「いやぁ、まさか生きてるとか、考えもしなかったよ。」
ケンタはそう言い放ち、阿呆二人に穴を掘る指示を出した。
するとショウは口を開いて
「いやぁ、俺も想定外だったぜ・・・まさかカナのパンツが小学生的デザインだったとh」
音速を超えて物体が移動する際、ソニックブームと言う衝撃波が発生する。物体が音速を超えるとき、空気の壁にぶつかることによって起こるものだ。
常軌を逸した衝撃波が島中に響き渡る。
おそらくカナの投げた何かがとんでいったと思われる方角の海が割れている。
衝撃波の発生源周辺にいた阿呆二人が飛び去って行く。
爆風に身をかがめながら辺りを見れば、近くにあった大岩がなくなっている。
せっかく建てた即席テントが飛んでいく。
僕の努力、where are you going?
大方地獄、この世の終わり、予言の日、第三次世界大戦、宇宙規模兵器、焦土、壊滅・・・大体どれもあたっている。
一筋の更地が出来上がっていたのだ。裂けた海面は消し飛んだのか知らないが、なかなか戻ってこない。阿呆共は戻ってきた。来なくてよかった。
爆風は収まらない。割れていない海面にはそれこそ上にヘリがあるかのような模様をつくり、細かい砂浜の砂から順に飛び去り、砂利っぽいものが残ってゆく。
しばらくして余波も飛び去り、安全かなと思い始めたら海面が戻りだしている。少なくとも水平線まではパックリ割れてたように見える。それが戻ると言うことはつまり。
「うん、津波かな。」
英語圏でも「TSUNAMI」の名で呼ばれる、地震大国日本に代々伝わる最大級の天災のひとつが今人の手で始めて起こされた。
僕は諦めた。明らかに無理だ。せいぜい小高い丘しかないこの島で、天災クラスの人災である、目測50メートルはあるであろうこの大津波からはもう逃げる術がない。
カナが、そこらへんにあった手ごろな平べったい石で、水切りをした。
次の瞬間、波が上下真っ二つに割れた。運動エネルギーを失った上部9割は、そのまましばらくこちらへ向かい続け、やがて海面に落ち、すべての波を打ち消し、世界に凪が訪れた。
「マジで死ぬかと思った。この世の終わりが見えた。」
しばらくしてやっと声が出た。
「ったく、津波ぐらいでがたがた言ってんじゃねーよ。」
大変豪快なせりふを開口一番でいただきました。津波でがたがたいわないだと?50メートルを超えたぱっと見ナイアガラとか言われても信じるレベルのあれを?もはや視点が人間じゃない。
ただでさえ人外じみたた戦闘力に加えその上神様視点だと?こいつは戦神の生まれ変わりかなんかか?
「カナ、いくらなんでもやりすぎだぞ。」
阿呆その1と言う名のリョウから珍しく注意が入る。
「そうだぞ、いくらパンツがくまch」
カナは砂浜に7つあった大岩の二つ目を、何か言いかけた阿呆その2、コウヤに向かって投げつけた。
そして、先程と同じ体験を僕らがし終わると、
コツン、と何かが僕の後頭部に当たった。
「あぁ、今回は思ったより時間かかったな。」
カナが何か意味のよくわからないことを言っている。残された阿呆とまじめは何の話かさっぱりわかっていない。盛大なクエスチョンマークを頭の上に浮かべていると、
「さっき軽く投げた岩が地球を一周して帰ってきただけだぞ?」
カナはしれっとそんなことを言うが、そんな「ん?からあげのれもんはいらない?」見たいなノリで聞かれても正直困るのだ。そうこう考えているうちに、もう一個石が後頭部に当たったので、こんなこともあるってことにして、考えるのを諦めた。
「もう、どうだっていいや。世の中は不思議であふれている。それでいいじゃないか。」
僕はすべての思考を中断した。理性が限界を感じて、そろそろ辞表を叩き付けそうな勢いだったからだ。
「さぁ、寝床を作り直して寝ようか。三人分テントでいいから早く終わるはずだ。」
ぼくは、おそらく星になった二人のことは忘れ、残りと協力してとっととテントを建て、もうねることにした。今日はもう理解が追いつかないことがことが多すぎて、ここら辺で一回休憩して脳みそを待たないと、もう二度と会えそうになかったから。