インフィニット・ストラトス ~ぼっちが転校してきました~ 作:セオンです
八幡が八幡じゃないので、違和感バリバリで、こいつ誰?みたいな感じになるかと思いますが、読んでくれると嬉しいです。
それが我慢ならない方は読まないことをオススメします。
では、違和感バリバリでも構わない方はどぞ。
ラウラのISが暴走が鎮圧された後、シュヴァルツェア・レーゲンを調べるとやはりVTシステムが使われていた。
千冬は怒りを覚える。
もしかしたら、まだ少女であるにも関わらず、死んでしまうかもしれない物を搭載させるとは…。
その憤りは真耶も同様だった。
「織斑先生、なぜ使われているのだと思いますか?」
「たぶんだが、軍事目的で搭載したのだろうな。」
「酷い…。」
千冬は真耶と一緒に検査室から出ると、一人でラウラの眠る医務室へ足を向けた。
医務室へ入ると、そこにはあどけない顔をしながら眠っているラウラの姿があった。
こうしていると、軍人ではなく、普通の少女だな。
柄にもなくそんなことを思いながらかける言葉を探していた。
そんなとき、小さな声がラウラから漏れた。
「うっ…。」
「目が覚めたか?」
「教官…。」
「今の気分はどうだ?」
「悪くありません。それに、負けたのになぜか清々しい気分です。」
「そうか。ならよかった。」
優しく微笑む千冬。
だが、寝転んでいる彼女の顔は未だ固いままだった。
ラウラは意を決したのか口を開いた。
「教官…。私が暴走したのは…。」
「あぁ。VTシステムによるものだった。」
「…そうでしたか。」
「あぁ。ところで、お前はこれからどうしたい?」
「私は…あいつに、比企谷八幡に己の強さを持てと言われました。でもそれがなんなのか、わかりません。」
「そうか。なら、お前は今日からラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
「え?」
「兵器としてのラウラ・ボーデヴィッヒではなく、一人の少女として、人としてのラウラ・ボーデヴィッヒになれ。そして、自分の強さを見つけろ。」
「はい。」
ラウラの顔にはもう迷いがなく、何かがストンと落ちたようにスッキリとした顔をしていた。
それを見て安堵するのと同時に、八幡に興味を抱いた。
あいつはいったい何者なんだ?
なぜそんなに他人の心に響くようなことを言える?
それとも、他人の心が響くように誘導しているのか?
あの腐った目は何を見て、何を感じ、何を思っている。
他人が見えていない部分まで見えているのか?
だったらそれがなんなのか知りたい。
知ってどうするとか考えていない。
ただ純粋に知りたい。
それだけ。
千冬は自分の心からそう思った。
それと同時にわからなかった。
なぜそんなに心が求めるのか、それだけがわからなかった。
だが、
束に会わせたら面白いことになりそうだな…。
そう思いながら、医務室を離れた。
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その頃、寮に戻っていた八幡はベッドに腰掛けながら、携帯端末を操作していた。
そこにはとある人物の事を調べた結果がメールで届けられていた。
その人物の名は、シャルロット・デュノア。
性別欄には女と書かれており、所属のところには何も書いてなかった。
だが、備考の欄には、女としてのシャルロット・デュノアは無所属かつ、存在しないことになっているが、男としてのシャルル・デュノアはデュノア社に所属となっていた。
なるほどね。
時期的に考えて導き出される結論は、織斑一夏と白式のデータの入手と男のIS乗りを宣伝、いや、この場合は自分達の会社を宣伝するため、か?
大人って汚いな…。
それとどうでもいいけど、束さん、もうちょっと簡潔に備考をまとめてくださいね。
もすもすひねもす~、とかはちくんのアイドル束さんだよ~、とかどうでもいいんで。
まぁ、いいか。
とりあえず、これからどうするか。
この事は当然デュノアに告げる。
けど、その後どうしよう。
この事実は裏切りだ。
俺自身と、その周りを欺いて過ごしていたのだから。
だが、もしデュノアが素直に自分の非を認め、自分の意思でやっていないのなら、小町のように俺のようなやつに対して泣いて怒ってくれた。
それに、デュノアとなら、この学園のお人好し共となら、欲しいものが手に入る気がする。
だったら、その先に絶望しかなくとも、俺は手を差し伸べてやる。
でも、そうでないのだったら、相手がどうなったって俺は、知らないし、俺は一生人を信じない。
そう結論付けるのと、部屋のドアが開くのはほぼ同時だった。
「ただいま~。」
シャルルはそう言いながら、八幡のところへと寄ってくる。
「どうしたの?」
シャルルはいつもと雰囲気の違う八幡を見て首をかしげる。
そう、いつもならただいまと言えばお帰りと返してくるはずなのに。
「デュノア。」
八幡はそう言うと、携帯端末を見せてきた。
「何?」
シャルルはそれを受けとると、その顔が強張った。
「八幡…どうしてこれを…?」
辛うじてそれだけ言うことが出来た。
その質問に答えようとしたのか、八幡はシャルルの肩に手をおいて、座るよう促した。
何も言わずにシャルルはベッドに腰を掛ける。
「どうしてってとある人物に依頼したから。」
「何で?ずっと疑ってたの?」
「いや。そうじゃない。これはお前のためでもあるし、何より、俺のためだ。」
「え?」
「デュノア、本当の話を聞かせてくれ。お前がこれからどうしたいのか、本当はどうしたかったのか、そして、デュノア社の事をどう思っているのか。」
八幡は真っ直ぐな目をしていた。
決してシャルルの方を向いてはいなかったが。
「わかった。ここまでバレてちゃ僕は言い訳なんかできないからね。」
一呼吸おいて話を始めた。
「ここの備考に書いてある通りだよ。僕は父の命令でここに来た。白式のデータと織斑一夏君のデータを入手しにね。でも、僕はそんなのしたくなかった。普通にここに入学してみんなと仲良くなって、強くなりたかった。でも、もう僕にはそんなことできない。たぶん女だってことがバレたって聞いたら本国に呼び戻されて、僕は二度とここにはこれないだろうね。」
八幡はそれを聞いて、嘘偽りのない言葉だと確信した。
なぜなら、すべてを諦めた顔、そして、瞳の中には自分の非を攻めるような色をしていたからだ。
もしこれが演技なら、役者になればいいと本気で八幡はそう思った。
と、その時ふと思い出した。
確か、IS学園の特記事項に…。
パラパラと生徒手帳を捲っていく八幡。
それを不思議そうに眺めているシャルル。
「どうしたの?」
「まだ諦めるには早すぎる。」
そう言いながら、生徒手帳をシャルルに見せてくる八幡。
それを受け取りながら文章を読んでいく。
そこに書かれていたのはーー
"IS学園に所属しているとき、いかなる企業も国家も団体にも属さない。"
これを見た瞬間、シャルルが涙を流し始めた。
「八幡、ありがとう。」
「俺はなにもしてない。」
「ううん。してくれたよ。だから、ありがとう。」
眩しいぐらいの笑顔を見て、八幡は頬を赤らめる。
やめて‼
そんな満面の笑顔見せないで‼
即告白して振られちゃうから‼
振られちゃうのかよ…。
「まぁ、何だ、デュノアはこれからどうするんだ?」
「みんなに女だって言うよ。名前だってお母さんがくれた大切なものだから。」
「そうか。だが、卒業したらどうする?」
「どうしよう…。」
「ま、そんときになったら、俺が何とかしてやるよ。正々堂々、真正面から卑屈で最低で陰湿なやり方でな。」
「でも、八幡が傷ついたらダメだよ?」
「何とかするさ。」
「約束ね。」
「あぁ。約束だ。」
二人は微笑み合いながらどちらともなく小指をだし、指切りをした。
それは八幡にとって、欲しい物が手にはいるかもしれない、希望の光だった。
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次の日の朝、八幡が目を覚ますとすでにシャルル、いや、シャルロットがいなかった。
その事を特に気に止めずにいつものように食堂に行き、教室へ向かう。
教室に入り、自分の机に座ると、そのまま伏せてHRまで寝ようとしたとき、肩を叩かれる感触がしたので顔を上げるとそこには、ラウラがいた。
「何だ?」
何、もしかしてやり返しに来たの?
怖いんだけど…。
逃げていい?
ダメ?
えー…。
すぐに逃げれるように椅子を軽く引く。
「お前に言いたいことがある。」
そう言うと、ラウラは八幡の胸ぐらをつかむ。
クラスのみんなが、何事かと八幡達の方に目線を向ける。
「な、何だよ。」
何?
やっぱり仕返しに来たの?
ヤバイよ怖い怖い。
後怖い。
それに周りのやつらも見てるって。
注目しないで‼
八幡照れちゃう。
うん、キモいな…。
そう思っていたときだった。
いきなりラウラが顔を近づけてくる。
そして、唇に柔らかい感触がした。
「!?」
八幡は驚きで硬直するしかなかった。
え?
え?
え?
何やってんのこの子。
ビッチなの?
ビッチだよね?
混乱しつつ、ラウラを引き剥がす。
すると、クラス中が悲鳴に包まれる。
え?
俺が悪いの?
やめて‼
通報しないで‼
そう思ったのだが、予想と大きくかけ離れたものだった。
「始めては私がもらうはずだったのに‼」
「悔しい‼もっと早く話しておくべきだった‼」
「ボーデヴィッヒさんずるい‼」
それを聞いてラウラは大きな声でこう言い放った。
「うるさい‼私はこいつを嫁にする‼異論は認めん‼」
顔を赤くしながら、まるで恋する乙女のようにそう言った。
そう宣言した瞬間、クラスが阿鼻叫喚となった。
そんな中、担任である織斑千冬が入ってきたことにより、この騒ぎは沈められた。
当然のように八幡は怒られたが。
「えっと…今日は転校生を紹介します。」
少し戸惑いながら真耶がそう言った。
無理もない。
八幡、シャルル、ラウラの3人が転校してきて、新たなる転校生が来ると聞いて戸惑うのが普通だ。
だが、八幡は一人冷静だった。
興味がないとかではない。
すでに来る人がわかっているから。
「では、入ってきてください。」
教室の扉が開き、そこから金髪の少女が教卓の横まで歩いて来る。
彼女の顔を見て、クラス中が騒然となる。
それもそのはずだ。
彼女は男として、シャルル・デュノアとしてこの学園にやって来たのだから。
「えっと…デュノア君は、デュノアさんってことでした。」
「「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」」
そのリアクションを見て八幡は小さく笑みをこぼした。
芸人かよ。
そんなことを思いながらシャルロットの方を向く。
シャルロットは微笑みながらクラスのみんなの方を向き、改めて自己紹介を始めた。
「シャルロット・デュノアです。皆さん、またこれからもよろしくお願いします。それと、黙っていてごめんなさい。変わらず仲良くしてくれると嬉しいです。」
シャルロットは頭を下げながらみんなに懇願した。
「当たり前だよ。」
「うんうん。」
「男じゃなかったのがちょっと残念だけどね。」
「でも、友達になるのはいいかも。デュノアさん可愛いし。」
口々にシャルロットの願いを受け入れていく。
それどころか、男としてこのクラスにいた時より溶け込んでいた。
よかったな。
これなら、お前も過ごしやすいだろ。
そう思いながら、今日一日を過ごしていった。
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寮に戻ると、扉の前で誰かが立っていた。
真耶だった。
「どうしたんすか、山田先生。」
「比企谷くん。デュノアさんはまだですか?」
「えぇ。なんか今日はクラスのやつらと一緒に特訓だそうですよ。」
「そうですか。比企谷くんは特訓しないんですか?」
「働きたくないですので。」
「でもオルコットさんとの試合、あるんですよね。」
「そうですね。まぁ、何とかなるんじゃないっすかね。」
「そうかもしれませんね。比企谷くんの実力なら。」
微笑みながらそう言う真耶を見て、八幡は少し警戒の色を見せる。
どこまで知っている?
それとも、かまをかけているのか?
どちらにせよ、警戒しておこう。
束さんとの関係、いや、腐れ縁を聞かれても困ることはないが、めんどくさいことになりそうだからな。
そう結論付けて自分の部屋に入ろうとしたとき、後ろから八幡を呼ぶ声が聞こえた。
「比企谷、ちょっと来い。」
千冬だった。
「何ですか?」
「ここではちょっとな。着いてこい。」
「……わかりました。」
何を聞かれるのかさっぱりだが、一瞬答えに間を置いてしまった。
まぁ、何とかなる…かな?
早く寝たかったよ。
さよなら、俺の安息の場所…。
黙って千冬の後に着いていく八幡だったが、何となくどこにいこうとしているのかわかった。
「先生、この先って…。」
「あぁ。生徒会室だが?」
やっぱり‼
え?
あの勝負勝ったのに入れられるの?
働きたくないよぉー‼
めんどくさいよぉー‼
「おいどうした。目がさらに腐ってるぞ。」
「いや、何かめんどくさいなと思いまして。」
つい本音が漏れてしまった。
八幡は何となく死を予感したが、千冬はクスリと笑うだけでなにもしてこなかった。
「そう言うな。何、生徒会に入れようとかじゃないから安心しろ。」
何だそうか。
よかった。
ん?
よかったのか?
甚だ疑問なのだが、諦めて生徒会室まで同行することにした。
だって逃げるだろ?
死ぬだろ?
口答えするだろ?
死ぬだろ?
だったらおとなしく着いていくしかないんだよ。
やだなー。
生徒会室入りたくないなー。
そんなことを思っているうちに八幡と千冬は生徒会室の前まで来てしまっていた。
八幡は小さくため息を吐くのと、千冬が扉を開けるのが同時だった。
「入るぞ。」
中にはいると、一人の少女がいた。
八幡は彼女を知っていた。
といっても一番始めに調べていた人物なので、知らないわけがないのだが。
水色の髪、赤色の瞳、そしてその手に持つようこそと書かれた扇子。
全体的に掴み所のない雲のような雰囲気を持つ彼女の名は、更識楯無。
このIS学園の生徒会長にして、最強の専用機持ち。
めんどくさそうだな…。
この先、何を聞かれるのか予想をしつつ、面倒事は嫌だなという気持ちを抱きながら中にはいっていった。
「織斑先生、ありがとうございます。」
「気にするな。では私は少し用があるから席を外すぞ。」
そう言うと、千冬は生徒会室から出ていった。
八幡は机を隔てて彼女の前に立つ。
「で?何のようですか?更識楯無生徒会長?」
「特に用事はないんだけどねー。何となく君に興味を持ったから来てもらったんだよ。」
「そうですか。なら用がなさそうなので帰りますね。」
そう言って踵を返し、出ていこうとしたが楯無に止められる。
「まぁまぁいいじゃない。おねーさんと少しお話ししましょ。」
えー…。
ヤダよめんどくさい。
そう心の中だけに留めたはずが顔に出ていたようだ。
「あ、嫌そうな顔。おねーさん傷つくなー。」
「嫌そうな、ではなく嫌なんです。」
「えーなんでー?」
「部屋でゆっくりしたいからです。」
「あははは。君は素直だね。」
「そうですね。素直すぎて皆引くまでありますからね。」
それを聞いた楯無は爆笑した。
うわー受けてるー。
よかったですねー。
「で?本当の目的は何ですか?更識刀奈さん?」
それを聞いた瞬間、楯無の顔に緊張が走った。
「どうしてそれを知っているの?」
今までのおちゃらけた雰囲気はなくなり、瞬時にピリッとした空気になる。
「知ってるからですが。」
「……あなた、何者?」
「比企谷八幡ですが?」
「そうじゃなくて、君はこの間まで庶民だったんでしょう?だったらどうして?」
「知ってるのが悪いことなんですか?」
「言わないつもりなのね?」
「何も知らないので言えないだけですが。」
しばらくにらみ合いが続く。
先に目を離したのは楯無の方だった。
「いいわ。そう言うことにしておいてあげる。」
「どうも。」
そう言って生徒会室を立ち去ろうとしたが、後ろから聞こえた声で立ち止まる。
「あ、君は知ってると思うけど、私に妹がいるのよね。」
「それがどうかしましたか?」
「何でもないよ。まだ、ね。」
「そうですか。」
「それと、私、君の事気に入ったからね。」
「はぁ…。」
いきなりそんなことを言われた八幡は生返事をするしかできなかった。
その反応を見て面白かったのか楯無は小さく笑った。
「だから、君の事見てるから。そこのところよろしくね。」
「出来れば見ないで放っておいて欲しいんですが。」
「それは無理だよ。」
「だったら逃げますよ。」
「逃げたら追いかけるよ。」
にこにこと楯無はそう言う。
怖いよ。
顔とは裏腹に絶対心の中では笑ってねぇよ。
え、何?
オリハルコンで出来た仮面でも付けてるの?
八幡は若干居心地が悪くなり、楯無から目をそらし、捨て台詞を吐いた。
「勝手にしてください。」
「うん。」
八幡は楯無の顔を見ることなく生徒会室から出ていった。
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楯無は生徒会室を出ていったばかりの彼の事を思い浮かべていた。
最初はただの興味本意で呼び出しただけだった。
だが、彼は予想以上に面白く、尚且つ本当の私を見てくれていた。
その事で、いつのまにか素直になっていた。
だから柄にもなくもっと知りたいと思った。
それと同時にストレートな物言いが気に入った。
他にも、何やら秘密があるようだが、それがまた彼らしいと思ってしまった。
今日初めてあったのに相手の事がよくわかってしまった。
「ふふっ。おねーさんに目をつけられたら逃げられないぞ、比企谷八幡くん。」
楯無は扇子を開くとそこには、逃がさない、とそう書いてあった。
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八幡が部屋に戻ると、そこにはまた真耶が立っていた。
「まだデュノアは帰ってきてないんですか?」
「いえ。違いますよ。比企谷くんに伝えたいことがありまして。」
「何でしょう?」
「デュノアさんが引っ越しすることになりました。」
「そうですか。」
そりゃそうだろう。
若い男女が同じ部屋なんて間違いが起こるかもしれないからな。
だが残念ながら俺は絶対だがな。
……何か自分でへたれって言ってるようなものだな。
その通りなんだけどさ。
「で、それだけですか?」
「はい。」
「わかりました。では僕はこれで。」
「お休みなさい。」
「うっす。」
八幡はそう言って自分の部屋に入ったが、今まで以上に部屋が広く感じられた。
広いな…。
こんなに広かったんだな。
でも、デュノアが他のやつらと仲良くできるのなら、良いのかもしれないな。
そんなことを思っている自分を嘲笑し、お風呂に入ることにした。
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その頃、別の部屋では、金髪の少女と銀髪の少女が対面していた。
「ボーデヴィッヒさんいきなり引っ越しすることになっちゃってごめんね?」
「別に構わんぞ。それより、嫁に挨拶したのか?」
「嫁…?」
「あぁ。私の嫁だ。」
「えっと…もしかして八幡の事?」
シャルロットの目から段々と光が消えていく。
ラウラはそれに気がつかないのか、肯定した。
「そうだ。」
「ふーん。」
そう返事をすると、徐にシャルロットは立ち上がり、どこかへと飛び出していった。
そしてその日、寮の中では一つの悲鳴が響いたそうだ。
それと、シャルロットとラウラの仲は良くなり、今では普通に名前で呼び会う中になった。
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それから数日が経った。
え?早いって?
バッカ、お前ここんとこ何もなかったからな?
ボーデヴィッヒが朝方俺のベッドに入っていたりだとか、その事でデュノアに尋問受けたりだとか、オルコットが織斑のために作ってきたサンドイッチを何故か食うことになったりだとか、とばっちりで篠ノ之に織斑と一緒に追いかけられたり、あ、でも凰の酢豚はうまかったな。
織斑、俺に食わせてくれてありがとう。
え?
何でその描写が省かれてるのかって?
そりゃお前あれだよ。
俺が思い出したくないからに決まってんだろ。
でも、今日はもっと嫌な日だけどな。
八幡はそんなどうでもいいことを思いながら席につくと、織斑がこっちに歩いてきた。
「おはよう。」
「おう。」
「そう言えばセシリアと今日戦うんだよな。」
「そうだ。」
「セシリアは強いぞ?」
「そりゃそうだろ。イギリスの代表候補生何だからな。相当の努力も積んでるはずだ。ま、本人のあの高飛車な性格でなければもっと上に行けると思うんだがな。」
「今でも強いだろ?」
「強いけど何とか対処はできる。お前との戦闘を見たが、あのブルー・ティアーズは欠点が多い。だから何とかなる。」
「なるほど。じゃあ楽しみにしてるよ。頑張れよ八幡。」
「お、おう。」
やめろよ友達かと思っちゃうだろ。
まぁ、今さらそんなことは思わないが。
八幡が呆っとしていると、視界に何かが入ってきた。
目線をあげていくとそこにはセシリアがいた。
「なんのようだよオルコット。」
「少し用がありまして。」
「何だよ。俺は用なんかないんだけど?」
「わたくしがありますのよ‼」
こいつは弄りがいがあるな。
え?
性格悪い?
バッカお前それは違うぞ。
俺は性格悪いんじゃない。
腐ってるんだ。
何それ自分で言ってて泣けてくる。
「で?何だよ。」
「あなた、この間の件といい鈴さんとの一戦といいずいぶん場馴れしてますわね?」
「そんなわけねぇよ。」
「嘘ですわ。それに、あなた今まで手を抜いてますわね?」
「言い掛かりは止めてくれ。そんなことはないし、なんならこの先もないまである。」
そう言うと、セシリアは疑い深そうに八幡の目を見る。
だが、その腐った瞳からは何も得るものがなかった。
「そうですか。ではわたくしはあなたに本気を出させてあげますわ。このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで!」
そう言うと、自分の席へと去っていった。
それを扉のところで見ていた千冬が口許に微笑を浮かべていた。
それを見てしまった八幡の目は更に濁っていくのであった。
そして、いつの間にか放課後。
あれ?
何か早くない?
周りだけ加速する世界に行ってたの?
そんなわけないか。
と、肩を叩かれる感触がしたので、そちらに目線を持っていくと、そこにはシャルロットがいた。
「どうした?」
「そろそろ時間かなって思ってさ。」
「おう。サンキューな。」
「いいよ。僕が勝手にやっただけだから。」
マジデュノア天使。
小町と同じぐらいで天使だな。
小町に会いたい…。
「今日、勝てそう?」
「さぁな。」
八幡はそう答えながら立ち上がると、アリーナへと向かっていく。
その隣にはシャルロットが当然のようにいた。
「何か策はあるの?」
「特にないな。とりあえずやれるだけやってみるよ。」
「うん‼」
八幡はシャルロットと分かれ、更衣室へ向かっている途中、見知った少女がそこにいた。
「嫁よ。」
「だからその嫁ってのをやめろって…。」
「では、八幡、勝てるのか?」
「さぁな。」
「そうか。でも負けるとは言わないんだな。」
微笑みながらそう言うラウラ。
八幡は照れたのか、頬を赤く染めながらポリポリと指先で掻いた。
「んじゃ、行ってくる。」
「あぁ。行ってこい。」
照れたのを誤魔化すためにさっさと更衣室へ入り、着替えを済ませると、アリーナのピットへと歩いていく。
ピットへつくと、ISを展開し、向かい側のピットを覗く。
そこには一夏、箒、鈴、そしてこれから八幡と戦うセシリアがいた。
それを眺めていると、後ろから靴の音が聞こえてきた。
「何のようですか?生徒会長。」
「あはは。バレちゃったか。」
そう言いながら扇子を広げると、そこには残念と書かれていた。
「君の戦いぶりこの目でしっかり見てあげるね。」
「見ても何も面白くないですよ。」
「そっか。じゃあ君が負けたら、罰ゲームをしよう。うんそうしよう。」
あれ?
俺の意思は?
聞かないの?
「それに俺の意思は?」
「ないよ?」
「さいですか…。」
ため息をつくと、アリーナに真耶の声が響く。
「それでは比企谷くん、オルコットさん、準備出来次第、発進してください。」
それを聞き、八幡はカタパルトまで朧夜と共に歩んでいく。
それを見ながら楯無はこう叫んだ。
「頑張れ‼八幡くん‼」
「……まぁやれるだけやって来ますよ。」
そう言って大空へと駆けていった。
はい、八幡じゃないですね
すいませんでした。
ではここで八幡のIS性能を2話で結構説明しましたが、ここでも説明したいと思います。
機体名:朧夜(おぼろよ)
世代:第三世代型
開発元:倉持技研
備考:白式に継ぐ倉持技研の開発機。
拡張領域は非常に多く、武装は近距離から遠距離までと様々。
その為、非常に乗りこなすには難しい機体となる。
ある程度、白式からデータを引用してはいるが、その戦闘能力は全く別物だが、スペックは非常に高い。
燃費は若干悪い部分はあるものの、その分強力な武装があるため問題はない。
待機形態はバングルとして左腕についている。
武装名及び詳細
十六夜(いざよい)
普通の刀。
朔光(さくこう)
エネルギーで構成された剣。
白式の雪片弐型に似ているが、雪片のように自分のシールドエネルギーを消費して稼働することはない。
流星(りゅうせい)
背中に3つ纏まって装備されている。
第三世代型の特殊武装、ブルー・ティアーズなどから参考にし、それに自動追尾システムや、その他演算システムなどををつけたBT兵器のいろんな意味での完成版。
一度、攻撃を命じると、それぞれがそれぞれの適切な場所から、角度から、システムが計算し、攻撃するため、搭乗者に余計な負荷がかからないようになっている。
彗星(すいせい)
ビーム狙撃ライフル。
出力が調整できるため、その場面に適した威力で撃つことができる。
最大出力時には、ためが必要だが、超長距離射撃が可能となり、その威力もバカにはならない。
新星(しんせい)
サブマシンガン。
実体弾を使っている。
鬼星(おにぼし)
オートマチックガン。
これも新星同様、実体弾。
星影(ほしかげ)
両腕から展開することのできるビームシールド。
燃費が非常によく、シールドエネルギーを消費しないため、実戦でよく使えるものとなっている。
ただし、一回に使える時間は数十秒と短く、ずっと防御に使うことはできないため、連続しての攻撃に弱い。
第二形態になると、ビームを吸収し自分のシールドエネルギーに変換する事ができる。
月華(げっか)
流星をパージした時か、切り替えたときに見られる砲身の長い超高火力ビームキャノン。
発射するとき、足からパイルバンカーが出て来て、体を固定する。
エネルギーを溜めるのもあまり時間をとらず、撃つことのできる朧夜最強の武装だが、使用後は30秒間動けなかったり、シールドエネルギーを大幅に使ってしまうため、燃費は非常に悪い。
ただし、敵にも同等以上のダメージを負わせられるので一撃必殺かつ、諸刃の剣。
どれ程の威力かというと、一撃掠めたり直撃するとシールドエネルギーを満タンであってもなくすほどの威力。
下手をすれば絶対防御ですら防げない可能性があるため、危険な武装でもある。
単一仕様能力
黎明虎月(れいめいこげつ)
第二形態で使用可能。
これを使うと、自分自身、もしくは譲渡した一機の戦闘能力が格段に上がり、赤く変色する。
という訳で八幡の専用機、朧夜のスペックデータ(?)でした。
ではまた次のお話でお会いしましょう。