流されし阿呆共の日記帳   作:strayer

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A.M.9:00 阿呆の帰還と非常食

微妙な朝食をとり終わった私たちは、正直もうやることが何一つとしてないので、腐る前にこの猪肉をどうにかしようと画策していた。

 

現段階で有効だと思われる保存方法は大きく分けて3つ。

 

・塩漬けにする

 

・干す

 

・燻す、つまりベーコン

 

が挙げられる。

 

正直個人的な意見を言わせてもらうと、塩漬けだけは勘弁してもらいたい。ぶっちゃけ塩を作るのは重労働なのだ。特に残りが3人しかいないこの現状では。いくら私でも海水を一瞬で蒸発させる能力は持ち合わせていない。一回だけ海でマジギレして、半径3キロを消し飛ばした際に、水分がすべて蒸発した飛沫だったものが、塩となって降ってきたことはあったが、あれをこの島でやると、島自体が無かったことのなる恐れがあるのでやめておこう。

2番目と3番目の選択肢のいずれを選ぶとしても、多少なりとも塩は必要だ。

というわけで、塩を作ろう。

 

「なぁ、とりあえず塩つくろうや。余った肉保存したいし。」

 

私がそういったのが意外だったのか、残りの2人は阿呆みたいにぽかんとしていた。1人は正真正銘の阿呆か。

 

「嘘だろ・・・」

 

なんか阿呆にグレードダウンした真面目がうわ言のように口を動かす。おい、顔にコイツがまともな事言うなんて信じられんって書いてあるぞ。

 

「テベロッツォー!バンツォー!ホンゲェ!ホンゲェ!」

 

料亭のせがれ改め阿呆は、そんなに私の言ったことが信じられなかったのか、脳みそが耐え切れなかったようだ。なれない考え事などをするからだ。にしても奇怪な声を上げるな。気持ち悪いからしばいたら元に戻った。

 

「あれ、俺はいったい・・・とりあえずみかん投げなきゃ。」

 

・・・真面目な顔で予想以上にぶっ壊れていた。

どうやらキャパオーバーに陥った脳みそに衝撃が加わったことで、取り返しがつかなくなったのかもしれない。

まぁ、私には関係ない。ほっとけ、彼の人生だ。

ただ、私の周りに阿呆の果汁を迸らせてきて、非常に不快なので埋めた。

砂浜は掘りやすい(小並感)

グレードダウン真面目は、この一連の流れを見て、これ以上馬鹿なことをやっていたら、存在が幻想にされてしまうと気づいたらしく、深呼吸をして表情を引き締め、一言

 

「それじゃあ塩、作ろっか。」

 

塩作りは予想以上に時間を要した。海水を汲むのはすべて私がやったので微塵も時間などかかってはいないのだが、そこから水分を飛ばすのに、異常なまでに時間がかかる。

近くにあった手ごろな岩に大きなくぼみを作り、潮溜まりにできる小さな塩の要領でしばらく待ってみたが、一向に蒸発する気配が無い。むかついたので、ドラム缶に海水をため、火に掛けた。

走行している間に肉が腐っては本末転倒、とりあえず風通しのいいところにおいておく。笹の葉でくるめば少々はましだろう。

 

 

 

 

 

「空飛ぶはまちと出汁巻き卵、それと雲。」

 

わけのわからないうわ言と共にわけがわからない阿呆が帰ってきた。

 

「「お前生きてたのか」」

 

砂浜に埋めた阿呆と深呼吸の際もとのグレードに戻った真面目の声がかぶる。仲間の生存に衝撃を受け正気に戻ったようだ。コイツの場合正気が狂気だから救いようが無いのだが。この阿呆共2人セットで海底に沈めたほうが・・・いや、駄目だ。今はとにかく労働力が要る。薪を集めさせねば。

 

「とりあえず吹っ飛んで行って私に迷惑を掛けたことは不問にしてやるからとっとと飯を食って働け。」

 

すると空飛ぶほうの阿呆はなぜかニヤニヤしながらこちらを見ている。不快極まりない。今すぐこの世の地獄を見せてやろう。

 

「これを見ろよ。」

 

その手の中には、よくわからない黒いこまごまとした粒があった。

 

「ダンゴ虫かな?」

 

埋まっていたほうの阿呆がわけのわからないことを言い出す。じゃあ何でこのダンゴ虫は動いてないんだ。考えろ。これは生き物ではない。

 

「なんかの・・・種かな?」

 

真面目がそれらしいことを言っている。

 

「悩みの種だな。」

 

埋まっていた阿呆がうまいことを言ったのでもう一度丁寧に埋めなおしておいた。

しかしこの種は得体が知れない。不気味この上ない。うだうだ悩んでいても仕方ないのでこの種を持ってきた張本人に試食させた。

 

「辛っっっっ!!!!!」

 

どうやらこの種は辛いらしい。

 

「あっこれコショウだ!辛い!水!」

 

あまりにも見苦しい。顔中を様々な汁塗れにしながらぎゃあぎゃあ騒いでいるのだ。汚いとしか言いようが無い。

なので水を与えた。もう少しで塩になる程濃く、そして熱い水を。

 

「さんきゅってあづぁあああんでもってしょっぱ!!」

 

しばらくして、阿呆は静かになった。喜ばしきことかな。

 

適当に阿呆共を〆てると、どうやら塩が出来上がったようだ。

 

「さて、この肉に塩を摺りこむか。おい、お前はそこそこいい感じのサイズに肉を切り分けろ。」

 

私は唯一の生存者に指示を出し、程よいサイズになった肉に塩と阿呆から手に入れたコショウをすり込む。

 

「ねぇ、カナ。もしベーコンを作るとして、正しい作り方でいくとすると、4日ぐらい涼しいところで放っておかなきゃいけないんだけど。」

「うるさいぞドアホウが。無いなら作ればいいだろう。考えてから物を言え。」

 

私は当然のことを言っただけなのだがこのまじめは思考パターンまでガッチガチなのか、冷蔵庫がこの島で作れるわけ無いだろう的な顔をした。

 

「阿呆が。地下とか洞窟も涼しいの忘れたか。」

 

私は少し離れた場所へ行き、そこにあったそこそこ大きい岩山に軽く拳を当てた。

 

そして、山の中程までをくりぬき、そこへ足を踏み入れる。なかなかに涼しい。

これならしばらくは大丈夫だろう。

 

「おーい、洞窟ができたからとっととその肉もってこい。」

「洞窟ができたってどういうことさ!?」

「そういうことさ。いいからもってこい。」

 

納得してなさそうないかにもしぶしぶといった感じで肉を持ってきた。

後はここで4日ほど放っておくだけか。

 

 

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