陽が、だんだんと眩しくなってきた。
私があのくそ真面目が夜中にこそこそ何か書いててきもかったから没収したら、なんか日記だった。面白そうなので、全員で交代制で書くことを約束させ、でもなんか日記の中での私の扱いが納得いかなかったので、しばきまわした。恐らく生きているはず。死んでてもかまわないが。
記録者:カナ
「とりあえずご飯かな・・・」
私はしばしの沈黙の後に、とりあえず朝飯を取りに行くことにした。
「森にでも入って、なんか獣でも二、三匹狩れば朝飯くらいには・・・」
と思っていたら、なんかおいしそうなにおいが砂浜のほうからしてくる。
ふらふらとそっちへ向かうと、くそ真面目と料亭のせがれがもう朝飯の用意をしていた。こいつら朝早いな・・・
「あ、カナだ。」
「うひゃあぁ」
上は料亭のせがれ、下の情けない悲鳴は真面目改めヘボ。
「いや、多分失礼なこと考えてるけど、これ昨日カナにシバかれたせいでまともに喋れてないだけよ?」
料亭がなんか注釈を入れてきた。むかついたからしばいた。
「で、朝飯は何?」
私が聞くとヘボ改め喋れないやつは、
‘今しがた君が吹っ飛ばした’
と砂浜に書いた。どうやら私が配膳中のリョウを吹っ飛ばしてしまったらしいが、私は悪くない、配膳してたリョウが悪いのだ。なんか私に罪を着せてくる感のあるこの喋れないやつが少しむかついたので、もう少し喋りにくくしておいた。
「さて朝飯をどうするか・・・」
‘もう一度採ってくるしかないよね。お願いしていい?’
・・・どうやら喋りにくすぎて、筆談に切り替えたようだ。
「お前男だろ、仮にも。女子に狩りをさせていいのか?」
‘純粋な生存確率と成功確立の話をしようか。’
「もしかしなくてもコケにされてるよな、殺すぞ。」
‘別に、素手でフリ●ザ様葬れそうなカナが言ったほうが成功しやすいし、猛獣だって朝ごはんでしょ?’
「フ●ーザ?馬鹿にしてんのか?ゴジ●タでも余裕だわ。」
‘じゃあよりカナが言ったほうがいいよね。’
「確かにそうだな。ちょっと行って来る。」
なんかうまく丸め込まれた気がしないでもないが、まぁ、一狩りいってくることにした。
その前に、海岸で適当なドラム缶を一個拾い、中身が入ってないことを確認して森へ持っていった。真水でもあればも儲け物だ。
「ここの森こんなんなってたんだ・・・」
一歩足を踏み入れると、鬱蒼とはしていない、割と日当たり・風通しのよい、快適そうな明るい森が広がっていた。
広葉樹が多く、腐葉土も豊富、わずかにある倒木からは、なんかよくわからないきのこがいっぱい生えていた。
下草はそこそこ生え、低木もしばしば見受けられる。
いかにも、実り多き快適な森だった。
しばらく進むと、そこには湧き水のある池があり、そこから小川が島の反対側へと流れていっている。
「こりゃあもう、死に方がわかんねぇな・・・」
わずそうぼやいてしまうほどに完璧な森だった。
ただ、やはり蚊やぶよ、アブや蛭などはそこそこいたので、体から気を軽く発して消し飛ばした。
「さて、肝心の飯だが。」
後ろを振り返ると、猪がなんかブルブル言いながら突っ込んできていた。
私は思わぬ僥倖に笑みを浮かべ、
「おはよう、私の朝ごはん。」
振り向きざまにでこピンを食らわせた。
猪は頭蓋骨を脳髄ごと吹き飛ばされ、そのまま動かなくなった。
「さてさて、思わぬ大物が来たと思えば、手ごたえ無しで残念だ。」
私はあんまりにもあっさり終わってしまったことを少々残念に思いながら、先程の水源へと戻り、ドラム缶を軽く洗って真水を汲み、ついでに良くわからないきのこを何種類か摘んで持って帰った。
「おい、狩ってきたぞ。料理しろ。」
「ひひはりふっふぉふぁふはんへひほひははひは。」
なぜか戻ってきてた料亭のせがれがはふはふ言ってるがよくわからん。
筆談に切り替えてもらうことにした。
‘いきなりぶっ飛ばすなんてひどいじゃないか。’
「何言ってんだぶっ飛ばすぞ。」
‘いや、さっきぶっ飛ばしたじゃん。もうやめなよ。’
真面目がなんか筆談で仲裁してきたから、猪ときのこ、それと水の入ったドラム缶を料亭のせがれに投げてよこす。
「料理しろ。そんでもって早く朝飯にしろ。」
もう起床から30分経っている。腹が減ったのだ。私は。
すると、意外とすんなり調理に移ってくれた。もう少しごたごた言うのかと思ってたので少々拍子抜けだ。きっとあいつらも腹ペコだったのだろう。仕方ない。
不意に肩を叩かれた。料亭のせがれがジェスチャーで
”猪を吊るしてくれ”
と頼んできた。
「あぁ、血抜きか。」
近くのツタで猪の後足を縛って吊るし、解体されるのを待つ。
その間に、きのこを鑑定してるくそ真面目に鑑定結果を聞くと、
‘平茸と千本一女笠、箒茸に初茸だね。食べれるきのこは。’
地味な色のきのこが丸の上に散らばっている。
「私が取ってきたほかの鮮やかな色のやつらは?」
正直その鮮やかな色のほうが自信作なのだ。あんなりんごみたいに真っ赤なやつや、米のように白いものがまずいわけが無い。
「ベニテングタケにドクツルタケのこと?食ったらさすがのカナでも死ぬよ?」
最強の失敗作だったらしい。食ったら絶命?冗談じゃない。そんなもの生やしておいた生態系に腹が立ってきたが、ここがどこかもわからないので島を吹っ飛ばすのはやめておこう。
そうこうやっているうちに血が抜け、内臓も出し終え(このとき、内臓がないぞうとか書き出したくそ真面目は処した。)いろいろと本来なら下ごしらえが入るが、ここは無人島、そんな時間はないし、何より一刻も早く飯を食べたいので、全部をまとめて煮込む鍋にすることにした。
「さて、香味野菜も何も無いが、味付けは塩だけか・・・」
魚ならこれだけでも十分うまいが、如何せん肉となると臭み消しににんにくぐらいは欲しくなるのだ。
‘行者にんにくなら手に入れた。それとノビルも。’
処したはずの駄真面目はなんか使えそうなものを採って戻ってきた。えらいと思ったのでシバかないでおくことにした。
「それじゃあ煮るか。」
私は一言発して、薄くスライスした猪肉とさっき採ってきたきのこと、真面目の持ってた野草をまとめて半割りドラム缶で煮た。
しばらく待つと、うまそうなにおいがしてきたので、ここら辺でいったん火からおろし、椰子の実を半分に割った器にとりわけ、食べてみる。
「「「いただきます(ひははひはふ)」」」
・・・うん、味噌としょうゆが無いとここまで寂しいのか、鍋って。
残りの二人も微妙な顔をしている。
とりあえず、残すのももったいないので、どうにかして食べねばならない。
すると、料亭のせがれが紫のきれいな花へとちか寄り、根を掘り出した。
しばらく待つと、ごぼうのようなものが出てきた。それを洗い、笹がきにして水にさらし、さらにそれを鍋に入れもう一度煮た。
「アザミの根っこって、ごぼうに見た目も味も似てるんだよ。」
いつの間に口が回復したのか、料亭のせがれが口を開いた。
確かに鍋から先程よりおいしそうなにおいがしてきた。
一口食べると、先程よりはおいしい鍋となっていた。
これなら完食できそうだ。
「では改めて。」
真面目も復活したのか、合掌の音頭を取り始めた。
「「「いただきます」」」