魔法少女まどか☆マギカ~二つの奇跡~   作:小人

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またまた、かなり遅れてしまいましたが、第3話です。
今回は、視点変更があります。


第3話 偶然と始まり

---放課後---

 

まどかside

 

 

今私は、友達のさやかちゃんと仁美ちゃんと一緒に駅前にあるショッピングモールに向かっています。

 

私が歩く少し前では、さやかちゃんと仁美ちゃんが楽しそうにおしゃべりしています。

 

いつもなら、そこに私も入って三人で楽しくおしゃべりしているところなのですが、今日の私は考え事をしていてそれどころではありませでした。

 

それは、朝のホームルームが終わった後の休み時間のことです……

 

 

 

ーーー回想ーーー

 

 

 

朝のホームルームが終わって、私達は今日クラスにやってきた転校生について話をしていました。

 

「あっはははは……それにしても今日のホームルームは面白かったな~ 神木の奴、まさか紹介を忘れられるなんて、今思い出しても笑えてくるよ」

 

さやかちゃんはお腹を押さえて"ワハハ"と笑いながらそんな事を言い出します。

 

「さやかちゃん! そんなに笑ったら神木くんが可哀想だよ」

 

「だ、だってさー仕方ないじゃんか……アハハ」

 

「さやかさん、確かに私達にとっては笑い話かも知れませんが、神木さんにとってはそうでは無いのですよ」

 

「そうだよ! 仁美ちゃんの言う通りだよ! だからもう笑っちゃ駄目だよ……」

 

何だか神木くんに申し訳無くて少し涙目になってしまいました。

 

「そ、そうだね流石にあたしも調子にのり過ぎてたかも……」

 

私のそんな態度と仁美ちゃんの一言が効いたのかさやかちゃんは少し後悔した様子でそう言います。

 

「……っ!! 今気付いたんだけど、この会話って神木に聞かれてたりするんじゃないの!?」

 

さやかちゃんが、しまった!っとそんな事を言い出しました。

 

「え!? そういえば……き、聞こえちゃってたらどうしよ~」

 

今度こそ本当に居たたまれなくなって、涙目になってあたふたしてしまいます。

 

「まどかさん落ち着いて下さい。まだ神木さんに聞こえていたと決まった訳では無いのですから」

 

「で、でも……」

 

「それに、たとえ聞こえてしまっていても、その時は謝れば良いのですから」

 

「そうだよまどか! それに悪いのはあたしだけだからまどかは大丈夫だって!!」

 

さやかちゃんと仁美ちゃんがそんな私を必死に元気付けようとしてくれます。

 

「ありがとうさやかちゃん、仁美ちゃん。でもさやかちゃんだけ怒られるなんてなんて駄目だよ」

 

「いや、あたしは怒られても仕方無いことをしたから良いの。むしろ神木がまどかや仁美を怒ったらあたしがアイツを殴る!」

 

さやかちゃんは手を握りしめてそういい放ちます。

 

「さやかちゃん、殴っちゃ駄目だよ」

 

「いや殴る! 二人を傷つける奴はあたしが許さない!」

 

「いや、さやかちゃん、そもそも神木くんは何も悪くないんだから……」

 

「そんなの関係無い!!」

 

「だから、駄目だよ~」

 

 

「……こほん」

 

「「…………」」

 

私達がそんなやり取りを繰り返していると仁美ちゃんが咳払いして、言いました。

 

「まどかさん、さやかさん……まだ神木さんに聞こえたと決まった訳では無いんですよ」

 

「「そうだったね(そうだよね)」」

 

 

 

 

 

 

 

「でも、本当に聞こえちゃって無いのかな?」

 

仁美ちゃんの一言で落ち着きを取り戻した私達は、恐る恐る神木くんの様子を伺います。

 

「どうでしょう~ 見たところそんな様子はありませんね」

 

「聞こえてなかったか~ いや~よかったよかった。」

 

「さやかちゃん、まだ決めつけるのは早いんじゃ……」

 

私はさやかちゃんに苦笑いしながらそう言って、また神木くんの方に目を移します。

 

 

「あ……」

 

 

すると、偶然神木くんと目があってしまいました。

私は、驚きと恥ずかしさから思わず俯いてしまいます。

 

「まどか?」

 

さやかちゃんが、そんな私を見て首を傾げてそう聞いてきました 。

 

「えっと、神木くんと目が合っちゃって……」

 

「ホントに!? それでどうだった!?」

 

「え!? どうだったって?」

 

「だから、神木に聞かれてたかってこと、目があったときに何か感じなかった?」

 

「あ……うん、特にそんな様子には見えなかったよ」

 

「じゃあ、大丈夫そうだね! お手柄だぞぉまどか~ 頭を撫でてしんぜよう~」

 

さやかちゃんはそう言って私の頭を撫でてきます。

 

「もう、さやかちゃん子供扱いしないでよ~」

 

とは言いつつも、私はさやかちゃんが頭を撫でるのを止めることしないのでした。

さやかちゃんの撫で方はとても優しくて、温かくて、心地よいもので……

 

(そういえば、昔からさやかちゃんにこうやって頭を撫でられるのは、凄く安心できて好きだったな~)

 

頭を撫でられながら昔の思い出に浸っていると……

 

「お二人とも私の事を忘れていませんか?」

 

仁美ちゃんからそんな言葉が飛んできました。

 

「「え!?」」

 

「私を置いて二人の世界に入ってしまうなんてひどいですわ」

 

「ちょっと仁美なに言ってんのよ!?私達は別にそんな変な関係じゃ無いわよ!?」

 

「そうだよ仁美ちゃん! 私はたださやかちゃんに頭を撫でられたの久しぶりだな~って思ってただけだよ!?」

 

「まさか!?お二人はそんな昔から!?」

 

「いやいや、ただの幼馴染みだって……」

 

それから、さやかちゃんと一緒に暴走した仁美ちゃんを落ち着かせるのに、数分の時間が掛かってしまいました。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「まぁ、仁美も落ち着いたし神木のことも置いとくとして、問題はもう一人の転校生の事よ。まどか、紹介の時睨まれてたけど……知り合いなの?」

 

さやかちゃんが私にそう訊いてきます。

ちなみに、もう一人の転校生というのは、神木くんと一緒に転校してきた"暁美ほむら"さんのことです。

 

「う~ん、初対面だと思うんだけど……」

 

暁美さんは今、クラスの皆に囲まれて色々質問されているところでした。

 

「不思議な雰囲気の方ですよね、暁美さん」

 

「うん……」

 

私達が、その様子を遠くから見ていると……

 

「ごめんなさい、何だか緊張し過ぎたみたいで、ちょっと気分が……保健室に行かせてもらえるかしら?」

 

暁美さんが、質問するクラスの皆を手で制しそう告げます。

 

「あ、じゃあアタシが案内してあげる」

 

「私も行く、行く」

 

「いえ、お構いなく。係りの人にお願いしますから」

 

暁美さんはそう言うと、私達の方に歩いてきます。

 

「うわ、こっち来たよ」

 

「何だが凄い威圧感が……」

 

さやかちゃんと仁美ちゃんはそう言って身体を強張らせていました。

私にいたっては、暁美さんのその威圧感に完全に体が固まってしまっていました。

 

「鹿目まどかさん、あなたがこのクラスの保険係よね?」

 

「え!? えっと……あの……」

 

「連れて行ってもらえる? 保健室」

 

暁美さんは断ることを許さないというような、威圧的な瞳を私に向けてそういい放ちました。

 

私の頭の中は、もういっぱいいっぱいで、首を立てにふることしか出来なかったのでした……

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

---廊下---

 

暁美さんは無言で私の前を歩いています。

 

(どうして私が後ろを歩いているんだろう?)

 

そんな疑問は抱けどもそれを言葉にする勇気は私にはありませんでした。

保健室まで案内してほしいと言った暁美さんのその足取りには、全然迷いがなくて、まるで私が学校を案内されているみたいでした。

 

私は勇気を振り絞って暁美さんに話し掛けます。

 

「あ、あの……私が保健係ってどうして?」

 

「……早乙女先生から聞いたのよ」

 

少しの沈黙を挟んで、暁美さんがそう答えます。

 

「あ、そうなんだ……えと、保健室は……」

 

「こっちよね」

 

暁美さんは何の迷いもなく教室の角を

曲がります。

 

「うん……そ、そうなんだけどね……えっと、もしかして場所知ってるのかなぁ~なんて……」

 

「………」

 

私がそう訪ねても暁美さんは何も答えてくれません。

 

(うぅ、会話が続かない……どうしよう)

 

「あ……暁美さん?」

 

「ほむらでいいわ」

 

(そんないきなり名前で呼んで良いって言われても……)

 

(でも、暁美さん本人の希望だしちゃんと名前で呼んであげないと)

 

「えっと、ほむら……ちゃん?」

 

「何かしら?」

 

「えっと……変わった名前だよね」

 

「………」

 

そう言った途端、ほむらちゃんが黙り混んでしまいました。

もしかしたら言ってはいけないことを言ってしまったのかもしれない……

 

「いや、えっとね……変な意味じゃなくてね……その、かっこいいなぁ……なんて……」

 

私がそう付け加えると、ほむらちゃんが急に立ち止まって振り返ります。

 

沸き上がる感情を押さえ込んでいるようなそんな表情でほむらちゃんは私の顔を見据えます。

 

そして軽く口を開きかけて何かを言おうとしましたが、その言葉が発せられることは無く、ほむらちゃんは噛み締めるように口を閉ざしました。

 

そんなほむらちゃんのただならぬ雰囲気に私はただ立ち尽くすことしか出来ませんでした。

 

「鹿目まどか、あなたは……」

 

ほむらちゃんが意を決したように喋り始めます。

 

「自分の人生が貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」

 

「……え?」

 

あまりに唐突にそんな質問をされて、思わずそんな声をあげてしまいます。

 

でも、ほむらちゃん表情は真剣そのものでした。

その瞳には決意が宿り、真っ直ぐと私を見つめています。

だから私は、その質問に真面目に答えないと駄目なんだと思い、少し考えた後ほむらちゃんに告げます。

 

「……私は……大切だよ。家族も友達のみんなも、大好きで、とっても大事な人達だよ」

 

「本当に?」

 

「本当だよっ! ウソなわけないよ!」

 

ほむらちゃんは私の言葉を聞いて静かに頷きました。

 

「そう……もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対におもわないことね……」

 

ほむらちゃんはそこで少し言葉を切り、目を細めて睨むような鋭い目つきで続ける……

 

「……さもなければ全てを失うことになる」

 

「……え?」

 

「あなたは、鹿目まどかのままでいればいい。今まで通りに、これからも……」

 

最後にそう言い残すと、ほむらちゃんは一人の渡り廊下の向こうに消えていくのでした……

 

 

 

ーーー回想終了ーーー

 

 

 

(なんだったんだろうあの質問……)

 

いくら考えても、私にはその質問の意図を理解すること出来ませんでした。

 

「……ど…か!」

 

(後でさやかちゃん達に相談してみよ)

 

「まどか!!」

 

「え!? あ……」

 

そんな結論にたどり着いた私は、さやかちゃんの声で我に帰ります。

 

ずっと考えごとしながら、歩いているうちにいつの間にかショッピングモールのすぐ近くまで来ていたようです。

 

「やっと、気づいたのまどか~ さっきから何度も呼んでるのに、あたしの話ちゃんと聞いてた?」

 

「え? ……えっと、ごめん。考え事してて聞いてなかった」

 

「はぁ……まぁいっか。えっとねショッピングモールに着いたけど、とりあえずファーストフード店に入って一息つこっかって話をしてたんだけど……まどかはそれで良い?」

 

さやかちゃんは、私の言葉にため息をついて、そう言葉を続けました。

 

「あ、うんそれで良いよ。ちょっとお腹空いてきちゃったし……」

 

色々と考えすぎて何か美味しいもの食べたかった私は迷わずそう答えます。

 

すると、それを聞いたさやかちゃんがニヤニヤし始めました。

 

何だか嫌な予感が……

 

「ほほう……最近のまどかは食べ盛りですな~ そんなに食べてると、太っちゃいますよ~」

 

「うぅ……酷いよさやかちゃんそんな事言わないでよ」

 

「ゴメン、ゴメン、でも一杯食べたその栄養が色々な所の成長に繋がったらいいね~」

 

そう言いながらさやかちゃんは私の体にサッと目をやり、その後、私の頭をポン、ポン叩きます。

 

「もう!さやかちゃん!!」

 

私は流石に我慢できなくなり、さやかちゃんに声を張り上げます。

 

「わ、悪かったって……だからそんなに怒んないでよ~」

 

「あの、お二人ともそろそろ行きませんか?」

 

そんな私達に仁美ちゃんの一言が刺さります。

 

「……うん」

 

「そ、そうだね……」

 

 

 

この後、私達はファーストフード店でお喋りして、お稽古事があるひとみちゃんと別れた後……さやかちゃんの頼みでCDショップに行くことになったのでした。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

優人side

 

 

放課後、俺は中沢に街を軽く案内してもらっていた……もちろん約束通り中沢の奢りでだ。

 

一通り街を見て回り、暇潰しにゲーセンで熱いバトル(エアホッケー)を繰り広げて、俺達は解散することになった。

 

「まさか本当に全部奢らされるなんて……」

 

「きちんと、お前の用事に間に合うように、解放してやったんだから有り難いと思え!」

 

中沢の奴、本当に今日は用事があったらしい……

だから俺は二時間だけ付き合わせて帰らせることにしたのだった。

まぁ、明日から一週間ジュース奢りという条件はつけたんだけどな。

 

「それにしても、さっきの"あれ"なんだよ!? あんなの勝てるか!!」

 

「俺達の間じゃあれくらいが普通だぞ……」

 

「お前の周りどれだけ猛者揃いだったんだよ!? というかあの状態で、もし上に跳ねでもしたら下手すれば死人が出るぞ」

 

「それは大丈夫だ!跳ねても俺達は止める」

 

「お前ら本当に何者だよ!?」

 

中沢がそんな叫び声をあげる。

 

「なんだよ、まるで俺が人じゃないみたいに言いやがって……」

 

「いや、そこまでいくと冗談抜きでそうなんじゃないかと思うんだけど……」

 

そんな俺の呟きに中沢はため息をつく。

 

「じゃあ、俺もう帰るわ。これ以上話してると、流石に遅れそうだ……」

 

「ああ、また明日な」

 

「おう! また明日!」

 

中沢は、そう言うと人混みの中に消えていった。

 

 

軽くノビをして、時刻を確認。

まだ、日没まではだいぶ時間がある。

 

今から家に戻ったところで、特に何をすることもなく飯時までコロゴロするだけだろうし……

 

「さてと、これからどうするかな……」

 

じっとしてても始まらないので、とりあえずショッピングモール内をぶらぶらして考える事にした。

 

そうして、何気なく歩いているとCDショップを見つける。

 

「CDショップか、ちょっと覗いてみるかな」

 

こうして俺は、CDショップに足を踏み入れるのだった……

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

---CDショップ---

 

「品揃えは結構良いな……」

 

ポップス、ロック、ジャズと色々見て回ってみても、どのジャンルでもメジャーなモノからマイナーなモノまでかなりの楽曲が揃っていた。

 

俺自身、特にジャンル問わず気に入ったものを聞くようなスタンスな為、幅広いジャンルを広く取り扱ってくれるのはありがたい。

 

そんな感じで、色々と見て回っていると……ふと目線の端に見知った顔見つけた。

 

(あれは……美樹さんか?)

 

美樹さんは、少し焦った顔をして何処かへ走って行く。

 

あっちは改装中のフロアって書いてあった筈だけど……

 

気になったので、少し気が引けたが後を着けてみることにした。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

---改装中フロア---

 

美樹さんは、非常口の前で少し立ち止まると、腕を組んで首をかしげながら意を決したようにその扉に手を掛ける。

 

流石にこそこそついていくのも、潮時だと思い、話かけることにする。

 

「そんな、所でなにやってるんだ? そこ改装中で立ち入り禁止の場所だろ」

 

「あ、すみません。ちょっと友達を探してて……って神木!? なんであんたがこんなところに居るのよ!?」

 

最初丁寧な口調だった美樹さんは、俺を見るなり態度を一変させてそう言う。

 

(その態度の切替は酷すぎないか……)

 

そう思ったが、口に出すと面倒なことになりそうなので、普通に美樹さんの質問に答えることにする。

 

「ああ、偶然美樹さんがこっちに走って行くのを見つけてな。改装中のフロアに何しに行くのか、ちょっと気になってつけてきたんだ」

 

「あんた、それ立派なストーカーだからね」

 

「ストーカーとは聞き捨てならないな。俺は美樹さんが何かの事件に巻き込まれたりしたらいけないから心配してついて来てやったのに……」

 

「はいはい、それはどうも……それよりもあんた中沢と約束があったんじゃないの?」

 

「中沢との約束はあいつの嘘だよ。まぁ、結局美樹さん達には付き合えなかったから、中沢には少し街を案内してもらったけどな」

 

「ふ~ん……まぁ良いや。それよりも早くまどかを追い掛けないと」

 

美樹さんは何か納得したように呟いた後、思い出した様にそう言った。

 

「どういう事だ? まさか鹿目さんがその中に?」

 

「そうなの、だから見失わないように早く追いかけないと……それじゃあ、あたしもう行くから」

 

美樹さんはそう言うとドアを開けて中に入っていこうとする。

 

「あ、おい!ちょっと待てって!」

 

俺の制止も聞かず扉の奥に消えていった美樹さんを追いかける……

 

「あれ? 神木どうしたの、まだ何か用? あたし急いでるんだけど……」

 

「美樹さんと鹿目さんが心配だから俺も行くよ。何かあっても男手があれば多少は何とかなるもんだ」

 

「そうね、もし、まどかに何かあってもあんたがいれば囮にして逃げられるし……」

 

「おいっ!?」

 

こいつ凄い酷いこと言いやがった!

もう少し言いようがあるだろ。

 

「じゃあ悠長に話してないでさっさと行くわよ。それと、さやかで良いわ、私も名前で呼ぶから……あんたに美樹さんなんて呼ばれるの何か嫌だ」

 

「おいおい、どんな理由だよ……まぁ、良いか、じゃあよろしくな!さやか」

 

「ハイハイ、今更挨拶なんていいからさっさと行くわよ!優人」

 

こうして、俺達は鹿目さんを探して、改装中のフロアに足を踏み入れるのだった……

 

 

ーーーーーー

 

 

改装中のフロアに入り少し走っていると、すぐに知った人影を見つける。

 

「居た、まどかだ!」

 

「……暁美も居るな、何か話してるみたいだけど……」

 

 

 

 

「そいつから離れて」

 

暁美はそう言っている。

よく見ると、鹿目さんは腕に何か抱えているみたいだ。

 

「だ、だって、この子怪我してる……」

 

鹿目さんはそう言って抱えている白い生き物? を抱き締める。

 

暁美はそんな鹿目さんの言葉に全く耳を貸さず、ただ彼女が抱いている白い生き物を冷酷な眼差しで睨み付ける。

 

「だ、駄目だよ! 酷いことしないで!」

 

そんな暁美の様子を見て鹿目さんがそう言う。

その時、一瞬、暁美が凄く悲しそうな表情をしたのを俺は見た。

 

しかしそんな顔をしたのは本当に一瞬で、すぐにさっきまでの無表情に戻り言った。

 

「あなたには関係ない」

 

「だって、この子、私を呼んでた! 聞こえたんだもん〈助けて〉って」

 

鹿目さんが、白い生き物をかばいながら言うと、暁美の表情が更に苛立ち歪む。

 

そのまま、暁美は……

 

 

「ちょっと優人! 何ぼうっとしてるのよ!! まどかを助けるわよ!!」

 

突然のさやかの声に振り替えると、消火器をもったさやかが、今にもその消火器を暁美に向かって噴射するところだった。

 

「おい! 馬鹿ちょっと待て!! そんな事したら鹿目さんまで……」

 

「くらえ!!」

 

さやかはそう言って消火器の取っ手を握り、暁美に向かって白煙を撒き散らす。

 

「まどか! こっち!!」

 

「さやかちゃん!」

 

鹿目さんがこっちに走ってくる……

良かった、無事だったみたいだ。

 

「馬鹿! もっと後先考えて行動しろ! 鹿目さんまで巻き込みかけてどうする!!」

 

「無事だったんだから、良いでしょ。結果オーライじゃん!」

 

「あれ!? 何で神木くんがこんなところに!?」

 

そんな、俺を見て鹿目さんが驚いている。

 

「おっと、詳しい話は後でするから……とりあえず逃げるぞ!!」

 

「……え? あ、うん……」

 

「二人とも! こっち!」

 

消火器を投げ捨て、いつの間にか先に行っていたさやかがそう呼びかける。

 

「そいつ、持ったまま走れるか? 何なら俺が変わるけど?」

 

「ううん、大丈夫。それに、私がこの子を助けなきゃ!」

 

「よし! じゃあ行くぞ!!」

 

「うん!」

 

 

俺は後ろを振り返り「ごめん」っと一言呟いて、さやかの後を追う。

 

しかし、非常口に向かって走っていた俺は、すぐにその違和感に気付いた。

 

来た道を戻るだけ、ならもうついてるはず……

 

それなのに、一向に非常口にたどり着かない……来たときと道が変わっている……?

 

「おかしい、一体何が起きてるんだ……」

 

「神木くん?」

 

鹿目さんが、俺の呟きを聞いて振り返る。

 

「あった、非常口だ!」

 

さやかが少し先に非常口を見つける。

しかし、喜びもつかの間、目の前の非常口は突然ぐにゃりと歪みはじめる、その瞬間から回りの景色が一変した。

 

「ここ何処よ!? 非常口は!?」

 

「変だよ、ここ……どんどん道が変わっていく……」

 

そこは、もう改装中のフロア何かじゃない、おかしな世界に迷い混んだような……そんな場所に変化していた。

 

「……!? さやかちゃん、神木くん、何かいる!?」

 

鹿目さんが、何かを見つけて指を指す……その表情は恐怖で青ざめていた。

 

「何よ……あれ……」

 

さやかが、そんな呟きを漏らす。

そこにいたのは、顔の無い髭を生やした謎の生物。

 

言うなれば『化け物』が、大量に俺達の方へ迫って来ていた。

 

「二人とも、下がってろ!!」

 

「うん……」

 

「あぁ、もう!! どうなってるのよ!?」

 

俺は直感的に身の危険を感じ、二人を自分の後に隠れさせる。

 

「……っ!? 神木くんこっちからも来てる!?」

 

「何!?」

 

慌てて辺りを見回す。

鹿目さんの言う通り俺達の回りは例の化け物で埋め尽くされていた……

 

何処からか子供の笑い声のような声も聞こえてくる。

 

「冗談だよね? あたし達、悪い夢でも見てるんだよね? ねぇ、まどかッ!」

 

「神木くん……さやかちゃん!!」

 

二人はお互いの震えを押さえるかの様にギュッと抱き合っている。

 

(二人はもう限界だ! 俺が何とかしないと……)

 

(何か……何か手は無いのか!)

 

回りを見回しても、そこに居るのは化け物だけ……他には何も存在しない、この状況を打破する解決策なんて思い付かなかった。

 

(何が男手があればなんとかなるだよ、結局何も出来てないじゃないか!)

 

これでは、何の為につ いてきたのか分からない。

 

こんな状況では仕方無いのかもしれない……けど、何もできない自分が悔しくて堪らなかった。

 

(責めて二人だけでも無事に逃がしてあげたかったのに……)

 

奴等はもうすぐそこまで迫っていた。

俺は少しでも二人を守れるように身体を広げる……意味の無いことだと分かっていてもそうせずにはいられなかった。

 

俺のその行為が引き金になったように、奴等は俺達に襲いかかってきた。

 

 

 

「姉さん……」

 

俺は、思わずそう呟き目を瞑る。

しかし、次に起きた出来事は俺の予想とは違がっていた。

 

もう駄目だと瞑った瞼に突如光が差し込む。

何事かと思い目を開けると、俺達は足元から吹き上がる温かな光りに包まれていた。

 

すぐ近くまで迫っていた化け物はこつぜんと姿を消していた……

 

 

「一体何が……」

 

「危なかったわね。でも、もう大丈夫」

 

何が何だか分からず、そう呟くと、背後から、そんな声が聞こえた。

 

この声は……

 

俺はある可能性を考え、後ろを振り返ると……

 

「まさか、こんな所で再会するなんてね、優人君」

 

「巴……先輩!?」

 

 

そこには、今朝学校で俺を助けてくれた"巴マミ"先輩が立っていたのだった……




はい、第3話でした……じゃないですね(汗)

更新を早くすると言っておきながら、前回よりも遅くなってしまい、本当にすみませんでした……

三話はどうだったでしょうか?
今回も雑談ばかりで話はあまり進んでいないのですが、楽しんで頂けたなら幸いです。

さて、今回は、視点変更を入れました。
やはり、まどかとほむらのあの会話は外せないと思ったので……

基本的には、主人公視点で進んで行きますが、視点変更は今回のように必要に応じてこれからもちょくちょく入れていきます。

また、先述した通り、物語の進行はかなり遅めです。
一応、もう少し早く進めようとは思っていますが、中々思うように進んでいないのが現状です。

あと二話ほど既出の話が残っていますので、続きを楽しみにしている方はもう少しお待ち下さい。


それでは、長くなってしまったのでここで終わりにします。
感想、質問、ご指摘等ありましたら、気軽にかきこんでみてください。



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