いよいよ旅館に到着して初日のお話も終了ですね。ここから物語が始まると思うとちょっと胸アツです。
書く文章を考えすぎているのでいろんな人に迷惑をかけてしまっていますが、どうにかペースを考えて書いていきたいです…。
ガレージに着くと、もうすでに大和と京子おばさんがいた。そして、フロントに行く前におばさんに預けた車の鍵を使い、車から荷物を降ろしていた。
「遅くなってすみません」
俺は二人が作業しているところに入っていった。すると、おばさんが笑顔で迎えてくれた。
「お疲れー。初日から無理させちゃって悪いねぇ・・・」
「大丈夫ですよ。無理なんかしてないんで、心配しないでください」
俺は心苦しそうに言うおばさんに対して、なにも不快になど思わずに答えた。
「それでね、拓海。今から二人の部屋まで案内するわ。あと、荷物は持てるかしら?」
そういえば俺の荷物が段ボール4箱、大和がかばん一つ。あと、買い物でできた9袋・・・。明らかに三人で持つことはムリそうだ。困った物だ。
「ちょっと無理がありますかねぇ…」
「厳しいと思うで」
俺と大和は口をそろえて言う。さすがにダメだ。すると、京子おばさんがなにかひらめいたようだ。
「あっ、そういえば旅館に台車があったような気がする。取ってくるわ」
京子おばさんは旅館へ向かって走っていった。ちょうど旅館に入ろうとした時、旅館の扉から二人出てきた。一人は俺と同じくらいだが、もう一人が小結くらいにいそうな体型の持ち主だった。二人は出てすぐおばさんを見て、どっちなにかわからないが、声をかけてきた。
「京子さん、どうかしましたか?」
「あっ、晃太君と和成君!ちょうどいいところに!荷物運ぶの手伝ってくれない?」
「わかりました」
「お安いご用ですよ」
彼らの協力で荷物を全部運ぶことが出来そうだ。PCは俺が持ち、ほかの段ボールを彼らにお願いした。そして、荷物を持った一行は、京子おばさんを先頭に進み出した。すると、先頭の京子おばさんはガレージの隣にある階段をのぼりだした。ていうか、台車用意したところでここを通れるのかという疑問が頭に浮かんでいた。階段は急ではなく、外灯まであるため進むことに関してはなにも問題はなかった。だが、上を見て地味に長い事に気がついた。なんせ、この階段をぱっと見て100段前後あった。俺ら一行は無言で上りはじめた。
残り十五段くらいになったとき、向こう側に木の屋根らしきものが見えた。更に上るにつれて、その正体が明らかになってきた。昔、学校であった山の合宿施設的なコテージのような建物が見えてきた。すると、京子おばさんが言った。
「着いたわ。ここが私の家よ」
周りは自然で囲まれた隠れ家のような感じだった。そして、一行は玄関のある正面へと進み始めた。
*
リビングで五人、ゆったりお茶でも飲んでいた。家の中といい、外観といい、とても綺麗だった。築二年以内だと考えるのが妥当だった。すると、おばさんが俺の言葉を察したのかここの説明を始めた。
「そういえば、この家は五年前に夫と住む家として買ったのよ。旅館も近いし、なかなかいい立地やったからね」
みんなおばさんの話を聞いていた。どうやら、あの二人も初耳の部分が多いようだ。しばらく、ここの話をしていたのだが、話の矛先が僕ら二人へ向けられた。
「そういえば、まだ二人が来て何もしてないわね?」
「そんな事、気にしなくていいですよ」
大和が答えた。すると、小結の方が言った。
「せっかくなのでパーティーでもやりますか?」
「和成君、さすが!その意見採用よ。今からここでパーティーしましょう」
おばさんが立ち上がり答える。あの二人の拍手でおばさんを持ち上げた。
*
京子おばさんの思い付きで今からパーティーをやることになった。超唐突に決まったこのパーティーにはここの5人とまだ旅館にいる料理班の2人と、フロントの夏弦さんの総勢8人だ。これが旅館のスタッフ全員で、皆が揃うとだいぶにぎやかになった。すると、おばさんが声をかける。
「全員そろったわね。それじゃあ、パーティーを開催しましょう!」
みんな拍手で始まった。続けておばさんが司会のように進めていった。
「新しく入った拓海と和ちゃんにとりあえず、自己紹介からいきましょう」
おばさんは改めて言う。
「私は藤原 京子よ。旅館 都 のオーナーやし、わからないことは、なんでも聞いてちょうだい」
まったく、元気なおばさんである。でも、その元気さがおばさんのいいところだと思う。
「じゃあ僕が自己紹介します」
次は小結だ。
「八坂 和成と言います。ここでの仕事は清掃がメインです。よろしく」
「じゃあ次は僕だね。僕は宇治原 晃太。和成君と同じく清掃班さ。よろしくね」
この二人は荷物を運ぶのを手伝ってくれた二人だ。二人とも清掃班なのか…。この仕事はまだ見ていないのでよくわからんが裏の仕事として重要なことだ。ここにとって欠かせない人たちであることには間違いなかった。
「じゃあ次私」
あの小学生だ。
「私は御池 優よ。高2のアルバイト。私もここに入って一年もたってない新米だからよろしくね」
「西京 拓磨…です。料理担当なんで…またよろしく」
この二人は厨房で見かけた小学生とシェフだ。シェフは服を変えるとまた別人にも見えた。なんか少しチャラい服を着ている辺り、ただ者ではなさそうだ。で、小学生の事はまだ信用していない。
「俺が最後やね。拓海君には話したけど俺は山科 夏弦。フロント担当や。変な客に絡まれたら任せて!俺が助けたるわ!」
ここにきて最初にお世話になった方だ。体格がしっかりしており、初見やばい人だと思っていたが、とてもフレンドリーで面白い方だった。そのおかげで初対面なのに、仕事をしていくのが楽だった。
こうして、スタッフ全員の自己紹介が終わり、次はこちら。
「北大路 拓海です。京子おばさんの親戚です。一生懸命、この旅館がより良いところになっていくよう、全力で頑張りますのでよろしくお願いします!」
拍手が起こった。俺はこの拍手に応えられるように努力しなければいけないということだ。人一倍頑張ろうと決心した。
拍手が止み、次は大和だった。
「お、大宮 和です。私もタクミさんと同じでよくわからない事が多いですが頑張りますのでよろしくお願いします」
同じく拍手が起こった。俺は首をかしげていた。“大田 和”と言ってなかったっけ?と。その心の声が聞こえたのか、大和も俺をやっちゃったという顔をしていた。俺は微笑んだ。すると、向こうも微笑んだ。
「何二人笑ってんの?」
京子おばさんが聞く。すると、声をそろえて言う。
「「ちょっとね」」
おばさんは首を傾げた。俺はどうにか話を変えようと、とあることを提案した。
「おばさんおばさん。乾杯しませんか?」
すると、おばさんは顔色を変えて言った。
「いいわね。冷蔵庫からジュース取ってくるわ」
おばさんはコーラ、オレンジジュース、お茶を取り出し、各自好きな飲み物をグラスに入れた。全員が入れ終わると、おばさんが開催の音頭をとる。
「みんな注目。手にグラスは持ったね?では、カンパーイ!」
「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」
みんなコップを掲げた。ここから俺たちの新しい人生が始まるのだ。その大事な仲間はこんなにも良い人たちばかりだった。そのため、俺も大和も期待に満ち溢れた未来を目指そうと心に決めたのだった。
*
パーティーも終わり、荷物を自分の部屋に置いた。ちなみに部屋は二階にあり、大和は隣の部屋を使っている。俺の部屋は昔の部屋を少し大きくしたような感じ。さらにはベットや棚、クローゼットまであった。さらには、夏弦さんがLANケーブルが使える環境まで用意してくれたという。本当に至れり尽くせりだった。
とりあえずPCをセットし、実際ネットに接続しての確認作業もやった。さらには、一階にあるプリンターに接続までさせてもらい、パーティーの最後全員が写った集合写真を3枚印刷し、京子おばさんと大和に配った。二人とも喜んでいた。そして、風呂に入り、上がってもう寝るだけだ。ちなみに、大和は先に風呂に入り、写真を受け取った後すぐ寝たのか消灯しているのが分かった。
俺は久しぶりにネット友にこれまでの事を話すことにした。スカイプを起動し、これまでの状況を説明した。しかし、大和の存在は隠した。別に意味はないが隠して就職したところまでチャットで書いた。
すると俺は急に疲れが回ってきてベットに飛び込んだ。そして、横目で今日撮った画像を見た。8人ともとても楽しそうにはしゃいでいた。特に大和が子供みたいに楽しそうにしていた。あの笑顔、何回見ても思いだす。俺は一人でに微笑んだ。そして、最後の力を振り絞り、照明とPCの電源を消し、またベットに飛び込んだ。
この三日間で俺の人生は180度変わった。あの日がすべてを変えた。俺を何も変わらないただ悲しい生活から毎日が楽しみな日々を過ごせるような生活に変えてくれたあの日あの時…。そう、大和に出会ってから…。