流されし阿呆共の日記帳   作:strayer

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15:30,おやつが欲しくなる時間帯。そして食料調達。その1

「何かしらの甘いものが食べたい、椰子の実以外の甘いものが食べたい。具体的に言うのならば砂糖を使用したものが食べたい。」

 

倒れた真面目の看病を一通り終えたところで、私はふと思った。

 

「でだ、何かしらの甘味を今から探そうと思う。」

「カナ・・・ついに気が触れたか?」

 

料亭のせがれはどうやら真面目に私を心配しているようだ。阿呆の分際で生意気な。そもそも気が触れているのはお前のほうだろう。星屑にしてくれようか。

 

「そもそも昼過ぎから探検は悪手だろ。いくら島だからとは言えども。小さいとも限らんし。」

「一体全体何が言いたいんだ、はっきりしろ」

「夜の探検はさすがのカナも危ないと思う」

「理由は?」

「視界が利かない」

「夜でも私の目なら300m先ぐらいまでなら見えるから問題ない。」

 

料亭のせがれは呆気に取られた顔をして、こっちを見てくる。呆気に取られなくてもすでに十分アホ面だから呆気に取られる必要は無いのだが。

 

「ああ・・・うん、でも駄目だ。許可できない。」

 

もう殺そう。何故こいつが私に命令しているのか分からない。おまけになぜ探検に言ってはいけないのかの理由が不明瞭すぎる。

 

「なんかむかつくから処刑。」

「そのりくつはおかしい」

 

理屈がおかしいのは貴様のほうだと思う。

 

「何で夜目が利くのに行ってはいけないのか理由も無いのにとめるなまじで携帯食料に加工するぞ。」

 

ここまで言うとさすがに嘘をつけないらしく、料亭のせがれは素直に

 

「拠点防衛力的問題」

 

と、非常に簡潔に答えてくれた。

 

「行ってくる。」

 

別に、私にはコレといって関係の無いことだ。

 

「うっそん」

 

ポカーンとしているアホ面は、視界に入るだけで腹筋に確実なダメージを入れてくるような、そんな顔だった。

 

 

 

そんなこんなで探索に出かけた私は、探検開始30分で思いもよらない収穫を得る。

 

「夏みかん・・・」

 

あざやかに、そしてたわわに実ったそいつは、夏みかん以外の何者でもないだろう。

 

「ガッデム!」

 

そう、夏みかんはすっぱいのだ。人に投げつけるぐらいしか用途が無い。

 

「まぁ・・・ビタミンは大切か・・・」

 

私は一応木の位置を覚え、さらに歩みを進めた。

 

さらに10分ほどが経過し、甘味となり得る物が見つからない私は、沸点が近づいていた。そんな折だ、緑と黒の、夏を代表する、ビッグなあんちくしょうを見つけたのは。

 

「す、すいかや・・・」

 

わけの分らんテンションに支配され、思わずイントネーションが関西になってしまった私ではあるが、まぁ、喜びがでかかったのだ。望みどおりの砂糖を利用したものではなかったが、甘いものだ。夏みかんみたいなビタミン剤とはわけが違う。見る限り、10~20個ほどのスイカがなっている。

1つだけとって、持ち帰ることにする。場所も覚えたので、後はもと来た道を戻るだけだ。これといって何か食い物を探しながら帰る必要も無いので、3分程で戻れた。

 

料亭のせがれが埋まっていた。しかも上半身だけ。その埋まってる穴の周りに

 

”Not adible”とたくさん書かれている。阿呆だ。獣相手に英語が通じるとでも思っていたのかこいつは。確かに英語は世界共通語かもしれない、だが、人種の壁は越えることができても、生物としての種は如何せん厳しい気がする。第一、なぜそんなに忠実に頭隠して尻隠さずを再現できるのかがさっぱり分らない。

そんなわけで一通り思考をめぐらせた後、自分でも馬鹿らしいと思い、この阿呆を引っこ抜いた。

 

「だいこんっ」

 

素敵な声と共に抜けたこの間抜けはぶら下がりながら

 

「あ。カナ。お帰り。」

 

といってきたのでそのまま手を離したら、頭をぶつけて動かなくなったので、拠点の快適性が向上し私は嬉しかった。

 

「スイカがあったぞ。」

 

次の瞬間、人柱にしたはずの阿呆と、先程から三途の川をバタフライで渡ろうと努力していた料亭のせがれは、まことに残念なことにいかづちの速度でよみがえり、空からは変態が降ってくるという始末だ。このスイカは呪われている。

 

「「「スイカください」」」

 

阿呆共と変態がひれ伏しながら迫ってくる。気色が悪いのでスイカを遠くへぶん投げると、あいつらはスイカのほうへそのまま全力疾走して言った。私はもう、考えることが面倒になり、スイカをもうひとつもいできて川で冷やすことにした。今日の夜ごろにはいい感じに冷えているだろう。

 

「あー、頭痛い・・・」

 

真面目がむっくり体を起こした。

 

「ねぇ、カナ、パシらせるようで悪いんだけどなんか飲み物ない?熱中症っぽいんだよねぇ・・・」

 

頭痛のせいか頭が回らず、間延びした口調になっている。ほかにすることもないしするやつ、というより現状活動可能なのが自分しかいないので仕方なく動く。

湧き水を汲んできて、夏みかんの皮をむき、果肉ごと軽くつぶして水に混ぜる。それに塩を加えたら大体完成、無人島式スポーツドリンクもどき二号。

 

「ん」

 

それを突き出すと真面目は、よほどのどが渇いていたのか、一息に飲み干して

 

「すっぱ」

 

と一言言って、

 

「もう一杯ください」

 

と言ってきた。

 

「てめえでやれ」

 

と一言告げると、真面目は渋々ながら自分で夏みかんを搾り、塩をそれに加えてから水で割って飲みだした。

 

「すっぱ」

 

・・・・・甘いものが欲しい。

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