Fate/kaleid stage   作:にくろん。

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今日は我らが遠坂凛の生誕祭にして運命の夜ですよ。

召還の準備は整った。さあ、ガチャを始めよう。

…凛のペンダントと偽臣の書、500年の妄執って。

…アーチャー召還のタイミングでの召還は凛のペンダントでした。
いや、あっているけどそうじゃない。


2016 2/2 日間ランキング14位になりました。
この場で感謝を。いつも読んでくださってありがとうございます。

徹夜からの深夜テンションで勢いで書いた今話、後で確認するのが怖いぜ!
そんなこんなで本編どうぞ。


11話 暗殺者

 

 

キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。

第二魔法、並行世界の運用を操る正真正銘の魔法使い。

遠坂家の後見人にして、宝石翁、カレイドスコープ、万華鏡などの二つ名を持つ人外。

 

 

『といっても、私やサファイアちゃんは並行世界に干渉なんてできませんけどね。限定的に並行世界の魔力を運用できるだけですが』

『実際にその機能が限定的にでも運用されているのは僕だよ。カレイドステッキの最新機、マジカルエメラルドには並行世界からの干渉の感知機能があるんだ』

 

迂闊だった…のか?

流石に礼装がそんな機能を持っていると誰が予想できるのか。

 

仕方がない、切り替えよう。いや、ここは切り替えるしかない。

 

「なるほど。で、だ。俺をどうしようっていうんだ?宝石翁にでも引き渡すのか?」

『いいえ。そんなことしませんよ。なにせ単身で並行世界を渡る化け物ですよ?サンプルなんて必要ありません』

「なら、なにが目的なんだ?」

 

いつでも戦闘を行えるように体勢を立てながら聞く。

 

『そうだね、言うならば確認、かな』

「確認?」

『うん。僕はいろんな機能が姉さんたちに比べて搭載されてある分、制約も多いんだ。だからこそ、その機能で確認できた士郎さんがどんな存在なのか知りたかったんだけど…』

 

どうする。

ここで正直に話すか、黙ったままでいるか。

 

悩んだ挙句、

 

「…話すべき時が来たら、その時は全部話すよ」

 

先送りにした。

 

 

俺の経歴を話すなら避けては通れない聖杯戦争。カード回収にセイバーが現れたということは、こちらの世界にも何らかの関係があったはずだ。

10年前の第四次聖杯戦争。

いよいよ、その詳細を聞く時が来たのかもしれない。

 

アイリさんと切嗣が次に帰ってきたとき、聞き出す必要があるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜、日付が変わるころ。

ラルドの姿が見当たらない私は待ち合わせの時間に遅れるんじゃないかって心配していると、イリヤがラルドを連れてうちまでやって来た。

 

「ハクノいるー?」

「なんでイリヤとラルドが一緒にいるのよ…」

『赤姉さんについていったから』

「おい」

 

 

 

 

指定された郊外の森まで他愛のない話をしながら二人で歩く。

イリヤに昨晩の話はしない。士郎兄のことも、イリヤ自身の変化のことも、気付いていないのならば言わない方がいい…と思う。

 

「もう熱は大丈夫なの?」

「うん、日中には下がって暇だったし」

「そうね、美遊さんを押し倒していたもんね」

「だから誤解だって!」

 

あ、凛姉たちが見えてきた。

 

「お、二人とも来たわね」

 

腕組みしながら凛姉がいう。その横にはルヴィアさんと美遊さんもいる。

 

「あ!ミユ!さっきはごめんね?」

 

 

……ん?

今呼び捨てに…

 

「あら。イリヤスフィール、いつの間に美遊のことを呼び捨てにするようになったんですの?」

「今日、イリヤのお見舞いに行ったときに。…友達に、なったから」

 

…ほう。

 

「美遊さんからしたら私は友達じゃないの…?」

 

存外ショックだ。

あれだけ一緒に死線を潜り抜けたんだ。もうそれ相応の絆があったっていいと思っていたのに。

 

「え、いや、そんなことは…」

「ミユ」

 

イリヤが微笑みながら諭す。こいつこんな顔できたのか。

無言で見つめ合うイリヤと美遊さん。数瞬後、美遊さんは私の目を見て意を決したように————

 

「…っ、————…、」

「ミユ、深呼吸深呼吸」

 

すぅー、はぁーと大きく深呼吸をする美遊さん。

イリヤがうまく舵を取ろうとするのがわかる。

 

 

 

そしてついに。

 

 

「…。えっと…岸波…さん、私と、友達になってください!」

「…!…うんっ!もちろん、喜んで!よろしくね、美遊!」

「!!…うん、白野!」

 

 

こうして仲間から友達へ、戦闘前に絆を深めた私たちだった。

 

 

 

 

 

「さて、そろそろいくわよ」

 

ほほえましそうに眺めていた凛姉が言う。

五人で森の中へ。進んでいくとそこには、

 

「お、来たか」

 

赤い布を左手に纏い、黒い弓を抱えた士郎兄がいた。

 

「お兄ちゃん!?」

 

イリヤが驚いている。って、え、士郎兄説明してなかったの?

 

「あー、イリヤ。今晩から俺も協力することになっている。あ、セラたちには内緒な」

「え、え、え、ええ」

 

あー、わかりやすくうろたえているなあ。

でもそりゃそうか、想い人に魔法少女コスを見られているんだもん。

 

言い忘れていたが、私たちは全員転身済みだ。

 

「どう?座標は間違ってないんでしょうね?」

「俺が探知したのはこのあたりだ…どうだ?」

「…ええ、間違いないようですわ」

 

その間に魔術師たちは話を進めていく。

 

「それじゃ、全員気を引き締めて。前回みたいな大物がまたいるとは思いたくないけど、警戒しておくに越したことはないわ」

 

 

そしてステッキたちが魔法陣を構築する。

さあ、戦闘開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

鏡面界に到着する。

警戒心を引き上げ、急な奇襲に対応できるようにするもそんな気配もない。

 

「敵もいないしカードもない…不気味ですわね」

『いっそ魔法少女らしくド派手に魔力砲をぶちかまして辺り一面焦土に変えるくらいすればいいんじゃないですか?』

「それは俺たちにも被害が出るからやめろ」

 

話しながらも警戒を止めない。

 

 

 

 

—————そういえば、こんな風に殺気も何もなく俺を殺そうとした敵がいたな。

ふと前世での聖杯戦争を思い出す。そんな場合ではないのに。

 

あれは確か柳洞寺で、相棒(セイバー)が脱落した夜…

 

 

 

そこまで思い出してはっとする。

 

「気を付けろ!気配遮断の—————

 

 

だけど忠告は遅く、イリヤの首筋に短剣が刺さった。

 

「—————!!!!」「イリヤ!」

砲射(シュート)!!」

 

美遊が魔力砲を放つがその先には誰もいない。

 

「イリヤ!」

『大丈夫です!物理保護が効きました!薄皮一枚です!」

「油断しないで!どこにいるかわからない!方陣を組むわ!」

 

遠坂の号令の元、四方を警戒する。

中心にイリヤとその護衛に白野、四方を残る三人で見渡す。

 

遠坂達は宝石を、俺は弓に投影した黒鍵をつがえる。魔力効率と投影の隠ぺいのために黒鍵を選んだが、相対する英霊によってはそんなことは考えずに全力で行くしかないけど。

 

「不意打ちの上、完全な急所狙い…気を抜かないで!ステッキ所有者はともかく私たちは即死の攻撃よ」

「多分気配遮断のスキルだ。それに奇襲…ということは暗殺者の英霊だ」

「なんて面倒な英霊もいるんですこと…!」

 

互いに気を抜かずに警戒する。

 

 

 

 

だが、それも無意味に終わる。

 

 

「な…ッ」

 

絶望感が包む。

俺たちは、完全に包囲されていた。

 

『敵を視認…総数五十以上!』

「なんてでたらめ…」

「軍勢なんて聞いてない!」

 

 

だが。

 

 

「全員守りを固めろ!数を減らす!」

 

俺ならできる。

 

投影開始(トレース・オン)

 

脳内に展開するのは無数の刀剣群。宝具でなくていい。今は速度を重視する。

 

「———憑依経験、共感終了

 

  ———工程完了(ロールアウト)全投影(バレット)待機(クリア)

 

空中に剣群が現れる。

相対するようにアサシンたちは短剣を投擲し、

 

「————停止解凍、全投影連続層射!」

 

俺はそれを無視してアサシンを狙った。

 

『物理保護障壁展開規模を最大に設定!』

 

後ろでステッキたちの声が聞こえる。

それに合わせて広がった障壁が全員を包み込み、短剣から身を守った。

 

でも、俺が放った剣は数人のアサシンを殺したが、避けたものもいた。

 

「くそ、これじゃジリ貧だ」

「このまま引きこもっていても仕方ないわ。火力を集中して突破、一度体勢を立て直しましょう」

「一度引くのは?」

「昨日の奴ほど強くはないし、数の暴力さえどうにかすれば何とかなると思うの」

「凛姉。無責任すぎ」

「でも実際どうするんだ?」

「現状、囲まれているのが一番まずいわ。だから、一点突破した後、囲まれないように立ちまわりながら一人ずつ撃破していくのが一番現実的だと思う。逆にまずいのは範囲攻撃とかでこっちの視界がふさがること。気配遮断してくる相手に、自分から視界を妨げるとか下策にも程があるわ」

 

確かに、現状一番の案に思う。

 

「問題は体力が続くかだな」

「それと魔力もね。となると、魔法少女を私たち三人の周りでの障壁を張る防御役に二人、攻撃役に一人でローテーションを組んで、私たちが司令塔兼サポーター、出来る範囲で相手を処理するのがベストかな」

 

方針は決まった。

 

「カウント3で突破するわよ」

 

遠坂とルヴィアが宝石を構える。俺もそれに倣うように、双剣を構えた。

ついさっきまで投影を隠すつもりだったけど、そんなことは言ってられない。いざとなったら助けてロード。

 

 

 

「3…2…1…行くわよ!」

 

 

障壁が解かれ走り出す。

 

「包囲を突破するわ!イリヤ、白野、美遊!!」

「「はい!!」」

 

2人の魔法少女が返事をする。

が、妹の返事がない。

 

「イリヤ!?」

 

振り返ると、倒れたままこっちを見るイリヤがいた。

 

「か…からだが…動かない…っ!」

『魔力循環に淀みが…!?物理保護、維持できません!』

 

ルビーの声に真っ白になる。

なに言っているんだ————そう怒鳴る前に思い出す。

 

————まさか、毒!?

 

 

 

イリヤに向かって無数の短剣が投擲される。

間に合わない。

間に合わない。

間に合わない。

 

焦燥だけが募る。

 

 

 

 

 

 

そして。

 

 

爆発がすべてを包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…」

 

昨日から爆発に巻き込まれたばかりだなーって的の外れたことを思いながら立ち上がる。

咄嗟の障壁は多少なりとも機能し、凛姉たちを無傷ではないものの守った。

 

 

 

「なに…これ…」

 

爆発の中心から声が聞こえる。

 

「私が…やったの…?」

 

そこには無傷のイリヤが。

————よかった、無事で。

 

安堵しながらイリヤを見ると、目が合ったイリヤが途端におびえだした。

 

「イリ、ヤ?」

 

「ミユ…ハクノ…凛さん…ルヴィアさん…お兄ちゃん…」

 

あ…。

今の私たちは重傷ではないが傷を負っている。でもそれはさっきまでなかった傷だ。

 

「血…そんな…私が…」

 

「イリヤ、落ち着いて―——」

「何…なの?どうして私がこんなこと…敵も…お兄ちゃんたちも巻き込んで…」

 

士郎兄の言葉も聞こえていないようでイリヤは震え出す。

 

「こんなの…こんなの…ッ!もういや!!」

 

そしてそのまま離界(ジャンプ)し、鏡面界から去っていった。

 

 

 

 

 




無印はあと4話くらいかな?構想なので変わるかも。

皆さんは500万DL礼装の絵柄決めましたか?自分は武内絵で悩んでいます。


誤字脱字などの指摘、感想、評価などがあればお願いします。



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