Fate/kaleid stage   作:にくろん。

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お待たせしました。
GW?そんなのシラナカッタヨ…ZEROイベやっと完走した…アサシンエミヤ?征服王?知らない子ですね。

感想のお返事もできていませんが、全部読ませていただいています。ありがとうございます。
前話で日間ランキング9位に載っているのを見たときは遂に一桁代きたかと狂喜乱舞しました。

感想でみなさん血生臭い第四次聖杯戦争を思い浮かべているようですが、すみません。アイリ生存ルートの時点で鯖脱落は限られているんだ…

ダイジェスト形式ということで、悩んだ結果こうしました。
というか、今回の話を書く前にZEROイベはずるい。


22話 第四次聖杯戦争秘話

 

「まずは聖杯戦争について話しましょうか」

 

アイリさんはそう言って口火を切った。

 

「これはその名の通り、万能の願望器である聖杯を巡って、七騎の英霊とそのマスターが血で血を洗うような凄惨な戦争のことよ」

「いきなりからごめんなさい、七騎の英霊?」

「ええ。参加者は各々の英霊(サーヴァント)を使役し、最後の一人となった者に聖杯が授けられるわ」

「そんな馬鹿な…」

「言いたいことはいろいろあるだろうけど、先に進めるわね」

 

凛姉やルヴィアさんの驚愕を他所に、話は進んでいく。

 

 

 

 

遠坂にエーデルフェルト。

両家も聖杯戦争に無関係じゃないのよ?

 

…ふふ、不思議そうな顔ね。追って説明するわよ。

 

 

まず、この聖杯戦争はここ、冬木の地で行われていたの。教会と協会の監視が及びづらく、独自の発展を遂げた極東の島国。これほど秘密の儀式をするにふさわしい場所はなかったわ。

 

そして始まりの御三家と呼ばれる、聖杯戦争のシステムをくみ上げた家系があったの。

 

———ええ。私たちアインツベルンだけじゃないわ。

 

聖杯の器を用意するアインツベルン。

協会と教会から手が届きづらく、豊富な地脈を持った土地を提供する遠坂。

英霊召喚というサーヴァントシステムを構築したマキリ。

 

この三家から成り立っていたの。

 

…凛ちゃん?大丈夫?

 

え、お父様から聞いていない?

そうでしょうね。貴女のお父上は先の聖杯戦争の参加者だったのだから。

 

話を戻すわ。

 

この聖杯戦争はある一つの目的のために行われていたの。

”根源への到達”

魔術師としての到達点を、ね。

 

勿論、各々の家系でその思惑は違ったとは思うわ。

でもそこは問題じゃないの。

 

七騎の英霊の魂ともいえる高濃度の魔力を以って根源への穴を穿つ事が出来る以上、おまけともいえる余剰魔力でも十分”万能の願望器”足り得るのだから。だからこそその蜜に誘われて外部の魔術師が参戦してきた。

 

エーデルフェルトは三回目に行われた聖杯戦争の参加者よ。60年前だったかしらね。

 

——そうよ。この儀式は失敗した。だからこそ、10年前の第四次聖杯戦争まで続いていたの。

 

 

私はそのために調整された聖杯だった。

 

 

 

「ちょっと待って」

「どうしたのイリヤちゃん?」

「ママが聖杯だったってどういうこと?」

 

思わず話を切ったイリヤ。

周りの面々も同様だ。

 

「簡単よ。ママは聖杯としての機能を持たされた人間だったってこと。魔術師の世界では、生まれる前の赤ん坊に手を加えるのなんて日常茶飯事なのだから。———まあ、さすがに1000年も続いている家系だからこその荒業みたいなものだけど」

「な———」

 

固まったままのイリヤ。

急にそんなカミングアウトは重い。

 

「その聖杯としての機能とはいったい?」

「簡単よ。脱落したサーヴァントの魂をその器に溜めておくだけ。そして、基準に達したとき、私の中の小聖杯から冬木の大空洞に存在する大聖杯へと還元し、その魔力の解放で孔を穿つの」

「そんな!?英霊の魂を貯蔵!?あり得ないわ!」

「もちろんよ。原理上、四騎の英霊の脱落で私の人間としての機能は停止するはずだったわ」

 

事もなさげに言うアイリさん。

でもそれって…。

 

「そんなことって…」

「当時の私には覚悟があった。アインツベルンの悲願を達成するという覚悟が」

 

でもね、と続く。

 

「万全を期すべくアインツベルンのマスターとして切嗣がやって来たのよ」

 

 

 

 

忘れもしないわ。

アインツベルンが恥も外聞もかなぐり捨てて依頼したマスターとして、衛宮切嗣はやって来たの。

 

聖杯戦争は魔術師同士の殺し合い。だからこそ、魔術師殺し(メイガスマーダー)として名を馳せていた彼に白羽の矢が立ったのね。

 

でも。

 

冬に閉ざされた城で私たちは恋に落ちた。

 

話が変わってないかって?

 

いいえ。同じ話よ。

 

お爺様はアインツベルンの悲願を達成するべく私たちを用意した。

でもね。

私たちの間にイリヤが生まれたの。

 

その時思ったわ。

 

この子のためなら、たとえ千年の悲願だろうが捨てられるって。

 

魔術師としては間違った判断なのかもしれない。

それでもね、イリヤちゃん。

私たち二人にとって、それまでの価値観を覆すくらい貴女の存在は大きかったの。

 

そこから私たちは何回も話し合ったわ。

どうあがいても、聖杯戦争のあと私はいなくなる。そのあとイリヤちゃんをどうするのか、アインツベルンに残しておくべきなのか、とかね。

 

その結果、私たちは聖杯戦争を止め、アインツベルンを潰すことにした。

 

 

 

 

 

「は?」

 

思わず変な声が出た。

 

今までの話は、概ね俺の知っている流れと一緒だった。

なのに、急にアイリさんから飛び出した爆弾発言。アインツベルンを潰すだって?

 

「どうしたのシロウ?」

「え、いや、潰すって…」

「言葉通りよ。アインツベルンを実質仕切っているのはお爺様だったから、もし私たち夫婦が帰れない事態になったとき、イリヤにどんな仕打ちが及ぶか…。考えただけでも恐ろしかった」

 

実際、俺の世界では切嗣への憎しみの感情を募らせたイリヤは、自分の寿命なんて度外視でやって来ていた。

純粋なまま、捻じれて育ってしまっていた。

 

「幸い、聖杯戦争がはじまるまで8年もの月日があったから、下準備は十分に出来たわ」

 

———ん?

 

「ねえ、アイリさん」

 

今まで黙っていた白野が声を上げる。

 

「その…第四次聖杯戦争って10年前なんだよね?今の話だと、その8年前にイリヤが生まれたことになっているんだと思うんだけど…」

「いいところに気付いたわね。その通りよ。イリヤちゃんは18歳ですっ☆」

 

 

……

 

「「「はあああああ!?!?」」」

 

やっぱりイリヤは()なのか。

 

「まあ、その辺は諸事情あるんだけどね。クロちゃんのことも関わってくるわよ?———ああ、安心して。イリヤ自身は10歳で間違いないから(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

簡単に言うとね、イリヤちゃんはもし私が失敗した時のバックアップだったのよ。

 

———その通りよ、凛ちゃん。

 

イリヤにも聖杯としての機能が(・・・・・・・・・・・・・・)備え付けられていたの(・・・・・・・・・・)

 

冬木に来るにあたって、アインツベルンにイリヤを置いていったら勝手に聖杯としての調整が始まる。

そうならないために、私はイリヤを冬木に連れてくるだけじゃなくて、干渉できないように封印したの。

 

ええ。その肉体、精神と共に聖杯としての機能(・・・・・・・・)をね。

 

その時はそれが最善だと思っていたの。

申し開きのしようもないわ。

 

でもその甲斐あってか、アインツベルン本家からの干渉からイリヤを守ることには成功した。欠点として、人の身に余る聖杯の機能を封印するのに8年も時間がかかったことかな。

 

それでもこうしてイリヤ自身の安全は確保できた。

 

 

 

そうなったら、次の問題は今代の聖杯の器としての私をどうするか、ということになったのよ。

 

アインツベルンだけの問題なら何とかなったでしょうけど、聖杯戦争を立ち上げた他の御三家に角が立つ。下手に共闘されて、私たちが脱落したら元も子もないし。

 

そこで私たちは必死に、全力で情報を洗ったわ。

遠坂にマキリ。今は間桐と名を変えた二つの家系のウィークポイントになりそうなところ、交渉に使えそうなところ、考え方、家柄、立場。

そして一つの可能性を見出した。

 

 

聖杯戦争が起こる数年前。

遠坂の次女が間桐に養子に出されたことを知ったの。

 

 

 

 

 

ギリッ、と凛姉が歯を食いしばる音がする。

なんてことはない。

 

凛姉にとって、桜さんとの関係が修復されたとはいっても、疎遠になったという事実は変わらないんだ。

 

「この養子縁組の話は魔術の世界において珍しいことではないわ。ただ、間桐の当時の当主、マキリ・ゾォルケンの意図を読み切れなかった当時の遠坂の当主と、遠坂の家族のことを気にかけていた間桐の男性にとってはそうではなかった」

「——ええ。その通りよ。お父様は桜のためだけを思っていたけど、間桐はそんなことはなかった。雁夜叔父さんはそんな桜のことを、お母様のことを気にかけていたわ」

「だからこそ。イリヤという我が子を守ると決めたからこそ。この二人は味方にできると私たちは踏んだのよ」

 

 

 

 

親ってものはね、どこに行っても子供のことを想っているものなの。それが間違った方向だとしても、子のことを想わない親はいないわ。特に、魔術師の世界では魔術を継承させるための大事な糸としての側面もあるし。

 

 

私たちはまず、間桐雁夜に接触したわ。

 

当然、彼は桜ちゃんの仕打ちを知って怒った。間桐と遠坂への憎しみを燃やしていたわ。

でも、それは認識の問題。

遠坂も、桜ちゃんの不幸を願っているわけじゃないんだから。

 

そこで、私たちは彼ら二人を接触させることにしたの。もちろん、私たちも交えて。じゃないと、間桐雁夜(一般人)の感情論と遠坂時臣(魔術師)の考え方がぶつかったところで答えなんかでないでしょうからね。

 

予想通り彼らは荒れたわ。

一般人としての意見と魔術師としての意見は相容れない。二人とも求めているのは家族の幸せだったのに。

2人だけなら決裂したであろう話し合いも私たちがいることでクッションになる事が出来た。だからこそ、折を見て私たちのイリヤを守るって言う意見を話せたんだと思う。

 

時臣さんは大層怒っていたわ。

魔術師としての誇りはないのか、アインツベルンの歴史はどうするのか、ってね。

 

それでも、雁夜さんを落ち着かせて、間桐の魔術鍛錬について順序立てて説明してもらったら血相を変えて納得してくれたわ。私たちと雁夜さんに謝罪までして、共闘を持ちかけてくれた。

 

 

 

私たちは勝利条件を決めたわ。

アインツベルンは、聖杯戦争の中止。遠坂と間桐は、マキリ・ゾォルケンの討伐と。

 

サーヴァントの召喚自体は可能になっていたけど、私のことを考えると4騎までしか落とせない。

ならどうするのか。

 

———私たち三人で、一騎を使役すればいい。

 

その英霊が脱落してしまったら、次の英霊を召喚する。こうすることで、召還時点からの負担を減らすことにしたわ。

幸い、遠坂と教会は結託していたから、裏から手を回して霊器盤を騙してくれたわ。

教会の代行者が召喚したアサシンを使って遠坂が情報を収集し、遠坂とアインツベルンの手で簡易マスターとして雁夜さんを擁立することで間桐の正式なマスターとしてサーヴァントを召喚し、マスターとして冬木にやってきそうな魔術師を魔術師殺し(メイガスマーダー)が妨害する。

 

妨害を潜り抜けてマスターが冬木に揃ったのは、すべての準備が終わった後だったわ。その中にも仲間になってくれそうな外来のマスターがいた。ライダー陣営のマスターは、恩師を見返すためだけにやって来た才能のない青年だったわ。それでも彼は自らのサーヴァントに惹かれ、尊敬し、憧れた。王の臣下足るべく、その覇道を心に刻んでいたわ。取るに足りない青年だった彼が、聖杯戦争で一番成長していた。

 

彼とそのサーヴァントは、恩師とそのサーヴァントと一対一で戦うことを条件に協力してくれることになった。

 

ここまで状況が揃ったら動くだけ。

そう思った時に事が起こったの。

 

遠坂が情報収集の一環と言って、アサシンに冬木の大空洞を調べさせていたんだけど、そこにある大聖杯が汚染されていたことに気付いたの。

 

原因は、エーデルフェルトも参戦していた第三次聖杯戦争。

そこで召喚されたサーヴァントの影響で、無色であるはずの聖杯の魔力が黒く染まっていた。

 

遠坂とアインツベルンは直ちに大聖杯の機能を停止させ、封印することを決意したわ。だけど、間桐は違った。

 

黒く染まっていようが聖杯は聖杯だ、と。

 

 

ランサーとライダーの闘いが決着がついた後、大空洞で待ち構えていたマキリ相手に最後の闘いが始まったわ。

 

遠坂時臣とケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

秀才と天才が手を組み、陰から魔術師殺しが支援する。でも相対するのは蟲を本体とする人の身を外れた化け物。千日手の様相を呈していたわ。

 

 

それと同時にもう一つの決戦が行われていたの。

決着はついたといっても、お互い激しく損傷しながらも存在を保っていたランサーとライダー。そこにバーサーカーを加えた私たちの軍勢と、一般人を無差別に虐殺していたキャスターの闘い。

 

雁夜さんは魔術師としての才能がないからってバーサーカーのマスターとしてウェイバーくんと一緒にそっちで戦っていたわ。

 

未遠川でのその決戦は、ライダーとバーサーカーの宝具の開帳によって幕を閉じたわ。同時に、全員の魔力不足による脱落が始まった。

 

それだけだと、4騎の脱落のはずだった。

なのに、なぜかアサシンまで脱落していたの。

 

遠坂曰く、アサシンのマスターの指示によってサーヴァント戦に参加していたみたいだけど、ウェイバーくんたち曰くその場にいなかったと。今となっては何をしていたのか真相はわからないままね。

 

とにかく、5騎目の脱落が起こってしまった。

ライダーが何とか現界を保っていてくれたおかげで、ウェイバーくんから念話を受けて状況を把握できた私は賭けに出た。

 

切嗣たち三人が共闘して時間を稼いでいる間に、私を大聖杯に接続したの(・・・・・・・・・・・)

勿論、逆流に飲み込まれる危険もあった。でも、その前に私の中の4騎分の魂を大聖杯へと送る事が出来れば———って思ったの。

 

結果、賭けとしては成功したわ。

私から4騎の魂は移動した。そして、汚染された魔力は増え、活性した。

 

そんな…って思ったわ。

こんなことってない。こんな絶望があるのかって。

 

大聖杯からあふれた泥は、呪詛となって大空洞から地脈へと蹂躙していった。本能的に、あの泥に触れてはならないって思った。

同時に、念話で泥がライダーを狙って地脈を伝っていると伝えられたわ。

恐らく、完全な存在として確立するためにより高密度の魔力を求めていたんでしょうね。

 

とはいっても、既に限界ギリギリのライダーになす術はない。泥に飲まれる前に座へと戻ることが優先された。

 

行き場を失った泥は冬木の町を浸食し始めたわ。

地脈の活性化ポイントから噴出したの。

 

———そうよ。公民館の跡地よ。

 

こうなったら、大聖杯を吹き飛ばせる火力を持った英霊を召喚するしかないかって思った時、彼らは提案したの。

 

遠坂時臣は、凛と桜に聖杯戦争のことを伏せておいてくれ、彼女たちを頼むと。

衛宮切嗣は、僕の魔術礼装の効果を増幅させる事が出来れば何とかできるかもしれないと。

ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは、ウェイバーにソラウを頼むと。

 

三人の男は協力したわ。

 

切って繋ぐ、という概念を極限まで増幅させ、炎と水銀により蟲をすべて泥へと叩き込み、時臣さんは———切嗣の礼装を抱えて大聖杯へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

「———…どういう、こと?」

 

重い沈黙を凛姉が開く。

 

「切嗣の礼装は対象の魔術回路を切ってめちゃくちゃに繋ぐ弾丸だった。その意味を、概念を増幅させることで大聖杯の魔術基盤をズレさせることができると踏んだの」

「そうじゃない!なんで———なんでお父様がッ!?」

「時臣さんは言っていたわ。今、この場にいる者の中で聖杯について一番詳しいのは、この土地を管理し守って来た自分だ。衛宮切嗣の魔術礼装でより悪化した方向へと繋がる(・・・)ことの無いよう、手を加える必要がある、と。それに最もふさわしいのは自分だとも。———それと。桜ちゃんの現状を知らなかったことへの罪滅ぼしとも言っていたわ。せめて、桜と凛が明るい未来を歩けるように、この身は魔術師でなく父親としてその未来を守る行動をしたい、と」

 

「そんな…お父様…充分貴方は…」

 

「私たちの制止も聞かずに飛び込んでいったわ。ケイネスは生き延びようとしていたけど、戦闘中に泥に触れたみたいで…達観したように、すべての蟲を巻き込んで泥へと落ちていった」

 

アイリさんの顔は酷い。

当時を思い出しているんだろう。やるせなさ、不甲斐無さ、無力さがに対する悔しさがにじみ出ていた。

 

 

「私と切嗣はせめて町の人を救おうと急いで公民館へと向かったわ。多くの人が生死の境を彷徨っていた。その中でも一番ひどかったのが…シロウ。貴方よ。シロウを助け、私たちの養子として引き取った後、半年もかけてイリヤの封印を解いた。そして、この日をイリヤの誕生日にしたのよ」

 

世界が死んだように音がない。

 

「ウェイバーくんは時計塔に戻り、講師として大成した。今はロード・エルメロイⅡ世を名乗っているわ。雁夜さんは急造マスターとしての反動からか、魔術を扱えなくなった。代わりに、ルポライターとして魔術と一般の境界の問題を伝えているわ。切嗣を含め、私たち四人は聖杯戦争のことを内密にすることに決めた。術式を組んで封印して、時間をかけて内部の魔力を浄化しながらゆっくりと放出していくとはいえ、もし何かの拍子に封印が解除されたら大変だからね。それと同時に、あの聖杯戦争に関わった人たちの後ろ盾になるべく動いた。凛ちゃんが出来るだけ魔術を学びやすい環境に、桜ちゃんが後ろめたくならないような環境に、イリヤが魔術を知らずに生活できる環境に」

 

「桜は、なんで遠坂に帰ってこなかったの?」

「…雁夜さんを含めた私たちの判断よ。彼女の魔術の素養は素晴らしく高かった。だからこそ、封印指定なんてかかる前に確かなバックボーンを必要としていたの。冬木の地には遠坂という名門がある。間桐なんて衰退気味の家系には目もくれないような立派な家系が。遠坂に注目が集まっている間に、エルメロイⅡ世と雁夜さんで基礎を固めるために間桐に残したの」

「……」

 

私は何も言えない。

すれ違っていた姉妹の仲を修復するのに手を貸した私は、彼女たちの想いを痛いほどにわかっているから。

 

「10年前のことはこれくらいよ。クロちゃんはたぶん、イリヤちゃんに危険が迫ったときに封印が一時解けるように細工をしておいたから、何らかのマジックアイテムと聖杯としての機能が合致した結果生まれた、奇跡のような存在なのだと思うわ」

 

 

 

そうして、長い長い話が終わった。

 

 

 




重い。

想像以上にうん、おかしいな、アイリは万能のシリアスブレイカーのはずなのに。

ダイジェストだとこんな感じです。まともに書いたら、各陣営の動き、思惑、戦闘、言峰覚醒などもろもろの要素がまだまだあるよ!伏せてあることもあったりなかったり。

次でクロ編ラストかな?
待ってろよ、ダメットさん…!

誤字脱字などのご指摘、感想、評価などありましたらよろしくお願いします。

P,S,
フレポ2000連でアンリマユ来なかった…
予約投降の仕様が変わってる…。

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