インフィニット・ストラトス ~ぼっちが転校してきました~   作:セオンです

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おひさしぶりです。
1年ぶりの更新となってしまいました。
この一年間、色々ありすぎまして…。

久しぶりすぎて、うまく書けているかわかりませんが投稿させていただきます。




第27話 その時彼らは

管制室に一本の通信が入ったため、真耶はすぐそれに出た。

そこから、思いがけない人物の声が聞こえてきた。

 

「織斑先生、山田先生、早速ですがここにいる人たち、いえあの未確認ISが現れた付近にいる生徒たちの避難をまずはさせてください。その後、無事な専用機持ちにあれの牽制をさせてください。後は俺がやりますので。」

「ちょっと待て!」

 

千冬はそう叫んだのだが、八幡に勝手に通信を切られ何も言えなくなってしまった。

それに、通信をブロックしているのか、こちらからの通信が届く事はなかった。

 

「くそ…。山田先生、専用機持ちを未確認ISの元へ配備させ、その周辺にいる避難者を救助。」

「は、はい。」

 

真耶は手早く通信を専用機持ちに入れ、警備隊にも観戦者の避難誘導を指示し、今の状況を確認し始めた。

 

「織斑先生!」

「まさかここまでひどいとは…。」

 

現状を確認した二人が見たものは、4ヶ所で暴れているゴーレムⅢの姿だった。

そのうちの2体は専用機持ちが対処しているものの、撃破できずにいた。

それは誰よりも早く迎撃していた八幡も同様であった。

 

比企谷、お前は試合の時に月華を使った。

だから、エネルギーが足りないはずだ。

なのにどうしてお前は…。

そして、どうして私はここにいる…。

どうしたら良い…。

助けに行ってはやりたいが、ここを離れては不味い…。

 

千冬が思考の海に沈んでいるとき、新たな通信が強制的に繋げられた。

その事で、真耶が半分パニックになっていた。

 

「誰だ…。」

 

警戒心からか、千冬の声はとても低かった。

 

「もすもすひねもす~♪ちーちゃんの愛する束さんだよぉ~♪」

「…。」

 

千冬は無言で強制的に通信を切った。

大きなため息をつきながら手を頭に持っていく。

 

「もう!何で切るのさー!」

 

再び通信が繋がったと思ったら、束の抗議の声が聞こえてきた。

 

「お前が意味のわからん事を言い始めるからだ。」

「え~。ちーちゃんは私のこと愛してないっていうの!?」

「当たり前だ…。」

「むーっ。ふんっ、良いもんねー。ちーちゃんに良いこと教えようと思ったけど、やめとこっと!」

「なに?」

 

けなすような言い方ではあったが、千冬は束のその言葉に引っ掛かった。

 

良いこととはなんだ?

その事と、束との関係はなんだ?

まさか…。

 

「あっ、やっぱり気になっちゃう?気になっちゃうのかな?かな、かな、かなかな?」

「…話す気がないのなら切るぞ?」

「私はそれでも良いけど、ちーちゃんが困るんじゃないかな~。」

「どういうことだ?」

「今ここで起きてることだよ?」

「っ!?お前、今どこにいる!」

「ん~…はちくんのそば、かな。」

「何故そこに?」

「そんなことより、良いこと、知りたい?」

「…あぁ。」

 

束が強引に話を戻したのが気にくわなかったのか、千冬は少し不機嫌そうになっていた。

というよりも勿体ぶっていることが、千冬には苛立たしいのだろう。

 

「何とそれは!ちーちゃんが今回なにもしなくて良いってことだよ!」

「…は?」

 

今、この駄兎は何と言った?

私がなにもしなくて良い、だと?

 

「どういうことだ。」

 

千冬の声音は誰が聞いても怒気をはらんでおり、更には隠しきれないほどの殺気が溢れていた。

その証拠に真耶でさえも怯えていた。

 

「あのゴーレムに人が乗ってないからだよ。」

「…どういうことだ?」

 

何故無人だと私がなにもしなくても良いのだ?

そもそも、誰があれを倒すというのだ?

 

「ぶっちゃけていうと、はちくん一人で全部相手できちゃうんだよね。」

「は?比企谷のエネルギーは残り僅かではないのか?」

「確かに残りわずかだよ。でも、それでも、はちくん一人でやっちゃうんだよ。それに、朧夜はそのために作られたんだから。」

「っ!?」

「元々、朧夜は一対多での戦闘を目的として開発されたんだよ?それに私がちょっと手を加えただけ。それに、あのゴーレムは私が遊びで作ったものが盗られちゃったやつなんだよね…。」

「ちょっ、ちょっと待て。朧夜は白式のデータを使ったのではないのか?」

「そうだよ。でもね、本質は全くの別物なんだよ。共通点はどちらも一撃必殺を持っていること。そして、どちらもどう進化するかわからない。」

「そうなのか…。それで束、お前は何を盗られたって?」

「…じゃあ、そういうことだから!」

「ちょっと待て!」

「織斑先生、切れちゃいました…。」

 

あの駄兎め…。

説教が必要なようだな…。

 

*******************

 

ちーちゃんに次会うのが怖いよぉ…。

逃げればいっか♪

それよりも…。

 

束は顔を上げ、今まさに戦闘中である八幡に目を向けた。

朧夜の背中についているはずの流星はどこかに消えており、手には新星と十六夜が握られていた。

流星は先程、別のゴーレムの所に飛んでいき、狙撃していた。

 

はちくん、わかってると思うけどエネルギーがそろそろ尽きるよ。

どうするの?

ひとつ手がない訳じゃないけど…。

 

八幡も束の考えていることはわかっていた。

だが、それは何時如何なるタイミングで来るのか、予測できない。

 

「…はちくん、頑張れ。」

 

束は最愛である八幡を誰にも聞かれることのない声でエールを送った。

 

*******************

 

八幡は今現在、2機のゴーレムと交戦中であるが、エネルギーが残り僅かになっており、目に見えて焦っていた。

 

ちっ…あの時、月華を撃つんじゃなかったな…。

くそっ、何か手はないか…考えろ、戦いながらでも考えろ。

考えることしか出来ないだろ、だったら何か…何でも良い、使えるものだったら…っ!

 

八幡は流星が今射撃しているゴーレムの近くに二人、専用機持ちがいるのを確認するとその二人へ通信を繋げた。

 

「比企谷八幡でしゅ。頼みたいことがありゅんでしゅが。」

 

…何でこんな時に噛むの?

バカなの?死ぬの?

…今日はベッドの上で叫ぼう。

 

「何の用ッスか?」

 

笑われなかったことに驚きつつ、八幡は手短に用件を伝えようとする。

 

「そこにいる未確認ISを倒してくれませんか。」

「ウチだけでッスか?」

「もう一人の方とお願いしたいんですが。」

「あん?俺がそんなことする訳ねぇだろ。確実に倒せるとは思えねぇ。」

 

…やっぱりそういうよな。

篠ノ之博士に調べてもらっといて良かった…。

だから、ちょっと相手にとって嫌みなことを言わせてもらう。

あれ、俺いつの間にこんなに腹黒になっちゃったのん?

 

「そうですよね、出来ませんよね。アメリカ代表候補生でありながら亡国企業、通称ファントム・タスクのエージェント、ダリル・ケイシーさん?」

「てめぇ…何のつもりだ。」

「別になにもしませんよ?ただ、何か行動しないと怪しまれますよ、とアドバイスをしているだけです。」

 

八幡はダリルに対してプライベートチャネルを繋いでいるため、フォルテには聞かれなかった。

そのため、フォルテはなぜダリルの声に怒気をはらんでいたのか、わからなかった。

 

「何を考えてやがる…。」

「何でしょうね。まぁ、とにかく忠告しました。後で何されても聞きませんから。」

 

勝手に通信を切られたダリルは軽く舌打ちをし、BT兵器であろう武装に防戦一方になっているゴーレムを睨み付けた。

 

「どうかしたッスか?」

「いいや、別になんでもねぇよ。」

 

ダリルは微笑みながらそう言うと、最愛のフォルテの頭を撫でながら、頬へひとつ唇を落とした。

一方で八幡はあの二人が中々戦闘に加わってくれないことに若干の苛立ちを感じつつも、どこか納得している顔であった。

 

ま、そうなるよな…。

て言うか、シールドエネルギーがもうそろそろなくなりそうなんですけど…。

やっぱり一人で相手するにはキツかったか…。

 

そう思っているとき、流星がそれぞれの動きをしながら八幡のもとへ戻ってきた。

 

ちっ…やっぱり仕留めきれないか…。

どうする。

 

一瞬、ほんの刹那の時間ではあったが、戦闘を中断し思考してしまった。

 

「っ!?」

 

目の前にゴーレムが迫り、力任せに振るった腕が八幡に当たり、吹き飛ばされてしまった。

そのまま壁にぶつかり、肺の空気が全部出されたような感覚を覚えながら、意識が薄れていった。

 

くそっ…。

油断した。

このまま俺はやられるのか?

リスクリターンの計算が甘過ぎたな…。

マッカンぐらい甘々だったな…。

なにそれ、美味しそう。

 

下らないことを考えている自分を自嘲しながら、八幡は意識を手放していった。

 

***********************

 

「ふん…。似合わないことを。」

 

そこにはいつか見た黒い服を纏った少女が八幡の横に同じように座っていた。

 

「無様だな。」

「ちょっと?そんなに俺のメンタル削って楽しい?」

「そんな趣味はない。」

「いや、趣味じゃないだろうけど俺のメンタル削れてたからね?」

「…それより、私の相棒としてまだまだ力の使い方がわかってないみたいだな。」

 

強引に話を変えやがった…。

 

「力?何のことだ?」

「何度も言うけど、それは君が一番よくわかっているんじゃないか?」

「前も言っていたが、それがわかんねぇんだよ…。」

 

その言葉に彼女はくすりと微笑む。

そして、ゆっくりと立ち上がりながら言葉を紡いでいく。

 

「確かに、私がまだ目覚めていないからな。」

 

それはどういう意味だ?

まだ目覚めていない?

ならば今この目の前にいるのは偽物なのか?

いや、なにそのラノベの設定みたいなの。

 

「ひとつ、聞きたいことがある。」

「なんだ?」

「君には私たちの姿はどう写る?」

 

私、たち?

複数形には意味があるのか?

…どちらにせよ、答えは変わらない。

 

「そうだな、俺の目には一応人間には見えるぞ。」

「素直じゃない奴め。…だが、嫌いじゃあない。仕方ないから力を貸してやる。だから約束してくれ、必ず…私たちを救うと。」

 

最後の言葉の重みを感じたのか、八幡は一瞬返事をするのに躊躇ったが軽く微笑み、返事を返した。

 

「ありがとう。では、行くぞ相棒。」

「おう。」

 

八幡がそう答えると再び意識を取り戻し、目が覚めるとゴーレムがこちらにゆっくりと近づいてくるところだった。

それを確認した瞬間だった。

朧夜が突然、光だし少しずつ機体に変化がみられた。

元々、シャープな見た目だった朧夜だったが、よりシャープなものヘと変わり、所々に見られた黄色のラインはそのままに、新たに青のラインも所々に見られるようになった。

 

…なんだ?

これが、セカンドシフトか?

 

光が落ち着いてきた朧夜の両腕には今までビームシールドを出すための機能しかなかった部分に穴が開いていた。

 

…使い方が何故かわかる。

いや、ほんとどうしちゃったの?俺。

中二病再発しちゃったのん?

ま、別に関係ないか。

 

八幡はその場から立ち上がり、再び戦闘へと向かっていく。

朧夜のシールドエネルギーが満タンになっていることを確認してから。

 

*********************

 

え?はちくんの機体…セカンドシフトになったんだ。

そっかそっか。

なら、もう安心だね。

それにしても…まさかビームシールドが変化するとは…。

白式見たいにどうなるか読めない子だなぁ…。

 

束はそう分析しつつ、よりシャープな機体を駆る八幡を見ながらデータを録っていた。

 

「さて、はちくん、ここからだよ。」

 

その言葉に反応するかのように戦闘は激しくなっていった。

 

*******************

 

八幡は再び2機のゴーレムと戦闘に入っていく。

流星をパージし、自身は十六夜と朔光を手にゴーレムへと向かっていく。

 

「何時までも、思い通りにはさせねぇよ。」

 

ゴーレムは腕を八幡に向け、ビームを放ってくる。

その一撃一撃は全て月華に匹敵する威力のものだが、星影はそれらをことごとく防ぎ、全てを吸収し朧夜のシールドエネルギーに変換していた。

その能力に八幡は驚きつつも、遠隔操作している分の燃費を考えるとちょうど良いことに気付き、星影を積極的に使っていく。

ただし、星影も弱点があり、連射されると弱い点である。

一度の使用時間が限られているため、必ず一度は発動をやめる必要があるのだ。

 

使いやすいと思ったら意外と使いにくいんだよなぁ…。

吸収しなくて良いときはしないけど、長時間使えないのはきついな…。

まぁ、でもこれ以上何かを求めても意味ないんだけど。

 

そう思っているときだった。

八幡が戦闘していると、束から通信が入り、手短に用件を伝えられ、その内容は一機が撃墜されたとのこと。

 

よし、残りは3体だな。

何とかなるだろ。

…って言うか、いい加減めんどくさいんだよな。

 

八幡は流星を戻すと、目の前にいるゴーレムへ再び飛ばし、月華を出現させる。

流星のビームを避けるゴーレムに照準を合わせ、月華を放つ。

 

「ファイア!」

 

そのビームの奔流はゴーレムのど真ん中を貫き、爆散させた。

それとほぼ同時だった。

 

「ちょっと良いッスか?」

 

焦りと不安が入り交じったかのような声で通信をいれてきたのはフォルテだった。

 

「なんですか?」

「ウチがこんなこと頼んで良いのか、わからないけど、助けてほしいッス。」

「何があったんです?」

「ゴーレムがビームを乱射してきて…ウチらは何とか避けれたんスけど、建物に直撃してその破片が…先輩に当たって…それで…。」

 

最後の方は嗚咽が混じり、よく聞こえなかったが八幡は何が伝えたかったのかを理解し、その場を飛び去った。

 

確かにいきなり攻撃されたら、すぐには展開できない…。

どうしてもタイムラグが発生しちゃうしな。

一瞬とはいえ、その一瞬が戦闘では命を奪うことになるかもしれないからな…。

そもそも、何であらかじめ展開してなかったのん?

バカなの?死ぬの?

…今死にかけてました。

 

そんなことを考えながら流星をいち早くゴーレムへ向かわせ、これ以上被害がでないように攻撃を始め、八幡はフォルテの元へ降り立った。

フォルテは小柄だが、自分の大事な人を助けるため、ダリルを一生懸命背負っていた。

 

「早速ですが、この場から離れて保健室へ行ってください。」

「わかったッス。あなたは…?」

「あいつを倒します。」

 

そう言うと、八幡は一気に勝負をつけたいのか、それとも八幡に力を貸したのかはわからないが、朧夜が淡い赤に光っていく。

そして、ゴーレムへと肉薄したとき、赤い光が粒子のように残像を残していった。

 

「綺麗…。」

 

フォルテはダリルを背負いながらその光景を眺めていた。

その声に反応したのか、ダリルは薄くなっている意識のなかでその光景を目にした。

その目にはどう写ったのか、本人にしかわからないことだが、軽く微笑んでいたのは、嘲るための笑みでないことは誰の目にも明らかだった。

だが、それは誰の目にも止まらなかった。

 

 




フォルテとダリルを出してみたものの…うーん…あまり上手く書けてない気が…(´・ω・`)
久しぶりだというのに、話もあんまり進んでないし…(´・ω・`)

まぁ、いつもの事でした(笑)

という事で、またいつになるかわかりませんが、少しずつ更新していきたいと思います(*^^*)
こんなダメダメな作者ですが、完結までお付き合いしてください。

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