半端者の半生   作:八連装豆鉄砲

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十二話

即席の砦は陰陽師達の式神と民達を動かし一日で完成した。まあ、築地はただ土を高く積んだだけのもので見かけ倒しでしかない。

殆どの鬼達がこちらに寄る迄の時間稼ぎになりさえすればそれで良い。

 

要は浅い堀だ。

 

「陰陽師殿これを堀に流し込めればよいので?」

 

「お願いします。」

 

既に水の張られた浅堀に注ぎ込まれるモノ見る。

………、京の大火は収まったであろうか…。

 

鬼達の勢力をある程度殺ぐことができるように今回の策を練ったが、人間と鬼の間には隔絶した力の差がある。その差をひっくり返すための策だ。

 

非道であるかどうか等考えない。

 

さて、行きますか。

 

◆◆◆◆◆

 

暗がりの中騒ぐ鬼共に目を向ける…。

 

陰陽師達による待ち伏せで拐われた姫君を救いそのまま山陰道に沿って逃げ件の砦に鬼を誘き寄せる、か…。

 

鬼達を見つけることには苦労などしなかった。斥候の兵の伝えた通り奴らは山陰道に沿って大江山へ向かっていた。

 

今は夜なのであるが容易に見つけることができた。

 

何故、暗闇の中容易に見つけることができたのか?

 

奴らが煌々と明かりを焚いているからだ。

 

何故、明かりを焚いているのか?

 

奴らがおそらく京で奪った酒等で宴を開いているからだ。

 

何を、焚いているのか?

 

そこにあった()だ。

 

奴らは山陰道の近くにあった村を襲いそこで宴を開いているのだ。

 

煌々と照された『村だったモノ』の中には血溜を作った屍らしきモノがいくつも見える。脚がないもの、頭がないものなど様々だ。

 

怒りで拳を握る力が強くなる。

 

此で確信した。京で襲った邸等に火を放ったのは奴らだ。

 

なにが嘘が嫌うだ、なにが謀を忌むだ。

 

どう考えても此は外道そのものだ。

 

外道には外道で応えるまで。策には何も変更はない。

 

 

現在私達陰陽師の一行は二十間ほど離れた結界の中にいる。結界の外から我々の姿や気配は感じることはできない。

 

結界の中から村の中を窺う。

 

周囲の見張りすらたてずに皆が皆宴に興じている。

呑気なものだ。

 

拐われているという姫を探す…、焼けてない家が何軒かあるから、その中に入れられているのかもしれない。

 

◆◆◆◆◆

 

先にも述べた通り見張りの一人も居ないため容易に村に忍び込むことはできた。先ほどから一つ一つ中を確認している、

 

残り幾つかに差し掛かった時、その家の中から気配が感じられた。

 

中から妖気は感じられない。おそらく、ここだ。

 

中を警戒しながらも出入口から中を窺う。

 

中には小袖と袴姿の少女が猿轡と縄に掛けられ横になっていた。

 

良かった、気は失っているようだが、息はちゃんとある。

 

さて、正念場はここからだ。おそらく見張りがおざなりになっている今であれば簡単に脱出できるであろう。

 

さてこの村を出ますか。とは言え、この娘は親を始め一族郎党皆殺しにされておりこれからは身寄りの無い身だ。彼女の境遇には同情せざるを得ない。私も小さい頃に片親を無くした身だがそんな事とは比べ物にならないだろう。

 

◆◆◆◆◆

 

その後無事に村の外で待機していた他の陰陽師とも合流し、まだ気を失ったままの彼女を先に砦へと先程送らせた。結局村全体を見回れる範囲で息が有ったのは彼女だけであった。もっとも見回れない範囲には鬼共がいた範囲だから望みは薄いと考えられる…。

 

さて、始めるとしよう。すぐに移動できるように騎乗した上で強力な呪い(まじない)と封印術を施した破魔矢を引き絞る、狙いはあの鬼だ。

 

きゃんと音と共に矢を放つ。

 

頭に命中、そのままその鬼は地に倒れた。

 

さて、先程かがり火も焚いたことでようやく奴らもこちらに気付いたようだ。

 

これからは砦へ向かうだけだ、手綱を握り周囲の陰陽師にも声をかける。

 

「さあ、征くぞ。」




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