インフィニット・ストラトス ~ぼっちが転校してきました~   作:セオンです

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福音との戦いが終わり、次は学園祭と専用機持ち限定のタッグマッチトーナメントですね。

と、その前に息抜きと言うことで、夏休みのお話です。
では、どうぞ。



第9話 彼は夏休みを家で過ごしたい

色々と忙しかった臨海学校を終え、夏休みに入り、八幡は家に帰って来ました。

いやだから展開早すぎない?

色々あったよね?

織斑先生に折檻されかけたりだとか、生徒会長となぜか特訓させられることになってボコボコにされたりだとか、色々あったよね?

色々省きすぎてアニメみたいに説明不足感あるんだが…。

って言うか俺は誰に言ってるんだ?

 

心の中で誰に言っているのかわからない突っ込みをしつつ、本を読んでいる八幡。

そこへ最愛の妹である小町が駆け寄ってくる。

 

「お兄ちゃん、帰ってきたんだからちょっと買い物付き合ってくれない?」

「えー、嫌だよ。休みの日まで外行きたくない。」

 

それに8月に入るまで夏休みじゃなかったしな。

 

心の中でそう付け加え、千冬を少し恨んだ。

 

勝手に福音と交戦したからって8月になるまで更識生徒会長と特訓とか、地獄だったんだぞ。

しかも夏休み入った瞬間に逃げようとしたら、織斑先生に折檻されかけるし…。

だから休みたいの。

わかる?

いかにマイスウィートプリティーエンジェル小町ちゃんの頼みでも聞けないな。

 

「何言ってるの、小町はお兄ちゃんのためを思って誘ってるんだよ?あ、今の小町的にポイント高い。」

「はいはい、高い高い。」

「でたー適当でたー。ま、いいや。お兄ちゃんが動かないならシャルロットさんやラウラさんに、お兄ちゃんが女の子と家でイチャイチャしてます。ってメールしちゃおうかな。」

 

小町のその呟きにピクリと反応し、素早い動きで立ち上がる。

 

「よし、どこいくんだ?ちょっと用意してくるから待ってろ。」

 

変わり身早すぎだって?

バッカ、お前、目が病んでるデュノアと軍隊で鍛えられたボーデヴィヒに睨まれても見ろ、死ねる自信あるぞ。

いやマジで。

 

八幡は部屋着から外出用の服に着替え、財布と携帯を持ち、小町の待つリビングへと急いで戻る。

 

「早かったね。」

「おう。小町と出かけられるのが楽しみだったからな。今の八幡的にポイント高い。」

「何それ。さっきまで行きたくないとか言ってたくせに。」

「さっきはさっき。今は今だ。ほらよく言うだろ?それはそれ、これはこれって。」

「そういう理屈はいらないから。」

 

若干、呆れた顔をする小町を見て、八幡は少ししょんぼりする。

 

「ほら、そんな顔してないでいくよ。」

 

八幡の手を引きながら小町は外へと向かおうと玄関を開けるとそこには、一人の男子が立っていた。

 

「およ?お兄ちゃん、誰か来たよ。」

「ん?げっ…。」

 

そこにいたのは、IS学園で同じクラスの同じ男子の織斑一夏だった。

一夏は八幡の反応を見て、少し肩を下げる。

 

「八幡、その反応はヒドイ。」

「で、何のようだよ織斑。」

「何となく、八幡と遊びたかったから。」

「あっそ。俺はこれから小町と出掛けなきゃいけないからな。お前と遊んでる暇はない。」

 

そう言うと、一夏は目に見えて落ち込んでいた。

 

「だからヒドイって…。じゃあ別の日に。」

「いや、別の日もないから。」

「えー。」

 

そう言うと、一夏がものすごい落ち込んでいた。

そんな彼のもとへ走り寄る一人の人影。

小町だった。

小町は一夏の耳許で何かを囁くと、一夏は顔をスッと上げにこやかに去っていった。

 

「おい、なに話したんだ?小町は誰にもやらんぞ。」

「お兄ちゃん違うよ。それに、詮索しすぎると小町的にポイント低いよ。」

 

ジト目で見られる八幡。

八幡は何も言えなくなったが、目を反らして少し前に出る。

 

「小町、行くぞ。」

 

そう言って、歩いていくと待ってと叫びながら小町が家に鍵をかけ、駆け寄ってくる。

 

「置いていくなんて小町的にポイント低いよ。」

「バッカ、俺が小町を置いていくわけないだろ?むしろ俺が置いてかれるまである。」

「威張って言えることじゃないでしょ。」

 

ドヤ顔をしていると、何故か項垂れながら、八幡の横を小町が寄り添って歩いていた。

 

何でそんな顔してるの?

疲れたの?

え?俺と一緒に歩いてるから?

泣いていい?

 

心の中で泣きながら、とりあえず駅の方まで来てしまった。

 

「ところで、どこいくんだ?」

「ん?その辺ブラブラするだけだよ?」

「ちょっと待て、それだったら俺いらなくね?帰っていい?」

「だーめ。」

 

なんだそれ可愛いな。

 

「何でだよ。」

「小町がお兄ちゃんと出掛けたかったから。あ、今の小町的に超ポイントたっかい~。」

 

あざとくウィンクしながら笑みを浮かべる小町。

八幡はそんな彼女を見て頬を緩ませながら、手を頭の上にのせ、撫でる。

 

「そうか。ったく、小町はわがままだな。」

「ふわっ!お兄ちゃん、いきなりはダメだよ~。」

 

いきなりじゃなかったらいいのか?

 

八幡はそんなことを思いながら、頭から手を離し、自分のポケットに手を突っ込む。

 

「じゃあ行くか?」

「うん‼」

 

満面の笑みで八幡と同じペースでならんで歩く。

二人の顔はとても幸せに満ち溢れている顔だった。

 

**************************

 

昼時、八幡と小町は二人でファミレスへ入る。

それは八幡の希望であったが。

 

「お兄ちゃん、何でサイゼ?」

「千葉県民ならみんな好きだろ。」

「そんなわけないでしょ。ま、小町的にはどこでもいいけどね。」

 

二人は店内に入ると、何組かの家族連れや、カップルなどが待っていた。

八幡と小町も名簿のようなものに名前を書き、待つことにする。

その際、椅子が一脚しか空いていなかったので小町に座らせ、その前に八幡が立っていた。

 

「ところでお兄ちゃん、学園はどう?」

「ん?まぁ普通だな。」

「えー。何かあるでしょうに。話してみそ。」

「何もねぇよ。あったためしもないけどな。」

「つまんないの。」

「俺に面白さを求めるな。」

「それもそっか。」

 

それっきり、店員に呼ばれるまで会話がなかったが、特に気まずくもなくむしろ心地よささえ感じていた二人。

そんな空間が、八幡は嫌いではなかった。

 

「二名でお待ちの比企谷様。お席へご案内します。」

「あっ、はい。」

 

やがて、店員に呼ばれ、返事をする八幡。

 

急に呼ぶなよ。

って言うか、急に呼ばれるとあっ、っていっちゃうの何で?

ぼっちの習性?

……悪かったな、コミュ症で。

 

心の中で毒づきながら、店員に案内されるがままに席につき、メニューを見ずとも何を食べようか決める。

一方の小町はメニューを開いて迷っていた。

 

「どうした?」

「ん?こっちとこっち、どっちがいいかなって。」

 

そこにあったのは、夏季限定の料理だった。

八幡は小さくため息を吐いて、しょうがないなと小さく呟くと、店員を呼び、オーダーする。

八幡が注文したのは、小町の迷っていた料理2品だった。

店員が去った後、小町は驚いた顔をしていた。

 

「どした?」

「お兄ちゃんが、お兄ちゃんが優しい…。」

「は?俺いつも優しいだろうが。優しすぎてみんなの輪に入らないようにしてるまである。」

 

そう言うと、小町は盛大にため息を吐き、呆れた目で八幡を見る。

 

小町ちゃん?

なにその目は。

可愛い顔が台無しよ。

 

「お兄ちゃん、それはお兄ちゃんが皆と関わろうとしてないからでしょ。全く、ごみぃちゃんだな~。」

 

え?なにそのごみぃちゃんって。

そんな言葉教えた覚えはありませんよ?

それにちょっと傷ついちゃうからやめようね。

 

そんなことを思っていると、料理が運ばれてきて、小町の目が輝く。

 

「お兄ちゃん、ちょっとあげるから、ちょっと頂戴。」

「おう。もとよりそうするつもりだったしな。」

 

あげようとして八幡は取り皿を貰ってない事に気づく。

 

どうやって分けよう。

取り皿もらうか…。

 

店員を呼ぼうと八幡がボタンに触れようとしたとき、小町が行動に出る。

 

「お兄ちゃん、はいあーん。」

「は?」

「ほら、あーん。」

 

小町ちゃん?

何してるの?

八幡よくわからない。

 

「お兄ちゃん、早く‼」

「いやだから取り皿もらうから。」

 

そう言うと、小町はこいつわかってないな、みたいな顔をしていた。

 

俺レベルになると、わかりすぎて社会が生きにくいまであるぞ。

と言うことはぼっちになったのは俺は悪くない。

社会が悪い。

違う?違うか。

 

「お兄ちゃん、こういう時は素直に食べるものだよ?」

「いや、俺リア充みたいな食べ方なんて知らんし。」

「確かに。でも、可愛い妹があーんしてあげてるんだよ?食べなきゃ損じゃない?」

「……可愛い妹のためじゃしょうがないな。ったく、わがままだな。」

「うんうん。小町、わがままだからね。はいあーん。」

 

八幡は言われるままに口を開けて、小町に食べさせてもらった。

 

始めてやったけど意外にいいな。

なにもしなくて餌付けされてる気分。

働かなくて食べる飯最高。

 

ご満悦な八幡をよそに、小町が顔を突き出し、口を開けていた。

 

「なにしてんの?」

「あーん。」

 

何をして欲しいのかわかった八幡は苦笑しながら小町の口に料理を入れる。

幸せそうな顔をして食べる小町。

その顔を見ていた八幡は柔らかい笑みを浮かべて、見入っていた。

 

何だろう、小町が喜んでると幸せになる。

この気持ち、まさか恋?

な訳ないな。

小町は大事な妹だからな。

邪な考えはしていない。

ほんとだよ?

 

二人はその後も他愛のない会話をしながら食事をしていった。

 

**************************

 

八幡と小町はファミレスから出ると、次の場所に移動する。

小町の希望でケーキを食べに行くらしい。

 

サイゼにもケーキあるだろ。

何でわざわざ違うところで食わなきゃいけないんだ。

 

心の中で抗議しながらも小町についていく八幡。

やがて、目的地についたのか、立ち止まり店の中へと入っていく。

小町は目を輝かせながら少し駆け気味にショーウィンドウを覗き込み、何にしようか悩んでいた。

八幡はそれを見ながら小町のもとへ歩いていく途中、何やら周りが騒がしいと思い、目だけを辺りに向けると八幡と携帯を見比べながら、騒いでいた。

 

え?俺指名手配されてるの?

通報されちゃうの?

何もやってないよ?

ほんとだよ?

だってぼっちだからあまり外にでないから。

……引きこもりじゃねぇか。

 

そんなことを思っていると、横から声をかけられた。

 

「あ、あの、比企谷くんですよね?」

「ひゃ!ひゃい。しょうでしゅ。」

 

かんだ。恥ずかしい死にたい恥ずかしい‼

この場から早く離れたい‼

 

心の中でのたうち回りながら、顔を赤くしている八幡をよそに、話しかけてきた女子は何やら二人でこそこそと耳打ちをしていた。

やがて、話が纏まったのか、再び話しかけてくる。

 

「一緒に写真撮って貰ってもいいですか?」

「えっ、いや、あれがあれだから、無理です。」

「…撮りますね‼」

 

え?あれ?

ちゃんと断ったよね?

おかしくない?

 

八幡は言われるがまま写真を撮られ、そのまま女子たちとわかれ、小町のもとに急いで向かう。

 

「あれ、お兄ちゃん何してたの?」

「知らない女子に絡まれてた。」

「あー、今お兄ちゃんは知らないだろうけど結構人気何だよ?」

 

え?

何だって?

あ、別に難聴系主人公になってないよ?

意味がわからなくて心の中で言ってるだけだからね?

 

「一夏さんと一緒にインフィニット・ストライプスで人気何だよ?」

「は?何で?って言うか、取材受けたことないんだけど。」

「お兄ちゃんが取材受けたのか、とかどうでもいいけど、一夏さんは爽やか系イケメンってことで人気になって、お兄ちゃんはヤサグレ系イケメンってことで人気になってるんだよ。まぁ、お兄ちゃんはその腐った目さえなければ基本スペックは高いからね。」

「おい、上げて落とすなよ。それに何だよ、ヤサグレ系イケメンって。」

「何か一部の女子の間で人気だよ?罵って欲しいんだってさ。その濁った目で見下されながら。」

「意味がわからん。」

「小町的には?お兄ちゃんが人気になって嬉しいわけですよ。それに、小町はこんなお兄ちゃんがいて鼻が高いんですよ。」

「はーん。どうでもいいけど。」

 

織斑はリア充って感じがするからわかるが、何で俺が?

女ってのはわからんな…。

 

腑に落ちないことはあるが、強引に納得し、小町にケーキはいいのかと聞くと、まだ悩んでいるらしい。

 

「で?今度はどれとどれで悩んでるんだ?」

 

小さくため息をつきつつも、小町のためだと思うと聞かずにはいられない八幡であった。

 

**************************

 

ケーキも食べ終え、やることもなくなったので帰路につくと、小町が何かを思い出したのか、先に帰っててと言ったので、八幡は一人家に向かって歩いていく。

帰ってくると、自分の部屋に入り、ベッドにダイブするような感じで寝転び、ぐだぐだしていた。

 

やっぱりぐだぐだしてるの最高。

何か優越感に浸れるよね。

最低だって?

まぁ、俺はカーストでも最低だからな。

……目にごみが。

 

心の中で泣きながら、八幡はこれからどうしようかと考えているが、特にやることも見つからず、寝ることにした。

出掛けて疲れていたのか、すぐに寝ることが出来た。

 




いかがでしょうか。
久しぶりの小町ちゃん登場です。
やっぱり二人の絡みはいいですね。
作者はこの二人好きです。
皆さんはどうでしょうか。

という訳で、八幡と小町がただ単に絡んでいた、という話でした。

では、また次のお話でお会いしましょう。

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