私は初めての海外旅行が近づいてきて舞い上がっております。お好み焼きの鰹節レベルです。
さてさて、話は変わりますがヤナセ コウさん、感想ありがとうございます。
正直テンション上がりまくって早く書こうとしたのですが部活と旅行準備で如何せん時間が取れませんで・・・
これからは投稿ペースが上がる予定なので、どうぞおたのしみに。
それではどうぞ。
正直、焼肉はなかなか美味しかった。料亭の阿呆によると、鍋がまずくなったのは、獣臭い皮に近い油もまとめて入れてしまったことと、内臓を下処理もせずぶっこんだためらしい。何故まずい部位を出したのかわけが分らなかったので、とりあえず打ち殺そうと思ったが、「カロリーを無駄にしたくなかった」との弁明が入り、納得のいく理由だったので、止しておいた。
「うまうま」
さっきからそれしか言わずにもぐもぐ肉を食べ続ける温泉を掘り当てた阿呆は、しばらく飯を抜いたのがこたえたのか、それしか言わずに肉を食べ続けている。斯く言う私もそれなりにがっついてはいるのだが。怒涛の勢いで八割ほどの肉を食べ、腹具合も一段落着いたところで、真面目が口を開いた。
「先程から温泉が噴き出てるんだけども、どうするよ?」
どうするよ、といわれても、どうにかするしかあるまいに。すると、温泉を掘り当てた阿呆が口を開いた。
「とりあえずしゃぶしゃぶだ。話はそれからだ。」
すると、ふらふらと間欠泉状態になっている温泉の元へ近づいてゆき、薄くスライスしてもらった肉を温泉の中に突っ込んだ。しかし、勢い余って、手まで温泉に突っ込んだように見える。「うぺぺぺぺぺ」とか呪文を唱えながらあたりをぴょんぴょん飛び回っていることから、それは明らかだろう。ちなみに、あいつはそれでも肉を口に運んだ。見上げた根性、というより呆れるほど張った食い意地だ。
「焼いたほうがうまい」
そんなことは聞いていない。やけどした右手は平気のようだ。消し飛んでしまえば少しは面白かったのに。
「ところでその右手は無事なのかよ。」
料亭のせがれが心配しているようだ。
「あぁ・・・やべぇな・・・俺の左手が疼くぜ・・・」
「大丈夫そうだな。」
「頭はもう駄目っぽいよ?」
「分りきっている事言うんじゃない、殺すぞ。」
「・・・っく、ひだりめがあぁぁぁぁあ!」
「「「っるっせえええええ!」」」
厨二病を発症した阿呆には、温泉の対価として、地中深くにもぐりこんでもらった。尊い人柱とかいうやつだ。
私たちは次の瞬間には人柱になった阿呆のことなんぞ記憶の彼方に吹き飛ばして、食事を再開していた。まぁ、もう量は大して残っていなかったので、すぐに終わったのだが。
「「「ごちそうさまでした」」」
声をそろえて言って、後片付けをする。そして、今度こそ本題に入るぞ、みたいな雰囲気を真面目が迸らせている。こういうときにおちょくると、ろくなことになったためしがないので、刺激しないでおく。
「さてさて、温泉をどうするかについて話し合いたいと思います。」
やはりくそ真面目がくそ真面目な話をしだした。退屈極まりない。阿呆の片方は先程人柱になったし、変態は今頃星屑となっているはず。残る料亭のせがれもそこそこの阿呆だった気はするが、相方がいないとキレがいまいちだ。
「どうするかって言われたってなぁ。言っとくがこの温泉、浜辺にできたせいで、穴を掘りやすくはあるがそのかわり、がんがん水がしみてぬけてっちまうぞ。」
料亭のせがれがまともな事を言っているが、少々頭が悪いと思った。
「ヌケてんのはてめぇの頭だ阿呆が。」
言い返すとやはり阿呆なだけあって脊椎でものを考える癖がついているため、すぐに言い返してきた。
「うるせぇ!お前は小さいころ砂場に穴掘って水を流したことは無かったのかよ?」
「じゃあそれに石を敷き詰めるとどうなるか知ってるか?」
「水が流れなくなるに決まってるじゃんかよ、このくそたわけ。」
「くそたわけはてめぇだ、何で自分で答えを言ってんのに気づかねぇんだよ」
「俺が何に気づいてないって言うんだ!このバカナ!」
「あー、うん、馬鹿に馬鹿って言われてもなんか・・・その・・・違う。」
「何がだよ!」
「あー、その、なんだ。ケンタ、説明しといてくれ。」
私はいい加減頭が痛くなり、説明をすべてくそ真面目に丸投げして、川へと向かい、冷やしておいた椰子の実をひとつ取ってからテントへと逃げ帰った。真面目がちょくちょく整備、補強やらをしているので、何気に居住性は良くなりつつある。ちなみに、地面にじかに寝ると汚れて嫌らしいので、竹を長方形のブロックに削り、それに伸ばした釣り針で穴を開け、流れ着いていた釣り糸のごみから使えそうなものを再利用しつなげたものを、床になるほうの面を平らにした竹のうえに敷き、ひんやり感と通気性を確保している。壁と屋根はお粗末だが、床の凝り方は尋常じゃない。
「うぁぁぁあああぁあぁぁぁあ」
ひんやりした竹の床に寝そべり、椰子の上の部分に指で軽く穴を開け、そこから良く冷えた椰子の実ジュースをのむ。どこかの学園都市第三位はコレに炭酸を加えたものが好きらしいが・・・うん、恐らく微妙だと思う。センスがかわいそうだ。
椰子の実のジュースを飲み干したら、実を半分に割って、ココナッツと呼ばれる部分を削り取り、干す。コレを暇な時間につまむとそこそこ美味しかったりする。まぁ、市販のドライフルーツのようにうまくいくかは分らないが。
遠くのほうからわぁわぁと阿呆が騒ぎ、真面目が頭を抱えてる声が聞こえる。優雅なひと時を邪魔した罰として椰子の殻を投げつけたら静かになった。
涼しい風が吹く。夏のにおいがする風に青竹のすがすがしい香りが混ざり清涼な空間を生み出し、遠くのほうでは阿呆が静かになったおかげで潮騒が自由に鳴り、温泉は相も変わらず吹き出続けている。世界は斯くもすばらしい。
真面目が疲れきった顔をして、テントへ向かってきた。テントにたどり着く前に倒れた。これが生命力がゴキブリを遥かに凌駕する残りの連中だったら放置しかないが、さすがにこいつは放置したら死ぬ。なので一応テントまで運び、ひんやりした床に寝かす。そして、川から椰子の実をひとつと竹に汲んだ水、調理場のほうから塩を一つまみ持ってきて真面目のところに持っていった。
「おいおい熱中症か?」
この質問に答えられるならまだ大丈夫だろう。そんな確認も込めて質問をしてみた。
「うん、頭が痛くてめまいがひどい。」
病状までいえるのなら大丈夫だろう。水を一口含ませ、残りを顔と頭にかける。首を狙わなかったのは、水では太い血管には意味がなさそうだと思ったからだ。そして、塩を一つまみ加えた椰子の実ジュースを与えた。
「ったく、お前が倒れたら誰があの阿呆の相手をすんだ。考えてから倒れろこのくそたわけ。」苛立ちを込めてそういうと、
「阿呆の相手はもうしたくない。」
真顔でそう言われたらもう、黙るしかなかった。