あの約束を   作:厨二王子

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二日連続更新。


20話 女子高生

「はっ……いけない、ついつい気を失ってしまった」

 

「はぁ、何言ってんだよ。それより、速くここから離れようぜ」

 

 沢村は俺に速くコンビニから離れるように提案して来た。隣にいる小森も見てみるが、沢村の意見に賛成のようだ。しかし……。

 

「悪いな、二人とも。女子高生が困っているんだ」

 

「おいおい、嫌な予感が……」

 

「もしかして……」

 

 沢村と小森はこの後、俺の行動を予想できたのか二人共溜め息を吐いた。

 

「なら、やることは決まっている」

 

「あの~、拒否権は……?」

 

「俺に作戦がある。聞いてくれ」

 

「ないのね……」

 

 こうして、沢村と小森は亮太が立てた女子高生救出作戦に巻き込まれた。

 

 

「お嬢ちゃん、一緒に遊ばない?」

 

「楽しいことしようぜ!」

 

「……」

 

 私は周りの不良の話を無視して、先へ進もうとする。しかし、不良品たちは彼女の進む道を拒んだ。

 

「あれ~、どこ行くの?」

 

「どいて」

 

「何、聞こえないな~」

 

 すると、一人の不良の手が私の肩に触れる。

 

「すいませーん、そこ通りたいんですけど」

 

 その瞬間、一人の少年の声が響いた。

 

 

 

 

「すいませーん、そこ通りたいんですけど」

 

 俺は不良たちに話し掛ける。すると、彼らはテンプレ通りの反応をした。

 

「あぁ?ガキが何言ってやがる。あっち行きな!」

 

「しっしっ!」

 

 ここまでは予想通り。そして俺は作戦第二段階に移した。

 

「あのねー、お兄さんたちが退いてくれないから、さっきお巡りさん呼んじゃった。もうすぐ来ると思うよ」

 

「あぁ、んなことあるわけ……」

 

「「お巡りさん、こっちです」」

 

 不良がありえないと言おうとした時、コンビニから少し離れたところから、警察を呼ぶ声がした。すると、不良たちの様子が変わる。

 

「ちっ、仕方ない。引くぞ」

 

「おっ、おう」

 

 不良たちは警察のことは半信半疑のようだが、最悪の可能性を考えてコンビニから去って行った。

 

「大丈夫ですか?」

 

 俺が子供らしく、女子高生の安否を確認した。すると、彼女は俺の姿を見て一瞬目を丸くし、笑顔で言葉を返してくる。

 

「大丈夫よ。ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 俺も子供らしく、笑顔で照れたふりをした。すると、彼女は……。

 

「アイスでも奢るわ。そこに隠れてる二人にもね」

 

 彼女が一言告げると、コンビニの裏に隠れていた沢村と小森が出てくる。

 

「あっ、本当ですか。ありがとうございます」

 

「えっ、えっと。どうも……」

 

 沢村はあからさまに嬉しそうな顔をし、小森は遠慮がちに返事をした。

 

「……」

 

 そして、俺だけは気付いていた。彼女が見せた、俺たちが着ている野球のユニフォームを見た変わった反応に……。

 

 

 不良に絡まれいた女子高生にアイスを奢って貰うと、彼女が俺たちに質問してきた。

 

「あなたちはどこかの野球チームに入っているの?」

 

「はい、三船ドルフィンズっていうところに。聞いたこともないかもしれないけど……」

 

「ふーん」

 

「じゃあさ、お姉さんはどこの高校に通ってるの?」

 

 俺がまた子供らしく質問すると、彼女は目を鋭くさせて答えた。

 

「私、これでも高校野球部の監督やってるの。だから、人を見る目はあるんだ。だからその演技、やめていいわよ」

 

「なんだ、気付いてたのか。それで、どこの高校?」

 

 俺は彼女に素を暴かれても、気にせず質問した。

 

「海堂高校」

 

 ……海堂高校。確かここ神奈川の甲子園、常連高だったな。

 

「すごいや、あの名門高の監督やってるんだ!」

 

 小森はその高校のことを知っていたのか、興奮しながら答える。沢村はやっぱり知らないらしい。

 

「二軍だけどね……」

 

「それでも……すごいです」

 

「ありがと」

 

 彼女は笑顔で小森にお礼を言った。そして次に、俺が質問した。

 

「ねぇ、海堂高校って確か神奈川でも横浜の方の高校だよね。何で三船まで来たの?」

 

「夏の予選の調整に練習試合に来たのよ」

 

「……」

 

 俺は彼女の今の言い方が気になった。そして、俺は彼女にとって、核心を突く質問をする。

 

「じゃあ、名門海堂の二軍監督に質問。あなたにとって、野球で最も大事なものってなんですか?」

 

「……結果よ」

 

 俺はこの時、彼女に小さな迷いを感じた。

 

 

「結果、ね……」

 

「そうよ、悪い?」

 

「いや、別に」

 

 俺は彼女の言葉を軽く返す。彼女の仮面が少しずつ剥がれてきた。すると、沢村がこの空気を変えるべく、口を開く。

 

「そういえば、他の選手たちはどうしたんですか?」

 

「高校に帰ったわ。私もこれから帰るとこだったの」

 

「はは、そうなんですか……」

 

沢村は乾いた笑顔で言うと、再び静かになる。

 そしてこのまま解散しそうな時、俺は彼女に一つ御願いをした。

 

「そうだ。ぜひ、名門海堂高校の練習を見てみたいな」

 

「なんですって?」

 

 彼女は俺の発言を聞き、睨めつけた。すると、彼女はこちらを睨めつけた後、にやりと笑って答える。

 

「いいわ、今回助けてくれたお礼よ。小学生のあなたには少し速い気がするけれど、見せて上げるわ。海堂のマニュアル野球を」

 

「それは、楽しみだ」

 

 俺が挑発的に言うと、彼女は懐から二千円を取りだし、俺に渡した。

 

「それは交通費よ。明日の二時に正門前に来て頂戴。後、海堂高校の正門に着いたら、警備員に言いなさい。話を付けておいて上げるから」

 

「それで、なんて言えば?」

 

「早乙女静香に呼ばれ来た……ってね」

 

「はいよ」

 

 こうして突然、俺の海堂高校の見学が決まった。




はい、まさかの早乙女さん登場回でした。ちなみに年齢は予想です。大体このくらいかな~的な。なので、あんまりそこは突っ込まないでくれると嬉しいです。では、次回もお楽しみに!

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