羅闍SIDE
最初の方は甘めだよ。
では、どうぞ!!
「……んッ……んん…………あ、れ?僕……どうして布団に」
布団から起き上がった男は疑問に思う。しかし、その疑問も直ぐに解消された。
扉が開き、一人の女性が部屋へと入ってきたからである。
「おや?起きたのですか。驚きましたよ、部屋に来てみれば羅闍が机に突っ伏して気絶しているのですから。それと、台所お借りしました」
そう言う事か。と、羅闍は納得する。そして同時に、一つの疑問を覚えた。
「…………何も言わないのかい?僕が気絶していた理由……分からない訳じゃないんだろ?」
「私が羅闍のしている事に深く関わるのは間違っていますからね。ただ、無理はしないで欲しいですが」
羅闍の問いに予め用意していたのかようにスラスラと答える映姫。
その答えは羅闍からしたらとても好都合であったためそれ以上何かを追求するのは止めた。
「うん。善処する。それで、その釜は何かな?」
「ああ、えっとその……お粥と言うモノを作ってみました」
「へ~僕の分もあるのかな?あるのなら頂きたいんだけど……」
「これが羅闍の分です。持てますか?あ、机を持ってきますね」
映姫が隣の部屋から机を一つ持ってきて食べやすいように設置する。
その上にお粥の入った釜と取り分けようの小皿、レンゲを並べていく。
映姫は釜から小皿にお粥を移し羅闍に手渡す。
「ありがとう……うん。美味しいよ」
「そ、そうですか!お口に合ったようで良かったです」
「にしても……以前はお粥すら作れなかったのに」
「アハハ……新入りの部下にしごかれてますから」
そして二人は話に花を咲かせた。
・
「羅闍……無礼を承知で聞きます。まだ、続けるのですか?」
「勿論」
映姫の問いに少しの間も作らず答える羅闍。
その目には静かな炎のような覚悟と焦りが視えた。
「本当に……貴方は……何かあれば頼ってください。絶対ですよ」
「うん。ありがとう映姫」
「はぁ……一体その言葉を何度聞いたことか」
溜め池を吐く映姫。だが、その言葉や仕草とは裏腹に表情は笑っていた。
「では、私は失礼しますね」
「今日はありがとう映姫」
羅闍の笑顔に見送られ部屋を出ていく映姫。
映姫が部屋から出ていったのを確認して羅闍は寝室から自室へと戻った。そして机の引き出しを開け一つの鏡を取り出す。
浄玻璃鏡(じょうはりきょう)
閻魔のみに使うことが許された鏡。主に死んだ者の善悪を見極めるために使う道具ではあるが、羅闍は誰かを裁くなんて事は出来ないため使う用途は一つだった。
鏡には金色の髪に、枝に色とりどりの宝石を引っ付けた翼を持つ吸血鬼、フランドール・スカーレットが写っていた。
フランドール・スカーレットは自身の姉であるレミリア・スカーレットに何かを聞いている……いや、聞き終わった後だろう。レミリア・スカーレットの額には何かをしたであろう大粒の汗が見えた。
そして、レミリア・スカーレットの言葉にフランドール・スカーレットが絶句する。
いや、フランドール・スカーレットだけではない。その光景を視ていた羅闍も別の意味で絶句する事となる。
『確か……フランがまだ狂気に取り込まれていた頃だったかしら?』
「「………………え?」」
鏡の向こうのフランドールと声が重なる。
だが、未だ困惑するフランドールに対し羅闍は笑っていた。
やった……!!やった!!
「もしかしたら……彼女を、マリーを助けられるかもしれない!!フランドール!!時間はあまり残されていない!急ぐんだ……!!君なら出来る!!頼む……思い出してくれ……!!」
必死に祈る羅闍。その顔には喜びと焦りが。
手を組み必死に祈る。
どうか、フランドールがマリーを助けれますように。
と。
お読みいただき有難うございます!!
何故少女は忘れてしまったのか……初めて出来た友達を……
何故少女は裁かれないのだろうか……死んでいるはずなのに……
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
そして止まっていた歯車が再び動き始める……
では、また次回~