Re:胡蝶の夢   作:zEm

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匿名にしてます
しばらくしたら戻すつもりです。追記 戻しました
あと怪異系じゃなくてすこし別のやつも入れようかと思います。
長い間放っておいてすんません。
これからは他の小説と同時進行で行きます。


8 いそっぷ夢物語 前編

はあぁ…疲れた…。

夢を見ていたらいつの間にか目的地に着いて…。

え!?あれ!?夢!?あれ、現実じゃなかったの!?あの…きさらぎ駅。

俺は電車から降りて、すこし遠くに行った。

 

「おい!クロ!どういうことだこれは!」

「フヒヒ、サーセン。すこし嘘ついちった。」

「いや嘘って…。」

 

取りあえず、目的地の場所に行こう。まずそれが先だ。

 

「目的地に行くんだね。場所は我羅夢(がらむ)図書館?中二感溢れた名前だね。」

「うっさい、結構怪異系の情報そろってんだ、あの図書館。」

「何処情報?」

「ネット。」

「パソコン?」

「そうだ。」

 

…それにしても、遠い。

駅から降りて、無駄に細長い土地の田舎を地面をじりじりと照り付けるこの真夏の間歩き続ける…。これ以上の苦行があってたまるものか。

 

「クロさんよー…。お前は暑くないのか?」

「体がないから太陽熱を受ける表面積が少なくて、滅茶苦茶涼しいよ?」

「うっわ、いつも寒そうだな。」

「いやちゃんと体温は君みたいに体のある人間と同じくらいの温度でキープしてあるから。」

「あっそう。じゃあ普通か…。」

 

このように、クロと話しても全然つく気配が無い。

暑さで汗が滝みたいに流れ、如何せん喉が渇いてきた頃合い。

どこかに水を飲む場所はないのかと、辺りを見渡すが、何処にも全然、民家すらも見えない。見えるのは地平線まで続く田んぼだらけだ。

ここで眠くなって来たら、最悪―――…

 

 

グラッ

 

 

「ここで来るのかーい…眠気…空気読め…KY…バタッ。」

「あれ?眠ったの?おいおい、ここで?熱射病で死ぬよ?」

 

クロは俺の見ている夢の中に入り込んだ。

 

 

…えーと、ここはどこだ?

なにやら不思議な空間が目の前に広がっている。

 

目の前に看板があり、不思議と思い読んでみると、『いそっぷ村へようこそ』と書かれていた。かなり汚い字だ。

 

「へー、いそっぷ村ってどこだろう?」

「分かんねえな…。この夢の中での世界じゃないか?」

 

かなり不思議な響きだ。

イソップというものは、ウサギとカメなど動物を題材にした物語で今例に挙げたのが一番有名であるが、他にもいろいろある。アリとキリギリス、キツネとツルなど。

とはいえ、俺が知っているのはそれだけだ。

それで"いそっぷ村"というものは…なんなんだろうか?

 

そう思いながら俺が頭を抱えていると、急に目の前に草原が広がった。

同時に草木のいい匂い、心地よいそよ風が感じられる。

完全に、ここは草原の様だ。

 

「君が寝てる場所が紫外線や太陽光がバンバンあたる日向だけどね。」

「マジで!?早く目を覚まさせないといけないようだな…。」

 

俺の体がお粗末になってしまいそうだな。

例により頬をつねっても目が覚めないので、辺りを探索することにした。

俺は遠い所に看板があるのを見つけた。

 

「おいクロ、あそこになんかあるぞ。」

「ねえモノ、あっちに看板があるよ。」

 

クロも同じものを見つけたようだ。

俺はクロの方へ行き、看板に書いてある文字を確認した。

 

 

 

 

 

オオカミがきた

 

 

 

 

「オオカミがきた?なんだこりゃ。」

「オオカミねぇ…あたり見渡してもいないよ?」

 

何だろうかと思いながら、辺りを見回しても、そこには誰もいなかった。

 

 

―――俺は気がついたら、集落の中に居た。

何故か、集落の中に居た。

他にも人がいるが、皆俺を不思議そうな目で見ない、軽蔑する目で見ない。

中には「やあ」など「こんにちは」など俺は知ったような感じであいさつをする奴もいた。

…そういえば、クロが居ない。

アイツはどこへ行ったのだろうか。俺とは別の場所にいるのだろうか。まあ、今では何もわからない。とりあえず、何をすればいいのか…。

 

「ん?お前、村の見回りをする時間だろ?こんなところで何、油売っているんだ?」

「村の見回り…はい、そうでした。今すぐしてきます。」

 

俺は村の敷地外へと向かった。

村の見回り、それがいま俺のするべきことだろう。

 

俺は村の見回りをいつもされる青年みたいな役割で、その記憶もなぜか頭の中に刻まれている。かといって、それ以外の記憶が消え失せている訳ではない。

 

結局、なにも異常がなかった。

見回りをして数十分、いつまで続くのだろうか…。

そうだ。俺は少し村の人にいたずらをしてみよう。あまりに暇だからすこし時間でも潰そう。

俺は息を吸って、村の方に向かって叫んだ。

 

「オオカミが出たぞー!」

 

声を聞いて心配した村の人たちが誰もいないことを確認すると、これは訓練なのだと思い直ぐにその場を立ち去った。

村長も来て、もうすぐ終わるし、誰もいないので見回りはしなくてよし、という事になった。まあラッキーだな。

 

 

―――気がついたら、次の日になっていた。

いつの間にか、だ。寝ていないが、体力は寝た時のように全快している。

 

「今日も見回り頼むぞー。あの訓練も頼むな。お前使えるからな。」

「おk。」

 

俺はいつも話しかけてくる人に向かって親指を立てて敷地外へと向かった。

 

そして、また暇になると「オオカミが出たぞー!」と行って、訓練の名を借りた暇つぶしをしている。

そしてまた村長がもういいぞと言いながら見回りを止めさせてくれるわ村の人の訓練になるわ一石二鳥だ。というかなんなんだよこの世界…。この世界を楽しんでるけどずっと出られなかったらどうしようか。

 

そしてまた寝る間もなく次の日に切り替わり、そして数日――。

 

 

ついに、危機が襲ってきた。

 

 

本当にオオカミが来たのだ。

 

 

俺しか見回りがいないため、いつもの様に「オオカミが出たぞー!」なんていっても「もう訓練は懲り懲りだ。」などと言われ来たりはしないだろう。今までの暇つぶしがあだとなった。

どうしようか…。だっしょいだっしょいだっしょい。

 

「そうだ!」

 

よし、いま適当に思いついたんだがこれで行けるはずだ。

 

「おーいみんなー!俺を助けなくていいぞー!なぜなら俺は今全裸の女の大群に追われているからだー!俺は別に危険じゃないから助けなくていいぞー!」

 

そう叫んだ直後、声を聞いた男性全員が一斉に駆けつけ、その男性らを心配して女性全員が来た。結局、村人全員がやってきた。

それに圧倒されたオオカミは、何処かに逃げてしまった。

 

 

 

 

―――また、あの草原、か。

 

「…ん?あれ!?モノ!」

「あ、クロ。俺村に居た。」

「あ、え、はい?村?君どこかにいつの間にか居なくなってたけど。」

「ああ、じゃあ俺どっかに瞬間移動でもしたんじゃねぇか?」

「まあ、そうかもね。」

 

看板にはオオカミが出たという文字の上に赤い筆で思い切り書いたような×マークがついている。クリアしたという目印?みたいな?ものだろうか?

 

それがクリアしたという目印などというものなら、他の看板に書いてあることも全部クリアすれば出られるはずだ。それには推測だが、イソップ物語などに出てくるものの通りにまずは従い、そして危機が襲ってきたときに何かする…。非常に面倒臭いものだが…それで夢が覚めるものなら、やるしかないだろう。

俺とクロは次の看板の文字を読んだ。そこには、「北風と太陽」と書かれていた。

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