超次元ゲイムネプテューヌ 〜血まみれのヒーロー〜   作:ひきがねコート

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初投稿になります。
至らぬ部分もあると思いますが、笑って許して頂ければと思っております。

お楽しみください。



セグメント1 出会い

「……えーっと」

 

一瞬のブランクの後、少女が困ったように呟く。

 

「……そ、そろそろ退いてくれる?」

「……出来たら、とっくにそうしてる」

 

少女の言葉に目の前の男は静かにそう返した。

幹を切断された何本もの木が折り重なる森に少女の「えー?」という更なる困惑の声が木霊する。

 

「はぁ……どうしてこうなった……」

 

名前も知らない男に押し倒されながら、ネプテューヌは諦めたようにため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は暫し遡り、正午過ぎのプラネタワー。

 

「皆さん、本日はお忙しい中ここまで脚を運んでくださったこと、ありがたく思います」

 

会議室の中央に浮かんだイストワールが頭を下げながらそう挨拶する。

 

「そういうのはいらないわ。今は一刻も早く対策が必要よ」

「そうね。このまま放っておいたら被害が広がるばかりよ。こっちでさえまだ何人やられたかわからないのに」

 

それをブラン一蹴し、ノワールもそれに続いた。

状況がそれだけ緊迫しているという事だろう。

 

「では、お互いの把握漏れ防止も兼ねて、件の敵の情報を整理しましょうか」

 

ベールの言葉にその場にいるベールを除いた4人が頷いた。

それを確認したベールが口を開く。

 

「今回現れた新種のモンスター。メモリイーターはラステイション近郊で見回りに出ていた衛兵が発見したのが初めての遭遇でしたわね」

「ええ。とはいっても、もうそれも確認する術がないけど」

「襲った者の記憶を奪う……それがそのモンスターの最大の特徴ね」

 

突如出現したメモリイーターと呼ばれるモンスターは、何の前触れも無く市街地などに現れ、建物を損壊させつつ進行。

その道中、気まぐれに人間を襲って記憶を奪い、また霧のように消えるという摩訶不思議なモンスターだ。

 

「そんなことより!わたしはあれをどうやれば倒せるのかが知りたいよー!」

 

痺れを切らしたようにネプテューヌが叫ぶ。

それも無理はない。

メモリイーターの特徴は記憶を奪うことだけではない。

端的に言えば、メモリイーターは不死身なのだ。

どれだけダメージを与えようと、行動不能になるのみでしばらくすると再生してしまう。

そして今、メモリイーターはラステイションからプラネテューヌへと渡り、そこを活動の拠点としている。

ネプテューヌ自身は何度もメモリイーターと交戦したが、どれだけダメージを与えても再生する敵に討伐の方法を見出せず、現状敵を森や洞窟内に誘導し、都市から引き離すのが精一杯なのだ。

 

「わたし達4人の最大火力をぶつけても倒せないなんて、流石のわたしも肝が冷えたわ」

「一人でも行動不能までは追い込めるのですが……何か手順のようなものがあるのでしょうか?」

「今でこそ一体しか現れていないけど、これが繁殖して大量発生したら……」

「あーもー!暗い話なしなーし!わたし達が諦めムードでどうすんのさ!」

 

ネガティヴな方向に気分を引き摺られていく一同をネプテューヌが喝を入れる。

そのおかげで何とかもう一度前を向くことが出来たが、状況が後ろ向きなのは変わらない。

 

「そういえばブランさん。奪われた記憶はしばらくすれば戻ってくると聞いたのですが……」

「ええ。本当よ」

 

イストワールに対してブランが強く頷く。

実はメモリイーターが現れたのは今回が初めてではない。

ルウィーとリーンボックスにも現れた可能性が高いのだ。

というのも、ルウィーとリーンボックスに現れた際は姿を確認出来ず、一定の時期に多数の国民がほぼ同時に記憶喪失に陥ったということを言伝で聞いたのみ。

しかしそれも、一定の期間で同時に回復したそうなのだ。

記憶喪失に陥った国民は口を揃えてモンスターに襲われたという事から、犯人は今回現れたメモリイーターに間違いない。

 

「うちの国民は一週間で自然治癒したわ」

「わたくしの国は約二週間ほど……」

「ノワールんとこは?」

「……もう20日。まだ治ったっていう報告は来てないわね……」

「かなりばらつきが大きいですね……」

「もしや、魔法に対する適正で治癒に差があるのでは……?」

「なるほど、それなら……」

 

直後、会議室をけたたましい警報音が包む。

ネプテューヌとイストワールにとっては現状一番聞きたくない音だ。

 

「ぬわー!なんでこんな時に限ってくるのさー!」

「……場所か特定しました!ネプテューヌさん、東区の住宅街です!」

「オッケー!超特急で向かうよ!」

 

窓を開け放ち、プラネタワーの32階にある会議室から空へと躊躇なく身を投げ出す。

 

「誰も見てないだろうけど……刮目せよ!」

 

重力に引かれ、頭から落下しながらもネプテューヌは広げた掌に電源マークを模したクリスタルを出現させた。

それを掴み、自分の胸へと押し込む。

その瞬間、ネプテューヌの体が光を放ち、その姿を一変させた。

ショートヘアだった髪は長く伸び、未発達な体は大人の女性のそれへと変貌する。

これがネプテューヌの真の姿。

女神パープルハートの姿だ。

 

「ふっ……」

 

全身にプロセッサユニットを展開し、落下の勢いを逸らすように首を持ち上げて目的地へと全速力で向かう。

ものの数十秒で東区へと到着。

 

「っ……遅かった……!」

 

しかし、ネプテューヌの目前には既に倒壊した幾つもの建物と、倒れ伏した国民の姿があった。

その中心。

雪だるまを上下逆さまにしたようなアンバランスな太い胴体に巨大な杭のような脚部。

人間で言う頭部にあたる部分は無く、両腕には巨大な回転ノコギリが存在している。

飽きるほど見た、メモリイーターの姿だ。

それが目の前の逃げ遅れた国民から禍々しい何かを吸い取っていく。

それが終わると同時に吸われていた国民はその場に崩れ落ち、倒れ伏す者たちの仲間となった。

 

「はぁぁああ!」

 

速度を落とさないまま、ネプテューヌは手元に召喚した大太刀でメモリイーターに斬撃を加える。

大きな断裂線が刻まれるものの、メモリイーターはそれに痛がる素振りを見せない。

恐らく効いていないのだろう。

 

「来なさい!わたしが相手してあげるわ!」

 

そう言ってネプテューヌはメモリイーターに背を向けて近くの森へと飛ぶ。

メモリイーターも腕のノコギリをギャリギャリと回し、決して速くない脚でネプテューヌを追いかけ始めた。

 

「そうよ……そのままこっちに来なさい……」

 

ネプテューヌはメモリイーターを詰めさせず引き離さずの速度で誘導を続ける。

東区はバーチャフォレストが近い事もあり、誘導の完了にそれほど時間はかからなかった。

頃合いを見て一度引き離し、振り返りながら剣を構える。

それを見たメモリイーターもそこで脚を止める。

 

「待たせたわね。ここなら気兼ね無く戦えるわ」

 

その言葉を理解したか否かはわからないが、ネプテューヌがそう言うとメモリイーターはネプテューヌに真っ直ぐに突っ込んで来た。

振り上げた回転ノコギリの刃が迫る。

 

「遅い」

 

しかしその動きは女神にとって鈍重であり、単調だった。

ネプテューヌは唸りを上げる刃に自らの刀を添えさせ、攻撃の軌道を逸らす。

そのままメモリイーターの背後に回り、無防備な背中に斬撃を加えた。

メモリイーターの振り返り様の一撃は斜め後ろへ飛んで回避。

 

「32式エクスブレイド!」

 

対空しつつ掌の上にシェアエナジーを剣状に凝縮させ、メモリイーターへ投げつける。

青紫の光を放つ剣はメモリイーターの胴体に突き刺さり、破裂と同時に圧縮されたシェアが奔流となって更なるダメージを与えた。

 

「一気に決める!」

 

一度着地し、強く大地を蹴る。

ダメージでよろめくメモリイーターの懐へ地面を滑るように飛び込んだ。

防御か反撃か、メモリイーターの腕が持ち上がる。

 

「はっ!」

 

ネプテューヌはその腕に慣性と遠心力を乗せた刃を叩きつけ、真っ向から弾き飛ばした。

 

「はあぁぁああ!」

 

返しの刃。

そこから更に2撃3撃と加え、メモリイーターの体に斬線を刻んでいく。

剣を手元で回し、地面ごと抉るような切り上げ。

そのまま反転しつつ踵で蹴り上げる。

巨体が宙に浮き上がった。

背を向けたまま、ネプテューヌも飛び上がる。

 

「クロス……コンビネーション!」

 

体を捻りながら放ったトドメの一撃がメモリイーターを捉え、衝撃のままメモリイーターは地面にクレーターを作った。

 

「ふぅ……行動不能にするだけならどうとでもなるのだけど……」

 

火花を散らし、その場に動かなくなったメモリイーターを見下ろしながらゆっくりと着地。

従来のモンスターなら既に消滅している筈のダメージだが、やはりというべきかメモリイーターは傷を修復しながら立ち上がろうとしている。

 

「戻って作戦会議の続きね。ノワールじゃないけど、こんなのが複数体出てくるなんて考えたくもないわ」

 

静かな森の中、ネプテューヌは一人そう呟きプラネテューヌに戻ろうと踵を返した。

直後、猛烈な殺気がネプテューヌを襲う。

 

「な……!?」

 

反射的に振り返り、剣を構え直した。

眼前には、ゆっくりとだがもう一度立ち上がろうとするメモリイーターの姿。

 

「再生がいつもより早い……!?」

 

ネプテューヌの困惑にメモリイーターは答えない。

怒り心頭といった様子で腕のノコギリを高速で回転させるのみだ。

 

「あんまり余力はないけど……このままじゃ流石に戻れないわね……!」

 

と、ネプテューヌが戦う覚悟を決めた時だった。

突如メモリイーターが奇妙な動きを見せる。

腰を深く落とし、両腕を水平に広げた構え。

これまでの戦いで一度も見せた事のない動きだ。

不審な動きだが、明らかにメモリイーターのリーチではネプテューヌまで攻撃は届かない。

そう考えていたネプテューヌはメモリイーターの次のアクションに度肝をぬかれた。

 

メモリイーターの腕が交差する様に閉じる。

その瞬間、回転ノコギリが射出され唸りを上げながら迫って来た。

 

「っ!?」

 

一瞬の迷いの後、ネプテューヌはその場にしゃがみ込む。

放たれた刃は寸前のところでネプテューヌの頭上を通り過ぎ、前髪の先とおさげとなっている後ろ髪を寸断するのみに終わった。

自分の頭と胴がしっかりと首で繋がっている事に安堵するが、ネプテューヌの選択は失敗している。

ノコギリを失いながらも、メモリイーターがその巨体でこちらに突進してきていたのだ。

しゃがんだ体勢のネプテューヌに回避は不可能。

 

「しまっ……!?」

 

ノコギリが外れたままの腕がネプテューヌの胴を捉え、後方に吹き飛ばされる。

そのまま背後の木に背中を強く打ち付け、その衝撃で変身が解除されてしまった。

 

「いっ……た……」

 

痛みで霞む目を無理やり開けば、目の前にはブーメランのように帰ってきたノコギリを再び腕に装着し、ゆっくりとこちらに迫ってくるメモリイーターの姿。

 

「あ、はは……これは……不味いかも……」

 

メモリイーターはそれ以上武器を構えることはせず、ネプテューヌが抵抗をしなくなったのを見計らってその体をずいと近付けてきた。

どうやら記憶を奪うつもりらしい。

しかし、抵抗をしなければこれ以上のダメージを負う事もないのも事実である。

 

「あぁ……また忘れちゃうのか……やだなぁ……」

 

記憶喪失の経験があるネプテューヌは、他の人たちよりそれに対する恐怖は少ないものの、積み上げたものをゼロにされるのは些か残念だった。

諦めたように目を閉じる。

 

 

 

 

 

轟音が鳴った。

 

「ねぷ!?なになに!?」

 

せっかくだから潔く負けようと思っていただけに、目の前のメモリイーターが真横に吹き飛んでいくのは驚いた。

そこにボロ布を被った一人の男が降り立つ。

どうやらメモリイーターを吹き飛ばしたのはこの男らしい。

 

「……えっと、お兄さん誰?」

「下がっていろ」

 

男は短くそう言い、メモリイーターを睨み付ける。

吹き飛ばされたメモリイーターは男を見るや否や威嚇するように回転ノコギリを擦り合わせて火花を散らせた。

 

「この世界の人々から奪ったもの、返して貰う」

 

そう言って男は左手に赤黒い本を出現させ、足元に魔法陣を展開する。

 

「グリモワール=ブラッド、リードアップ!」

 

男がそう言うと同時に独りでに本が開き、そこから溢れ出した黒いオーラが男の全身を飲み込んだ。

 

「どういう……ことだ……!?」

 

戦慄するネプテューヌを尻目に、男を飲み込んだオーラが蠢くように形を変え、鋭角的な鎧へと変化した。

 

「変身した!?」

「この血にかけて、討ち滅ぼす!」

 

鎧を纏った男が高らかにそう宣言すると同時に腰にぶら下がった先ほどの赤黒い本から一枚のカードが隙間からせり出してくる。

それを引き抜き、掌の上に。

 

「セグメント=サイズ!」

 

カードを握り潰すと同時に握りしめた指の間から鮮血が迸る。

吹き出した赤は地に落ちることなく粘土のように形を変え、やがて一本の大鎌へと変化した。

それを目の前のメモリイーターに構える。

 

「はぁ!」

 

地を蹴り、メモリイーターに肉薄。

振り下ろされる左のノコギリを紙一重で回避し、大鎌での一撃を加える。

続いて右。

 

「俺には……」

 

唸りを上げるノコギリを恐れることもなく鎌の柄で受け止め、男自身はメモリイーターの腕を潜る。

真正面から受け止めていたノコギリは男が鎌の柄を水平にした事によって柄をスライドしていく。

その先には、鎌の刃。

 

「効かん!」

 

男が鎌を僅かに振る。

その小さな動きだけで、メモリイーターのノコギリが真っ二つに切断された。

 

「ふん!」

 

回し蹴りでメモリイーターを吹き飛ばす。

そして本からせり出してきた新しいカードを引き抜き、それを握り潰した。

 

「セグメントコンボ=エクステンドサイズ」

 

その言葉と共鳴するように、男の鎌が、醜く、残酷に、肥大化していく。

メモリイーターが起き上がり、残った片腕のノコギリを男へ射出するが、もう遅い。

 

「終わりだ……!」

 

居合のような構えから、巨鎌を振り抜く。

その一閃が、男の視界にあるもの全てを切り裂いた。

両断され勢いを失ったノコギリが、男の脇をすり抜けていく。

目の前には、上半身を失い、ゆっくりとその場に崩れ落ちるメモリイーターの姿があった。

 

「た、倒しちゃった……」

 

ネプテューヌが呟く。

しかし、メモリイーターは消えない。

それどころか、あのダメージでさえ回復しようとしていた。

 

「…………」

 

男は無言で鎌を消滅させ、左腕をメモリイーターに向ける。

するとメモリイーターから禍々しいオーラを放つ球体が飛び出し、人魂のようにふよふよと男の前に導かれた。

男はその球体の下に例の本を開けて添える。

 

「主を失いし迷える記憶よ。還るがいい」

 

本を閉じる。

一瞬の抵抗の後、本はパタリと閉じられ、隙間から溢れたオーラのみが空へと消えた。

それに連動して、メモリイーターも光に包まれて消滅。

この場に居るのは男とネプテューヌだけとなった。

 

「…………」

 

男が鎧を解除。

それと同時に回復したネプテューヌが男に駆け寄った。

 

「ねぇ、君!今のあいつどうやって倒したの?良ければわたしに教えてくれない?また出てきたら困るしさー。あ、自己紹介がまだだったね。わたし、ネプテューヌ!プラネテューヌの女神なん……だ……?」

「…………」

「え、え、ちょっ!?」

 

視線のはっきりしない男に疑問符を浮かべていると、男がふらりとよろめき、ネプテューヌに倒れ掛かってくる。

突然の事に、支える間もなく押し倒された。

 

「ちょっとー!いくらわたしが可愛いからっていきなり襲いかかるのは無しだよー!これR指定は18じゃなくて15なんだからー!」

「ひん……うご……」

「え?何?」

「貧血で……体が動かない……」

「…………はいぃぃぃ?」

 

それが、後にロッソと名乗る男とネプテューヌの出会いだった。

 




第1話はこんな感じです。

チートの匂いがするかもしれませんが、多分気のせいです。
制限はいっぱいあります。
後、ヒロインとかカップリングとかは一切考えておりません。

では、お疲れ様でした。
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