てながら入ってくる映姫。そして映季は息を呑んだ。
それもしょうがないことである……誰しも入った部屋の中に死んだように突っ伏している人がいたら、知人、他人問わず絶句するものであろう。
映姫は羅闍の側に駆け寄り口元に手を添えた。
「……良かった。取り敢えず何処かに寝かせましょう」
映姫は安堵の息を吐き、何処かに寝かせようと羅闍の体を持ち上げた。
カスッ
掠れた音が部屋に鳴り響く。
映姫が音のした方を見ると一本の万年筆が畳の上に転がっていた。
その万年筆を見た瞬間、映姫の口元が優しく綻ぶ。
「これって……フフ。まだ私の上げた万年筆を使ってくれているのですか。ちょっと嬉しいですね。あら?これは……やはり、諦めていないのですね……」
そして今度は机に開かれている一冊の本に目が止まる。
文章が途中で途切れていることから羅闍は何かを書いていたようだが、映姫にはそこに書かれているものが一体なんなのか読まなくても理解できた。
「本当だったら……止めるべきなのでしょう……でも…………」
そこから先の言葉は続かなかった。ただ映姫の顔には先程までの優しい笑顔ではなく、悲しげな笑顔だけが浮かんでいた。
「私は……どうすればいいんでしょうか……どうすれば正解なのでしょうか……」
(否。分かっている。本当は辞めさせるべきなのだと……でも……それを辞めさせてしまったら羅闍は……私の知っている羅闍はいなくなってしまうのではないか?そう……マリー・マルタンのように)
映姫は頭を悩ませながらも羅闍を寝室へと連れていき布団へと寝かせた。
部屋の中は薄暗く、青白い炎だけが部屋を淡く照らしている。
「…………いっそのこと、貴方が全てを書き換えてくれたら、私も楽なのですがね……そうしたら……もう自分を押さえなくても良いのですから……」
映姫はあり得もしない妄想に想いを馳せ、愛しい人の手をそっと握った。
お読みいただき有難うございます!!
やっぱり恋愛は必要だよね!!と言うわけで映季様の想い人を用意しました。
最初はそんな予定なかったんですがね~
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
羅闍の能力分かった人いるかな?
では、また次回~