インフィニット・ストラトス ~ぼっちが転校してきました~ 作:セオンです
それと、皆さんお久しぶりです!
ほんと、遅筆ですいません。
更新を待っていただいている読者の皆さんに心からお詫びします。
という事で、サブタイに初めて?人物名が入りました。
まぁ、あまりそれは関係ないのですが…(笑)
今回はタッグマッチトーナメントが始まりました。
えー、作者はですね、原作を持ってないのでおかしいところがあるかもしれませんが、スルーでお願いします。
それはもうドライブスルー的な感じで。(あまりうまいことは言えてない)
気を取り直しまして、どうやって終わらせようか、ちょっと悩んでます(笑)
まぁ、なるようになるでしょ。
と、言うことで第26話、どうぞ。
タッグマッチトーナメント。
専用機持ちのみで行われるトーナメント式の模擬戦闘行事。
その本来の目的は学園側が機体の性能を見るためではなく、さらにはみんな仲良くやることでもない。
戦闘において、チームワークの重要性と作戦の立案など、前の事件などを踏まえて専用機持ちのスキルアップを目指したものだ。
とはいえ、戦争をするものではないので、例えば前回の福音の事件のようなことが起きたときに対処できるようにとの考えだ。
そうは言ってもやはり各々の力を見るためにこれは開かれているものであり、さらに言えば、IS企業やその国のトップ達は自国の代表候補生がどれぐらいのものか気になるものであり、他の専用機持ちの実力も知りたいものだ。
そういった理由で開かれていた。
もちろん、その事に八幡が気づかないわけもなかった。
****************
タッグマッチトーナメントが開催され、アリーナには各著名人が集まっていた。
八幡はそちらに目を向けると、一人の女性と目があった。
彼女は八幡の視線に気がつくと、胸の前で小さく手を振りながら柔らかく微笑んでいた。
その女性の名は、ナターシャ・ファイルス。
福音事件の時に出会った女性だった。
あの人も来てたのかよ。
って言うか、意外だな。
あの人があんなに有名だなんて。
八幡はそう思いつつ、開会セレモニーの言葉をぼんやりと聞き流していた。
しばらくして開会セレモニーは終え、本選に移行した。
トーナメント表は数日前に発表されており、今回は全部で6組のタッグがトーナメント戦を行う。
一回戦は八幡と簪のペア、箒とエレンのペアが対決することになっている。
そのため、八幡と簪は更衣室へ向かい、ISスーツを身に纏い、ピットへと向かっていた。
「一回戦とか…めんどくさ…。」
一人、悪態をつきながら八幡はピットへと向かっていた。
静かなピットまでの渡り道。
だったのだが…。
「はーーーーちくーーーーーん!!!」
騒音を発しながら八幡にダイブする天災。
八幡はそれを綺麗に避け、何事もなかったかのように歩き続けた。
「うぅ…はちくんがひどいよぉ~。相手してくれないよぉ~。こうなったら…地球を破壊してから私も死ぬ!!」
「はぁ…。あなたがそんなこと言ったら本当にやりそうで怖いんですが…。」
「やっと反応してくれた!んー、でも地球は無理かな。月なら壊せそうだけど。」
ちょっと?
何物騒なこと言ってんの?
超怖いんですけど。
いや、マジで。
そんなことを思いつつ、なぜここに束がいるのか、今更ながらに疑問が浮上してきた。
「ところで博士、こんなところにいていいんですかね?」
「んー?見つからなければ大丈夫だよ~。それに何より、私がはちくんに会いたかったからね♪」
そう言いつつ、束は八幡に近づきながらにこにことしていた。
「はちくん、負けたらわかってる?」
「…はぁ。わかりましたよ。手は抜きません。」
「うん。でさ、ひとつ言いたいことがあるんだけど。」
「何ですか?」
八幡がその事を聞くと、目を閉じ、何かを考えるそぶりを見せた。
束も真剣な表情をして、八幡の思考が止まるのを待つ。
そしてーー
「篠ノ之博士、頼みたいことがーー。」
束は八幡のそれを聞くと、了解と敬礼をしながらそう言うとどこかへと走り去っていった。
それを見届けてから八幡はピットへと歩き始めた。
***************
ピットへたどり着くと、すでに簪が壁を背にして待っていた。
八幡の顔を見るなり、むすっとした顔をすると、ボソッと小さくこう呟いた。
「…遅い。」
「悪いな。ちょっと知り合いにあってな。」
「私とその知り合い、どっちが大切?」
ちょっと?
話が変わってません?
って言うか、飛びすぎだと思うんですが。
飛びすぎて宇宙まで行っちゃうレベル。
「いや、どっちが大切とかないし。でもまぁ、悪かったな。」
そう言いながら無意識のうちに八幡は簪の頭を撫でていた。
いきなりのことに彼女は目を丸くしていたが、耳まで真っ赤に染めると俯いてしまった。
それに気づいた八幡は少し慌てた様子で手を離す。
「あ、わり。」
「あ…。」
何でそんなに名残惜しそうなのん?
怒ってたんじゃないの?
違うの?
八幡は盛大に勘違いをしつつ、気持ちを切り替えようと相手の方のピットを眺める。
そこには真っ直ぐにこちらを睨んでいる箒とあくびをして退屈そうにしている少女の姿があった。
彼女がエレオノーラだろう。
そう考えつつ、どういう戦いかたをするのか八幡は警戒することにした。
やがて、時間がやって来たため、ISを身に纏いカタパルトからグラウンドへと降り立つ。
八幡と簪の前には赤いISと緑が主体のカラーリングされているISを纏っている箒とエレンのペアがこちらを睨んでいた。
「比企谷、お前とは一度やりたいと思っていた。」
「篠ノ之さん、俺なんかした?何か怒ってません?」
「怒ってはいない。だが、お前は私が倒す!」
「はぁ…。まぁいいけどさ。」
「…比企谷…八幡。」
「…何だよ。」
いきなりエレンが八幡の名前を呼んだのに反応して、つい返事をしてしまった。
「…興味深い。」
「えー…。」
意味がわからないといった風に声を出す八幡を眺めつつ、全身を舐めるような目でエレンは彼を観察していた。
簪はそんな彼女を睨み付けながら、自分のやるべきことを頭の中で整理していた。
そうこうしていると、試合開始の声が上がり八幡が十六夜と朔光を手に篠ノ之へと突っ込んでいく。
簪は後ろへと下がり、夢現を手にしながらいつでも山嵐を稼働できるように準備をした。
八幡の方へ視線を動かそうとしたとき、簪の視界の隅に緑色の何かが高速で寄ってきたのが見えた。
そちらに目を向けると、ダガーナイフを逆手に持っているエレンの姿が間近にいた。
「っ!」
簪は咄嗟に後ろへと飛び退くが、エレンの方が早かったらしく、2回切りつけられてしまった。
シールドエネルギーが少し減るのを横目で見つつ、牽制のための山嵐を何発か、射出させる。
それをエレンはダガーナイフをしまい、四足になるとミサイルを避けつつ、手の甲に隠されている鉤爪でミサイルを切り落としていく。
強い…。
でも、何で飛ばない?
もしかして飛べない?
簪は短時間でそう考えると、上へと上昇し少し様子を見ることにした。
空中で止まっていると、エレンは彼女を見上げたまま何もせずに立ち止まっていた。
やっぱり。
なら、ここから攻めていけば。
そう思ったのも束の間。
エレンは手首の下、ちょうど手首らへんの辺りから太いワイヤーーー大体の太さは大縄の縄ぐらいーーを出し、簪の足へとそれを飛ばす。
簪はそれを避けつつ、少し驚く。
だが、それは一本だけではなく、もう片方の手首から同様のワイヤーが簪のもとへ飛んでくる。
それを避けつつ、唇を軽く噛む。
そらは飛べないけど、その代わりにそんなのがあるってこと。
あれは、厄介。
捕まったら引きずりこまれそう。
そう思いつつ、そのワイヤーを避けていると、エレンが痺れを切らしたのか、しゃがみこみ思いっきり上へと跳躍した。
地面は下に陥没し、エレンは上へと急上昇した。
簪は信じられないものを見た気がして、目を見開く。
一方のエレンはというと、簪に近づきワイヤーを射出し体に巻き付ける。
「っ!?」
「捕まえた。」
簪はその一言で背筋が凍るような思いをした。
そう呟いたエレンの目はまるで、獲物を狙う獰猛な肉食動物のような目をしていた。
一緒に落下しながらも彼女の目は鋭いままだった。
その時、簪の心の中に敗北の二文字が浮かんだ。
********************
八幡は相手が得意とする接近戦にも関わらず、有利に試合を展開していった。
それは箒が一番よくわかっていた。
自分が不利になっているのだと。
地上、及び空中で剣を交えているのだが、じわりじわりと箒のシールドエネルギーが減っていっている。
その事に苛立ちを感じながらも八幡に斬りかかる。
八幡は簪の様子も見つつ、作戦をどうするかを考える。
しばらく見ていると、エレンが驚くべき跳躍をみせ、彼は少しだけ焦る。
マジかよ…。
飛べない代わりにあの身体能力かよ。
って言うか、キック力とか半端ねぇな。
援護するか。
そう思ったのだが、エレンが簪の至近距離にいすぎて援護することが出来ない。
内心で舌打ちをしながら眺めていると、真正面から不機嫌な声が聞こえた。
「余所見をするな!!」
その一撃を八幡は咄嗟に星影で防ぎ、箒をそのまま押すと彼女から距離を取り、簪の元へと飛んでいく。
八幡はすぐに剣をしまい、新星と鬼星を両手にグリップさせ、狙いをエレンへと向ける。
その際に流星を箒へと飛ばしておくのを忘れずに。
そして、発砲した。
何発かエレンに当たり、簪から引き剥がすのに成功した。
その後、八幡はすぐにチャネルを簪のに繋げ、通信を始める。
「更識、一旦距離をとれ。」
「わかった。」
「俺が出るからサポートは頼んだ。」
「任せて。」
八幡はチャネルを切ると、一気にエレンへ肉薄する。
エレンは咄嗟に反応が出来なかったのか、こちらを見て一瞬だけ硬直していた。
その一瞬を見逃さず、八幡は蹴りを一発いれると、狙いも何もない発砲をした。
エレンはバク転をしながら避けると、距離を取り警戒したようにこちらを睨んでくる。
中々、機動力は高いな。
って言うか、本当に飛べないんだな。
飛べないぶん、他がすごいことになってんだけど。
そう思いながら、どう攻めようかと悩んでいると、エレンから動いた。
走りながら太股に装備されているナイフを手に取り、八幡に向けて投擲した。
それを星影で受け止め、八幡は彗星を出しエレンへと狙いを定める。
中々狙いの中に入ってくんねぇな。
まぁ、牽制できればそれでもいいや。
とりあえず、更識には伝えとくか、俺の作戦。
再び八幡はチャネルを簪のに繋げると、簡潔に作戦内容を話し、何発か彗星で牽制射撃を行う。
エレンは中々攻めきれずに焦っていた。
グラウンドの端と端にいるため、中々距離が縮まらず、尚且つ箒がこっちに来れないように流星で囲む。
一人にやられているのも焦りの原因となっていた。
エレンはこの状況を打破すべく、捨て身の覚悟で一気に間合いを詰めていく。
防御も避けもしない無防備な突っ込み。
その事で八幡が驚くと思っていたのだが、エレンの予想は外れ、彼は冷静だった。
そしてーー
「今だ。」
その呟きと共に打鉄弐式の山嵐から残りのミサイル全てが発射された。
エレンはすぐに立ち止まり、背中にランチャーを出し迎撃しようとしたのだが、八幡の正確な射撃によりミサイルを落とすことが出来ずに、直撃してしまった。
これによりシールドエネルギーがゼロとなり、脱落した。
八幡は彼女から目を離し、箒へとその目を向けると、月華を構えて相手に向ける。
「ファイア!!」
月華から出されたビームの奔流は紅椿の翼に直撃し、試合は終わりを告げた。
はずだったのだが、上空からまるで月華のような威力のビームが降り注ぎ、グラウンドの地面を抉り取った。
*****************
「やっぱり来たんだ。」
アリーナの来賓席の上部から眺めている一人の少女、篠ノ之束はそう呟くと、どこかから片方の耳につけるインカムを取りだし、どこかへと通信し始めた。
その相手は、今試合を終えたばかりの八幡のもとであった。
「はちくん、今から状況を説明するよ?」
「わかってます。」
「とりあえずそこにいる人たちを全員避難させてね。」
「はい。」
「その次にちーちゃんに連絡をして無事な専用機持ちの人に支援をしてもらえるように言ってね。」
「わかりました。とりあえず、今からやってみますよ。」
「お願いね。これはこれからのためになるためのことだから。」
最後にそう呟くと、インカムを耳から外し、端末を出し今の状況を明確に整理し始めた。
ビームの持ち主の一体はタッグマッチを行っているアリーナに降り立ち、残りの同じ敵、ゴーレムⅢは3ヶ所に別れて降り立っていた。
束はそんなことを整理しつつ、八幡のもとへデータを送った。
「…何で、こんなこと…。」
そう呟いた言葉は誰にも聞かれることなくこの喧騒に揉み消されてしまった。
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千冬と真耶は突如襲ってきた未確認ISの対処に追われていた。
「くそ。」
「織斑先生、どうしますか?」
「とりあえず警戒レベルを上げ、生徒及び来賓の避難を優先に動く。山田先生、指示を出しもらってもいいか?」
「わかりました。」
指示を出そうとしたとき、一本の通信が入った。
その通信の持ち主は比企谷八幡だった。
んー…何か微妙なような(笑)
まぁでもわりと進んだ方じゃないですかね?
そんなことは置いておいて。
エレンちゃんの専用機の詳細書いておきますね。
機体名:ベスティア・スクーロ(深緑の猛獣)
世代:第三世代型
開発元:イタリアの企業
備考:待機状態は緑色を基調としたミサンガ。
全身は緑色をしているが、所々で黄色やその他の色がラインとして入っている。
全スペックは平均的だが、燃費効率は非常によく長期戦での戦闘では他の追随を許さぬ強さを誇る。
短、中距離の戦闘スタイル。
そして何より他のISと違うところは空を飛べないところ。
ただし、猛獣の名を持つだけあり、身体能力はとてつもなく高い。
ベスティア・スクーロの武装
アルティーグリオ(猛獣の爪)
手の甲を包み込むようにして出てくる鉤爪。
猫や虎のように出し入れができ、移動するときや使わないときに収納できるように便利になっている。
両手に装備されている。
スピーネ・フルースタ(薔薇の鞭)
手のひらの下、つまり手首から出てくる超硬質ワイヤー。
相手を縛ったり、そのまま叩いたり、空中移動するときに使ったりする。
マンティード(秘めたる牙)
腰に現れるダガーナイフ2本。
その他にも、右太股に出てくる投擲用ダガーナイフ5本がある。
脚部ビームブレイド
膝から爪先にかけて現れるビームブレイド。
ルッジート・ラービア(猛獣の咆哮)
背中に現れる高火力ビームランチャー。
ベスティア・スクーロで一番の火力を誇る。
シールド2枚
オートマチックガン一丁
単一仕様能力
イヴォルジオネ・ベスティア(大地の成長)
シールドエネルギーを満タンにし、そのエネルギーを使いつつ、全ての攻撃の攻撃力を底上げする。
カッコ内は一応日本語訳ですが、直訳ではありません。
ではでは、また次のお話でお会いしましょう。
あでゅー。