あの約束を   作:厨二王子

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今更ながら三船リトルの打順を。
前原 ショート
長谷川 セカンド
小森 キャッチャー
吾郎 ピッチャー
田辺 ファースト
清水 レフト
亮太 ライト
沢村 センター
夏目 サード

はい、ということで鶴田くんがいなくなりました。まっ、覚えてないか……。


18話 始めての一歩

 最初はいじけていた吾郎だが、監督の話を聞くと立ち直り、ほかの皆とも仲直りしたようだ。ちなみに試合の後に聞いたんだが、あの美人は吾郎の保護者で、桃子さんというらしい。保育園の先生だとか……うらやま。俺は自分の保育園の先生を思い出し、悲しい現実に涙を流した。

 

「どうやら、立ち直ったみたいだな」

 

「ああ。本田吾郎、完全復活だぜ!」

 

「次の回は俺の攻撃があるし、完全に追い討ちかけますか」

 

「期待してるぜ」

 

 俺は吾郎と話すと、次の打順の清水に話し掛けた。

 

「緊張してるかーい?」

 

「うっせ、話し掛けるな」

 

「まぁまぁ。もしも、ボールを当てたら、全力で一塁まで走れよ。あっ、バットはしっかり置くんだぞ」

 

「分かってるよ!」

 

 清水は俺に怒鳴ると、打席に向かって行った。

 

 ……さてさて、次は俺の打席だし、バット振っておきますか。

 

 俺は清水が打席に向かって行ったのを見送ると、バットを振り始めた。

 

 

 

 

 

 俺がバットを振っていると、バットに球が当たる音が聞こえた。どうやら、清水がヒットを打ったようだ。しかも、さっき俺が言った通り、バットを置いてきてる。

 清水がバットに当てた球はサードの方に飛んでいく。しかし、サードは取り損ない、少しバランスを崩した。吾郎は大声で清水に叫ぶ。

 

「突っ込めー!」

 

 清水は一塁へ着く寸前、体が前向きに倒れる。しかし、その先には……。

 

「セーフ」

 

 審判の声が、グラウンドに響き渡った。

 

「おいおい、やったぜ。次の打席は……」

 

「亮太、続けー!」

 

 吾郎が俺に大きな声で叫んでくる。まったく、そんなでかい声出さなくても聞こえてるって。

 俺はやれやれと言いながら、打席を立った。

 

 

 

 

 

 俺が打席に立つと、敵のベンチでなにやら沢村の親父が大きい声で話しているようだ。沢村の親父の話を聞いた相手の監督が、敵のピッチャーに指示を出す。すると、ピッチャーの顔つきが変わった。

 

 ……なるほど、ついに本気出しますか。

 

 相手のピッチャーが大きく振りかぶり投げると、その球は先程までの山なりの球なんかではなく、100キロ以上は出ている速球だったコースは見事にど真ん中。

 どうやら、そう簡単には終わらせてくれないようだ。

 

 

 

 

 

「ちっ、くそう。そこまでして勝ちたいのかよ。きたねーぞ」

 

「そうよ、そうよ」

 

 沢村と清水が相手のピッチャーにブーイングの声をあげる。しかし、俺は先程から亮太のバッティングホームについて考えていた。

 

「おい、どうしたんだよ本田」

 

「ここで決まるな」

 

「えっ?」

 

「お前らじゃ、分からないか。あいつのスイング、半端ないぜ」

 

 俺は沢村の質問に答えると、再び視線を打席に立つ亮太に戻した。

 

 

 

 

 

「……」

 

 俺は徐々に集中力を上げて行く。ピッチャーは再び手を大きく振り上げて、投げた。

 俺はまたストレートだと思いバットを思いっきりスイングする。しかし予想ははずれ、球は右に曲がった。

 

 ……ちっ。

 

 俺はバットを振る途中で、強引に球を当てに行く。俺が当てた球はファーストよりも、思いっきり右にはずれて……。

 

「ファール」

 

 これでストライクが二つ、追い込まれた。

 俺は慌てることなく、冷静になる。俺はあの二人と約束してから、決してただ遊んできたわけじゃない。筋トレやランニングと同じくらいにやってきた。外野を選んだ理由も楽そうだったという理由だったが、決して楽じゃなかったしな。親父の特訓も地獄だったし……。そして今日、俺はメジャーへの始めての小さな一歩を踏み出す。

 

「ふぅー」

 

 俺は軽く息を吐き、自分を落ち着かせる。俺は直ぐ次に来るコースを予想し、打つ球を絞り、相手の球に食らい付いていった。

 

 

 

 

 

「おいおい、どんだけ粘るんだよ」

 

「ほえー、すごい」

 

 沢村と清水は亮太のバッティングを見て、驚きの声を上げる。しかし、俺はあることに気づいた。

 

「沢村、清水。気づいたか?」

 

「えっ、何に?」

 

「距離だよ。どんどん伸びてるぜ」

 

「そういえば……」

 

 どうやら、二人も思い当たったようだ。すると、監督が俺に声を掛けてきた。

 

「吾郎くん。先程の肩といい、このバットコントロールといい、彼は一体何者なんだい?」

 

「なに、俺と同じ只の野球少年ですよ」

 

 俺はそんな監督の問いに、笑って答えた。

 

 

 

 

 

 俺は一回ファールになる度に、球の飛ばす距離を伸ばしていく。狙うはあの一球。そして、ついに十球目、俺の狙った球がやってきた。そう、少し浮いたカーブ。俺がその球を見逃すはずもなく、フルスイング。そして球はバットに当たる。そして、俺のバットに当たった球は外野方面に飛んでいき、ついにバックフェンスを越えた。グラウンドに一瞬静寂が訪れる。そして、こっちのチームのベンチに大きな歓声が上がった。

 

「俺の……いや、俺たちの勝ちだ!」

 

 このホームランにより、相手のチームに勝ち越しの二点という大きな打撃を与えた。

 この後、相手のチームに覚醒した吾郎から点を取ることができず、試合終了。四対一で今回の試合は幕が閉じる。

  こうして、俺たち三船リトルは初勝利という、新たな一歩を踏み出した。

 

 

 

 

  ちなみに、この後桃子さんの胸へ飛び込んでいったら、吾郎に殴られて阻止された。……何故だ?




試合終了 4対1 三船リトルの勝利

さて、次回ですが吾郎くんの横浜リトルの話はとばします。この時ですが原作通り、涼子と吾郎は会わないことにします。
そしてアメリカですが……オリ主は行けるのか。次回をお楽しみに。

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