Fate/kaleid stage   作:にくろん。

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更新速度が遅くてすみません。
プリヤに合わせて週げ一更新したい…テスト期間は無理だ…。
ギル君かわかっこいい。

鬼ヶ島礼装コンプして茨木とマルタが来たので満足。
さあ、6章だ!輝けるアガートラム、ニトクリスとかクトゥルフかよ…エジプトってことはネフレン=カとか来ちゃう?輝くトラペゾペドロン…ニャル…円卓…ガヴェインつっよ…円卓やべえ…ああ!窓に!窓に!!

今話は言峰さんキャラ崩壊かも。
原作言峰を大事にしたい人は注意です。これが作者の限界だった…




27話 裏話と停戦

 

並行世界出身。

 

この世界での養父から放たれた言葉はこれ以上なく的確で、私自身の境遇を指し示していた。

 

「安心するがいい。別に封印指定に登録しようなんて気はない」

「その言葉が信用できるとでも?」

 

何故か士郎兄が激高しているけど、私の頭を通り過ぎる。

 

———ばれた。

 

今までひた隠しにしてきたのに。

まさか、ラルドの使用条件にそんなものがあっただなんて。

 

「娘をそんな人体実験に差し出すような真似などしないさ。私としては、今まで謎に包まれていた娘の実態を知れた良い機会だったというわけだ」

「なんで、そんなに割り切れるの…?」

 

思わず問いかける。

 

「簡単なことだ。白野。別にお前が並行世界出身だろうが何だろうが、今の私の娘(・・・・・)ということに何ら変わりはないだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

なんだこいつは。

 

これがあの言峰綺礼なのか?

 

自分の知識とのあまりにもの齟齬に、違和感を抑えきれない。

アイツ(アーチャー)の記憶でも、俺の記憶でも、言峰は絶対的な悪として俺と敵対していた。

だけどこいつはどうだ?

 

白野が憑き物が落ちたかのように泣き崩れているが、俺は一切警戒を解かない。

 

そのまま白野と一言二言話した言峰は、

 

「さて、衛宮士郎。少し話そうか」

 

場所を変えることを提案してきた。

 

 

 

 

 

 

 

「お前は切嗣の息子で相違ないな?」

「ああ。それよりお前は本当に言峰綺礼なのか?」

 

疑問を口にする。

 

「———フ」

 

違和感が消え去り、素顔が見え隠れする。

 

「お前が気付いた通り、私の本質は変わらない。さすが切嗣(同種)の息子、同類を嗅ぎ付けるのは得意と見える」

「ならどうして」

「私は確かに悪だ。他人の不幸でしか幸福を感じることができない決定的な異端者だ。話には聞いているだろう?先の聖杯戦争でそれをこの上なく実感したのだ」

 

だが、と話を続ける。

 

「私はそれを良しとしなかった」

 

決定的な違いを。

 

「根本的には、進むべき道を探求していたあの頃と何ら変わっていないだろう。本質的な悪は変わらない。だが、こんな私を愛した(もの)がいたのだ。散々寄り道をしたが、あの戦争で気付いた。例え私が悪であろうと———彼女の想いだけは無為に出来ない、と」

 

まあ、代行者の任務でガス抜きをしないとやっていられないのも事実だがな、と神妙な空気をぶち壊すかのように続ける。

 

「じゃあ、白野のことは…」

「あれは私が選んだ娘だぞ?並行世界なんて些事は関係ない。強いて言うならば…アレに躾と称して愉しんだことは私の中で大切な財産(愉悦)だ」

「やっぱり変わんねえじゃねえかこんちくしょう」

「ははは、人間そう簡単に変わるまい。お前が私を毛嫌うように、我々は相容れない。それは一度死んだからと言って変わらないだろう?」

 

 

 

 

「やっぱりお前は」

「詳細は違うがな。私はこの私に貴様の知る私の知識を得ただけだ。経験の伴わない知識など何の役にも立つまい」

 

 

ギリ、と干将莫耶を握りしめる。

 

「いったいいつからだ?」

「10年前。町中に泥が溢れる前に私はサーヴァントに裏切られた」

 

アイリさんの話では語られなかった物語の裏側。

 

「分裂し弱体化したアサシンを間桐に奪われてな。さすが令呪システムを考案しただけはある。そのアサシンに二重スパイをさせ、動向を調べた後間桐は監督役()から奪った預託令呪を使い、私の令呪に対する耐性を植え付け、令呪による強制戦闘を行った。暗殺者とはいえ英霊相手に私も戦ったが…流石に群体相手ではきつかった。多くの個体を葬ったおかげでアサシン自体の戦闘力も落ちたが、それは同時にその魂の大部分を座へと送る事となった」

「———ってことは、アイリさんにアサシンの魂が入っていったのは…」

「大方、不完全とはいえ英霊の魂の大部分だ。それに足りない部分は他の大英雄の魂で補ったのだろう。結果として町に泥が溢れ、死ぬ寸前の私はその泥に覆われた。心臓は呪いにより補完され、他の世界の私自身の知識の一部を継承し生きながらえることに成功した、というわけだ」

 

「俺については?」

「私との戦闘で確信したよ。初対面にも拘らず必要以上の警戒心。過去に対処したことがあるかのような戦闘。そして私自身の知識。これ以上説明は不要かね?」

「———いや、いい」

 

なんてこった。

どうやらこの言峰は———かなり丸くなった言峰らしい。

 

「求道し続けた結果、一度死んだ知識があるのだ。ならばいっそ、他人のために生きるのも悪くはない。その過程で、醜悪に歪んだ人間の本性を垣間見る事が出来るのだからな」

 

 

訂正。

言峰はやっぱり言峰だった。

 

「そういえば、エメラルドの使用条件ってお前も含まれるのか?」

「いや、私ではダメだろう。仮に扱えたとして、断片的な知識しか有していない私では並行世界の運用としては不完全だ。十全にステッキを操れるとはいくまい」

「やけに具体的だな」

「———数年前、宝石翁ゼルレッチに遭遇してな」

「———ああ」

「——————……礼装からの魔力供給が、限界だった」

 

カレイドマーボーとどこかから聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

話し合いを終え、イリヤ達のところへと戻る。

会話で穏便に進んだとはいえ、そこまでに散々痛めつけられた体は酷く痛む。

 

「大丈夫?」

「ああ、白野こそ…」

「…うん。私は、大丈夫」

「…あー、その、なんだ。俺だって気にしないぞ。ここにいる白野が俺の知っている白野なんだし」

「!!———……ありがと」

 

お互い肩を貸し合ってゆっくりと進む。

 

「———なんだ、衛宮士郎。人の趣味をとやかく言うつもりはないが…警察には捕まるなよ?さすがに擁護できん」

「なんでさ!?」

 

 

 

 

 

「戻って来た———ってどういう状況なの…」

 

開口一番突っ込む遠坂。

 

「よかった、二人とも無事だったんだな」

「ええ。それより…二人ともボロボロなのは仕方ないとして…なんで綺礼が…」

 

屋敷の宝石庫から吹っ飛ばされるときに入り口付近で隙を窺っている遠坂が見えたから、気絶している間にやられたのかと思ったけど。

 

「いざという時のための地下通路に逃げ込みまして…それよりそちらの方は…?」

「紹介が遅れた。この度、バゼットにエーデルフェルト邸を襲撃する際の助っ人として頼まれた言峰綺礼だ。教会の代行者もしている」

「なぜ代行者が執行者と!?」

「プライベートな付き合いがあったのでね。ああ、協会にも教会にも伝えるつもりはない。あくまで私は個人的な助っ人だからな」

「よく言う。英霊と正面から戦闘できる人が」

「貴女がそれを言うかバゼット———。ああ、加えてそこの岸波白野の養父だ。いつも娘が世話になっている」

「はあああああ!?」

「え、ハクノのお義父さんが魔術関係者で…めちゃめちゃ強くて…?」

「ああ、そこの衛宮士郎なら先ほど完封したところだ」

「お兄ちゃんを!?!?」

「イリヤ、クロ、落ち着いて…!」

 

 

「衛宮くん、私疲れた…」

「奇遇だな遠坂、絶対こいつ愉しんでるよ…」

 

 

 

 

「ふむ。つまり、その8枚目のカードを回収するまでは停戦協定を結ぶと」

「ええ。共通の敵がいる以上、私たちが争っている場合ではないわ。このカードが他のカードと同じように冬木にやって来たのなら、もう2か月も地脈から魔力を吸い上げ続けているんだもの。どんなバケモノになっていることやら…」

 

思わず、ゴクリと唾を飲む。

 

このカードたちが、仮に俺の知っている第五次聖杯戦争を模しているなら…。

過去に相対した英霊を思い浮かべる。

 

イリヤが率いたバーサーカー。

俺自身が契約し、泥に飲まれ敵対したセイバー。

遠坂と契約し、俺たちを庇い腕を遺したアーチャー。

初日にセイバーと共に倒したキャスター。

臓見が蟲と共に使役したアサシン。

共闘し、最後まで桜のこと想い現界し続けたライダー。

 

 

さらに自己に埋没する。

 

(アーチャー)と因縁があり、何度も殺り合ったランサー。

キャスターが契約し、柳洞寺の門番となったアサシン。

 

———黄金色に輝いた、人類最古の英雄。

 

 

 

思わずかぶりを振る。

流石に、アレがいるなんてことはないだろう。なんて言ったって彼の英霊は第四次の生き残り。五次を模しているならいる方がおかしい。

 

「どうしたの衛宮くん?」

 

無言の俺を心配したのか、遠坂が声をかけてくる。

 

「あー、いや悪い。さっきのダメージのせいかぼーっとしてた」

「あー。それもそうね。ここにいる全員が少なからず傷を負っているんだもの。バゼット、綺礼。細かい作戦なんかはまた追って連絡するわ」

「了解しました」

「ああ、それなんだが、私は一週間ほどしたら再び海外に行くのでね。頭数には数えないでくれ」

「———ウソでしょ…」

「こんなところで言ってどうする。北欧の列車やら、山岳地域の施設など仕事はまだまだある。たまには休暇くらいいいだろう?」

「とか言って泰山食べに来ただけでしょうが」

「そうとも言う」

 

 

さっきまでの険悪な空気はどこへやら、和やかな空気が流れる。

これを見越してやったんだろうか、遠坂には頭が上がらない。

 

 

———だけど俺は。8枚目のカードに対する嫌な予感を拭えずにいた。

 

 

 

 

 




というわけで、実はの裏設定。言峰さん微憑依。全部の知識はないよ、自分が愉悦を求める部員だった、ということと断片的な桜ルート知識。なじみ深かったギル以外の英霊はほとんど知らないです。

本質は変わっていないので、他の自分が求道と覚醒で一生を使い果たしたなら自分は別の道を生きれば違う見方を得られるのではないか、という考え方で”言峰綺礼らしくないこと”をコンセプトに生きています。死徒とかを相手に愉悦してガス抜きをしていますが。

白野への躾は茶碗の扱いや麻婆などの教養を学ばせ、ちゃんとできていないと「この程度も…」みたいに扱い、絶望感に浸る娘を見て愉悦していました。ご近所さんには養子をとり、礼儀に正しく育てていると神父としての評価が上がり、世間の風当たりは良いためより一層愉悦に身が入ります。これぞ愉悦スパイラル。

そう言うわけで、白野が並行世界出身だろうが自分には関係ないと割り切っています。だからこそ、抵抗なく真実を知っても受け入れる事が出来ました。

誤字脱字などの指摘、評価、感想などがあればよろしくお願いします。感想のお返事は返せていませんが、執筆への大きなモチベーションアップにつながっています。


次こそ、早く投稿する…(フラグ)

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