インフィニット・ストラトス ~ぼっちが転校してきました~   作:セオンです

24 / 28
お久しぶりです!
体調を崩して更新が遅くなってしまいました。
申し訳ありません。

ここまで引っ張っといてなんですが、文章は今まで通りのクオリティ…。
成長しろよ…。

これからも頑張って更新するのでよろしくです!
では、どうぞ。



第24話 彼と彼女は練習を始める

八幡と簪は教師にアリーナの使用許可をとり、今現在第2アリーナにISスーツに着替えてピットにいた。

 

え、ほんとに今から練習すんの?

めんどくさいんですけど…。

帰って寝たい…。

 

「八幡、聞いてる?」

「あぁ、聞いてる聞いてる。何なら聞きすぎてもう聞きたくないまである。」

「…絶対聞いてなかった。」

 

簪にそう言われ、八幡は図星だったのか目をそらす。

その様子を見て簪は小さくため息をはく。

 

「八幡、もう一回言うからちゃんと聞いて。」

「わかったよ。」

「私の専用機がどこまで戦えるか、戦闘データがほしい。だから、まずは私と模擬戦して。」

「わかった。」

「それから作戦を考える。これでいきたいと思うんだけど。」

 

そう言うと簪は不安気な目を八幡に向ける。

八幡はそれに気づくと小さく息を吐き、小さく微笑むとこう答えた。

 

「あぁ、それでいいぞ。まずはお互いにどういう性能か知る必要がありそうだしな。」

 

そう言いながら無意識に簪の頭に手を運んで撫でていた。

 

あれ?

俺何しちゃってるのん?

ほら、更識が顔を真っ赤にして怒っていらっしゃる。

ごめんね?

すぐどけるから命だけはお助けを。

 

「わり。」

 

そう言いながら手を離すと名残惜しそうな顔をしながら、簪は彼に目を向けた。

 

「もっとやってくれてもよかった…。」

「え?何だって?」

「何でもない。」

 

俺、難聴系主人公にでもなっちゃった?

いや、でも声が小さすぎて聞こえなかっただけだからね?

ほんとだよ?

ハチマンウソツイタコトナイ。

 

そんなことを思っていると、簪が右手を差し出し専用機の名前を呼ぶ。

 

「来て、打鉄弐式。」

 

打鉄弐式と呼ばれたその機体は、上半身にほぼ装甲がなく身軽そうな見た目とは裏腹に、翼や脚部が若干重装甲になっている。

八幡はそれを見て、彼女の専用機がどのようなものかを想像する。

 

打鉄と名前についているくらいだ。

その系統なのだろう。

ということは第二世代型か。

じゃあ、打鉄ってことは防御寄りなのか?

いや、それはないだろう。

防御寄りであるのなら、脚部スラスターや翼部スラスター何かはそんなに多くないだろう。

となると、機動型か。

って、ついあの人のようなことをしてしまったぜ。

…思い出したらなんか疲れてきた。

 

そんなことを思いつつ、八幡は左腕にあるバングルを右手で触れつつ、こう呟く。

 

「来い、朧夜。」

 

八幡を一瞬で漆黒の鎧が身を包む。

簪は改めて八幡の専用機をまじまじと眺める。

 

「更識、その機体は初期化と最適化はもう済んでるのか?」

「え、うん。終わってる。慣らし運転も終わってるけど、まだ戦闘はやってない。」

「わかった。なら先いってるぞ。」

 

八幡はそう言うとカタパルトまで行き、ピットの外に飛び出ていく。

それに続いて簪もピットから飛んで出ていく。

 

「よし。じゃあどうする?タッグトーナメント形式でシールドエネルギーを全部切れるまでやるか、それとも半分切ったら終わりにするか。」

「半分でいい。」

「了解。なら、行くぞ。」

 

八幡はそう言うと手始めに両手に新星と鬼星をグリップさせ、簪に銃口を向け発砲する。

簪はそれを見事な機動力で避け、隙を見て反撃の山嵐を八幡に向けて発射した。

 

ミサイルか?

避ければって、マルチロックオンシステムが使われてるのかよ。

めんどくせぇな。

 

八幡はミサイルから距離をとりながら移動し、背中の流星をミサイルに向けてパージする。

流星は複雑な動きをしながら次々とミサイルを落としていく。

簪はそれに驚きながらも、八幡に近づいていき夢現を両手に持ち、それを振るう。

八幡は若干対応が遅れたが、何とか星影で受け止めると流星を簪に向ける。

簪はそれに気付き一旦離れるが、流星は簪を追い続けビームを浴びせていく。

八幡はその間に彗星を出し、動き回る簪に狙いを定め引き金を引いていく。

その攻撃を彼女は避けるが、全て避けきれるわけもなく被弾して少しずつ追い込まれていく。

 

強い。

これが、八幡の実力。

敵わない。

でも、私だって強くなるんだ。

だから…。

 

簪は夢現で反撃しようとするが、流星に行動を制限され中々八幡のもとに突っ込むことができない。

八幡もじわりじわりと追い込んでいくため、一定の距離を保ちながら引き金を引く。

 

これでいつかは更識のシールドエネルギーは減っていくだろう。

なら、このままあまり動かずに撃っていくか。

この方が楽だし。

 

そう思っていると、簪の専用機の背中に何かが出てきた。

 

「いくよ、打鉄弐式!」

 

荷電粒子砲を八幡に向けて撃つ。

八幡はいきなりの事で驚きながらも、何とかそれを避ける。

 

おいおい、荷電粒子砲まであるのかよ。

もしかして俺と同じオールレンジ攻撃が可能なのか?

いや、流星みたいなのもないし、ライフルなんかもなさそうだ。

となると、タッグトーナメントでは難しい立ち位置にいるな。

だが、俺と連携をとるなら支援してくれるといいな。

いや、俺前に出たくないけどね。

 

そんなことを思いつつ、荷電粒子砲を避けていく八幡。

簪はそれに若干苛立ちながらもめげずに射ち続ける。

八幡は彗星を戻し両手に十六夜と朔光を握り、簪に向かって肉薄する。

それを見て驚いていたが、すぐに長刀、夢現を両手で握り交戦する。

八幡の流れるような鮮やかな剣筋を何とか防ぎつつ反撃しようとするが、どうしても防戦一方になってしまった。

 

「どうした?その程度か?」

「そう、かもしれない。」

 

何だよ。

もう諦めるのかよ。

 

八幡はそう思ったが、簪から次の言葉を言われ認識を改めた。

 

「だけど、負けたくないから、諦めない。」

 

その言葉を聞き、八幡の口許に笑みがこぼれる。

 

何だよ、良い顔してるじゃねぇか。

それに、もう誰にも依存してなさそうだな。

 

「そうか。」

「うん。八幡にも、負けたくない。」

 

必死に食いついてくる簪を見ながら、八幡は徐々に剣速を速めていく。

簪はそれを受けつつ、内心で敵わない、そう思っていた。

それは現実のものとなり、ついに八幡の攻撃が簪に届くようになっていった。

打鉄弐式のシールドエネルギーはだんだんと減っていき、もう少しで半分になりそうになったとき、簪は山嵐を起動させミサイルを八幡に向けて放つ。

八幡は咄嗟に簪から離れ、星影で数発を受け止め、残りを二振りの刀剣で切り裂くとその勢いのまま簪に斬りかかる。

爆発した影響か、煙で八幡の行動を見ることができない簪は距離をとろうとスラスターを噴射したが、すでに目の前になぜか刀を振りかぶっている八幡の姿が見えた。

 

どうして?

さっきまでいなかったのに!

 

混乱しつつも夢現で防ごうとしたとき、簪に衝撃が襲った。

 

なに!?

 

衝撃をした方を向くと、そこにはエネルギーで構成された剣が打鉄弐式を捉えていた。

その攻撃で簪のシールドエネルギーは半分を切り勝敗が決した。

簪は上空で俯きながら、アリーナのグラウンドへと降り立つ。

そんな彼女の様子を見て八幡もグラウンドへと降りていく。

 

「やっぱり、勝てなかった。」

「ま、まだこれからだろ。気にすんなよ。」

「でも、悔しい。」

 

そうか。

こいつは勝つ気でいたんだな。

俺は常に負けたいと思ってるけどな。

何なら負けたいと思ってなくても負けているまである。

あれ、目から涙が…。

 

「だから八幡、私を鍛えて。」

 

真剣な眼差しで八幡に訴える簪。

その目を見て断る勇気を八幡は持っていなかった。

 

「わかったよ。めんどくせぇ。」

 

最後の言葉は小さく呟いたはずだが、簪の耳に届いていたようでムッとした顔をしていた。

 

「八幡、私と特訓するのいや?」

 

特訓が、というより働きたくないんです。

というより働いたら負けと思ってるまである。

何なら専業主夫になるのもめんどくさくなりつつあるレベル。

いや、考えても見ろ、束さんの専業主夫にでもなってみろ。

ものの1日で胃に穴が開くぞ。

何なら半日で限界を迎えるまである。

 

そんなことを思ってても口に出さず、事実を話すことにした。

 

「いや、お前は別に特訓とかいらんだろ。日本の代表候補生なんだし。実力は申し分ないと思うぞ。ただ、まぁ、何だ?お前と俺はタッグだから、連携をとれなきゃいけないからな。仕方ないから練習だけは付き合ってやる。」

 

目をそらしながら、若干頬を染めながらそう言った。

簪はしばらくぽかんとしていたが、すぐにくすくすと小さく笑い始め、八幡にこう言った。

 

「八幡って素直じゃない。」

「ばっかお前!俺なんか超素直だからな。働きたくないって常に言ってるレベル。」

「必死すぎ。」

「ぐっ…。」

 

おい、こいつってこんな性格だったか?

かわい…げふんげふん、こうしてた方が生き生きしてて良いんじゃねぇの?

いや、まぁ、知らんけど。

 

そんなことを思いつつ、八幡の顔が少しだけだらしなくなっていると、朧夜の警告を示すアラームが八幡の耳に響き渡る。

一気に真剣な眼差しになる八幡。

咄嗟に星影を起動させ、簪もろとも守りの体勢に入る。

八幡は全神経を集中させ、辺りを見回す。

 

誰だ?

さっきのはロックオンされた音だったぞ。

 

そう思いつつ、殺気を身に纏い睨むようにある一点を眺めていた。

その方向は八幡を狙撃したであろう人物がいる方向だった。

 

あれは…黒い機体か…。

は?

何であいつが撃ってくるんだよ。

ボーデヴィッヒさん。

 

ラウラは何故かシュヴァルツェア・レーゲンを纏い、八幡を睨み付けていた。

彼女だけでなく、その少し前にはシャルロットが隠れて潜んでおり、ライフルを構えて狙撃をしようとしていた。

 

っていうか、何で俺狙われてるの?

賞金首かなんかなの?

俺にかけられてる賞金なんてたかが知れてるだろうに…。

言ってて泣けてきた。

 

八幡は目を若干腐らせながらチャネルをオープンにし、シャルロットとラウラに通信を繋げる。

 

「おい、何で撃ってくるんだよ。」

「嫁よ、私というものがいながら他の女にデレデレするとは、良い度胸しているな。」

「ちょっと待て、俺がいつデレデレしたと?そんなことはしていない。無実だ、冤罪だ。何なら俺がそんなことしたらお縄になるまである。」

 

更に言うなら見ただけで通報されるレベル。

何それ、俺の自由無さすぎ…。

 

「八幡、嘘はいけないよ?」

「えー…。」

「でも八幡、そこにいる人を一瞬でも可愛いって思ったよね?」

 

は?

いやいやいや、思ってないよ?

ほんとだよ?

ハチマンウソツカナイ。

 

「そ、しょんなこと思ってないれしゅよ?」

「可愛いって…。」

 

八幡の後ろでは簪が顔を真っ赤にして俯いていた。

それを見たシャルロットとラウラの二人は八幡を睨み付ける。

 

「八幡、思ってたよね?」

「嫁、どうなんだ。」

 

高圧的に八幡の前に立つ二人。

八幡は彼女たちを見てすぐに土下座へと行動を移した。

 

「すいませんでした。」

 

あれ、何で俺謝ってんの?

理不尽じゃね?

っていうか、可愛いって思っちゃダメなのかよ。

可愛いは正義なんだぞ。

何なら小町は可愛いから小町の存在は正義となるまである。

わかったか!!

 

「ねぇ、そんなのわからないよ。」

「そうか、可愛いは嫁にとっての正義か。なら私たちの正義はデレデレした嫁をこらしめること、ではダメか?」

 

ちょっと?

お二人さん、落ち着こう?

ほら深呼吸して。

だからそのプラズマ手刀とパイルバンカーを仕舞おう。

ね?

今のあなたたちは怖いから。

っていうか、普通にしてた方が可愛い。

何ならすぐに告白しても良いレベル。」

 

「八幡!?」

「い、いいいいいきなり何を言うんだ、嫁は!」

「は?」

「八幡、口に出てた。」

 

嘘だろ。

絶対殺されるわ。

だって顔を真っ赤にして怒ってらっしゃる。

っていうか更識さん、声が冷たいです。

前門の虎、後門の狼を実体験してる比企谷八幡です。

うーん、これは違うな。

だって危機は前からしかないもん。

 

そんなことを思っていると、シャルロットとラウラが口を開いた。

 

「まぁ、今回だけは許してあげよっか。ね、ラウラ。」

「そうだな。シャルロットの言うとおりだな。」

 

そう言うと二人は簪の方に目を向け、火花が散りそうなほど強い視線を交わしていた。

 

怖い怖い怖い。

あと怖い。

え、何?

女ってこんな目出来るの?

超怖いんですけど。

小町、お前だけはやるなよ。

これお兄ちゃんとの約束ね。

破ったら八幡的にポイント大暴落。

むしろ、この世界が恐慌に陥るレベルで落ちるまである。

 

しばらくそうしていた彼女たちだが、シャルロットとラウラがISを解き、歩き去っていくと簪は小さく息を吐き出した。

 

八幡って、罪な男。

天然のたらし?

ジゴロ?

うーん。

ライバル多いな。

 

そう思った簪であった。

その一方で地面に正座している八幡はどんな思いでいるかなどわかるはずもなく、女って怖いと思いながら立ち上がるのだった。

 




え?話が進んでないって?
いつものことだから気にしたらダメですよ?
次は頑張って話を進めますので、よろしくです。

ヒロインがどんどん増えていく。
それと…
簪ちゃんの口調難しい…。

では、次のお話で。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。