Fate/kaleid stage   作:にくろん。

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えげつなく閲覧伸びてる…って思ったら、日刊ランキング18位(12/5 11:30頃)になっていました。
読んでいただいている方、ありがとうございます。


FGO,イベント中に当たった☆4以上がデオン、紅茶、アン&メアリー、リミゼロって…
沖田欲しかった…


12/8 加筆しました


4話 転校生

 

翌日。

朝のホームルームにて。

 

「美遊・エーデルフェルトです」

「はーい、みんな仲良くしてあげてねー」

 

……忘れてた。

新たなライバル登場ってことは転入生フラグじゃない…っ!

 

斜め前の席のイリヤも達観したような素振りを見せる。

 

「席は窓際の一番後ろね。イリヤちゃんの後ろ…ってわからないか。白野ちゃん、隣の席だし気にかけてあげて―」

 

ぐううう。タイガーめ、今日に限ってなんで!気まずさとかいろいろとやりづらいよ!

 

 

「休み時間。屋上にきて」

 

横の席に着いた美遊さんが私にだけ聞こえるような声量で話しかけてくる。

…無理だと思うなあ。転校初日の休み時間なんてお約束イベントをスルー出来るとは思わないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案の定、休み時間になるとすぐに美遊さんの席は質問する人で見えなくなる。

困ったような顔で見られてもごめん、こればっかりは…。

 

少し悪いと思いながら手を合わせてごめん、と目線で伝え、先にイリヤと話すことにする。

教室をぐるっと見渡したら————あ、いた。

窓際で何してるんだろ。

 

 

「イリヤ、ちょっとい「うひゃああ!?」…どうしたの?」

「あ、ハクノか。よかったー」

 

イリヤの肩越しにルビーと美遊さんが持っていたステッキがいるのが見える。ああ、なるほど、事情を知らない人から見たらこの歳にもなって学校に魔法少女のおもちゃを持ってくる子に見えるよね。

 

『初めまして。私はサファイア。弟がお世話になってます』

「あ、初めまして。岸波白野です。弟…?」

『エメラルドのことですよー。私が長女、サファイアちゃんが次女、そしてエメラルドが長男にして末っ子なんです!』

「へぇー………って!ラルドって男の子だったの!?」

『あくまで便宜上です。私たちに性別なんて関係ありませんから。エメラルドは姉さんが弟がいいーってごねた結果です」

 

あんたが元凶か。

 

『まあ、僕のベースは姉さんたちだから女性寄りなんだけどね』

「いや、女の子ベースの男の子って」

 

いいんだろうか。

 

『もはや慣れだよ』

 

いいんだ。

 

「で、イリヤたちは何をしていたの?」

「あーその…」

『私の自己紹介と、黒化英霊の使用する宝具について説明していました』

『そういえば白野さんは宝具について知っているようでしたけど、エメラルドにでも聞いたんですか?』

「うん。昨日の実践前に練習していた時にちょっとね」

 

どうやらルビーたちはラルドが説明したと思っているらしい。

そっちの方が都合がいいし、凛姉たちにもそう説明しよう。…ごまかせるといいなあ。

 

『その時は戦闘前の説明をさぼったことを追及してはぐらかそう』

「そうね。…って心を読むんじゃない」

「?どうしたの?」

「なんでもないわ、こっちの話」

 

 

「サファイア。あまり外に出ないで」

 

とそこで美遊さんが声をかけてくる。その向こうから様子を見る美々たち。

あー、これはなんか言われたな。

 

『申し訳ありませんマスター。イリヤ様にご挨拶をと思いまして』

「誰かに見られたら面倒。学校ではカバンの中にいて」

「あ…あの…」

「美遊さん。話をするなら放課後でいい?学校にいる間はお互い厳しいと思うし。特に転校初日なんて…」

「…それでいい」

「あ…」

 

イリヤに口を挟まれる前に要点だけを伝えると美遊さんはそのまま立ち去って行った。

 

「なんか…声かけづらい雰囲気?」

「まあどうせ放課後に聞きたいことは聞けるでしょ。で、そこのあなたたちは何しているの?」

「やー美遊ちゃんにフラれちゃって…」

「観察よ観察!いろいろ質問してもきょとんとしてるし、なんか急に立ち上がったと思ったら

 

”少しうるさいわね”

 

だよ!?」

「うわあ」

「ああいうクールキャラは今までいなかったからな!くうう!手合わせしてみたいぜ!」

「何考えてんだ嶽間沢流最弱」

「とりあえず美人さんだよなー」

「あれが噂のツンデレなのか!?フラグ探して落とそうぜ!」

「いや、すでに白野とイリヤがフラグを入手していると見た」

「え…女の子同士で…」

「三角関係ってやつか!」

「イリヤちゃんと白野ちゃんと美遊ちゃんで………」

 

 

ダメよ美々、そこから先は地獄よ。

 

 

 

 

 

その日の授業はすごかった。

 

算数ではなんかうん、学力はすごいらしい。タイガーいわく中学範囲の数学らしいけど…小5…。

図工では全然意味が分からないけどなんかピカソみたい。タイガーが泣いてた。美術力もすごい。

家庭科に至ってはすごく料理がうまかった。遂にタイガーが吠えた。

 

 

「あ、でも麻婆豆腐は白野ちゃんの方が上ね。まともに作ってくれた場合だけど」

「せんせー、辛くない麻婆はマーボーじゃありません」

「白野ちゃん基準で考えないで!あなたのはまともに作ればおいしいんだから!」

 

 

心外な。

泰山の麻婆豆腐に比べたらまだまだ修行不足だ。

 

 

 

 

そして体育。

短距離走ということでイリヤの気合が半端ない。大方、完璧超人美遊さんに負けてられるかってとこかな?

でもまあ、私も気合が入っている。

麻婆以外にも見せ場がないと。

 

 

 

 

 

「ろ…6秒9!?」

「すっげー!」

「白野とイリヤが負けた!?」

「無敵キャラだ—————ッ!」

 

 

 

 

 

————負けました。

…く、悔しくなんかないんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは何者なの?」

 

さて放課後です。単刀直入に来られました。

 

「何者って…ハクノも私もステッキに巻き込まれてカード回収をすることになった普通の人だよね?」

 

イリヤナイス。

 

「なら昨日の対処の速さは?」

「事前にラルドに宝具とかは聞いていたからね。けがしたくなかったし慎重になっていた結果かな」

 

苦しいけど今はこれで誤魔化すしかない。さすがにばれるわけにはいかないし、早すぎる。

 

「…そう。そういうことにしておくわ。それじゃああなたたちはどうして戦うの?」

 

…なるほど。

この質問をしたかったんだ。この子も巻き込まれた子だと思っていたけど、そうじゃないのかな?

 

そんなことを考えてる間にイリヤが思っていることを話していたみたい。

 

「————から、このカード回収ゲームも楽しんじゃおうかなーって…

「もういいよ」

……え?」

 

「その程度?そんな理由で戦うの?遊び半分の気持ちで英霊を打倒できるとでも?」

 

言葉に詰まるイリヤ。そりゃそうだ。命がけという実感もなく巻き込まれたイリヤは本当にアニメの世界に紛れ込んだかのように思っていたんだろう。そんなイリヤが戦いに対する心構えなんてできているとは思わない。

 

「あなたは戦わなくていい。カード回収は全部私が終わらせる。せめて私の邪魔だけはしないで」

 

そのまま歩いていく美遊さん。って、ちょっと言い過ぎだ。誰も彼もが立派な心構えなんて持っていないんだから。

 

…私、戦う理由どころか昨日の弁明も満足に出来てないじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

朝、正門をくぐった瞬間に言いようのない違和感にとらわれる。

自分でもよろけなかったのが不思議なくらいだ。

 

「おはよう衛宮。…?どうかしたのか?」

「…あ、ああ。おはよう一成。なんでもない。ちょっと立ちくらみしただけだ」

「ならいいが。体調管理くらいしっかりこなせ」

「返す言葉もないな」

 

授業に身は全然入らなかった。

あの感覚。不快感は段違いだけど、前世での(アーチャーの)経験したライダーの結界宝具の中に立ち入ったときみたいだ。

つまり、学校に結界が張られているかもしれないということで…いや、あの感じはむしろ無意識のうちにずれていたものが元に戻った(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)というべきか。

 

「———みや。おい衛宮!」

「っ!うわあ!ってなんだ慎二か」

「なんだってなんだ。人が話しかけているんだから反応しろよ」

「あー悪い。考え事してた」

「はあ?僕の話以上に大事なことってあるの?まあいいや、叔父さんがもうすぐ仕事から帰ってくるんだ。それで悪いんだけど———」

「ああ、屋敷の掃除か。広いもんな慎二の家」

「あーいや、今回は違う。桜のやつが衛宮先輩に迷惑なんてかけられませんーって張り切っていたから。じゃなくて!その、桜が掃除するから…」

「???どうしたんだ?はっきり言わないとわかんないぞ?」

「—————ッッッ!だから!僕の部屋まで掃除されるんだ!桜に!」

 

ああなるほど。

 

「ベッドの下と箪笥の一番下と机の二重底の本か」

「みなまで言うなッ!ってなんでばれてる!?」

 

そりゃあ桜に相談されたし。

 

「と、とりあえず!預かっといてくれ衛宮!今度何かおごるから!」

「いいよ別に。俺と慎二の仲だろ?」

 

とりあえず、セラやイリヤにばれると殺されるからなんとかしないと。

 

 

 

 

 

 

放課後、少し学校をまわってみる。違和感はなく、むしろ正常なくらいだ。

やっぱり、昨日までは俺も気づかないくらい少しずつ地脈がズレていたってことか。そしてそれが元に戻った、と。

 

そこまで考えて、ふと昨日の深夜に学校に向かっているときに会った白野を思い出す。

…まさか、な。

 

きっと考えすぎだろう。

でも、今日の巡回は教会の方に行ってみよう。確かあそこにも地脈が流れていたはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

…気まずい。

時刻は夜の9時。夕食を食べていると凛姉がやってきた。

でも、家に上がろうとしないから仕方なく近所の公園にやってきた。

 

「—————これでよし、と。待たせたわね白野。防音と人払いの結界を張ったから、何を話してくれても大丈夫よ。さて、単刀直入に聞くわ。白野、あんた魔術関係者なの?」

 

やっぱりそう来たか。

 

「英霊とその切り札である宝具についての知識。戦闘時における円滑な思考回路。なにより、状況の理解が早すぎる。普通魔術師なんて信じないわよ?」

「イリヤは?」

「あの子は別。思考そのものが幼いし、今回のことをゲームとしてとらえている節があるわ。白野は小さい頃から見ていたけど、魔術関係者には見えないわ。…あの教会で仕込んでたのかもしれないけど」

 

後半は声が小さすぎて聞こえなかったが、凛姉はまだ私を信じてくれているのはわかった。

信じてくれた上で、どういうことか聞いているんだろう。

 

「…宝具、と英霊についてラルドに聞いたよ。さすがに戦う前に準備はしたかったし。それ以外は…そのこと以外は今は言えない。ごめん。いくら凛姉でも…」

 

嬉しかった。

元々ラルドに聞いた、で貫ける相手じゃないのだ。そんな凛姉が信用してくれている。

 

つらかった。

そんな凛姉に言えないことが。裏切っているような気がした。

でも、話せない。並行世界から来たなんて、凛姉はバラさないだろう。だけど、どこから話が漏れるかわからないのだ。こんな実例(並行世界への干渉)を体現している私なんて、魔術関係者からしたら垂涎モノの実験材料だ。

 

 

 

 

 

「…………はぁ。わかったわよ」

 

 

数分か、数十分か。もしかしたら数秒だったのかもしれない。

時間の概念がわからないほど重い沈黙を破ったのは凛姉だった。

 

「そんな顔で謝ってこられちゃ、こっちが悪者みたいじゃない」

「え———————」

「ひっどい顔よ?悔しさと申し訳なさがにじみ出てるし、涙でぐっちょぐちょ。せっかくの美人が台無しだわ」

 

顔に手を当てる。知らぬ間に涙も出ていた。

 

「ルヴィアには私から説得しておく。任務を言ってきた上司にも白野たち3人のことは報告しない。だから今まで通りなさい?あんたは私の妹分なんだから、優雅に魅せないとね」

 

「凛、ねえ…」

 

「代わりに!いつか絶対白野の隠していること、教えなさいよ!でないとあんたのこと守れないじゃない」

 

 

ああ、そうだ。

これが、遠坂凛なんだ。

気高く、優雅。

 

私は一生この姉に敵わないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙ぐむ白野を見て思う。

ああ、ほんとに私は甘い。

 

初めて会ったのは7年ほど前か。10年前にお父様が亡くなって、桜がいなくなった真実を知って、綺礼が後見人になった。それでも教会にはあんまり寄りたくなかったから極力実家で魔導の研鑽を積んでいると、教会で子供を引き取ったって聞いた。それがあの子だった。

 

あんな神父に任せておけないって幼いながらも面倒を見てあげたっけ。まるで桜にできなかったことをするみたいに。

 

魔術師としては心の贅肉だ。

 

こんな感情必要ない。

でも、捨てるわけにはいかない。

白野も妹だ。しかも、ぎくしゃくしていた桜との仲も取り持ってくれたんだ。

 

そんな妹を、姉が信じなくてどうする。

 

 

 

きっちりはっきりさせるってルヴィアに言ったのになあ。

 

 

それでも。

せめて、この子が話してくれるその日までは。魔術師遠坂凛ではなく、岸波白野の姉の遠坂凛でいよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、日付が変わる。

 

「よし。そろったわね!」

 

凛姉はあの後ルヴィアさんを説得しに行ったらしい。不承不承納得してくれたそうだ。

 

橋のふもとに全員揃う。

けど…イリヤと美遊さんはなんか、空気が重い。学校帰りにあったことだけじゃなくて、そのあとにも何かあったのかな?

 

「油断しないようにね、二人とも。敵はもちろんだけど、ルヴィアたちがどさくさ紛れて何してくるかわからないわ」

『お二人の仲の悪さに巻き込まないでほしいものですねー』

 

「速攻ですわ。開始とともに距離を詰め一撃で仕留めなさい」

「はい」

「あと可能ならどさくさ紛れて遠坂凛も葬ってあげなさい」

「……それはちょっと」

『殺人の指示はご遠慮ください』

 

「すうー、はあー。よし!」

『いける?はくのん?』

「ばっちり。油断しないで行くよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくわよ。3…2…1…」

 

 

 

 

『限定次元反射炉形成!』

 

 

 

 

 

ステッキたちの声が重なる。

 

 

 

 

 

『境界回廊一部反転!』

 

 

 

 

魔法陣が私たちの足元に広がる。

 

 

 

 

接界(ジャンプ)!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、2戦目の開幕だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今更ながら、原作の桜と今作の白野って立場被るなあと。
凛の妹だし、士郎に料理教えてもらっているし。
…やばい、桜に殺される未来が。回避せねば。

そう言えば、EXTRAのシナリオ集発売ですね。ゲーム未プレイでしたので予約しに走ってきました。



誤字脱字ありましたらご指摘お願いします。

読み直したら飛ばしまくってるなぁ…加筆するかも

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