インフィニット・ストラトス ~ぼっちが転校してきました~ 作:セオンです
キャラ崩壊が激しいお話が続き、4話まで来ました。
今回は八幡とセシリアの戦闘ですね。
ただし、作者の文才がないので、戦闘シーンが特に微妙かもしれません。
そして、最後にはあのキャラが‼
誰でしょう?
では、どうぞ。
追記
評価もつけてくれると、作者は喜びます。
では、気を取り直して、どうぞ。
八幡は目の前にいる青い機体を見ながら、オープンチャネルにしてセシリアと話始めた。
「悪いな。こっちの都合で模擬戦になっちまってよ。」
「いいえ、構いませんわ。それに私もあなたと一度お手合わせしたいと思っておりましたので。」
「そうか。まぁ、ほどほどに頼むわ。」
「あなたには、最初から全力でいかせてもらいますわ‼」
そう言うのと同時に試合開始のブザーが鳴り響く。
セシリアはライフルをこちらに向けると、挨拶と言わんばかりに初撃を放ってきた。
八幡はそれをなんなく避けると、背中にある流星をパージし、セシリアへ攻撃を開始する。
「くっ…。」
セシリアは流星が厄介な存在というのを認識していたため、唇を軽く噛んだ。
三方向からビームが飛んでくる。
しかも一つ一つの動きが早く、ビームが飛んできた方向に銃口を向けるもそこにはもうすでに何もない。
かわすことしかできず、段々と苛立ちを募らせるセシリア。
そんな彼女は視界が狭まっているのを気づくことが出来なかった。
気付いたのはロックオンされているという警告が目の前に現れた瞬間だった。
「!?」
そこにいたのは超高火力ビームキャノンを構えた八幡の姿だった。
「チェックメイトだ。セシリア・オルコット。」
八幡は勝利を確信し、トリガーに指をかける。
そしてーー
「ファイア‼」
ビームの奔流がセシリアに向かって流れていく。
そのビームは真っ直ぐ進み、セシリアのブルー・ティアーズの右側の翼を掠める。
セシリアは直撃してないことに安堵しつつ、今なら彼を仕留める絶好のチャンスと思い、ライフルを向けた瞬間、終了のブザーが鳴る。
「勝者、比企谷八幡。」
「え?」
拍子抜けした声がセシリアから漏れる。
「オルコット、自分のシールドエネルギーを見てみろよ。」
八幡からそう言われ、確認するとシールドエネルギーが0になっていた。
なぜいきなりここまで減っているのかセシリアにはわからなかった。
「なぜ…?」
そんな疑問が口から出てしまった。
たった一撃しか攻撃は食らっていない。
「教えてやるよ。」
その疑問を聞いていたのか、八幡が説明を始める。
セシリアは彼のもとまで降りていき、目の前に立つと八幡はゆっくりと口を開き始めた。
「この、最後の一撃に使ったのは月華という超高火力ビームキャノン。こいつの一撃はシールドエネルギーを軽く吹き飛ばすほどだからな。下手すりゃ絶対防御でも守れるかどうかわからん。その反動でシールドエネルギーがごっそり減るし、動けなくなるしで何とも使いにくい兵装だが、一撃必殺で使える。」
「と言うことは一夏さんのと同じってことですの?」
「厳密に言えば違うが大まかなところで言えばそうだな。」
セシリアは唖然としていた。
一撃必殺をそんなに簡単に使い、更に一回でも読みを間違えると、自分が負けたかもしれないそのある種賭けのような戦いかたをしていたことに驚きを隠せない。
「驚いてるみたいだな。」
「えぇ。まぁ。」
八幡はセシリアの表情を見て驚いてる理由が何となくだがわかった。
「お前と織斑の試合を見たが、あれだって似たようなもんだろ。しかもあいつの場合、剣だけなのにそれが一撃必殺になるって、俺とは違いすぎる。」
しかも動けなくなるってのがないしな。
いいなぁ、あれ。
でも射撃とかないからな…。
うん、朧夜でいいな。
むしろこの先ずっと朧夜でいいまである。
八幡がそう自己完結した時、セシリアが口を開いた。
「ですが、あなたは…いえ、わたくしは負けたのですから余計な詮索は無しですわね。」
「あぁ。」
「ひとつ、ひとつだけよろしいですか?」
「答えられるものならな。」
去ろうとして背中を向けた八幡はそのままそう答えた。
「では、あなたはなぜそんなにも強いのですか?その理由をお聞かせしてもらっても構いませんか?」
八幡はそれを聞いてセシリアの方へ顔だけを向ける。
セシリアはその顔を見ても不機嫌なのかそうでないのか、さっぱりわからない。
だが、少なくとも答えてはくれるようだ。
「俺が強い…ね。そんなわけねぇだろ。俺は弱い。誰よりもその事を俺自身が知ってることさ。もし俺が強く見えるのなら、そんなものは幻想だ。」
それを聞いたとき、セシリアは激怒しそうだった。
なら弱いあなたに負けたわたくしはどうなんですの!?
もっと弱いと、そう言うのですか!?
その心の叫びがわかったのか、八幡が言葉を付け足す。
「オルコット、お前は強さを何だと思ってる。俺は強さは何かを、誰かを守れるものだと思ってる。お前は自分が何を守ってきた。名誉か?名声か?金か?プライドか?それはお前が守りたいと思ったものだろ?だったらお前はそれを守れたのか?守れたのなら誰がどう思おうとそれがお前の強さで誇っていい強さだ。だけど、俺には今のところ守るべきものがないし、守ったこともない。だから試合では勝っても、勝負で負けてるんだよ。心で、だけだけどな。だから俺は弱いんだ。」
その言葉には不思議と暖かみがあった。
セシリアにはそれが自分の胸の中にスッと入っていく気がした。
それと同時に納得もした。
織斑一夏が強いわけを。
自らの仲間と姉を守りたいから、守るべきだと思っているから、強いのだ。
そしてそれは自分自身にも当てはまる。
両親の遺産を守るべく努力した日々。
あのとき、強かった理由は守るべきものがあったからだと思った。
納得するのと同時に八幡にたいして興味が湧いた。
なぜ、そのような考えが出来るのでしょう。
なぜ、こんなに心に響くのでしょう。
一夏さんと違うはずなのに、どうして気になるのでしょう。
この疑問すべて、彼は答えてしまうのでしょう。
根拠はありませんが何となくそう思います。
なぜかはわかりませんが。
そしておそらく、デュノアさんは彼のこういったところに触れて惹かれていったのでしょう。
ボーデヴィッヒさんもあの時かけられた言葉に含められている暖かい言葉をかけてくれた彼に好意を寄せているのでしょう。
ほんの少し、本当にほんの少しだけですがわかった気がいたします。
見た目は最悪ですが、中身はとても暖かくて優しいかた。
ただ不器用なためそれが表に出せない人。
それは一夏さんとは真逆の性格。
ですが、それが彼の魅力なのでしょう。
セシリアはそう結論をだし、八幡を見つめる。
相変わらず何を考えているのかわからない。
だが、セシリアは彼の心の一部を見た気がして気が軽くなっていった。
「比企谷八幡さん、わたくしの負けですわ。」
セシリアは心の底から敗北の宣言をした。
彼に完敗ですわ。
技術も、作戦も、肉体的にも、そして何より心で。
ですが、次対戦するときは負けませんわ。
セシリアは再戦の機会が待ち遠しく感じた。
それから、二人はピットへと戻っていった。
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八幡はピットへと戻ると、ISを解除し更衣室へ向かおうとしたが、目の前にいる人物に呼び止められ立ち止まる。
「お疲れ様。」
「どうも。」
八幡の前にいたのは楯無だった。
楯無は笑顔でそう言うと、手に持っていたペットボトルを八幡に渡す。
八幡は躊躇いながらもそれを受け取り、一口それを口にした。
「で、何のようですか。」
「いやーいいこと言うなって思って。」
「は?」
「気付いてなかったの?セシリアさんに言ってたあのセリフ、ここにいる全員に聞かれてたわよ。」
え?
楯無さん、笑顔で言うことじゃないよね?
っていうかそんなことしたの誰だよ。
俺の黒歴史が久々に更新になったよ。
具体的には4ヶ月ぐらい前。
八幡が軽く現実逃避をしていると、楯無が近くまで歩み寄ってくる。
それに気づいた八幡は少し体を後ろへずらす。
だがそれでもお構いなしに前に進んでくる。
「八幡くんって意外と優しいのね。」
「そりゃ、クラスメイトから話しかけるなよって言われる前に話しかけないぐらいには優しいですよ。」
「まぁ、そんなのはどうでもいいとして。」
どうでもいいってなんだよ。
傷ついちゃうだろ、俺が。
そして目が腐っちまうだろ。
元からか。
え、何それ超悲しい。
目を余計に濁らせながら八幡はそんなことを思っていると、いつの間にか楯無の顔が目の前にあり、驚いた顔をしつつ、目が離せないでいた。
「私、君のそう言うとこ好きだよ。」
やめて‼
その顔やめて‼
それに好きって言わないで。
勘違いしちゃうから。
まぁ、俺はプロのぼっちだから今さらそんなことで勘違いなんかしないが。
「そ、そうでひゅか…。」
噛んだ…。
死にたいよぉ‼
何で噛んじゃうの!?
俺の馬鹿‼
…勘違いはしなくても緊張はするな。
何それダメじゃん。
「んふふ。その反応が見れておねーさんは満足。じゃあね、八幡くん。」
怪しげな笑みと不敵な目をしながら、去っていく楯無。
八幡はその姿を見ながら彼女は要注意人物だと勝手にランクを上げた。
そしてしばらく、どうやって逃げようか考えていたが、あの人から逃げるのは無理そうだったので、思考を終わらせ更衣室へ向かっていった。
一方その頃、反対側のピットでは、セシリアを始め、一夏、箒、鈴の四人が八幡の事を話していた。
「セシリア、お疲れ。」
「一夏さん、ありがとうございます。」
一夏は手に持っていたタオルを渡すと、セシリアは頬を少し染めながらそれを受け取り、軽く汗を拭き取る。
すると、鈴が口を開いてきた。
「私とやったときより断然強くなってる気がするんだけど。」
「えぇ。彼はどうやら何か秘密にしていることがありそうです。ですがわたくしはそれを聞きません。それが彼との約束ですから。」
「まぁ、そんなのはいいとして、あいつのあの言葉はなに?自慢なの?何が自分は弱い、のよ!代表候補生倒しといて言う言葉がそれ?」
「鈴さん、あなたは少し勘違いされておりましてよ。」
「はぁ!?あんたは悔しくないの?」
「確かに言われた直後は鈴さんのように思いました。ですが、わたくしは彼の言うことも一理あると思ったのです。一夏さんの言っていた守られるだけじゃ嫌だ、今度は俺が守る。そう言ったとき、一夏さんはとても初めてISで戦ったとは思えないほど強かった。わたくしも両親の遺産を守っているときが一番強かったのではないかと思ってしまいました。」
「何が言いたいの?」
「ですから、簡単に言いますわ。鈴さんはもう一度彼と戦ってみてください。きっと彼の言っていることが分かりますわ。」
それを聞いた鈴は少し訝しげな目をセシリアに向け、ニヤニヤしながらこう言った。
「…あんた、あいつに惚れた?」
「………へ?」
「そ、そうなのか!?」
今まで黙っていた箒まで会話に入ってきた。
一方の一夏はこの女子トークの中に入ることが出来ずにいたが、八幡と戦ってみたいと人一倍思っていた。
「ち、違いますわ‼」
セシリアの金切り声が響く。
「何が違うの?」
声がした方を向くとそこにはシャルロットとラウラがいた。
その二人を見て、いたずらっ子のような目をしながら鈴が耳許で口を開いた。
「セシリア、さっきの比企谷の言葉を聞いて惚れちゃったらしいよ?」
その言葉を聞いた瞬間、シャルロットとラウラの顔が変化した。
それを見ていた3人は怯え、震えていた。
その様子を見た鈴は何事かとシャルロット達の方へ顔を耳元から離して顔を見た。
「ヒィッ‼」
短い悲鳴がピットに響く。
それと同時にシャルロットは携帯端末を手に持ち、どこかに連絡とり始めた。
「ねぇ、今すぐにオルコットさん達がいる方のピットに来てね。」
一方的にそう告げると、怖いぐらいにこにこしながらポケットに少し乱暴にいれる。
それが合図だったかのように、一夏が口を開く。
「あ、そう言えば二人とも名前で呼んでいいか?」
「うん。別にいいよ。」
「私も構わない。」
一夏は怯えながらも努めて明るくそう言うと、明るい声でそう返事が返ってきた。
会話を続けるためにも一夏は話題をなくさないように頭をフル回転させながら次に言う言葉を選び、口を開く。
「じゃあ俺の事も一夏でいいよ。改めてよろしくなシャルロット、ラウラ。」
「うんよろしくね一夏。」
「よろしくな。」
「俺の事も名前で呼んだなら、ここにいるみんな名前で呼び合おうぜ。」
それに反対するものは誰もいなかった。
お互いに打ち解けた時、制服に着替えたのであろう八幡がやって来た。
その姿を見ると、シャルロットとラウラの顔がまた変化した。
「八幡、どう言うこと?」
「は?何が?ってデュノアさん?怖いんですが。」
いや、マジ怖いって‼
目のハイライトさん仕事して‼
こんな表情していいのはヤンデレだけだって。
「何かな?」
ちょっ、怖い怖い。
笑顔だけど全然笑ってないし。
八幡は助けを求めるため、ラウラの方へ目線を移す。
「嫁……覚悟はできてるか?」
その瞬間、八幡は抵抗を諦めた。
…死んだな。
最後くらい小町に会いたかった…。
死を覚悟した瞬間、ピットに声が響く。
「ちょっと‼シャルロットとラウラ落ち着きなさいよ‼」
鈴の声だった。
八幡は鈴へと目線を移すと、何やら必死な表情をしながら二人を止めようとしていた。
「さっきのは冗談に決まってるじゃない。ただちょっとからかおうとしただけで…。」
「そうなんだ。鈴って意外とお茶目なんだね。」
「ヒィッ‼」
「そうか。嫁よ、信じてやれなくて悪かった。」
ラウラはそう言うと、頭を下げ、鈴の方へと向かっていく。
物騒な言葉を残して。
「私と嫁を騙した罪、償ってもらうぞ。」
罪ってなに?
ボーデヴィッヒさん、すごく怖いです。
あんなのに睨まれたら即チビっちゃうレベル。
いや、さっき睨まれてたわ。
とりあえず、凰頑張れ。
そう心のなかで激励を送り、八幡はそそくさと去っていった。
その後、鈴の姿を見たものはいたとか、いなかったとか。
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セシリアはあの後、更衣室へ行き着替えてから寮の自室へ戻り、今日の出来事をシャワーを浴びながら考えていた。
一夏とクラス代表を決めるために戦ったあの日のように。
彼は何者なのでしょう。
わたくしたちと年は変わらないはずですが、どうして考え方がああも違うのでしょう。
過去に何かあったのでしょうか。
知りたいですわ。
ですが、彼は何も言わないでしょう。
不器用な方ですから。
そこまで考えていると、胸が高鳴る気がした。
セシリアは胸の間で手を軽く握り、胸の高鳴りを抑えようとした。
それは無意味だと知りながら。
「比企谷…八幡さん…。」
わたくしの彼に対する第一印象は最悪でした。
目も、性根も、第一印象で腐ってると思えるほどのオーラを纏っており、正直わたくしの父よりも卑屈そうだと感じました。
それに、他人と余り関わろうともせず、机で寝る始末。
ですが、鈴さんとの一戦。
ラウラさんの暴走の件にシャルロットさんの一件、それぞれを見てみると、鈴さんとの一戦以外は彼はとても優しく、暖かいけれど不器用な人、そう印象が変わっていきました。
わたくしだって一夏さんを見てから男性が全員が全員、悪い人ではないと言うくらい分かりますわ。
なので、今回も転入してきた彼をずっと観察しておりました。
それと同時に興味も湧いてきました。
彼はどういう人間で、なぜ鈴さんと戦ったときにIS操縦が素人であるはずの彼が、実践であれだけの善戦をすることが出来たのか。
それを受けてわたくしは彼と戦ってみたくなりました。
そしてその願いは届いたのか、彼と模擬戦を行うことが織斑先生から告げられました。
正直、嬉しかった。
でも織斑先生から聞かされたのは彼が一夏さんとではなくわたくしと戦うと言った、それを聞いて疑問を持ちました。
なぜわたくしなのか、と。
それで彼の部屋へ向かいました。
真相を聞き出すために、何より彼が何を考えているのか知るために。
結果としてはなにもわかりませんでした。
目は口ほどにものを言う。
そう言いますが、初めてそれを否定したくなりました。
彼の目を見ても、なにも読み取れませんでした。
そしてわからないまま模擬戦の時がやって来ました。
結果はわたくしの完敗でした。
一撃も与えられることなくわたくしは負けてしまいました。
彼は強い、その強さはどこから来るのか、どうして強いのか色々聞きたいことはありました。
けれど彼と約束した以上聞くことはできませんでした。
しかし、彼の心の中を少しだけ見た気がしました。
それを見たことで彼の印象はいい方向へ変わっていきました。
一夏さんの時とは違う暖かさと優しさ、すべてが真逆なのになぜか心地いい感じがしてくる。
不思議な方です。
そして今に至るわけです。
「本当に…不思議な方…。」
セシリアはシャワーを止めると、じっと佇む。
そして、バスタオルを手に持ち、体を拭き部屋着へ着替えてまた考え込んでしまった。
今の彼女の頭のなかは今まであったことのない性格及び性質をした彼のことで一杯だった。
その後、彼女が寝たのは夜中を過ぎた辺りであった。
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次の日、目が覚めると、またもやラウラが八幡のベッドにいた。
八幡は小さくため息を吐き、ラウラの肩を揺すり声をかけた。
「おい、起きろ。朝だ。」
「んー…。もう朝か?」
「さっさと起きろよ、ボーデヴィッヒ。」
ラウラから逃げるようにベッドから降り、八幡はそのまま脱衣所へと向かい、着替えてから顔を洗う。
その間にラウラは着替えていたりする。
最初の頃は八幡も戸惑っていたが、最近では慣れてきていた。
嫌な慣れだね。
俺のためにも来ないでほしいのだが…。
ぼうっとしながら歯を磨いていると、扉の向こうから声がした。
「おーい。八幡起きてるか?」
一夏の声だった。
珍しいな。
っていうか何の用だよ。
今日は休日だろ。
休む日なの、わかる?
だから俺は今日、ベッドの上で惰眠を貪り続けなければいけないんだよ。
八幡は無視することに決めたのだが、ラウラが扉を開けてしまった。
「お、ラウラ。八幡はいないか?」
「一夏か。嫁に何か用か?」
「いや、もうそろそろ臨海学校だろ?水着でも買いに行こうかと思ってな。」
「そうか。」
ラウラは興味なさ気に頷くと、部屋から出ていった。
一夏はなぜ出ていったのか不思議そうな目で見ていたが、八幡がいるのを確認するために部屋のなかに入っていく。
「八幡、どこにいるんだ?」
八幡はため息を盛大に吐き出し、口を濯いで一夏がいる部屋の方へ進んでいき、背後から声をかけた。
「何だよ。」
「うわぁっ!びっくりした。急に現れんなよ。不気味だろ?」
「いや、後ろからだから急にとかないと思うんだが。」
「まぁ、そんなことより、水着でも買いにいこうぜ。」
そんなことですか。
そうですか。
「嫌だよ。っていうか学校指定の水着でいいんじゃないか?」
「いやいやいや、学校指定のだとせっかくの臨海学校が楽しくないだろ?」
「何でだよ。どんな水着だろうと楽しめるだろ?」
「それは八幡だけだと思うんだが…。」
「そんなことないだろ。」
「とにかく、気分的に新しい水着で臨海学校行きたいからさ。行こうぜ。」
そう言うと一夏は八幡の手を取ると、外へ走っていった。
あれ?
俺の意見は?
て言うか手を繋ぐなよ。
回りの女子が騒いじゃってんだろ。
何人か鼻血出して倒れたぞ、擬態しろよ。
はぁ。行けばいいんだろ行けば。
諦めて着いていくことにしたが、握られている手を振りほどく。
「あ、おい。」
「一人で歩けるからいらんだろ。」
そう言いながら一夏を追い越し、歩いていく。
それを見た一夏は待てよと言いながら八幡の後をおっていった。
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疲れた…。
八幡と一夏はショッピング街にあるカフェに入って休憩していた。
ただの休憩ではないのだが。
「はじめまして‼ごみぃちゃんの妹の小町です‼」
天真爛漫な笑顔で自己紹介をしているのは八幡の妹である、比企谷小町だった。
小町の目線は一夏だけでなく、途中で何故か一緒にいくことになった、箒を除くセシリア、鈴、シャルロット、ラウラにも向けられていた。
どうしてこうなった…。
八幡はなぜこうなったのか、考えるだけ無駄だとわかりながらも、現実逃避のため、こうなった経緯をはじめから思い返していた。
始め、一夏と八幡は街へ行くため、モノレールへと乗った。
偶然にもセシリアと鈴と出会い一緒に行動することに。
八幡は一夏ハーレムの中、居心地が悪そうにしていたが、買い物は続き、八幡が逃げ出そうとしたとき、そこへシャルロットとラウラに見つかり、逃げられなくなった。
そして団体となった二人の買い物は関係のないものにまで及び、寄り道をしていた。
その時、八幡がまたも逃げようと模索していたとき、後ろから声をかけられ、振り向くと小町がいた。
そして、カフェに入って雑談をしている。
何で俺が逃げようとしたときに毎回誰かが邪魔してくるの?
俺の行動読まれてる?
……偶然ってことにしたいな。
「…………ちゃん!お兄ちゃん!」
おっと、マイスウィートエンジェル小町が呼んでいるぞ。
「何だ?」
「何だじゃなくて、小町のお姉ちゃん候補は誰なの?」
「そんなのいないんだが。」
「またまた~、小町はお兄ちゃんの事なら何でも知ってるからね。あ、今の小町的にポイント高い。」
それはちょっと怖いが、小町なら許しちゃう。
だって天使だもん。
「小町的にびびっときたのが、シャルロットさんとラウラさんかな~。」
「え!?」
「な!?」
二人は小さくそう叫ぶと、顔を真っ赤に染めて、八幡の方へ目を向けた。
「小町、二人とも怒ってるだろ。そういうことを言うのはやめなさい。」
そう言うと、3人は一斉にため息を盛大に吐き出した。
仲いいね君達。
っていうか小町ちゃん、なにそのこいつわかってないなって顔。
俺なんて超わかってるから。
わかりすぎてこの社会が生きづらいまである。
「全く、これだからごみぃちゃんは…。」
やれやれといった感じで首を振ると、次へ話題を強引に進めた。
「セシリアさんはお兄ちゃんの事を知りたいと思ってますね?」
「っ!?そ、そんなことありませんわ‼わたくしは一夏さんの…って何を言わせるんですの!?」
「いや、今のは小町は悪くない。お前が自爆しただけだろ。」
「うるさいですわ‼」
「セシリア、そんなに怒るなよ。」
「一夏さん…。」
「八幡の事が知りたいなら素直にそう言えばいいのに。」
それを聞いた瞬間、小町は机にいきなり伏せ始めた。
よく見ると肩の辺りがプルプル震えていた。
どうやら笑いを堪えているらしい。
小町ちゃん、何を笑ってるの?
何がそんなにおかしいの?
あぁ、一夏の鈍感ぶりか。
確かにあれははたから見てると面白いけどな。
だからって笑うほどか?
いつからそんなに笑いのツボが低くなっちゃったの、お兄ちゃん心配です。
「?どうしました小町さん。体調が優れませんの?」
「い、いえ、だ、だいじょう…ぶっ…です。…ぷぷ。」
小町ちゃん?
最後の方声が漏れてますよ?
「おい小町、笑うのはいいがちょっとキモいぞ。」
八幡がそう言うと小町はスッと顔をあげてにっこり笑顔で八幡にこう言った。
「お兄ちゃんにだけは言われたくないよ。」
「ぐふぅっ‼」
強烈な一撃を受け、机に頭を打ち付ける八幡。
シャルロットがあたふたしてラウラが肩を揺すってくる。
セシリアと鈴は何となく見てない振りをしておきながら小さく笑っていた。
…帰りたい。
どうでもいいけどあのCMいいと思うんだよね。
いやだって早く帰りたいじゃん?
あったかハウスに。
いやでも俺に対しては家以外は冷たいんだけどね。
何それ泣けてきた…。
そんなこんなで戻らないといけない時間になったので、八幡たちは寮へ戻ろうと足を向ける。
そこで小町に呼び止められた。
「お兄ちゃん、たまには連絡してね?小町ちょっと寂しいから。あ、今の小町的に超ポイントたっかいー♪」
ウインクしながらそう言う小町。
「おう。俺も大好きな小町に会えなくて寂しいからたまに連絡してやるよ。あ、今の八幡的にポイント高い。」
「何それ。」
二人は笑い合うと、八幡の顔が優しげなものに変わり、小町の頭を撫でる。
その場にいた全員はその八幡の顔に見惚れてしまっていた。
ただし、一夏だけは仲がいいなとしか思ってなかった。
「ふぁっ!?お兄ちゃん、いきなりそれはダメだよぉ~。」
「いいだろ。小町成分を貯めなきゃいけないからな。」
「お兄ちゃんキモい。小町的にポイント低い。」
そう言いながらも小町の顔は嬉しそうに蕩けていた。
この場にいる女性陣は内心で撫でてほしいな、そう感じていた。
そんな中、八幡は一通り撫で終わり、小町と別れてみんなの方へ歩いていく。
すると、少し様子がおかしかったため、八幡が皆に聞く。
「どうした?」
「な、何でもないよ!?」
「何でもないぞ‼」
「何でもありませんわ‼」
「何でもないわ‼」
え?何で俺四人から攻められてるの?
俺悪くなくない?
聞いただけだよね?
え?聞くだけで犯罪になる?
何それ悲しすぎるだろ俺…。
「八幡、気にするなよ。」
そう言って一夏は八幡の肩に手を置くと、微笑んでいた。
…帰ろう。
そうしよう。
八幡は若干拗ねながらモノレールへの道を進んでいった。
はい、あのキャラとは小町ちゃんでした。
……何かすいませんでした。
上げて落とした感が半端ないです。
さてさて、これからどうなるのか楽しみにしてくださいね。
では、また次のお話でお会いしましょう。
追記
前の話で朧夜の武装を書きましたが、星影を少し変更いたしました。
それだけです。
では、また次のお話で。