旅館大和においでやす   作:たくみん2(ia・kazu)

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どうも、たくみんです。

やっと、まともなタイトル通り進んで行けそうなところまできました…ここまでで、二ヶ月ちょいかかってると思うと、笑ってしまいます。でも、ここからストーリーに入っていけるという意味にもとらえられます。この二ヶ月を無駄にしないように次の話を書いていきたいです。

次の話は4割方できているので、更新は早いかな?って感じです。



第四話 未来への道のり

「これでよし!」

大和は荷物を俺に渡し、汗を拭きながら言った。

「これが最後か。大和サンキュー」

俺は大和から受け取った荷物を、自家用車のトランクに積んだ。トランクにはたくさんの段ボールが詰まれていて、ほとんどは自分の荷物だ。ちなみに、大和は小さいかばん一つだけで、手持ちだった。大和は昨日祖母にもらった物しかないとはいえ、自分の荷物の量を見て、少し罪悪感を覚えていた。

俺が玄関に座ると、大和も俺の隣に座る。

「大和、手伝ってくれてありがとな」

「いえいえ、タクミさんのお手伝いなんて仕事の内ですよ」

今日、自分の部屋から玄関に荷物を運ぶ仕事だけでなく、昨夜に段ボールに荷物を詰める作業まで手伝ってくれた。二人とも寝落ちするまで作業していたのが、いい思い出だ。秘書艦としての仕事のつもりなのだろう思うと、さらに罪悪感が増した。そこで、俺は尋ねてみる。

「大和、これは仕事の一環じゃないから別に手伝わなくても良かったんだぞ?」

すると大和はくすくす笑った。

「仕事じゃなくても、お手伝いはしていましたよ。艦娘みんな、提督のお手伝いができるだけで幸せなんですよ」

少し照れ臭くなった。大和の笑顔はまるで俺の理性を撲殺してくるようで、浮かれてしまった。俺は、正気を取り戻すと大和へと言う。

「そろそろ呼ぶか」

「そうですね」

俺達二人はリビングへ向かった。

 

 

「詰め込む作業終わりました。そろそろ行きますか?」

「えぇ…もう行くの?」

そこには、とてもくつろいでいる京子おばさんと祖母の姿があった。

「え?荷物を積んだらすぐ行くっていってじゃないか!?」

「そんなことを言ったっけ?」

「へ?」

 忘れられてしまっていた。と、いうのもなぜかわかるような気がする。おばさんの右手には、なにか透明な液体が入ったガラス製のコップがあったからだ。

「京子ったら、もう酔いが来てるわよ。昼間から酔っぱらってるんじゃないの?」

「姉さんったらいいじゃないですか。拓海が送ってくれるのよ!?」

この人、これを見越してバスで来たのか!?その姿はまるで、超余裕気な策士の様だった。そんな姿を見かねたのか、祖母が呆れた声で言った。

「拓海、ナゴミちゃん。この京子をよろしくね」

「お…おう」

「はい…」

 なんか立場がおかしくなっているような気がするが、もう気にしないことにする。大和がおばさんの手を持って、車に誘導した。俺はその後ろを着いていき、おばさんの荷物をもって…。

車の後部座席におばさんを無理やり乗せた。今にも寝そうな感じだった。

「大丈夫か、これ」

「京子は昔からそう言うやつだからねぇ…」

呆れたような、しかしどこかしょうがないなと行った様子で、祖父と祖母が会話を交わす。

「そうなんですね…」

大和はそれに対し、苦笑いして答えた。そして、ついにこの時が来た。

「そろそろ行くわ」

「そうかい。気いつけてね。しっかりするのよ」

「おう」

俺は祖母にグッドサインをした。すると、祖母は笑顔でこう言った。

「ナゴミちゃん、二人をお願い」

「あっ、はい」

まったく信頼していない祖母だった。すると、家の中から祖父が出てきた。

「拓海とナゴミさん、もう出るのか」

「京子おばさんがすぐにでも行くっていうもんだからさぁ…」

まぁ当の本人は車内でぐっすり眠っていた。そんな様子をちらっと見て祖父は鼻で笑うと、何やら神妙な顔つきに変えて、俺に話しかけてきた。

「拓海よぅ。お前にできることはこんなことしかできなかった。すまん」

祖父が頭を下げくる、俺は戸惑いつつも、それを止めた。

「いやいやいや。原因を作ったこととは関係ないでしょ?」

「いや、それでも…離婚を止められなかったという責任というか…」

俺は知っていた。祖父が離婚を誰よりも反対していたことを。これからのことも踏まえ、俺らを困らせたくなかったのだろう。そんな超孫思いの祖父はとても気にしていたのだと思う。だから今、とても苦しい表情で俺を見ているのだろう。でも、俺はクスッと笑い、車の方に向かった。とてもイタイ捨て台詞を言って。

「そんなことで心配するならもっと違うことに使ってくれや。おじいはとても俺を気遣ってくれた。それで俺は幸せ者さ」

この場で振り返り、祖父の顔を見ることもできずそのまま車に乗った。助手席に大和も乗り込みそのまま出発した。

「ありがとうございましたー!」

大和は窓から顔を出し、二人に手を振っていた。俺は気にせず車を進めたつもりだったのだが、バックミラーに映る二人がいた。二人はなにか明るい表情でこちらに手を振っていた。

 

 

 俺は京都を西から東へ進んでいた。さっき、ナビで場所をセットした住所へと向かい、京子おばさんの営む店を目指している。ご本人は寝ているため、ナビを頼りつつ自力で行かなければならない。京都に二十年弱住んでいるだけあって大体の位置だけは理解していたのでまだ楽だった。

ちなみに俺は高校時代、学校や友人には秘密にして、免許を取得していた。それ以来、乗ることは少なかった。というのも最近運転したのが長野県へ旅行に行ったときに、交代で運転ときだ。

まぁ、学校にばれることを気にしていたチキン野郎には、それくらいしか乗ることができなかった。今では普通に乗っても大丈夫なのだが、自転車と電車通学が基本だったため、そこまで使わなかった。しかしながら、運転に関してはなんの問題ない。

だが、車中の空気が気まずかった。京子おばさんは眠っており、大和は外の景色を見ていた。おばさんが寝ているため、俺に話しかけるには気を使ったんだろう。そんな確証もない、ポジティブなことを考えながら運転していた。だが、無音のまま運転するのにはさすがに、無理があった。勇気をだして、大和に話しかけてみた。

「なぁ、大和」

「なんですか?」

「昼飯。何食べたい?」

ちょうど今がお昼時だった。しかも、家を出る前、祖母に三人の食事代3000円をもらっていた。まだ何を食べるのかは決まっていないため、大和に決めてもらおうと聞いてみたのだが、彼女は戸惑っていた。

「特に…食べたいものはないですよ。タクミさんの好きなところでいいですよ」

「そういわれてもなぁ…せっかくだし決めてくれよ」

「だから、タクミさんが決めてくださいよ」

「で、でも」

ちょうど赤信号で止まった。大和の顔を見た。するとなぜか二人とも笑顔が溢れた。互いに思いやりすぎたようだ。ちょっと照れくさかった。

「じゃあお言葉に甘えて…」

大和が言った。俺が改めて聞いた。

「何食べたい?」

「うーん…あっ、ラーメンが食べたいです!」

「ラーメンか、了解」

ちょうど青信号になり車を進め始めた。

 

 

  京都でラーメンといえば『北白川』が出てくる。この辺りには某有名なラーメン屋の本店があるくらい、ラーメン屋が軒並み並んでいる激戦区だった。そんなところなのだが、駐車場がすぐに見えたところに入った。ちなみにこの店もチェーン店の本店であり、ここで食べるのは久しぶりだ。駐車場に着くと同時におばさんを起こした。まだ眠そうだったが、無理にもつれて店に入った。店内はそこまで混雑はしていなかった。

「タクミさんはなにを食べるんですか?」

「うーん、醤油ラーメンかな?」

 なんやかんやで、スタンダードなラーメンが食べたかったので、それを頼むことにした。

「じゃあ、私も」

 大和も醤油ラーメンにするようだ。

「私は、塩ラーメンかな?」

おばさんだけ相反して、塩を頼む。

 全員が食べるものを決め、注文をした。そして、ラーメンが来るのを待つ時間を使い、店の事を聞いていた。しょうもない話だと思っていたが、結構大事な話をしていた。

「なるほど、とりあえず、接客が基本になるんですね?」

「そうそう。拓海とナゴミちゃんならできるわ」

 今から仕事の事というのに、とても面白げに話をしていた。そんな姿を見て、とても羨ましく思ったのだが、そんなことより別の事が気になった。それは、店でうまくやっていけるかということだ。

仕事をするということには問題ないのだが、大和の性格上、不安が募った。ああ見えてかなりおっちょこちょいなのだ。これを3日で気づけるくらいのレベルなので、とても気になる。

しかし、目の前で仲良く話す二人の姿を見ていると。もうそんなことなどどうでもよくなってきた。真剣に働くというよりも楽しんでやろうとする大和の姿勢が、とても頼もしかったからだ。そんな大和に負けじと、俺もおばさんの話に参加していった。

 

 

 

「とてもおいしかったわ」

「そうですね」

「久しぶりでとても美味かった」

 三人とも満足げな顔をして店から出てきた。そして、車に乗り込む。シートベルトをしてエンジンをつけて、再び車を走らせた。

ちなみに、昼はおばさんにおごってもらった。ということはまだ俺のポケットに3000円が残っている。どうしようか悩んでいると、おばさんが俺に言った。

「拓海―。夕食とか買いたいから、どっかよってもらっていいかしら?」

「お、おう…。じゃああそこでいいですか?」

「いいわよ」

あそことは、洛北にある中規模のショッピングセンターである。俺も小さなころはよく連れていってもらったものだ。わざわざそこに行かなくても、通り道にはスーパーもある。だが、面倒くさくなったので割かし近いここに入ることにした。

4階の駐車場に車を止めた。エンジンも止めるとすぐ、後ろ座席のドアが開き、真っ先に下りて行った。

「お、おばさん!?」

「先、行ってるわよ」

そういって手を振ると、エスカレーターで下へ向かった。まったく、元気なおばさんである。まるで子供のようだった。そんな姿を見て俺はため息を一つした。

「おばさん、行っちゃいましたね」

「そうだね、迷惑かけて悪いなぁ…」

「いえいえ、おかげさまで私は楽しいですよ」

確かに俺が過ごしてきた日々よりは明らか面白くなっていると思う。大和から笑顔も増えたし、俺も大分気分が楽である。しかし、それと同時に大和に負担がかかっていないか心配するようになっていた。本人の顔を見てみる。すると、不思議そうな顔でこちらを見ていた。

「とりあえず、行きましょうよ?」

「お、おう…」

 大和は俺の手を取り走っていった。

「ちょ、ちょい待てよ!」

大和に引っ張られてはならない。なぜなら彼女は…

 

 

 

「これいいなぁ…、あっこれも!」

 おばさんが次々にカートにものを入れていった。俺はそのカートを押しつつ、おばさんの後ろを付いていった。もちろん、大和も隣にいる。すると、おばさんが俺たちに向かって言った。

「そういえば、なんで二人とも来るのが遅かったの?」

「そ、それは…」

 おばさんから目をそらした。大和が手を引いて進んで行ったのはいいものの、案の定よくわからない方向へ進んで行った。もう少しで隣の建物へ行くところだった。そして、俺が引っ張っておばさんのもとまで行ったわけだ。いろいろと話したくなかった。そんな二人の姿を見て、微笑んだ。

「まぁいいわ。で、二人はほしいものカートに入れていきなさいよ」

「そんな…ほしいものなどないですよ」

 俺もうなずいた。すると、おばさんが言い返した。

「二人とも遠慮しないで。私に甘えてくれればいいのよ?」

 なんかどこかの駆逐艦を思い出したが、そんな感じで接してくるおばさんに対して愛想笑いするしかなかった。

 しばらく、話しながら歩いていたのだが、一つ疑問がずっと頭をよぎっていた。しびれを切らせた俺は直球に聞いてみることにした。

「おばさん?」

「なに拓海?ほしいものでもあった?」

「そうじゃなくて…おばさんお金大丈夫なの?まさか、酔ってんじゃないの?」

おばさんが笑いながら答えた。

「そんなー。酔ってなんかないわよー」

 酔っている人は大体そういうのだ。しかし、おばさんがすぐまじめな顔になって言った。

「お金ならあるわよ。こう見えてちょっとだけ、儲けてるからね!」

本当に酔っているようだ。俺は、そんなおばさんの姿を見ることしかできなかった。完全に不安になってきた。

 

 

そうこうしている間に買い物が終わった。大きな袋4つ分もの食品を購入した。俺が2つ持って、残りは1つずつ持っている状態だ。今回の買い物で使った金額は教えてくれなかったが、軽く1万5千円は超えていると思われる。

「たくさん買ったねぇ。これで当分は困らないかしらね」

生鮮食品はほとんどなかったため、この袋4つで1か月は持つほどの量だった。

「ナゴミちゃん、荷物重くない?大丈夫?」

「大丈夫ですよ」

大和は機嫌悪そうな顔をせず、笑顔で返事した。エスカレーターで駐車場を目指していた。するとある声が聞こえた。

「いらっしゃいませー。夏物入荷しました!」

女性店員の声だった。某有名服メーカーが宣伝していた。それを耳にしたおばさんは大和に話しかけた。

「ナゴミちゃん、服買に行こう!」

「え?」

本人は動揺していた。俺は買いに行くことには賛成だった。ちょうど夏用のズボンが2着ぐらいしかなく、あと2つくらいほしいのでちょうど買う機会ができたのだ。

「大和、買い物行こうよ。せっかくだし…ね?」

大和に言った。大和は恥ずかしそうにしながら答えた。

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

「じゃあ、いっしょに行きましょ?」

おばさんが大和を押していく。その時、あることに気が付いた。二人は荷物を置いて行ったのだ。地面に置かれた2つの袋を見て言った。

「荷物は!?」

「拓海、悪いけど車に持って行ってくれない?」

「えっ、ちょま…」

 答えも聞かずに店内へ消えていった。俺のズボンは当分2着らしい。荷物を置いて店内に行ったり、持って入ったりするのはちょっと邪魔になると思った俺は、仕方なく4つ持って駐車場へゆっくり向かった。

 

 

荷物をトランクに積もうとしたが一袋しか詰めなかった。代わりにおばさん一人しか乗らない後部座席に4つともおくことにした。そして、運転席に座り静かに待っていた。彼女らが来たのはその15分後だった。

「たくさん買った買った」

「本当に京子おばさんありがとうございます」

大和が改めて言った。

「いいのよ。ナゴミちゃんが楽しそうにしている姿を見るだけでも、買った価値があったと思うわ。こういう楽しいこと、私大好きやし」

とても嬉しそうだった。おばさんの元気な姿を目の当たりにして、ただものではないことが分かった。それが今日一番の教訓だった。ちなみに、買ってもらった大和は申し訳なさそうな顔をしていた。

そんな中、携帯が鳴る音がした。俺の知らない音、大和が持っていないことから察するにおばさんだった。おばさんは電話に出た。

「もしもし…」

おばさんが会話している間、大和に話しかけた。

「大和、何買ってもらったの?」

「えーと…上着とか、ワンピースとか、スカートとか、下着…とか」

顔を赤らめた。てかなぜ言ったし。言った本人も結構恥ずかしそうな顔をしていた。

「あああ、後、靴も…」

確かに、大和の手持ちには別の袋もあった。大和は一部の袋を開けて見せてくれた。

「へー可愛いじゃん」

率直な感想を述べた。すると、大和が嬉しそうに言った。

「そ、そうですか!?」

「大和ならきっと似合いよ」

「えぇ…」

大和は赤面しながら袋をぎゅっと抱きかかえていた。今にも気絶しそうな勢いだった。

「大和、大丈…」

「え!?」

急に後ろから大きな声が聞こえた。京子おばさんだ。

「わかったわ、今すぐいく」

おばさんは電話を切り、俺に向かって言った。

「すぐにお店に向かってちょうだい」

「り、了解」

俺はエンジンをつけ、駐車場から出て行った。

 

 

 

3人を乗せた車は市街地から離れ、山道を進んでいた。こんなジグザグの道を進んで行くのが初めての俺は、超チキン運転をしていた。

「もうちょっとスピード出せないの?」

「ちょ、これ以上は勘弁して」

「しょうがないわね、私がやるわ」

「待って、おばさん、お酒飲んだでしょ?」

急いでいるのになかなか着かないという現状だった。この道、一車線の割には狭いというかなりの難関道路だった。俺の場合、対向車が着たら一発KOだった。でも、対向車も来ず、まだ進んでいる方だった。

「で、仕事の件は?」

「あっ、そうだった」

おばさんは改まって言う。

「もう簡潔に言うけど、客の対応が追い付かないらしいのよ」

「なんで、今日に限って?」

「もともと今日は多い日だったし…後、私いなかったし…」

大変な日に俺らが来たらしい。戦力にもなれるかよくわからない二人を連れてくるために、一番の戦力を失っているわけだ。それをカバーしようとしているのか、大和が熱心に質問していた。

「で、私たちは何をすればいいのですか?」

「うーん…」

京子おばさんがとても真剣に考えていた。ついさっきまで酒を飲んだり、ショッピングセンターではしゃいでいたりしていたとは思えないくらい別人みたいだった。

「一人が、食事場。もう一人がフロント…かな?」

どちらも就職初日でできる仕事とは思えなかった。

「大丈夫なんですか?」

大和が聞く。すると、おばさんは複雑な顔をして言った。

「たぶん大丈夫よ。担当の人のいうことさえ聞いてやってもらえると大体カバーできるわ」

なんだか簡単そうな言い方だが難しそうだった。すると、おばさんが言った。

「今日は二人の初陣よ。さらにちゃんとした採用試験と思ってもらってもいいわ。全力で働きなさい!でも、今まで二人を見て確実にできる子だと思ってる。いや、確信してると言ってもいいわ。だから、二人とも全力で頑張るのですよ!!ほら、見えてきた!」

急に二車線になり、左手にある駐車場らしき場所に車を止めた。そして、降りて道路を挟んだ。向こう側を見た。入口や、周りの緑に侘寂を感じさせる、二階建ての和風建築だ。すると、おばさんが建物を指さし、誇らしげに言った。

「ここが私たちの店…旅館“都(みやこ)”よ!」

 そう、ここが俺たちが新しい人生の一歩を踏み出すことになった入り口だった。

 

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